結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2007−890001(T2007−890001/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4725872号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成14年12月10日に登録出願、第7類「金属二次加工機械器具,包装用機械器具,プラスチック加工機械器具,半導体製造装置」、第9類「測定機械器具,電子応用機械器具及びその部品」、第37類「半導体製造装置の修理又は保守」及び第40類「受託によるプラスチック加工,受託による金属のプレス加工およびメッキ加工,受託によるプラスチック部品と金属部品の組立加工」を指定商品及び指定役務として同15年11月14日に設定登録されたものである。
請求人が引用する登録第175840号商標(以下「引用商標1」という。)は、「SEIKO」の文字を横書きしてなり、大正14年1月19日に登録出願、第21類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同年12月2日に設定登録され、その後、6回に亘り商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、平成18年4月12日に、第14類「時計」を指定商品とする書換登録がされたものであり、当該商標権は現に有効に存続するものである。
同じく、登録第1946045号商標(以下「引用商標2」という。)は、「SEIKO」の文字を横書きしてなり、昭和59年3月2日に登録出願、第9類「産業機械器具(ミシンを除く)動力機械器具(電動機を除く)風水力機械器具、事務用機械器具(電子応用機械器具に属するものを除く)その他の機械器具で他の類に属しないもの、これらの部品および附属品(他の類に属するものを除く)機械要素」を指定商品として同62年4月30日に設定登録され、その後、2回に亘り商標権の存続期間の更新登録がされたものであり、当該商標権は現に有効に存続するものである。
同じく、登録第1784258号商標(以下「引用商標3」という。)は、「SEIKO」の文字を横書きしてなり、昭和57年7月30日に登録出願、第10類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同60年6月25日に設定登録され、その後、2回に亘り商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、平成18年1月18日に、第1類「写真材料」、第5類「医療用腕環」、第9類「理化学機械器具,光学機械器具,写真機械器具,映画機械器具,測定機械器具」、第10類「医療用機械器具」及び第12類「車いす」を指定商品とする書換登録がされたものであり、当該商標権は現に有効に存続するものである。
同じく、登録第1836401号商標(以下「引用商標4」という。)は、「SEIKO」の文字を横書きしてなり、昭和57年7月2日に登録出願、第11類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同61年1月24日に設定登録され、その後、2回に亘り商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、平成18年4月19日に、第7類「起動器,交流電動機及び直流電動機(陸上の乗物用の交流電動機及び直流電動機(その部品を除く。)を除く。),交流発電機,直流発電機,家庭用食器洗浄機,家庭用電気式ワックス磨き機,家庭用電気洗濯機,家庭用電気掃除機,電気ミキサー,電機ブラシ」、第8類「電気かみそり及び電気バリカン」、第9類「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,磁心,抵抗線,電極」、第10類「家庭用電気マッサージ器」、第11類「電球類及び照明用器具,家庭用電熱用品類」、第12類「陸上の乗物用の交流電動機又は直流電動機(その部品を除く。)」、第17類「電気絶縁材料」及び第21類「電気式歯ブラシ」を指定商品とする書換登録がされたものであり、当該商標権は現に有効に存続するものである。
同じく、登録第3009405号商標(以下「引用商標5」という。)は、「SEIKO」の文字を横書きしてなり、平成4年8月14日に登録出願、第40類「電気めっき,フライス削り,焼きなまし,焼戻し,溶融めっき,眼鏡レンズの加工,宝飾品の加工」を指定役務として同6年11月30日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録がされたものであり、当該商標権は現に有効に存続するものである。
同じく、登録第3098504号商標(以下「引用商標6」という。)は、「SEIKO」の文字を横書きしてなり、平成4年9月30日に登録出願、第37類「時計の修理又は保守」を指定役務として同7年11月30日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録がされたものであり、当該商標権は現に有効に存続するものである。
以下、これらを一括するときは「引用商標」という。
請求人は、本件商標の登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1ないし第33号証(枝番を含む。)を提出している。
