結論テキスト
審判費用は被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2007−890160(T2007−890160/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第4925628号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成17年5月31日に登録出願、第30類「菓子及びパン」を指定商品として、同18年2月3日に設定登録されたものである。
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし同第10号証(枝番号を含む。)を提出した。
本件商標は、商標法第4条第1項第19号及び同第7号に該当し、同法第46条第1項第1号により、無効とすべきである。
(1)商標法第4条第1項第19号について
ア 引用商標
引用商標は、コック帽を被った少年の図形と、その下方にデザインされたローマ字「Rotiboy」を書し、さらにその下に「Bakeshoppe」の文字と、さらにその下に太目の横線を配した商標(別掲(2)。以下「引用商標」という。)である。引用商標は、請求人が「コーヒー風味のメロンパン(メキシコ風の小型パン)」(以下「請求人商品」という。)を製造・販売する業務を開始した時(1998年(H10))から、変わることなく一貫して使用しているものである。
イ 本件商標と引用商標の類似性
本件商標の「コック帽を被った少年の図形」と、引用商標の「コック帽を被った少年の図形」は、全く同ーであり、またデザインされたローマ字も全く同一である。上記の図形及び文字部分が本件商標及び引用商標の要部であり、両者はその要部において全く同一である。
引用商標中の「Bakeshoppe」の文字は、パン屋を表わすマレーシア語の表記であり、本件の指定商品との関係では、識別性を有する部分ではない。また、「Bakeshoppe」の文字の下方の横線は、極めて簡単で、かつ、ありふれた線分であり、同じく識別性を有する部分ではない。
ウ 引用商標の周知性
(ア)請求人は、1998年にマレーシアにおいて、請求人商品の製造・販売を開始し、後にシンガポール(2004.8)、タイ、香港、韓国に出店し、現在、マレーシアに9店舗、タイに10店舗、インドネシアに20店舗、韓国に6店舗を展開している。
「Rotiboy」の名称は、請求人の創設者の甥っ子が「Naughty boy(いたずらっ子)」と呼ばれていたのを聞いてヒントを得、音の近似している「Rotiboy」を考案したものである(甲第3号証)。
(イ)請求人商品を紹介する各国における雑誌・新聞記事
請求人のロティボーイのパンは、コーヒー風味のパリッとしたクッキー生地の皮と、パンに入れた角切りのバターと、控えめの甘さと、コーヒーの風味を楽しめることで人気を博しており、連日長蛇の列を作っていることが、各国において新聞・雑誌の記事で紹介されている。なお、マレーシア、シンガポール、日本、ホンコン、タイの各国における請求人の商品を紹介する記事、及び韓国のホームページを提出する(甲第7号証の1ないし18、同第8号証の1ないし7、同第4号証)。
(ウ)日本国内に紹介記事
インターネットによって「Rotiboy」「ロティボーイ」を検索すると、googleの日本語頁の検索により2000件を超えるデータがインターネット上に存在することが分かる(甲第8号証の1)。これらの情報は、いずれも日本国内でホームページを作成したりブログを運営する人達が、それぞれ、自分の旅行談や現地報告として、マレーシア、タイにおけるヒット商品としての請求人商品を紹介しているものである(甲第8号証の2ないし7)。
(エ)各国における商標登録及び出願商標
請求人は、マレーシア本国を初め、シンガポール、ホンコン、ブルネイに商標権を所有しており(甲第5号証の1ないし9)、さらに中国、フィリピン、カナダ、アメリカ、韓国、日本において商標出願を所有している。なお、シンガポール、韓国においては、登録査定及び公告を受けている(甲第6号証の1ないし4)。
エ 不正使用の目的
(商標権者の業務の実態)
本件無効審判を請求するに際して、本件商標の使用状況と被請求人会社の業務について、請求人が実態の調査を行ったところ、本件商標の使用の事実は認められなかった。本件商標は、会社名で取得されているが、会社の住所地は住宅街にあり、比較的広い道に面してはいるが、該当の地番には商標権者の社長と同じ苗字の住宅が存在する。しかし、店舗の形態でもなく、何らかの商業活動を行っていると思わせる外形は全く認められなかった(詳細については、調査会社の調査報告を参照。甲第9号証)。
