Trademark Appeal Case
周知商標と混同のおそれ
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2007−900333(T2007−900333/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5039309号商標(以下「本件商標」という。)は、「U−BOAT」の欧文字を標準文字で書してなり、平成18年10月17日に登録出願、第14類「時計」を指定商品として、平成19年4月6日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由(要旨)
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第10号、同第15号及び同第19号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1項により取り消されるべきである旨主張し、その理由を要旨以下のとおり述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第11号証(枝番号を含む。)及び平成20年4月11日付けで上申書(甲各号証の翻訳文)を提出している。
(1)商標法第4条第1項第10号
本件商標は、申立人の商品「時計」を表示するものとして、需要者の間に広く認識されている商標であって、その商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第10号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号
本件商標を商品「時計」に使用した場合、需要者は申立人の業務に係る商品であるかのごとく誤認し、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第19号
本件商標は、申立人の商品の表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的をもって使用をするものであるから、商標法第4条第1項第19号に該当する。
(4)以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、15号、19号に該当し、商標登録を受けることができないものであるから、商標法第43条の2第1号により取り消されるべきものである。
3 当審における取消理由
当審において、商標権者に対して平成20年3月27日付けで通知した取消理由の要旨は、以下のとおりである。
(1)本件商標は、前記1のとおりである。
(2)申立人の提出に係る甲各号証(枝番号を含む。)によれば、以下の事実が認められる。
申立人は、イタリア人デザイナー、イタロ・フォンタナによりイタリア国ルッカに設立された時計メーカーであり、申立人の商標「U−BOAT」(以下「引用商標」という。)を使用した時計は、2001年7月30日(製造会社スウェコ エスピーエー)に初めて制作され、同年8月1日にイタリア国で初めて販売され、2003年5月16日には日本で初めて販売された(甲第4号証の2)。
申立人は、2005年より毎年、世界最大規模の時計・宝飾品見本市であるバーゼルワールド(Basel World)に引用商標を付した時計を出品しており(甲第5号証の1ないし7)、そのほかにも、申立人は、様々な国際商品見本市、展覧会に参加しており、例えば、2002年及び2003年にドイツ国フランクフルトでの見本市、2004年にフランス国パリでの見本市、2005年に米国ニューヨークでの見本市、2006年にイタリア国フィレンツェでの見本市、2007年にスペイン国バルセロナでの見本市に参加し、引用商標を付した時計を出品している(甲第5号証の8ないし11)。
申立人は、引用商標を付した時計を本国イタリアで販売するほか、ベネルクス諸国、フランス、英国、スペイン、スイス、オーストリア、デンマーク、ドイツ、香港、米国、メキシコ、カナダ、日本、ポルトガル等の25カ国に輸出し、各々指定代理店、と販売契約を結び、当該指定代理店を通じて販売している(甲第6号証の1ないし4)。
日本については、銀座松坂屋、新宿そごう、三越名古屋、心斎橋そごう等で取り扱われている(甲第6号証の5ないし8)。
引用商標を付した時計とその附属品についての2006年10月17日までの全世界での売上高は、約6億1211万円、2007年6月30日までの売上高は、約6億2199万円である。
販売数は、2006年10月17日までに48824個、2006年10月18日から2007年6月30日までに18268個である(甲第4号証の2)。
主要販売国での売上高は、2005年6月1日から2007年6月30日において、ベルギー(約2億4749万円)、フランス(約1億202万円)、英国(約1億1078万円)、オーストリア(約9196万円)、スペイン(約6980万円)、米国(約1億9130万円)である。なお、日本においては、2003年度(約262万円)、2004年度(約394万円)、2006年度(約2005万円)、2007年度(約1120万円)である(甲第7号証の1ないし4)。
申立人は、引用商標を付した時計について、様々な広告宣伝活動を展開しており、「CLUB FERRARI 2005−2006」(クラブ・フェラーリ・ベルギー会員誌2005−2006年度版)等80種類の雑誌のほか(甲第8号証の1及び甲第8号証の7ないし11)、日本においても「MEN’S NON−NO」、「MEN’S CLUB」、「LEON」及び「Begin」等の有名雑誌で紹介されており、時計関連のウェブサイト等にも掲載されている(甲第8号証の14ないし16)。
申立人の広告宣伝費は、2004年度2471万円、2005年度4820万円、2006年度8670万円である(甲第9号証の2)。
申立人のウェブサイトは、2003年5月26日に開設され、その英語版ウェブサイトは、翌2004年に開設されており、商品紹介(引用商標を付した時計各シリーズを掲載)、正規販売代理店、価格表等の情報にアクセスすることができ、商品カタログのダウンロードも可能となっている。
(3)以上の事実及び申立ての全趣旨を総合すれば、引用商標は、申立人が商品「時計」について、2001年以降継続して使用してきた結果、本件商標の登録出願時には、既に、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本国イタリアをはじめとする多数国の取引者、需要者の間において、相当程度認識されるに至り、その状態は、現在まで継続しているものと認められる。
また、本件商標と引用商標とは、綴り字を同じくする類似の商標であり、さらに、本件商標の指定商品と引用商標の使用商品とは、同一である。
そして、本件商標の商標権者は、雑誌(モノマガジン等)及びムック(世界の腕時計等)等の出版社であり、欧州の高級時計やそのメーカー名を知悉するばかりでなく、世界の時計に関する業界の事情にも精通していたと考えられることからすれば、申立人の引用商標を付した商品(時計)の存在を認識していた可能性が高く、そのうえで、申立人の引用商標を付した商品につき、我が国に商標登録出願がなされていないことを奇貨として、その名声に便乗し、又は何らかの利益を得るなどの不正の目的をもって登録出願し、商標登録を取得したものと推認し得る。
(4)してみれば、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものといわなければならないから、その登録を取り消すべきものである。
4 商標権者の意見
本件商標について、上記3の取消理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、商標権者は何ら意見を述べるところがない。
5 当審の判断
本件商標についてした先の取消理由は妥当なものと認められる。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものといわざるを得ないから、本件商標の登録は、商標法第43条の3第2項により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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