結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2007−300921(T2007−300921/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4286044号商標(以下「本件商標」という。)は、「BENEFIX」及び「ベネフィックス」の文字を上下二段に横書きしてなり、平成9年3月25日に登録出願、第5類「薬剤(「動物用薬剤,蚊取線香,殺菌剤,殺そ剤,殺虫剤,蒸剤,除草剤,防臭剤(身体用のものを除く。),防虫剤,防腐剤」を除く。)」を指定商品として、同11年6月25日に設定登録されたものである。
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び同第2号証を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、その指定商品中「第5類 薬剤(「動物用薬剤,蚊取線香,殺菌剤,殺そ剤,殺虫剤,蒸剤,除草剤,防臭剤(身体用のものを除く。)防虫剤,防腐剤」を除く。)」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
本件商標は、請求人の調査によると商標権者によって継続して3年以上日本国内において使用された事実が無く、さらに商標登録原簿(甲第2号証)には専用使用権者及び通常使用権者の登録がなされていない。
以上のように、本件商標は、請求に係る商品について審判請求の登録前3年以内に商標権者、専用使用権者及び通常使用権者のいずれによっても使用されていないことは明らかである。
(2)弁駁
被請求人は、WYETH、Wyeth Ayerst International Inc.に通常使用権を許諾しており、これらの者が商品「遺伝子組換え血液凝固第IX因子」に本件商標を使用したと主張する。
しかし、被請求人の提出した資料のうち、本件審判の登録前3年以内の日付と思しきものは、
(a)乙第1号証、乙第7号証の2、乙第9号証の1ないし4、乙第10号証の1ないし4、乙第11号証の1ないし4、乙第12号証の1ないし4、乙第13号証の1ないし4、乙第14号証の1ないし4、乙第15号証の1ないし6、乙第17号証、乙第20号証の1及び2、乙第21号証の1及び2だけである。
これらのうち、本件商標の記載が見えるのは、
(b)乙第9号証の1、3及び4、乙第10号証の1、3及び4、乙第11号証の1、3及び4、乙第12号証の1、3及び4、乙第13号証の1、3及び4、乙第14号証の1、3及び4、乙第15号証の1、3ないし6のみである。
そして、上記(b)は、既に被請求人により取下済みの医薬品承認申請における治験被験者に継続投与すべく輸入された際のものとのことである。
このような資料は、本件商標が使用された証拠とは認められない。
また、被請求人と上記(b)に関わった、「Wyeth pharmaceuticals(U.S.A)」、「WYETH AYERST INTERNATIONAL INC」との使用許諾の事実を示す証拠は何ら提出されておらず、確認できない。
さらに、被請求人は、本件商標に係る医薬品承認申請の何ら具体的な証拠も示しておらず、本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしていない。
なお、被請求人は、被請求人の言う本件商標の使用に係る商品「遺伝子組換え血液凝固第IX因子」は、米国の製薬会社(「ワイス」(英文名称:Wyeth)が製造・販売しており、その商品名称は「BENEFIX」であると述べているが、その証拠として示された乙第16号証の2及び3には、本件商標とは相違する「BENEFIX」の表記があるのみであり、さらに、乙第8号証として提出された包装箱の写には、製造者が前記米国の製薬会社ではなく、被請求人とも相違する「Genetics Institute,Inc.」である旨が表記されている。
つまり、被請求人の答弁は、その信憑性が疑わしいと言わざるを得ない。
したがって、被請求人の答弁及び提出資料をもって、請求人の取消に係る指定商品について本件商標が、本件審判の登録前3年以内に使用されたものであるとは認められない。又、請求人の取消に係る指定商品について本件商標の使用をしていない正当な理由があることを明らかにしていない。
被請求人は、結論と同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第22号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)登録商標の使用
本件商標は、その指定商品について、日本国内において、本件審判の予告登録日前3年以内に、通常使用権者により使用された。また、今後も、継続して使用される予定である。
