1 本願商標
本願商標は、「IP Expert」の欧文字を標準文字で表してなり、第9類「電子計算機用プログラムを記憶させた記録媒体」を指定商品として、平成18年2月2日に登録出願されたものである。
2 引用商標
原査定において、本願の拒絶の理由に引用した登録第2162776号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、昭和58年9月8日に登録出願、第11類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成元年8月31日に設定登録され、その後、同11年4月27日に商標権の存続期間の更新登録がされ、その商標権は、現に有効に存続しているものである。
3 当審の判断
本願商標は、前記1のとおり、「IP Expert」の文字よりなるところ、該文字は、「IP」と「Expert」の各文字の間に1文字程度の間隔があるとしても、外観上まとまりよく一体的に表されているばかりでなく、これより生ずると認められる「アイピーエキスパート」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものである。
そして、例え、該文字構成中、前半の「IP」の文字部分が、その指定商品との関係からみると、「コンピューターネットワークにおける通信規約の一つ」を意味する「Internet Protocol」の略語を表したと理解されるものであり、また、後半の「Expert」の文字部分が「専門家」等を意味する平易な英単語であって、格別高い識別力を備えた語とはいえないから、本願商標を構成する「IP」と「Expert」とをそれぞれ分離して観察した場合は、いずれも自他商品の識別機能がきわめて弱いものというべきである。
そうすると、本願商標に接する需要者は、その構成中の「Expert」の文字部分のみに着目し、これを自他商品の識別標識として捉えることはなく、前記のとおり、本願商標が外観及び称呼上一体的なものであることを併せ考慮すれば、構成全体をもって一体不可分の一種の造語を表したものと認識し、把握されるとみるのが自然である。
そうとすれば、本願商標は、該構成文字全体に相応して「アイピーエキスパート」の称呼のみを生ずるものであって、単に「エキスパート」の称呼を生ずることはないものといわなければならない。
また、他に、構成中の「Expert」の文字部分のみが独立して認識されるとみるべき特段の事情は見出せない。
してみれば、本願商標より「エキスパート」の称呼をも生ずるとし、そのうえで、本願商標と引用商標とが称呼上類似するものとして、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は妥当でなく、取消しを免れない。
その他、政令で定める期間内に本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。