Trademark Appeal Case
商標の称呼・外観の類否
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 判定2008−600019(T2008−600019/J6) |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | other |
理由テキスト
第1 本件商標
本件登録第4716257号商標(以下「本件商標」という。)は、「NEXTEX」の欧文字を標準文字で表してなり、平成14年12月25日登録出願、第35類「法人の経営の診断及び指導,法人の設立又は廃止及び法人の提携・合併又は買収に関する助言・仲介・斡旋又は契約の代理・媒介,法人の経営管理又は事業運営の代理又は代行,事業・市場又は世論の調査およびその評価・分析,商品の販売に関する情報の提供,広告および広告の代理に関する助言」及び第42類「地域開発・産業振興・科学技術又は社会科学に関する調査・研究又はコンサルティング,工業所有権又はその他の知的財産権の利用又は売買の仲介・斡旋・コンサルティング又は契約の代理・媒介,知的財産権に関する情報の調査・解析および提供」を指定役務として、同15年10月10日に設定登録されたものである。
第2 イ号標章
被請求人が役務「ビジネスモデル策定コンサルティング」及び「業務改革コンサルティング」において使用している標章は、別掲のとおり(以下「イ号標章」という。)の構成よりなるものである。
第3 請求人の主張の要点
請求人は、結論同旨の判定を求めると申し立て、その理由を次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし第22号証(枝番を含む。)を提出した。
1 判定請求の必要性
請求人は、平成12年10月20日に設立され、以降、ビジネスコンサルティング業務を行っており、前記第1のとおりの指定役務について、平成14年12月25日に本件商標の出願をし、平成15年10月10日に商標登録がなされた(甲第1号証)。
一方、被請求人は、平成13年3月にネクステック株式会社と商号変更し(甲第12号証)、遅くても同16年9月3日以降、コンサルティング業務にイ号標章を付して行っており(甲第2号証)、両者の間で顧客に混同を招いている。
なお、本判定請求前に、請求人は、「ネクステック」の片仮名文字よりなるイ号標章は本件商標の商標権の効力の範囲に属するとの判定を求めた結果、特許庁は平成20年2月21日に「『ビジネスモデル策定コンサルティング』及び『業務改善コンサルティング』に使用するイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属する。」との判定をした(判定2007−600030)。
さらに、被請求人は、甲第3号証の商標出願(商願2004−81698)において、本件商標と同一又は類似商標である事を理由に平成17年2月24日付けで拒絶理由通知書(甲第4号証)を受け取るやその事実を明白に認め、第35類の指定役務の内容を変更する手続補正を平成17年3月28日に行っており(甲第5号証)、被請求人自身も本件商標とイ号標章とが同一又は類似であることを明白に認めている(甲第6号証)。
そこで、請求人は、本請求書をもって被請求人の使用するイ号標章が本件商標の商標権の範囲に属することを確認することを求める。
2 イ号標章が商標権の効力の範囲に属するとの説明
被請求人は、前記商願2004−81698における手続補正書と同時に第35類「経営の診断又は経営に冠する助言,市場調査,商品の販売に関する情報の提供」について、分割出願をした(商願2005−26688)が、特許庁は、この出願に係る商標も本件商標と称呼上類似の商標であり、指定役務も同一又は類似するとして拒絶査定をしている(甲第7号証)。
以上の特許庁の査定内容からして、本件商標とイ号標章とが類似であることは明白である。
また、本件商標は、「NEXTEX」の文字よりなるところ、イ号標章は、「N」の文字の左右両端を円弧状に膨らませることで、楕円形に類する形にデザインされた図形と、同図形の右側の「x」文字上部に三角形を配した「nextech」の文字よりなるものである。
