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Trademark Appeal Case

複合商標の要部抽出と称呼

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成10年審判第35620号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4116196号商標(以下「本件商標」という。)は、「ALL LIFE」の文字を書してなり、平成8年10月9日登録出願、第16類「紙類,紙製包装用容器,家庭用食品包装フィルム,紙製ごみ収集用袋,プラスチック製ごみ収集用袋,衛生手ふき,紙製タオル,紙製手ふき,紙製ハンカチ,型紙,裁縫用チャコ,紙製テーブルクロス,紙製ブラインド,紙製のぼり,紙製旗,紙製幼児用おしめ,荷札,印刷物,書画,写真,写真立て,かるた,歌がるた,トランプ,花札,文房具類(「昆虫採集用具」を除く。),昆虫採集用具,事務用又は家庭用ののり及び接着剤,青写真複写機,あて名印刷機,印字用インクリボン,こんにゃく版複写機,自動印紙はり付け機,事務用電動式ホッチキス,事務用封かん機,消印機,製図用具,タイプライター,チェックライター,謄写版,凸版複写機,文書細断機,郵便料金計器,輪転謄写機,印刷用インテル,活字,装飾塗工用ブラシ,封ろう,マーキング用孔開型板,観賞魚用水槽及びその附属品」を指定商品として、同10年2月20日に登録されたものである。

2 請求人の引用する登録商標

請求人の引用する登録第1552265号商標は、「LIFE」の文字を書してなり、昭和45年10月13日に登録出願、第25類「紙類」を指定商品として、昭和57年11月26日に登録されたものである。同じく、登録第1666426号商標は、別掲の構成よりなり、昭和48年12月28日に登録出願、第25類「紙類、文房具類」を指定商品として、昭和59年3月22日に登録されたものであり、いずれも有効に存続しているものである。他に「LIFE」、「Life」、「ライフ」及び「らいふ」の文字を書し、又は有してなる商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品とする24件の登録商標(以下これらをあわせて「引用商標」という。)を引用している。

3 請求人の主張

請求人は、「本件商標の登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第26号証(枝番を含む。)を提出した。

(1)商標法第4条第1項第11号について

甲各号証に示す引用商標のうち、甲第1、3、4、〜8、10、11、22、23号証に示す商標から「ライフ」の称呼が生じ、その余の商標から単なる「ライフ」という一部省略された称呼が生ずることはこれら各商標の構成よりみて極めて自明である。一方、本件商標「ALL LIFE」は、前半の「ALL」と後半の「LIFE」の文字が明確に開離されているのみならず同商標においてこの「ALL」「LIFE」は常に一体のものとしてのみ把握し称呼されなければならない特段の事情もなく、簡易迅速を旨とする商品取引の場においては、取引者、需要者は商標使用者の意図とは無関係に商品に付された商標中、特に印象に残る部分のみを捉えて略称し取引に資する場合の多いことの経験則に徴すれば、本件商標の構成中、それ自体、自他商品の識別力を具有する「LIFE」の部分を捉えて、これより生ずる「ライフ」の称呼のみを以て取引に資される頻度の高いことは極めて自明である。

してみれば、本件商標と引用商標は、夫々称呼を一にする ものであること論を俟つ迄も無いところである。尚、審判請求人のこの見解が正当であることは、下記の審決例に徴しても極めて明白である。