2で述べるとおり、本件商標がその指定商品及び指定役務に使用された場合、請求人が商品「時計、ゴルフクラブ、シェーバー、眼鏡、宝飾品、計測器、液晶テレビ、電子辞書、携帯情報端末、コンピュータ、その周辺機器、CAE/CAD/CAMシステム、電子部品、分析・計測機器、プリンター、半導体・液晶表示」及び「電気めっき、フライス削り、焼きなまし、焼戻し、溶接めっき、眼鏡レンズの加工、宝飾品の加工、時計の修理又は保守、ラジオ受信機又はテレビジョン受信機の修理、電気かみそりの修理又は保守、電気式歯ブラシの修理又は保守」等について使用する商標「SEIKO」に化体した業務上の信用が侵されることは明らかであるから、請求人は本件審判を請求することについて利害関係を有するものである。
本件商標の構成中の「SEIKO」の文字は、請求人会社及び請求人のグループ会社の取扱いに係る商品あるいは取扱いに係る役務の提供あるいは請求人会社の商号の略称を表示するものである。
(1)引用商標の著名性について
(ア)請求人は、1881年(明治14年)創業、1892年(明治25年)に時計製造工場として「精工舎」を設立し、時計類の研究・開発に努め、柱時計の製造・販売を始める。1895年(明治28年)に懐中時計を製造し時計類の販売業務を開始し、初めて時計の輸出を行い、それ以降、目覚まし時計、置時計、オルゴール時計等を製造・販売し、1913年(大正2年)に国産初の腕時計の製造を始めたのである。
1917年(大正6年)に初代「精工舎」を会社組織に改め、「(株)服部時計店」とした後、1924年(大正13年)に製造・販売に係る時計類の名称に「SEIKO」「セイコー」の商標を使用開始後に、「SEIKO」を商標登録出願し、1925年(大正14年)12月2日に設定登録を受け、登録商標の下に各種時計の製造・販売を行うとともに、その後は、各種の商品・役務の分野に、商標登録出願をし、設定登録を受け、各登録商標のの下で、「眼鏡、電気シェーバー、宝飾品、ゴルフクラブ、プリンタ、コピー機器、計測器、電子辞書、情報関連機器、スポーツ・レジャー用品、音響機器」などの商品の販売・販売に関連する事業及び「時計の修理又は保守、時計部品に係るメッキ加工、眼鏡レンズの加工、宝飾品の加工」などの修理、保守、加工、不動産業などの役務に関連する事業等を今日まで行っているものである(甲第2の1,2〜第7号証の1,2)。
1895年(明治28年)に「精工舎(現セイコー株式会社)」を設立して、製品の販売業務、輸出業務を開始して以来、その販売網は国内を始め世界100カ国以上に及び、商標として永年に亘るテレビ、新聞、雑誌等の広告、宣伝及びオリンピック大会その他の主な国際競技大会(陸上競技・水泳競技)の公式時計やセイコースーパーテニスの開催等の結果、日本のみならず世界の各国の取引者・需要者間において周知・著名となっているものである。
請求人会社は、1949年(昭和24年)に、東京証券取引所に上場し、「時計」をはじめとする自己の事業に関連する分野に進出して、多角経営やライセンス事業を行い、「時計類」などの商品については、国内を始め世界100カ国以上に及ぶ販売網をもち、また、そのグループ会社で製造された、「眼鏡、電気シェーバー、宝飾品、ゴルフクラブ、プリンタ、コピー機器、計測器、電子辞書、情報関連機器、スポーツ・レジャー用品、音響機器」などの商品の販売に関連する事業及び「時計の修理又は保守、時計部品に係るメッキ加工、眼鏡レンズの加工、宝飾品の加工」などの修理、保守、加工、不動産業などの役務に関連する事業等を行っているものである(甲第8号証)。
本件商標(指定商品・指定役務)の登録出願日前に、第9類、第10類、第11類の指定商品に、第37類、第40類の指定役務に、登録商標を出願し、設定登録を受け、登録商標「SEIKO」を所有しているものである(甲第3〜第7号証)。
(イ)(i)上記、引用商標1は、商品・役務の全分野において防護標章として登録されている。
(ii)日本著名商標集に、「国の内外にわたってよく知られている。」と、引用商標1が掲載されている(甲第10号証)。
(iii)日本有名商標録に、「〜、明治25年に、服部金太郎氏によって時計製造工場精工舎が設立され、7月には初の柱時計が生まれた。その後、しだいに事業を拡張し、現在では、国内はもちろん海外市場にも広く進出している。上掲の商標は、精工舎の精工のローマ字綴りであるが、精巧な時計の意味も加味され、世界に広く知られているこの社の代表商標であり、世界各国に登録された商標である。」と引用商標1が掲載されている(甲第11号証)。
(iv)日本経済新聞社が有力百社を対象に、商品の魅力、開発力、信用度などの集大成である企業ブランドのパワーを比較する「企業ブランドスコア・ランキング」を実施した「企業ブランドランキング」に、「SEIKO」が掲載されている(甲第12号証)。
(v)商標懇(季刊NO.57)に、審査資料として、上記社が発行した、平成10年10月13日発行の日経産業新聞に掲載された「企業ブランドランキング」が紹介されている。
(ウ)(i)最高裁平成3年(行ツ)第103号の判決において「〜『SEIKO』の部分は、わが国における著名な時計等の製造販売業者である株式会社服部セイコーの取扱商品ないし商号の略称を表示するものであることは原審の適法に確定するところである。」と記述され、最高裁判所において著名性を認めている(甲第14号証)。
(ii)特許庁の審決・異議申立の決定等においても、「SEIKO」の著名性は認めている。例えば、甲第15号証の「審決 昭和60年審判第4684号」によれば、「〜『SEIKO』文字部分は、我が国において著名な時計等の製造販売業者である請求人会社の取扱いに係る商品あるいは商号の略称を表示するものとして、一般に広く認識されているものと認め得るところである。」と認定されているのである。