したがって、楕円状の図形及び「x」の文字上部にある三角形の図形は、特異なものではないうえに、両標章は、大文字か小文字かの違いはあるものの、「NEXTE」の部分では共通にするため、外観の観点からも類似している。
そして、本件商標に係る指定役務中、第35類「法人の経営の診断及び指導,法人の設立又は廃止及び法人の提携・合併又は買収に関する助言・仲介・斡旋又は契約の代理・媒介,法人の経営管理又は事業運営の代理又は代行,事業・市場又は世論の調査およびその評価・分析,商品の販売に関する情報の提供,広告および広告の代理に関する助言」及び第42類「地域開発・産業振興・科学技術又は社会科学に関する調査・研究又はコンサルティング,工業所有権又はその他の知的財産権の利用又は売買の仲介・斡旋・コンサルティング又は契約の代理・媒介,知的財産権に関する情報の調査・解析および提供」とイ号標章の役務「コンサルティング」とは、互いに類似するものである。
以上のとおり、イ号標章は、本件商標と類似する標章であり、その指定役務も類似するから、被請求人が役務「ビジネスモデル策定コンサルティング」及び「業務改革コンサルティング」に使用するイ号標章は、本件商標の商標権の効力に属するものである。
3 答弁に対する弁駁
(1)被請求人主張の業務内容について
被請求人は、PLMを実現するためのシステム開発、導入及びそれに付随する要件定義等コンサルテーンョンを含むソリューションサービスを主たる業務として行っている旨主張している
しかし、被請求人の主張するPLMとは、「製品データを、設計開発、仕様確定、工程設計、製造、保守・サービスに至る全工程で共有し、製品開発力の強化や設計作業の効率化、在庫削減を目指す取り組み」とのことである。
したがって、上記の「全工程」という業務プロセスにおいて、製品データを「共有」するという改善手段を提供するものといえるため、PLM業務とは、業務プロセスの改善であるコンサルティング業務に他ならない。
なお、「日経プレスリリース」(乙第20号証の6枚目)における「PLM分野のコンサルティング」という記載及び「D&M online」(乙第23号証の1枚目)における「PLM(Product Lifecycle Management)のコンサルティングサービスを提供するネクステック」との記載等からしても、PLMとコンサルティング業務とは同視すべき概念であるといえる。
(2)被請求人ホームページ上の記載について
被請求人は、「乙第1号証は、被請求人のホームページのうち、被請求人のサービスを紹介した部分の抜粋」であるとしている。
しかし、乙第1号証の被請求人ホームページの抜粋は、平成20年3月18日以降において、被請求人により改変された後のホームページの抜粋であるため、被請求人の業務内容の全てが記載されているものではない。
被請求人によるホームページの改変は、同年2月21日に、特許庁において、「ビジネスモデル策定コンサルティング」及び「業務改革コンサルティング」に使用する「ネクステック」との標章は、本件商標の商標権の効力の範囲内に属するとの特許庁の判定(甲第13号証)が下されたためであると考えられる。
平成20年3月18日ころ以前のホームページにおいては、「グランドデザイン」の項目に、被請求人がコンサルティング業務を行っている旨の記載が明確に存在していた(甲第2及び17号証)。
したがって、被請求人におけるコンサルティング業務は、被請求人にとって主たる業務であると考えるのが自然である。
(3)新聞、雑誌等における記載について
第三者が発行する新聞、雑誌等において、被請求人に関し、「コンサルティング業務を行っている」、「コンサルティング会社である」及び「コンサルティングで実績を持つ」等の紹介がされている(乙第9、20、23、25、27、35号証)。
なお、被請求人作成の書籍、雑誌等においても、被請求人がコンサルティング業務を行っている旨の記載が多数存在し、例えば、「Big Tomorrow 2007年1月号59頁」(乙第35号証)においては、「ネクステックの基幹業務はコンサルティングである。」旨の記載が存在する。
以上からすれば、一般に、被請求人は、コンサルティングを主たる業務として行っていると認識されているだけではなく、被請求人においても、被請求人の主たる業務はコンサルティング業務であることを自認して、事業展開をしているものというべきである。