会社登記簿の会社目的欄には、食料品の製造については何も記載されていないので、パンの製造を行っていることは考えられない(甲第9号証の2)。
なお、調査報告書(甲第9号証)によると、被請求人会社の2人の取締役中の一人は、インドネシア、マレーシアに良く渡航しており、サンダル等の日用雑貨を輸入しており、その買い付け等の旅行において、請求人の商品に接した経験がある、と考えることもできる。
また、引用商標は、インターネット上において、多数の記事が掲載されている商品の名称でもあり、また海外旅行者により、数多く紹介されていることを考えると、商標権者が、請求人の商標を見ることなく、全く同一の商標を、全くの偶然に創造できたと考えることはできない。
本件商標は、請求人の業務を表すものとして請求人の本国であるマレーシアを初めシンガポール、ホンコン、タイ、韓国において著名性を獲得していることは もちろん、日本国内においても周知となっている。本件商標は引用商標と要部において全く同一であり、請求人の業務がマレーシア国内に限定されることなく、日本国内において、商品が販売されることを見越して、本件商標を出願したものであり、本件商標は不正の目的をもって登録されたものであるから、商標法第4条第1項第19号に該当する。
(2) 商標法第4条第1項第7号について
本件商標は、請求人商品を表す商標であることを知っているのもかかわらず、日本国内で商標登録されていないことを奇貨として本件商標を選択・出願したものであり、その商標の選択・使用は、取引秩序の混乱を招来するものでもあり、公序良俗に反するものである。
また、外国において著名な第三者の商標を日本国内で登録することは、国際信義に反し公序良俗に反するものである。
なお、外国著名商標を無関係の第三者が商標登録することは、国際信義に反すると判断した、異議決定例として、商標「ILANCELI」事件(異議1998‐91010、H11.12.21東京高裁H11(行ケ)217)がある。
なお、先審査・審判・先判決例においても、他人が商標として採択使用している商標について、商標の使用の事実及び、それによって形成された業務上の信用を保護すべく、第三者の出願・登録につき、無効・取消しの判断をしている(甲第10号証の1ないし4)。
これらの判・審決例に照らしても、本件商標は、請求人を示すものと認識されていた商標を、その事実を十分に知っているにもかかわらず、商標登録されていないことを奇貨として、全くの第三者である本件商標の商標権者が出願・登録したものであり、本件商標は、公正な秩序、善良な風俗を害する商標であることは明らかである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号の規定に該当するものである。
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第19号及び同第7号に該当するものであり、その登録は、商標法第46条第1項第1号により無効とされるべきである。
被請求人は、請求人の上記第2の主張に対し、何ら答弁していない。
請求人の提出した証拠及び主張によれば、以下の事実が認められる。
請求人は、1998年にマレーシアにおいて、請求人商品の製造・販売を開始し、後にシンガポール、タイ、香港、韓国に出店し、現在、マレーシアに9店舗、タイに10店舗、インドネシアに20店舗、韓国に6店舗を展開している(甲第3号証、同第4号証)。
請求人商品は、コーヒー風味を楽しめるパンとして人気を博し、そのことが各国の新聞、雑誌の記事(甲第7号証の1ないし18)に紹介され、また、我が国においてもインターネットのホームページにおいて、旅行者や現地報告の記事の中でも紹介されている(甲第8号証の1ないし7)。
その例として、「お得な情報が満載!タレント発!取材レポート情報ブログ」において、「Thailand PART.3」の表題の下、
「バンコクのかわいいパン屋さん『Roti boy』、一時期はタイでは珍しく行列が出来ていたお店。
本家本元のRoti boy
●本店『Roti boy』サイアム店
『Rotiboy』はマレーシアのペナン島の生まれのフランチャイズのお店だそうです。ネーミングも可愛いですよね?パンの表面がカリッとサックサク !アツアツ丸ごとロティー。コーヒー味がして、中は半分空洞で、とろけたバターが入っているパンで有名。他にもいろんなパンが売っています。・・・」と紹介されている(甲第8号証の2)。