甲第16号証の「異議の決定 異議2003−90377」によれば、「〜本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、その構成中の『SEIKO』の文字部分に着目して、周知著名となっている引用商標を連想、想起し、該商品が申立人又は同人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同するおそれがあるというのが相当である。」として、「〜『第3』の取消理由は妥当なものと認められるので、本件登録商標は、商標法43条の3第2項の規定より取り消すべきものである。」と判断されているのである。
他の審決例「審決 昭和59年審判第4415号」をみても、「『SEIKO』の文字は、請求人会社の商号の略称として及び同社の取扱いに係る商品全般に亘って使用する代表的出所標識(ハウスマーク)として、これまた世人一般に知られているものであることは当庁においても顕著な事実である。」とまで記述されているのである。
(iii)東京地裁(平成16年(ワ)第8391号)において、「原告(セイコー株式会社)の売上高、世界選手権等協賛が認められ、これらの事実によれば、原告商号及び本件商標は、日本全国において、原告の営業又は商品を表示するものとして、少なくとも需要者の間に広く認識されているものと認められる。として、商号の使用の差止めと商号登記の抹消を命じられた事例」も存在するものである。
上記、(イ)(ウ)によれば、「SEIKO」の文字は、請求人会社及び請求人のグループ会社の取扱いに係る商品あるいは提供に係る役務を表示する代表的出所標識として、あるいは、請求人会社の商号の略称を表示するものとして、周知著名なことを明確に示したものである。
すなはち、(ア)(イ)(ウ)で述べてきたように、「SEIKO」の文字は、請求人会社の商号の略称として、請求人会社及び請求人のグループ会社の取扱いに係る商品・提供に係る役務全般に亘って統一的に使用されている「ハウスマーク」であり、本件商標の登録出願日前には、周知著名性を獲得していることは明らかである。
(2)商標法第4条第1項第8号について
本件商標の構成は、前記(甲第1号証)のとおりであるところ、「DAI−ICHI」と「SEIKO」との間には間隔があり、構成上、分離して見られるばかりでなく、観念上においても、一体不可分の結合関係を見出し難いものであるから、該商標は、これを一連にのみ称呼、観念しなければならない格別の事情は存しない。
しかして、上記(1)で述べたように、本件商標の登録出願された時点において、すでに「SEIKO」の商標は、取引者、需要者は勿論のこと、一般世人の間にも、請求人会社及び請求人のグループ会社が製造・販売する商品・提供する役務に使用する商標として、また、請求人会社の名称を表わすものとして広く知られるに至っていることは明らかである。
してみれば、本件商標中の「SEIKO」の文字は、請求人会社の略称である「SEIKO」と綴字を同一にするものであるから、本件商標は、他人の名称の著名な略称を含んでなる商標であるにもかかわらず、本件商標を出願することについて、請求人が被請求人に承諾を与えていないこと明らかである。
判決において、「著名な略称」に該当するか否かを判断するについては、「常に、問題とされた商標の指定商品又は指定役務の需要者のみを基準とすることは相当でなく、その略称が本人を指し示すものとして一般に受け入れられているか否かを基準として判断されるべきものということができる。」とした上で、「他人の肖像又は他人の氏名、名称、著名な略称等を含む商標は、その他人の承諾を得ているものを除き、商標登録を受けることができない」と記載されている(甲第17号証)。
審決においても、「著名な略称を含む商標」と判断された審決例(甲第18ないし第21号証)がある。
このような、判決・審決例からも明らかなように、本件商標中には、請求人会社の著名な略称の「SEIKO」の商標を含むこと明らかであり、かつ、被請求人に承諾を与えていないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第15号について
本件商標が請求人の業務に係る商品・役務と混同を生ずるおそれがあることについて
本件商標の構成は、前記のとおりであるところ、「DAI−ICHI」と「SEIKO」との間には間隔があり、構成上、分離して見られるばかりでなく、観念上においても、一体不可分の結合関係を見出し難いものであるから、該商標は、これを一連にのみ称呼、観念しなければならない格別の事情は存しない。
しかして、上記(1)で述べたように、本件商標の登録出願された時点において、すでに「SEIKO」の商標は、取引者、需要者は勿論のこと、一般世人の間にも、請求人会社及び請求人のグループ会社が製造・販売する商品・提供する役務に使用する商標として、また、請求人会社の名称を表わすものとして広く知られるに至っていることは明らかである。
そうとすれば、本件商標の指定商品・指定役務の分野において、請求人のハウスマークとして、また、請求人及び請求人のグループ会社の業務に係る商品・提供する役務を示す商標として、本件商標の出願時には、著名であったことからすれば、本件商標に接する者は、構成中の「SEIKO」の文字に惹きつけられ、「SEIKO」の文字部分に着目して、請求人の「SEIKO」のハウスマークあるいは引用商標を連想するのが自然である。本件商標をその指定商品・指定役務に使用すれば、その商品・役務が請求人又は請求人と組織的・経済的に密接な関係がある者の業務に係る商品・役務であるかのように、その出所について混同を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。