(4)以上より、被請求人の主たる業務はコンサルティングサービスの提供であり、それを被請求人自身も自認していたことは明らかである。
(5)役務の類似性について
ア 上記第1で述べたように、被請求人の主たる業務はコンサルティングサービスの提供である以上、本件商標の指定役務と被請求人が提供する役務は類似することが明らかである。
イ 被請求人は、「甲2号証中の『コンサルティング』は、システム開発、導入に付随する要件定義等コンサルテーンョンを指すものであって、被請求人登録商標(乙第2号証)の指定役務のうち、第42類『電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明』に該当するものである。」と主張している。
しかし、甲第2号証では、「ビジネスモデル策定コンサルティング」の内容として「市場環境調査 市場分析、将来像策定、組織体制再構築」との説明がなされており、また、「業務改革コンサルティング」の内容として、「市場環境調査現状分析・評価、将来像策定、改革ポートフォリオ作成、クイックウィンズ(短期的打ち手実行)、実行計画策定」との説明がなされているが、このような内容を有するコンサルティングがシステム開発、導入に付随する要件定義等コンサルテーンョンを指すものとはいえない上に、被請求人登録商標(乙第2号証)の指定役務第42類にも該当しないことは明らかである。
なお、甲第2号証に記載されたコンサルティングについては、平成20年2月21日付け判定2007−600030においても、「本件商標の指定役務『法人の経営の診断及び指導,法人の設立又は廃止及び法人の提携・合併又は買収に関する助言・イ中介・斡旋又は契約の代理・媒介,法人の経営管理又は事業運営の代理又は代行,事業・市場又は世論の調査およびその評価・分析』とイ号標章の役務『ビジネスモデル策定コンサルティング』及び『業務改革コンサルティング』は、いずれも、企業の運営若しくは管理に関する援助を目的とし、かつ、事業・市場分析等を含むことも明らかであることからすれば、互いに類似する役務とみるのが相当である。」と判断されている。
(6)本件商標とイ号標章との類似性について
ア 請求人の業務について
請求人は、新技術及び新事業(ビジネスモデル)にかかる企業間提携の仲介、斡旋及び新事業立ち上げ支援を主とする事業系コンサルティング業務を行っている。
そして、請求人の従業員の数は多いとはいえないが、上記業務の遂行にあたり、技術士等外部コンサルタント、弁護士、弁理士及び会計事務所等と連携が必要となるため、請求人の業務は、請求人の従業員のみで遂行しているわけではない。
このような請求人の業務における顧客は、東証一部上場企業、中小ベンチャー企業、大学、公的企業支援機関、金融機関及びベンチャーキャピタル等である。
また、上記業務の性質上、顧客の知的財産権、ビジネスモデル及び新規製品にかかる提携・採用の打診先としては、一部上場の大企業であることが多く、請求人の仲介、斡旋者としての信用が重要な事業基盤となっている。
イ 役務の出所の混同
被請求人は、主たる業務としてコンサルティング業務を行っているところ、請求人の主たる業務もコンサルティング業務である。
また、被請求人によれば、被請求人の顧客は大手製造業者であるとのことであるが、請求人の顧客等に東証一部上場企業が存在する。
したがって、請求人の顧客等が請求人と被請求人の役務の出所を混同する恐れが認められることは明らかである。
ウ 外観、称呼、観念について
平成20年3月31日付け判定請求書記載のとおり、外観、称呼、観念から判断して、本件商標とイ号標章が類似する。
被請求人が行った分割出願に対する拒絶査定(甲第7号証)においても、本件商標とイ号標章が類似する旨の判断がなされている。
第4 被請求人の答弁の要点
被請求人は、役務について使用するイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属しない旨の判定を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし第43号証(枝番を含む。)を提出した。
1 役務の非類似について
