Trademark Appeal Case
「うるおい実感」の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2007−26310(T2007−26310/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「うるおい実感」の文字を標準文字で書してなり、第5類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成18年9月25日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由(要点)
原査定は、「本願商標は、その指定商品中『薬剤』等との関係において『潤いを実感』の意味合いを容易に看取させる『うるおい実感』の文字を標準文字で表してなるものであるから、これを本願指定商品中の『目薬等の薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,失禁用おしめ』等に使用しても、取引者・需要者に『潤いを実感できる目薬等の薬剤・医療用油紙・衛生マスク・オブラート・ガーゼ・カプセル・眼帯・耳帯・生理帯・生理用タンポン・生理用ナプキン・生理用パンティ・脱脂綿・ばんそうこう・包帯・包帯液・胸当てパッド・失禁用おしめ』等の商品を認識させるにとどまり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものであって、単に商品の品質、効能を表示するにすぎないものと認められる。したがって、この商標登録出願に係る商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、本願商標の文字に相応する前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを行ったところ、別掲に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対し、平成20年3月27日付けで証拠調べの結果を通知した。
4 職権証拠調べに対する請求人の意見(要点)
「実感」は「実物に接して起こる感じ、実際に経験しているかのような生き生きとした感じ」であって、この「感じ(個人の感覚)」とは極めて個人的な感覚であって、万人共通の「このような感じ」というものが特定できず、一個人の中でさえ変化し得るところの「感じ(個人の感覚)」というものをもって、商品の品質、効能を直接的かつ具体的に表示することは不可能である。
また、証拠調べ通知書における使用例の大半は「うるおい」或いは「実感」単独での使用例であって、「うるおい実感」の使用例はわずかな件数にすぎず、しかも、商品の説明としての文中に前後に何らかの文字を付加した形で使用され、これらは前後の文脈と相俟ってはじめて意味を成すものであるから、「うるおい実感」単体での使用とは言えず、「うるおい実感」が本願の指定商品を取り扱う業界で商品の品質を表示するためのものとして認識され普通に使用されている、とするのは妥当ではない。
よって、本願商標は、その指定商品中例えば入浴剤、目薬、洗眼薬等について使用しても自他商品の識別標識としての機能を充分に果たし得るばかりか、前記以外の商品に使用しても商品の品質の誤認を生じさせるおそれもないから、商標法第3条第1項第3号並びに同法第4条第1項第16号の規定に該当することなく登録せられて然るべきである。
5 当審の判断
本願商標は、前記1のとおり、「うるおい実感」の文字を標準文字で書してなるところ、その構成中「うるおい」の文字は、「水気を帯びること。しめり。」等の意味を有し、また、「実感」の文字は、「(想像・空想に対して) 実物に接して起る感じ。また、実際に経験しているかのような生き生きとした感じ。」(いずれも「広辞苑第五版」)等の意味を有する文字である。
そして、前記3(別掲)によれば、「うるおい」、「実感」の各文字が、本願指定商品との関係において、前記意味合いをもって広く使用されているといい得るものである。
そうとすれば、本願商標全体として、「うるおいを実感」程の意味合いを容易に認識、理解させるものである。
さらに、前記3(別掲)によれば、本願指定商品中、入浴剤、目薬及び洗眼薬等薬剤を取り扱う業界においては、保湿効果や保水効果を有し、肌や目にうるおいを与える商品が流通している実情にあるといい得るものである。
してみれば、本願商標は、これをその指定商品中、「肌又は目に水気や湿り気等のうるおいを与える商品」、例えば入浴剤、目薬、洗眼薬等薬剤に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、肌又は目が水気や湿り気等を帯びた状態を実感させるもの、すなわち、「うるおいを実感させるもの」であると理解し、単に商品の効能、品質を表示したものと認識し、把握するにとどまるというべきであるから、自他商品の識別標識としての機能を有する商標とは認識し得ないものといわざるを得ない。
また、「肌又は目に水気や湿り気等のうるおいを与える商品」以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものというべきである。
なお、請求人は、前記3(別掲)に対して、平成20年5月12日付け意見書において前記4に記載の旨述べているが、上述のとおり、「うるおい」、「実感」及び「うるおい実感」の各文字が、本願指定商品中、肌又は目に水気や湿り気等のうるおいを与える商品、例えば入浴剤、目薬及び洗眼薬等薬剤との関係において、商品の説明、広告又は宣伝の文中に、商品の品質を表す文字として使用されており、また、肌や目にうるおいを与える商品が取引き、販売されていることからすれば、本願商標に接する取引者、需要者が「うるおい実感」の文字から、「うるおいを実感させるもの」程の意味合いを容易に理解し、商品の効能、品質を表したものと認識すると判断するのが相当である。
そして、たとえ、個々の需要者の「実感」する程度が一律とはいえないとしても、本願商標が登録されるべきであるかどうかは、その指定商品の取引者、需要者等において、これがどのような意味を有するものとして認識され用いられていたかによって判断されなければならないところ、「うるおい」の文字と結合した、本願商標「うるおい実感」の文字は、その指定商品中、肌又は目に水気や湿り気等のうるおいを与える商品、例えば入浴剤、目薬、洗眼薬等薬剤を取り扱う取引者、需要者等において、その商品の効能、品質を表示するものとして認識されることは、前記認定のとおりである。
また、請求人は、過去の登録例を挙げ、本願商標も同様に登録されるべきである旨主張するが、登録出願された商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるか否かの判断は、当該商標の構成態様と指定商品とに基づいて、個別具体的に判断されるべきものであって、かつ、その判断時期は、査定時又は審決時と解されるべきものであるから、請求人が挙げた商標登録例の存在によって、前記判断は左右されないというべきである。
そうとすれば、請求人の前記いずれの主張も採用することはできない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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