審査基準十三、第4条第1項第15号の5.「他人の著名な商標と他の文字又は図形等と結合した場合は、その外観構成がまとまりよく一体に表されているもの又は観念上の繋がりがあるものなどを含め、原則として、商品又は役務の出所の混同を生じさせるおそれがあるものとして推認して、取り扱うものとする。」との基準は、周知・著名商標の保護等に関するものであって、実務例として判決、審決、異議決定等においても見ることができる(甲第22〜甲第33号証)。
これらの、判決・審決からも、審査基準により著名のある商標が保護されている事実が示されたことが窺えるものである。
請求人の主張の正しさも立証し得たものと思料する
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第11号について
本件商標の構成は、前記のとおりであるところ、「DAI−ICHI」と「SEIKO」との間には間隔があり、構成上、分離して見られるばかりでなく、観念上においても、一体不可分の結合関係を見出し難いものであるから、該商標は、これを一連にのみ称呼、観念しなければならない格別の事情は存しない。
しかして、上記(1)で述べたように、本件商標の登録出願された時点において、すでに「SEIKO」の商標は、取引者、需要者は勿論のこと、一般世人の間にも、請求人会社及び請求人のグループ会社が製造・販売する商品・提供する役務に使用する商標として、また、請求人会社の名称を表わすものとして広く知られるに至っていることは明らかである。ことは先にも述べたとおりである。
本件商標が登録出願された平成14年12月10日当時には、周知・著名であったことからすれば、本件商標に接する者は、構成中の「SEIKO」の語に注意を引き付けられ、この「SEIKO」の文字部分に着目して、請求人の「SEIKO」のハウスマークあるいは引用商標を連想するものである。また、裁判所の判断においても明らかにされた、「一般に、著名登録商標を一部に含む商標において、『登録商標の著名度が高い場合には、その著名度の高い部分に世人の注意が集中し当該著名登録商標の称呼、観念が生ずる』(例えば、昭和39年(ワ)第12182号判決参照)。」ことからするば、「SEIKO」の文字部分から、「セイコー」の称呼のみをもって取引に資される場合も少なくないものである。
そうとすれば、本件商標構成中の「SEIKO」の文字より、「セイコー」の称呼をも生ずるものであるから、引用商標の「SEIKO」の文字より生ずる「セイコー」の称呼とは、「セイコー」の称呼を共通にする類似の商標である。
そこで、本件商標の指定商品・指定役務と引用商標の指定商品・指定役務をみるに、本件商標の第7類の指定商品と、引用商標2(甲第3号証)の第9類(登録書換前)の指定商品とは、同一又は類似の商品である。
第9類の指定商品と、引用商標3(甲第4号証)の第9類の指定商品、引用商標4(甲第5号証)の指定商品中の「電子応用機械器具及びその部品」とは、同一又は類似の商品である。
第40類の指定役務と、引用商標5(甲第6号証)の指定役務とは、同一又は類似の役務である。
(5)むすび
(ア)商標法第4条第1項第8号について
本件商標「DAI−ICHI SEIKO」が請求人会社の著名な略称「SEIKO」を含む商標であり、かつ、請求人が被請求人に承諾を与えていないことあきらかであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に違反してなされたものであるから、取消されるべきである。
(イ)商標法第4条第1項第15号について
本件商標が、その指定商品・指定役務に使用された場合、その商品・役務の取引者、需要者が請求人及び請求人のグループ会社の業務に係る商品・役務と出所について混同するおそれがある。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反してなされたものであるから、取消されるべきである。
(ウ)商標法第4条第1項第11号について
本件商標と引用商標とは、「セイコー」の称呼を共通にする類似の商標であり、また、その指定商品・指定役務と引用商標の指定商品・指定役務とは同一又は類似のもである。したがって、本件商標の登録は商標法第4条第1項第11号に違反してなされたものであるから、取消されるべきである。
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1ないし第17号証(枝番を含む。)を提出している。
請求人の主張は、これを要するに以下のとおりである。
(1)商標法第4条第1項第8号について
本件商標が請求人会社の著名な略称「SEIKO」を含む商標であり、かつ、請求人が被請求人に承諾を与えていないことが明らかであるから、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第8号の規定に違反してなされたものである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
本件商標が、その指定商品・指定役務に使用された場合、その商品・役務の取引者、需要者が請求人及び請求人のグループ会社の業務に係る商品・役務と出所について混同するおそれがある。したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反してなされたものである。