被請求人は、専ら製造業向けに、PLM(Product Lifecycle Management:製品ライフサイクル管理)(以下、「PLM」という。)を実現するためのシステム開発、導入及びそれに付随する要件定義等コンサルテーションを含むソリューションサービスを主たる業務として行っている会社である(乙第1号証)。
PLMの最終目的は、コンピューターシステムの構築であり、設計図や部品表といった製品データを、設計開発、仕様確定、工程設計、製造、保守・サービスに至る全工程で共有するものであるから、PLMを実現することは、言い換えると、PLMを実現するためのシステムの開発、整備であるということができる。
甲第2号証の1枚目の記載は、平成19年9月18日の被請求人ホームページのリニューアルにより、削除されているものであるが、このような被請求人のシステム開発、導入及びそれに付随する要件定義等コンサルテーションを含むソリューションサービスを紹介したものに他ならない。
この甲第2号証中の「コンサルティング」は、システム開発、導入に付随する要件定義等コンサルテーションを指すものであって、被請求人登録商標(乙第2号証)の指定役務のうち、第42類「電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明」に該当するものである。
また、被請求人は、被請求人が独自開発したPLMの為のパッケージシステムソフトウェアであるSpeedPLMwareの開発・販売を行っている。
被請求人は、イ号標章について、商標登録第4866417号を有しており、被請求人の提供する商品・役務は、その指定商品又は指定役務、第9類「電子応用機械器具及びその部品,電子出版物」並びに、第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供」に該当するもので、正当かつ適法に業務を行っているものであり、本件商標の指定役務に属するものではなく、また、これに類似するものでもない。
2 本件商標とイ号標章の類否
(1)外観
本件商標は、「NEXTEX」のアルファベット大文字よりなる商標である。
他方、イ号標章は、全体として「nextech」のアルファベットの小文字と、「N」の文字の左右の縦線を弧形とした2個のデザイン文字を重ね合わせたロゴマークよりなるものであり、「nextech」のアルファベットのうちの「x」の文字について、上側の窪形部に「▼」の図形を埋め込んだデザインが施されているものである。
よって、本件商標とイ号標章とは、外観において相違する。
(2)称呼
本件商標は、「NEXT」に「EX」を足したもの、あるいは、「NEX」と「TEX」を組み合わせたものと見られるから、「ネクストイーエックス」又は「ネクステクス」若しくは「ネックステックス」の称呼を生じる。
他方、イ号標章は、「ネクステック」のみの称呼を生じる。
よって、本件商標とイ号標章とは、称呼において相違する。
(3)観念
本件商標は特定の観念を生じさせるものではなく、他方、イ号標章は、「ネクスト」と「テクノロジー」の二語を結合して短縮させたものであり、「次世代技術」の観念を生じさせる。
よって、本件商標とイ号標章とは、観念において相違する。
(4)取引の実情
ア 請求人の業務の具体的内容は、地方のベンチャーの起業支援、環境・エネルギー技術等特定の技術の実用化にかかわる調査、研究等、更には、知的財産に関する法人の経営診断及び指導であると思われるのに対し、被請求人の業務は、PLMを実現するためのシステム開発、導入、それに付随する要件定義等コンサルテーションを含むソリューションサービスであり、その中核となるのはPLMを実現するためのシステム開発である。
したがって、請求人と被請求人とでは、提供しているサービスの分野が全く異なっている。
イ 請求人の顧客は主として、ベンチャー企業、特定の科学技術の実用化研究等に関係する財団法人、社団法人、企業等であると考えられる。
これに対し、被請求人の顧客は、専ら製造業者であり、そのほとんどは東証一部上場又は年間売上高5,000億円以上の大企業である(乙第38号証)。
このように、請求人と被請求人とでは、顧客層が全く異なり、市場において競業することは、およそ考えられない。