なお、インターネットのホームページは、本件商標の登録出願後の検索結果であるものの、「Rotiboy」「ロティボーイ」を検索すると、日本語頁の検索により2000件余り掲載され、重複の事例があることをも考慮しても、本件商標の登録出願の7年前から上記各国において請求人商品が販売されて人気を博していることやその間にも日本人旅行者等が現地を訪れて請求人商品にふれ、その感想や人気ぶりをインターネットのホームページで相当数紹介していたことが充分に推測することができる。
そうすると、引用商標は、請求人商品を表示するものとして、マレーシア、シンガポール、タイ、香港、韓国、インドネシア等はもとより、我が国においても、パンの取引者、需要者の間に一定程度知られていたものと認めることができる。
本件商標は別掲(1)、引用商標は別掲(2)の構成よりなるところ、本件商標は、引用商標のコック帽を被った少年の図形と、その下方にデザインされたローマ字「Rotiboy」と同一にするものである。
そして、コック帽を被った少年の図形は、大きな白いコック帽を被った少年が口を大きく開けて笑っている少年の肩までを表した特徴のある図形であり、また、デザインされたローマ字も、「R」の文字の上部の線が左側に伸び、左側の足の底部が太い横線で表されていること、第4文字目の「i」の字の上部の点が台形で表現されていること、第5番目の文字「b」の縦線が上部で右にかぶさるように伸びていること等を特徴とする文字である。
なお、引用商標の最下部の横線上に表された「Bakeshoppe」の文字は、小さく表された上に、請求人によればマレー語で「パン屋」を表す語であること、該語を知らない者にとっても「パン屋」を表す英語「Bakeshop」の語尾にpeを付加し「パン屋」に関係する語と推測し得るものといえることから、横線を含めた「Bakeshoppe」の文字部分は、自他商品の識別力を有しないものである。
そうすると、本件商標は、引用商標と上記自他商品の識別力を有しない部分を除き、特徴ある図形及び文字からなる同一の商標といえる。
株式会社ニッチョーによる調査報告書(甲第9号証)によれば、被請求人は、会社登記簿(甲第9号証の2)の本店所在地において、店舗がなく、その代表取締役石井美智代及び取締役伊藤親仕も各住所地で、食料品に関する業務を行っていることが不明であること、取締役伊藤親仕の住所地で美容室を営む浅見榮子の「当該取締役伊藤親仕は、年中、インドネシアやマレーシアに渡航し、サンダル等の雑貨を輸入し、雑貨店に卸している。」と述べているが、この事実を裏付ける具体的な書面等は提出されていないので、俄には信用しがたいものの、この述べたこと及び食料品に関する業務を行っていることが不明であることに対して被請求人は何ら反論していないことを考慮すると、調査報告書の内容をあながち否定することはできないというべきである。
以上のとおり、請求人は、1998年にマレーシアにおいて請求人商品の製造・販売を開始し、後にシンガポール、タイ、香港、韓国、インドネシアに出店し、人気を博していることを雑誌等に紹介された結果、引用商標は、請求人商品を表示するものとして、マレーシア、シンガポール、タイ、香港、韓国、インドネシア等はもとより、我が国においても、パンの取引者、需要者の間に一定程度知られていたこと、被請求人の取締役伊藤親仕は、請求人商品を販売しているインドネシアやマレーシアにたびたび渡航していることをあながち否定することはできないから、渡航の際、請求人商品の製造、販売の様子やその人気ぶりを含めて引用商標を知り得る機会があったことを推認することができること、加えて、本件商標は、引用商標と上記自他商品の識別力を有しない部分を除き、特徴ある図形及び文字からなる同一の商標といえることから、本件商標を採択する際、引用商標と偶然一致したものとはいい難く、その存在を知り得て本件商標を採択したものと推認できることを総合すれば、被請求人は、引用商標が我が国において商標登録されていないことを奇貨として、先取り的に商標登録出願し商標権を取得したものとみるのが相当である。
してみれば、被請求人が本件商標を商標登録出願し商標権を取得した行為は、公正な商取引秩序を乱すおそれがあり、ひいては公の秩序を害するおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものであって、同法第46条第1項の規定により無効とする。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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