(3)商標法第4条第1項第11号について
本件商標と、引用商標とは、「セイコー」の称呼を共通にする類似の商標であり、また、その指定商品・指定役務と引用商標の指定商品・指定役務とは同一又は類似のものである。したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してなされたものである。
(1)被請求人の反論の要旨
本件商標は、「DAI−ICHI SEIKO」の文字を、横一行に書してなる商標である。
請求人は、「SEIKO」の文字が請求人の代表的出所標識として、あるいは、請求人の商号の略称を表示するものとして、周知著名であること、および本件商標が、その構成中に、「SEIKO」の文字を含むことに基づいて、本件商標の登録が、商標法第4条第1項第8号、同項第11号および同項第15号に違反してなされたものである旨主張する。
しかしながら、本件商標は、構成全体が常に一体不可分に認識されるものである。また、本件商標の構成中「SEIKO」の文字は、業種業態を示す「精工」を意味するローマ字表記であることを単に想起させるに止まり、請求人の略称または請求人もしくはそのグループ会社の出所を直ちに想起させることはない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号、同項第11号および同項第15号のいずれにも該当するものではなく、本件商標の登録は、これらの規定に違反してなされたものではない。
具体的には、以下のとおりである。
(2)被請求人による本件商標採択の由来について
被請求人は、主として、精密金型、半導体封止装置等の半導体製造装置、電子部品、自動車部品などを取り扱う製造業者である。
被請求人は、昭和38年(1963年)に設立され、「第一精工株式会社」を商号とし、同商号の英文表記として、「DAI−ICHI SEIKO CO.,LTD.」を使用している。
乙第1号証は、被請求人の定款を示す。同定款第1条において、商号の英文表記を「DAI−ICHI SEIKO CO.,LTD.」とする旨が規定されている。
乙第2号証は、被請求人の会社案内パンフレットを示す。同パンフレットの写真中の看板には、「DAI−ICHI SEIKO CO.,LTD.」と表示されている。
乙第3号証は、被請求人のウェブサイトを示す。「会社概要」のページには、商号の英文表記として、「DAI−ICHI SEIKO CO.,LTD.」と記載されている。
乙第4号証の1〜7は、新聞または雑誌に掲載された被請求人の広告記事である。各広告記事において、「第一精工株式会社」の文字に、「DAI−ICHI SEIKO CO.,LTD.」の文字が併記されている。
乙第5号証の1〜4は、被請求人の発行したカタログである。各カタログにおいて、被請求人の英文表記「DAI−ICHI SEIKO CO.,LTD.」が記載されている。
乙第6号証は、雑誌「プラスチック・ワールド」(1970年12月号)の抜粋である。同雑誌において、被請求人は採り上げられ、その文中において、被請求人は、「Dai−Ichi Seiko Co.,Ltd.」または「Dai−Ichi Seiko」の名称で紹介されている。同雑誌には、被請求人の広告が掲載されており、同広告においても、「DAI−ICHI SEIKO CO.,LTD」と表記されている。なお、乙第7号証は、被請求人が乙第5号証の雑誌に掲載されたことを紹介する、被請求人によって発行されたパンフレットである。
乙第8号証は、昭和56年12月1日付で発行された雑誌「半導体百科」の抜粋である。同雑誌において、昭和56年度に開催された展示会「セミコンジャパン1981」に出展した企業の名簿が掲載されている。同名簿の被請求人の欄には、企業名の英文表記として、「DAI−ICHI SEIKO CO.,LTD.」と記載されている。
乙第1〜第8号証に示すとおり、被請求人は、商号「第ー精工株式会社」の英文表記として、「DAI−ICHI SEIKO CO.,LTD.」を、長年に亘って使用している。
これらの事実から、本件商標は、被請求人の商号「第一精工株式会社」の英文表記「DAI−ICHI SEIKO CO.,LTD.」から、会社種別である「CO.,LTD.」を省略した、被請求人固有の略称「DAI−ICHI SEIKO」に由来して採択された商標であることが判る。
すなわち、本件商標は、請求人またはそのグループ会社に依拠して採択されたものではなく、長年に亘って使用されてきた被請求人固有の英文表記に基づいて、商標として採択されたにすぎない。被請求人は、本件商標を通して、被請求人固有の略称である「DAI−ICHI SEIKO」について、商標の構成全体として、商標法の保護を求めるものである。
(3)「SEIKO」の文字を一部に含む商号・商標の採択の実情について
被請求人商号「第一精工株式会社」の構成中「精工」の文字は、「精巧に工作すること」の意味を有する。乙第9号証の大正6年発行「大日本国語辞典」96頁に示すように、「精工」の語は、引用商標1の出願日よりも前から存在した語句である。
また、被請求人のみならず、「精工」の文字は、業種業態名の一である「精密工業」の略称として、多くの企業の商号に使用されている。
乙第10号証は、データベース「帝国データバンク企業情報」に登録され、「精工」の文字を含む企業名の検索結果である。この検索結果によれば、少なくとも1831社の企業の商号中に「精工」の文字が含まれていることが判る。