(イ)商標「サンソニイ/SUNSONY」と「SONY」は類似

(ロ)商標「ドルチェキャラウェイ」と「DOLCE」は類似

(ハ)商標「マルゼンマリオン」と「MARUZEN」は類似

(ニ)商標「Ronshan Elegance」と「Eleganc e」は類似

(ホ)商標「ROYAL HANANOKI」と「HANANOKI」 は類似

(ヘ)商標「LION JEWElRY」と「LION」は類似

前記の各甲号証及び本件商標の後半部からは「ライフ」(LIFE)、即ち、「命、生活、人生、一生」等の観念が生ずるものであることは多言を要しないが、本件商標の前半部分「ALL」なる語は、「すべての」「全部の」「全体の」「あらゆる」「一切の」等の意を表す日本語化された英語であって、例えば、「新英和第辞典」<研究社>には「1.[限定語+複数名詞に先立って]すべての、全部の2.[限定語+単数名詞に先立って]全体の...3.[総括的に]あらゆる、一切の」とあり、また「広辞苑」<岩波書店>には「「オール」(all)全部、すべて(の)。」とある。してみると、「ALL LIFE」なる商標は少なくともこれを付した商品に接する取引者、需要者に同商品が「LIFE」なる商標(ブランド)を付した全(オール)商品群のうちの一つであるとの認識を粉うこと無く与えるものであって、このようにして「LIFE」なる商標との関連(出所の同一性)を直ちに感得させる商標「ALL LIFE」が当該商標「LIFE」と「観念」を一にするか若しくは著しく酷似するもとされるべきは論を俟つ迄もない。

因みに、特定の語に「オール」「ALL」なる語が付されることによってその語の有する本来の意味と直接的には無関係な意味内容の熟語が形成されることは必ずしも無しとしない(例えば、「オール・ウェーブ」「オール・スター・キャスト」「オール・トーキー」「オール・ナイト」「オール・バック」「オール・ラウンド」など)が、「オール・ライフ」がこの種の熟語では 無いことは、このような語が如何なる辞典においても発見できず、また吾人の日常においても使用されている事例の全く無い経験則に徴して、極めて明らかである。

したがって、本件商標は、その登録出願前の商標登録出願前に係る請求人所有の甲第1〜26号証に示す登録商標「LIFE」その他と称呼及び観念を同一若しくは類似とするものであるのみならずその商標登録に係る指定商品について使用するものであるので、商標法第4条第1項第11号に該当する。

(2)商標法第4条第1項第10号について

本件商標は、請求人の業務に係る商品を表示するものとして、その商標登録出願前より需要者の間に広く認識されている商標「LIFE」「L!FE」と類似であるのみならずこれと同一の商品について使用するものであるので、商標法第4条第1項第10号に該当する。

(3)商標法第4条第1項第8号について

本件商標は、その商標登録出願前より請求人の名称の略称として著名であった「LIFE」を含むものであるので、商標法第4条第1項第8号に該当する。

(4)商標法第4条第1項第15号について

本件商標は、請求人の業務に係る商品を表示するものとして、その商標登録出願前より、需要者間に広く認識されている商標「LIFE」を含むものであるので、同商標を使用するときは、請求人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがあり、商標法第4条第1項第15号に該当する。

よって、本件商標は商標法第46条第1項第1号の規定に基づき、その登録は無効とされるべきものである。

4 被請求人の主張

被請求人は、「結論同旨の審決を求める。」と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第33号証(枝番を含む。)を提出している。