ウ 被請求人が、自社主催を含む、専ら製造業者を対象としたPLMに関するセミナーを通じて顧客を獲得していること(乙第37号証)、請求人と被請求人の商号がそれぞれ異なるものであること、被請求人が自己の提供する商品・役務について登録商標を取得し、これを用いて業務を行っていること、請求人と被請求人との間に知名度や資本金の額、売上高、活動規模、従業員数等(乙第6ないし36号証)において大きな差があることなどからすれば、需要者の側において、請求人と被請求人とを誤認混同するということは、およそ考えられない。
(5)まとめ
以上に述べた、外観、観念、称呼上の差異に加え、取引の実情を考え合わせると、被請求人がイ号標章を使用したとしても、何ら商品・役務の出所を誤認混同するおそれが認められない。
したがって、本件商標とイ号標章とは、非類似である。
3 結語
以上のとおり、イ号標章は本件商標にかかる商標権の効力の範囲に属しない。
第5 当審の判断
本件判定は、甲第2号証におけるイ号標章が請求人の所有に係る本件商標の商標権の効力の範囲に属するものか否かについての判定を求めるものである。
1 本件商標とイ号標章との類似性について
本件商標は、「NEXTEX」の欧文字を同じ書体、同じ大きさ、等間隔で視覚上まとまりよく一体的に表してなるところ、該文字は、特定の意味合いを有しない造語と認められるものであるから、該文字に相応して英語読み風の「ネクステックス」の称呼を生ずるものである。
他方、イ号標章は、欧文字「N」をモチーフにした左右両側を弧状に表してなる図形とその右側に「nextech」の欧文字を横書きし、該「x」の文字の上部の窪みに黒色の逆三角形を配した構成よりなるところ、該図形部分と該文字部分とは、これらが常に一体不可分に看取されるとみるべき格別の事情も見出せないものであるから、該文字部分も独立して自他役務の出所識別標識としての機能を果たすとみるのが相当である。
しかして、該「nextech」の欧文字も、特定の意味合いを有しない造語と認められるものであるから、該文字に相応して英語読み風の「ネクステック」の称呼を生ずるものである。
そこで、本件商標から生ずる「ネクステックス」の称呼と、イ号標章から生ずる「ネクステック」の称呼を比較すると、両者は、語頭から続く6音目までの「ネクステック」の音を共通にし、語尾における「ス」の音の有無に差異を有するにすぎないものであり、該差異音は、それ自体響きの弱い無声摩擦音であるばかりか、比較的聴取され難い語尾に位置することも相俟って、該差異音が称呼全体に及ぼす影響は決して大きいものとはいえず、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは、全体としての語調、語感が近似し、互いに相紛れるおそれがあるといわざるを得ないものである。
さらに、本件商標とイ号標章とは、ともに既成の親しまれた観念を有するものとは認められない造語よりなる商標であることから、観念においては比較することはできないとしても、外観についてみると、イ号標章の文字部分において、「x」の文字の上部の窪みに配された逆三角形が小さく該「x」の文字とまとまりよく一体的に表されており、これが看者の記憶、印象に強く残るものとはいうことができないものであって、本件商標とイ号標章の文字部分は、前者が大文字、後者が小文字の差異を有するものの、いずれも文字を普通に用いられる態様で表してなるにすぎないというのが相当であるから、両者は類似するといえないまでも、時と所を異にした場合にあっては、その差異が明確に印象に残るともいえないものである。
してみれば、本件商標とイ号標章は、外観において差異を有するとしても、その差異が称呼における類似性を凌駕するほどのものとはいえないから、全体として称呼上相紛れるおそれのある類似の商標といわなければならない。