また、「精工」の文字を商号中に含む企業の多くは、その商号の英文表記中に、「SEIKO」の文字を採用している。
乙第11号証は、データベース「D&B−International Dun’s Market Identifiers」に登録され、「SEIKO」の文字を含む日本企業名の検索結果である。この検索結果によれば、多数の企業の英文表記中に「SEIKO」の文字が用いられていることが判る。
乙第12号証の1〜9は、商号中に「精工」の文字を含む企業のウェブサイトである。これらのウェブサイトによっても、商号中に「精工」の文字を含む企業の多くが、企業名の英文表記中に、「SEIKO」の文字を採用していることが判る。
さらに、乙第13号証の1〜24のように、「精工」の文字を商号中に含む企業によって所有され、「SEIKO」の文字を一部に含む登録商標が、数多く存在する。
乙第13号証の1〜24に示すように、これらの登録例によれば、「精工」の文字を商号中に含む企業は、商号の英文表記またはその略称を商標として採択する際、「精工」に対応するローマ字表記として「SEIKO」の文字を用いることが判る。
以上のように、「SEIKO」の文字が、「精密工業」の略称である「精工」を意味するローマ字表記として、多くの企業によって、商号および商標の一部にありふれて採択使用されているという事情が存在する。
なお、乙第14号証の日本国語大辞典によれば、「精工」の語は「セイコー」と発音されることが記載されている。また、ローマ字表記において、長音表示は省略されることが多い(「Tokyo」、「Osaka」など)。乙第15号証によれば、海外での使用が目的とされるパスポートの氏名表記において、ヘボン式ローマ字表記法が規則上採用されており、原則として長音表示は使用しない旨定められていることが判る。したがって、「精工」を商号中に含む企業が、自らの商号または略称について英文表記する際、特に外国の需要者に理解されやすいように、「精工」に対応するローマ字表記として「SEIKO」と綴ることは、極めて自然であって、一般的ということができる。
(4)本件商標の構成中「SEIKO」の文字について
本件商標「DAI−ICHI SEIKO」の各文字は、書体および字の大きさを共通にし、全体として外観上まとまりよく表記されている。「DAI−ICHI」部分と「SEIKO」部分との間隔も半角文字相当分であって、視覚上分離して認識される程度ではない。また、本件商標から生じる「ダイイチセイコー」の称呼もとりわけ冗長ではなく、淀みなく称呼し得る。
さらに、(2)で述べたように、本件商標は、被請求人商号の英文表記の略称から採択されたものである。したがって、本件商標に接する者が、本件商標の構成全体をもって被請求人固有の名称を示していると認識することは、ごく自然である。
さらにまた、(3)で述べたように、「SEIKO」の文字は、「精密工業」の略語である「精工」を意味するローマ字表記として、多くの企業によって、その商号または商標の一部に用いられている事情が存在する。
かかる事情を考慮すると、「SEIKO」の文字が、仮に、請求人の略称または請求人もしくはそのグループ会社の出所標識として周知著名であったとしても、別の語と結合して外観上まとまりよい構成で用いられる場合、それに接する者は、「SEIKO」の文字を、業態業種の表示としてありふれて使用されている「精工」を意味する文字部分であると単に認識するにすぎないというべきである。
したがって、本件商標は、「DAI−ICHI SEIKO」の構成全体をもって初めて出所標識として機能し、構成全体をもって常に一体不可分に認識されるものである。よって、「SEIKO」部分のみに着目して、独立して特定の他人または出所が認識されるおそれはないというべきである。
(5)「SEIKO」の文字の独占適応性について
上述のように、「精密工業」の略称である「精工」を意味するローマ字表記として、「SEIKO」の文字は、多くの企業によって、ありふれて採択使用されている。換言すれば、「精工」の文字を商号に含む企業が「SEIKO」の文字を商号の英文表記またはその略称の一部に採用することは、精密機械製造業の業界内の慣行として、すでに浸透しているということができる。
したがって、商標の構成中に「SEIKO」の文字を含むことのみを根拠として、その商標の登録・使用を制限することは、「SEIKO」の文字を商号の英文表記またはその略称の一部に採用する多くの企業の営業活動を阻害するおそれがあり、これらの企業がこれまで誠実に蓄積してきた業務上の信用を不当に占奪することにもなりかねない。
また、「精工」の語は、乙第9号証に示すように、請求人によって「SEIKO」の商標が採択される以前から存在していた辞書語であって、そのローマ字表記として「SEIKO」の文字が、多くの企業によってありふれて使用されている。仮に、「SEIKO」が請求人の業務に係る商品または役務を表示するものとして周知著名であるとしても、そのことのみをもって当然に、ありふれた意味合いで用いられている態様に対してまで登録排除効が及ぶと解することはできない。請求人の提出する「SEIKO」商標の著名度に関する資料は、「SEIKO」の文字単独について、極めて限定された態様で周知著名性を獲得したことを説明するに止まるものである。「SEIKO」の文字単独の態様についての周知著名性のみを根拠として、他の語と一体的に結合され、「精工」等のありふれた意味合いを想起させる態様に対してまで、登録排除効を及ぼすことは妥当ではない。
確かに、我が国は、知的財産立国の実現を国家的な目標として掲げ、その一環として周知著名商標の保護強化を図るものである。