(1)商標法第4条第1項第10号及び同第11号について

本件商標は「ALL LIFE」なる構成を有する文字商標であり、「オールライフ」なる称呼が生じることは認める。

引用商標を見ると、一部特殊な変形が施されてはいるものの、全て文字として読み取ることのできる構成を有している。そして、引用商標は、「ライフ」なる称呼を有する部分が存在することは認められるが、「オール」なる称呼を有する部分は存在しない。従って、引用商標のいずれからも「オールライフ」なる称呼は発生しない。従って、本件商標は、引用商標のいずれとも、その称呼において類似するものではない。請求人は、本件商標は、前半の「ALL」と後半の「LIFE」の文字が明確に開離されているのみならず、「ALL」「LIFE」は常に一体のものとしてのみ把握し称呼されなければならない特段の事情もない、と主張している。しかし、本件商標は、ゆっくり称呼しても「オールライフ」と5音でしかない短いものである。しかも、前半部分「オール」の最後の音と後半部分「ライフ」の最初の音は共に「ラ」行に属し、子音を共通にするものであるため、迅速を旨とする取引の場においては「ル」の音は極めて弱くなるか或いは全く発音されず、「オーライフ」に近い称呼となることは経験が教えるところである。近年会話による英語教育が充実してきたことに伴い、特に若年層においては「R」と「L」の発音の区別が可能となっているが、この場合でも「ALL」の最後の音と「LIFE」の最初の音とが同じであることから、「オーライフ」に近い称呼となる。従って、実際の取引の場では「オーライフ」なる4音で称呼される場合が殆どであると考えられる。このように4音又はせいぜい5音という短い称呼を更に短縮しなければならない理由はなく、請求人の主張とは逆に、「ALL」と「LIFE」とを分離すべき特段の理由が存在しない。また、請求人は、簡易迅速を旨とする商品取引の場においては、取引者、需要者は商標使用者の意図とは無関係に商品に付された商標中、特に印象の残る部分のみを捉えて略称し、取引に資する場合の多いことの経験則に徴すれば、本件登録商標の構成中、それ自体、自他商品の識別力を具有する「LIFE」の部分を捉えて、これより生ずる「ライフ」の称呼のみを以て取引に資される頻度の高いことは極めて自明である、としている。しかし、本件商標「ALL LIFE」は全体として「全人生」という意味を表す一体の言葉であり、殊更これを「ALL」と「LIFE」に分離する必然性は全く認められない。わが国の通常の需要者であれば「ALL LIFE」なる言葉に接したとき、それから何らの意味も取ることができないということは考えられず、「全人生」という意味を表すものであることを直ちに認識することに疑問の余地はない。従って、本件商標を「ALL」と「LIFE」に分離するとの議論自体が無意味なものであり、本件商標が単なる「ライフ」の称呼のみで取引に資される頻度が高いとの議論は全く当を得ていない。請求人は、前記審決例を挙げて自己の主張を正当化しようとしているが、それぞれの審決の結論は今回とは全く異なる事情より導かれたものであり、今回のケースに当てはめることは妥当ではない。

逆に、本件と事情を同じくするケースとして昭和46年審判第8554号を挙げることができる。このケースでは、出願人が(旧)第 26 類印刷物を指定商品として「東京ライフ」なる商標の出願を行った(商願昭45‐42358)のに対し、審査段階では米国の著名な雑誌「ライフ」を発行するタイム・インコーボレーテッド社の業務との間で出所混同が生じるおそれがあるとして拒絶査定となった。それに対して不服を申し立てたのが前記審判であるが、その審決(昭和51年1月7日。乙第1号証)では、「本願商標は上記の通り「東京ライフ」と一連に書されたものであり、それが特定地域「東京における生活」という親しみ深い固有な観念を生ずるものであるから、これに接する取引者、需要者は「東京ライフ」と表示された一連の語と認識理解するものと認めるのが取引の実際に照らし相当である。」として、「東京ライフ」と「ライフ」は混同のおそれがないと判断されている。上述の通り、本件商標も「全人生」という親しみ深い固有な観念を生ずるものであり、これに接する取引者、需要者は「ALL LIFE」と表示された一連の語と認識理解するものと認めるのが取引の実際に照らし相当である。従って、「ALL LIFE」と「ライフ」又は「LIFE」は混同のおそれはない。

請求人は、本件商標は観念上、引用商標と類似すると主張している。「ALL LIFE」なる商標に接したとき、請求人が主張するように「LIFE」なるブランドを付した全商品群のうちの一つである」などと考える需要者が果たして何人居るであろうか。「ALL」も「LIFE」も共になじみ深い英語であり、通常の日本人需要者であれば「ALL LIFE」なる言葉に接したとき、「全人生」という意味を表すものであることを直ちに認識することは明かである。また、平成9年審判第8440号において、「BEAUTY」なる登録商標を引用した「ALL BEAUTY」なる商標登録出願の拒絶査定に対し、審決はそれを覆し、「ALL BEAUTY」は登録すべきものとした(乙第33号証)。このケースは外観上、観念上いずれの点においても本件商標と類似した対比となっているケースであり、審決は前記被請求人の主張を裏付けるものである。