次に、請求人の提出した甲第2号証は、イ号標章が表示された被請求人のインターネットホームページの写しと認められるところ、その「サービス&ソリューション」のウェブページの「■サービスライン」の項目には、「ネクステックが提供する3つのプロフェッショナルサービス」の見出しの下、「・・・ネクステックは、PLMに関連する全てのサービスを提供しています。」及び「PLMプロジェクトに実績の高いネクステックのプロフェッショナルサービスは、製造業の業務改革を正しく確実にスピーディに成功に導きます。」と記載され、その次の「グランドデザインコンサルティング」の項目の下の四角枠内には、「ビジネスモデル策定コンサルティング」の下に「■市場環境調査 市場分析、■将来像策定、■組織体制再構築」、「業務改革コンサルティング」の下に「■市場環境調査現状分析・評価、■将来像策定、■改革ポートフォリオ作成、■クイックウインズ(短期的打ち手実行、■実行計画策定」とそれぞれ記載されており、これらは、被請求人の役務の内容を紹介しているものとみるのが自然であるから、該「ビジネスモデル策定コンサルティング」及び「業務改革コンサルティング」と本件商標の指定役務中、第35類「法人の経営の診断及び指導,法人の設立又は廃止及び法人の提携・合併又は買収に関する助言・仲介・斡旋又は契約の代理・媒介,法人の経営管理又は事業運営の代理又は代行,事業・市場又は世論の調査およびその評価・分析」とは、いずれも、企業・事業の運営若しくは管理に関する援助を目的とし、かつ、事業・市場分析等を含むといい得るものであることからすれば、両者は互いに類似する役務というのが相当である。
したがって、イ号標章は本件商標と類似の商標であって、本件商標の指定役務と同一又は類似の役務について使用するものである。
2 被請求人の役務と本件商標の指定役務について
被請求人は、「甲第2号証中のコンサルティングは、システム開発、導入に付随する要件定義等コンサルテーションを指すものであって、被請求人の登録第4866417号商標の指定役務に含まれるものであって、本件商標の指定役務とは同一又は類似する役務ではない。」旨主張している。
しかしながら、甲第2号証に記載された「ビジネスモデル策定コンサルティング」及び「業務改革コンサルティング」は、前記したとおり、企業又は事業の管理に関する援助を目的とするものであり、かつ、本件商標の指定役務に含まれるものというのが相当であるから、被請求人の主張は採用できない。
3 取引の実情等について
被請求人は、「本件商標とイ号標章は、外観、観念が相違し、本件商標は、「NEXT」に「EX」を足したもの、或いは、「NEX」と「TEX」を組み合わせたものとみられ、これより「ネクストイーエックス」、「ネクステクス」又は「ネックステックス」の称呼を生じるから称呼上も相違する。加えて、被請求人は、製造業者向けのコンサルティング会社として周知・著名であり、その顧客層も東証一部上場又は年間売上高5,000億円以上の大手製造業が中心であって、請求人と被請求人とでは顧客層が全く異なるという取引の実情からみても、本件商標とイ号標章は誤認混同するおそれはない。」旨主張している。
しかしながら、被請求人は、本件商標が「NEXT」と「EX」、或いは、「NEX」と「TEX」を組み合わせたものとの主張を裏付ける証拠を提出していないものであり、前記したように本件商標は「ネクステックス」の称呼を生じるとみるのが相当であるから、かかる被請求人の主張は独自解釈であって採用することはできない。
また、仮に、請求人と被請求人の顧客層が異なるものであったとしても、甲第2号証のホームページは、不特定多数の者に向けて開示されているものであって、本件商標とイ号標章とが出所について混同を生ずるおそれがないとはいい得ないものであり、さらに、被請求人がコンサルティング会社として周知・著名であるとして提出した乙第8ないし35号証をみるに、これらには被請求人の略称である「ネクステック」の文字が認められるものであるが、イ号標章が記載された証左は、乙第12、28ないし30、33ないし35号証のみであり、その内の乙第12号証を除いては、被請求人を紹介した記事を引用して被請求人が作成したパンフレット類と認められ、その表紙又は裏表紙等にイ号標章が表示されているとしても、これらの配布時期、部数、期間等は不明であるから、かかる顧客層の相違及び被請求人の周知・著名性に関する被請求人の主張のいずれも採用することができない。
3 まとめ
以上のとおりであるから、被請求人が「ビジネスモデル策定コンサルティング」及び「業務改革コンサルティング」に使用するイ号標章は、本件商標に係る商標権の効力の範囲に属するものとすべきである。
よって、結論のとおり判定する。
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