しかしながら、これは、商標法の目的に適う健全な競業秩序の維持を前提とするものであって、既存の競業秩序を混乱させてまで実現されるべきものではない。
上述したように、被請求人は、すでに浸透している業界内の慣行に従って、被請求人固有の略称に基づいて、商標を採択したにすぎない。また、本件商標は、構成全体をもって一体不可分に認識され、構成中「SEIKO」の文字は、「精工」を意味するローマ字表記と単に認識されるものである。さらに、被請求人は、商号の英文表記として、「DAI−ICHI SEIKO CO.,LTD.」を、30年以上に亘って、不正の目的なく使用しており、その結果、その略称である「DAI−ICHI SEIKO」には、請求人とは異なる、独自の信用が蓄積されているということができる。
よって、本件商標の構成中に「SEIKO」の文字を含むことに基づいて、本件商標の登録・使用を制限することは、既存の競業秩序を混乱させ、被請求人のこれまでに蓄積した信用を不当に占奪するものであるから、失当というべきである。
(6)商標法第4条第1項第8号該当性について
商標法第4条第1項第8号に規定される「著名な略称を含む商標」とは、他人の著名な略称を物理的に包含するというのみでは足らず、一般世人が当該商標に接した場合、当該略称を有する他人を常に想起看取できなければならないと解する。したがって、出願に係る商標において、構成全体が一体不可分に結合しているか、あるいは、その略称に対応する部分が、当該他人とは異なる観念を生じさせるという場合は、仮に他人の著名な略称を物理的に包含しているとしても、同号の適用はないというべきである。
なぜなら、同号は、当該氏名等に係る他人の人格的利益を保護する規定であると解されるところ、当該他人を一般世人の通常の認識によって想起できないほどに一体不可分に構成されている場合、または当該他人とは異なる観念を生じさせる場合、その商標の使用・登録によって、同他人の人格的利益の害せられるおそれはないからである。
上述したとおり、本件商標は、構成全体が常に一体不可分に認識されるものである。また、本件商標の構成中「SEIKO」の文字は、業態表示である「精工」に対応するローマ字表記として想起されるものである。
したがって、本件商標の構成から、一般世人によって、請求人の略称を含むと認識されるおそれはないというべきである。すなわち、本件商標の登録・使用によって、請求人の人格的利益を害せられる蓋然性は極めて低い。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当せず、本件商標の登録は、同号に違反してなされたものではないというべきである。
(7)商標法第4条第1項第11号該当性について
上述のとおり、本件商標の構成中「SEIKO」の文字は、敢えて分離抽出されて単独で認識されるものではない。したがって、本件商標は、構成全体が一体不可分に認識され、「ダイイチセイコー」の称呼を常に生じさせるものである。
引用商標はいずれも、「セイコー」の称呼を生じさせ得るものである。
本件商標の称呼「ダイイチセイコー」と引用商標の称呼「セイコー」とは、「ダイイチ」の有無に基づいて、明瞭に区別することができる。また、本件商標と引用商標とは、外観および観念においても、顕著に相違し、それぞれ相紛れるおそれはない。
なお、乙第13号証の1〜24によれば、「SEIKO」の文字を含む多くの商標が、引用商標とそれぞれ併存して登録されていることが判る。
したがって、本件商標と引用商標とは類似しない。よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当せず、本件商標の登録は、同号に違反してなされたものではないというべきである。
(8)商標法第4条第1項第15号該当性について
仮に、他人の周知著名な商標を一部に含む商標であったとしても、その周知著名な商標に対応する文字が、他の文字と結合して、一体的な態様で表記されることによって、その構成中に埋没し、特別看者の注意を惹くとは認められないといえる場合は、もはや商標法第4条第1項第15号に規定する「混同を生ずるおそれ」はないというべきである。
上述のとおり、本件商標は、構成全体が一体不可分に認識され、また、その構成中「SEIKO」の文字は、業態表示である「精工」に対応するローマ字表記として認識するのが自然であるから、「SEIKO」の文字が、独立した出所標識として、敢えて分離抽出して把握される蓋然性は極めて低いということができる。
したがって、本件商標の構成から、本件指定商品および指定役務の取引者および需要者が、請求人またはそのグループ会社の出所を想起するおそれはないというべきである。
特に、本件商標に係る指定商品および指定役務は、主として産業用機械器具とそれに関連する役務とを含み、その需要者層は、最終消費者よりはむしろ、生産財を取り扱う製造業者を中心とする。これらの業者にとって、本件商標の構成中「SEIKO」の文字が「精工」を意味するローマ字表記である旨を認識することは、業界内で「SEIKO」の文字が「精工」を意味するものとして商号または商標の一部にありふれて用いられているという実情に従えば、ごく容易なことである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当せず、本件商標の登録は、同号に違反してなされたものではないというべきである。
(9)過去の裁判例および審決例について