(2)商標法第4条第1項第8号及び同第15号について

請求人はまた、「LIFE」及び「L!FE」は本件商標の出願前より需要者の間に広く認識されていたと主張しているが、被請求人はそのような事実を知らない。請求人は更に、「LIFE」は本件商標の出願前より審判請求人の名称の略称として著名であったと主張しているが、被請求人はそのような事実を知らない。これらの主張の根拠として、審判請求人は審判請求書の第10〜11頁において請求人社名の由来等を縷々述べているが、「LIFE」なる商標が周知であるか著名であるかは、本人の主張ではなく、客観的事実により証明されなければならない。しかし、審判請求人はその証明をしていない。請求人以外の出願に係るものであって、文房具を指定商品に含み、その構成中に「LIFE」を含む商標は、多数公告又は登録されている。言うまでもなく、これらはいずれも、請求人が所有する登録第423351号商標(甲第1号証)他が有効に存在している間に公告又は登録されたものである。よって、答弁の趣旨のとおりの審決を求める。

5 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第10号及び同第11号について

本件商標は、前記に表示したとおり「ALL LIFE」の欧文字を書してなるものである。

そして、「ALL」の文字は、「すべての、全部の、あらんかぎりの、」等を「LIFE」の文字は、「生命、命、生き物、生涯、生活」等を意味し、共に中学学習程度の基本的な英語であり、特に「ALL」は、他の語の前に付して「全部(の)」、「すべて(の)」、「全...」の意を表し、オールインワン「all−in−one」、オールウエーブ「allwave」、オールウエザー「all−weather」、オールオアナッシング「all−or−nothing」、オールスターキャスト「all−star cast」、オールスターゲーム「all−star game」、オールスパイス「allspice」、オールナイト「all−night」、オールラウンド「all−round」等といって親しまれている事実がある(「大辞林」発行所「株式会社三省堂」)。

このような事情を考慮すれば、本件商標は、外観上まとまりよく一体的に表現されていて、しかも、全体をもって称呼しても、よどみなく一連に称呼し得るものであり、そして、構成全体より「全生涯」程度の意味合いを認識させるものであるから、本件商標に接する取引者・需要者は、「ALL LIFE」の文字を不可分一体のものとして捉え、これより生ずる「オールライフ」(全生涯)の称呼、観念をもって取引に資されるとみるのが最も自然であり、「LIFE」の文字部分のみが分離抽出されて、「ライフ」(生活)の称呼、観念をもって取引に資されるとみる特段の事情はみいだし得ない。

したがって、本件商標よりは、「オールライフ」の称呼と「全生涯」の観念を生ずると認められ、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点においても、相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。

(2)商標法第4条第1項第8号及び同第15号について

本件商標の「ALL LIFE」の文字は、不可分一体のものであることは前記認定のとおりであるから、本件商標は、請求人の名称若しくは同人の略称を含む商標とはいえないものである。

また、本件商標と引用商標は、別異の商標であることは、前記認定のとおりであるから、本件商標をその指定商品に使用しても、引用商標を想起させるものでなく、その商品が請求人又は同人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく、その商品の出所について混同を生ずるおそれのないものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号、同第10号、同第11号及び同第15号のいずれにも違反して登録されたものということができないから、同法第46条第1項の規定により、登録を無効とすることはできない。

なお、請求人は、本件商標が無効とされるべき理由のとして審決例を挙げているけれども、いずれも事案を異にしているものであり、採用できない。

よって、結論のとおり審決する。

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