請求人は、過去の裁判例および審決例を挙げて、本件商標が商標法第4条第1項第8号、同項第11号および同項第15号に該当する旨主張しているが、それらの裁判例および審決例は、いずれも本件と事案を異にするものであるから、本件において考慮するに値しないものである。本件の場合、本件商標の構成中「SEIKO」の文字が、請求人の出所または略称として認識されるか、あるいは、ありふれて使用されている業態表示「精工」のローマ字表記として認識されるかという議論がなされるべきところ、かかる点は、請求人の列挙するいずれの事例でも問題とされていないと思料されるからである。
なお、「SEIKO」の文字を含む商標が、商標法第4条第1項第8号、同項第11号または同項第15号に該当するか否かについて争われた事例であって、当該商標がこれらの規定に該当しない、と判断されたものとして、乙第16及び乙第17号証が存在する。
これらの事例の決定理由中において言及されている事項は、本件においても妥当するものである。
上述したとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第8号、同項第11号および同項第15号の規定に該当するものではなく、本件商標の登録は、これらの規定に違反してなされたものではない。
(1)商標法第4条第1項第11号の該当性について
本件商標は、別掲のとおり「DAI−ICHI SEIKO」の文字からなるところ、構成各文字は、「DAI−ICHI」の文字と「SEIKO」の文字との間に半字程度の間隔があるとしても、同じ書体、同じ大きさで表されていて、外観上まとまりよく一体的に看取し得るものであり、これより生ずると認められる「ダイイチセイコー」の称呼も格別冗長というべきものでなく、よどみなく一連に称呼し得るものである。そして、該「ダイイチセイコー」の称呼からは、全体として、商号の略称を表したと容易に認識されると同時に、本件商標中の「SEIKO」の文字部分は、我が国における企業が商号の一部として広く採用している「精工」等の文字を想起させるものといえる。
そうすると、本件商標は、構成全体をもって一体不可分の商標を表したと理解されるとみるのが相当であるから、その構成文字に相応して「ダイイチセイコー」の称呼のみを生ずるといえるものであって、構成全体として、商標権者の商号の略称を英文字表記したと理解されるものである。
他方、引用商標は、前記第2のとおり、いずれも「SEIKO」の文字からなるものであるから、その構成文字に相応して「セイコー」の称呼を生ずるものであって、請求人の商号の略称ないしその英文字表記をしたと理解されるものである。
しかして、本件商標より生ずる「ダイイチセイコー」の称呼と引用商標より生ずる「セイコー」の称呼とは、その音構成及び音数に明らかな差異が認められるものであるから、両称呼は容易に区別し得るものである。
また、本件商標と引用商標とは、それぞれの構成に照らし、外観上判然と区別し得る差異を有するものであり、両商標が上記のとおりの観念を有するものであるから、観念上明らかな差異を有するものである。
してみれば、本件商標と引用商標とは、称呼、外観及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
(2)商標法第4条第1項第8号及び同項第15号の該当性について
本件商標は、上記のとおり、構成全体をもって一体不可分の商標を表したと理解されるものであって、しかも、被請求人の提出に係る証拠を総合勘案すれば、被請求人は、精密金型、半導体封止装置等の半導体製造装置、電子部品、自動車部品などを取り扱う製造業者であり、昭和38年(1963年)に設立され、「第一精工株式会社」を商号とし、同商号の英文表記として、「DAI−ICHI SEIKO CO.,LTD.」を使用し、該分野において一定程度知られているといえるから、該構成中の「SEIKO」の文字部分のみが独立して認識されるものとはいい得ない。
したがって、本件商標から「SEIKO」の文字部分のみを分離、抽出し、本件商標が請求人の著名な略称を含む商標であるとする請求人の主張は、前提において誤りがあるというべきである。
また、本件商標と引用商標とは、上記のとおり、類似することのない別異の商標であるから、引用商標の周知著名性を考慮したとしても、本件商標をその指定商品及び指定役務について使用した場合、これに接する取引者、需要者が引用商標を印象、連想、想起するようなことはないというべきであり、該商品及び役務が請求人又は同人と経済的・組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品及び役務であるかの如く、その出所について混同するおそれはないといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号及び同項第15号に該当するものではない。
(3)請求人は、甲第14ないし甲第33号証の判決例、審決例等を援用しているが、いずれも本件と事案を異にするものであるから、請求人の主張は採用することができない。
(4)以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第8号、同項第11号及び同項第15号のいずれにも違反して登録されたものではないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効にすべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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