(ア)本件商標の使用に係る商品
本件商標の使用に係る商品は、「遺伝子組換え血液凝固第IX因子」という医薬品(以下「本件医薬品」という。)である。
本件医薬品は、その普通名称として、上記名称「遺伝子組換え血液凝固第IX因子」の他、「血液凝固第IX因子(遺伝子組換え)」 「ヒト遺伝子組換え血液凝固第IX因子製剤」等と表示されることがある。その英文名称は 、 「 Coagulation FactorIX (Recombinant)」であり、「rFIX」と略称される。
本件医薬品は、血友病Bまたはクリスマス病として知られる第IX因子欠乏症の治療薬であり、遺伝子組み換え技術により作られた精製タンパク質からなる製剤である。使用に際しては、バイアルに保存された本件医薬品を注射用蒸留水(溶解液)で溶解後、患者に静脈内投与する。その効能又は効果は、血友病B型患者における出血又は併発症の防止及び治療である(乙第2号証、同第3号証)。
本件商標の権利者である「ジエネテイツクス インステイテユート エルエルシー」(以下「本件権利者」という。)は、本件医薬品について「希少疾病用医薬品」の指定申請を行い、平成8年4月1日付にて時の厚生大臣「菅直人」から希少疾病用医薬品の指定を得た(乙第3号証)。
希少疾病用医薬品の指定制度は、難病・エイズ等の病気を対象に、医療上の必要性が高いにもかかわらず、患者数が少ないことにより十分にその研究開発が進んでいない医薬品を選定し、国として特別の支援措置を講ずる制度である。具体的には、対象患者数が日本国内において5万人未満であり、医療上その必要性が高く、また、開発の可能性が高い医療品について、希少疾病用医薬品として指定し、助成金の交付、税額控除、医薬品承認に関する優先審査、医薬品承認のための再審査期間の延長等の優遇措置が講じられる(乙第4号証)。
本件権利者は、希少疾病用医薬品の指定に基づき、承認審査の優先などの優遇措置を得て、本件医薬品について承認申請を行ったが、後述する理由により承認申請を取り下げた。しかしながら、承認申請の取り下げ後も希少疾病用医薬品の指定自体は解除されておらず、商品開発の進捗についての報告を厚生省に提出しており、今後予定される再申請の際にも審査の優先などの優遇措置を受けることができる。そして、本件権利者は、本件医薬品について再申請の準備中である。
また、本件医薬品は、治験のために被験者(患者)に投与され、かつ、治験終了後も治療上必要なため同患者に継続して投与されている。
(イ)本件商標の使用
本件医薬品は、包装用箱に梱包され、譲渡・輸入等の商取引に供されるところ、包装用箱に本件商標が表示されている(乙第8号証)。
本件医薬品に関する請求書(COMMERCIAL INVOICE)、納品書(EXPORT PACKINGLIST)、小荷物送付状(業者:DHL)、医薬品輸入報告書等の取引書類にも本件商標が使用されている(乙第9号証ないし同第15号証)。
(ウ)本件医薬品の輸入及び譲渡
本件医薬品は、米国の製薬会社ワイス(英文名称:Wyeth)(主たる住所:アメリカ合衆国 ニュージャージー州マジソン,フアイブ ジラルダフアームズ)(以下「ワイス」という。)が製造・販売しており、その商品名称は「BENEFIX」である(乙第1号証、同第16号証)。
本件権利者は、本件医薬品の開発者であるところ、ワイスの完全子会社となり、商標「BENEFIX」の使用に係る本件医薬品の製造・販売をワイスに委託している。このため、本件権利者は、ワイスに対して、世界中における商標「BENEFIX」の使用について黙示の使用許諾をしており、このライセンスの中には、日本国商標登録第4286044号商標及び同第4296825号商標を本件医薬品について使用することに関する通常使用権が含まれている(乙第1号証)。
本件医薬品を製造するのは、唯一、ワイスのみである。世界中のどの国や地域においても、現在、ワイス以外に本件医薬品を製造する者はいない。また、過去においても、ワイス以外に本件医薬品を製造した者は世界中のどの国や地域にも存在しない(乙第1号証)。
本件医薬品は、血友病B型患者に対する治験薬として、日本に輸入された(治験期間:平成9年7月1日ないし平成10年6月30日)。治験例のうち、1件は、聖マリアンナ医科大学病院(住所:神奈川県川崎市宮前区菅生2丁目16番1号)のものであり、残り2件は、東京医科大学病院(住所:東京都新宿区西新宿6丁目7番1号)のものである。そして、治験終了後も、被験者(患者)に対して本件医薬品の継続投与が治療上必要であること、また、上記医薬品の投与により有害事象および問題となるrFIXインヒビターの出現は認められておらず、有効性及び安全性に影響がないことから、本件医薬品は、患者に対して今日まで継続して投与されている。治験薬の継続投与に関する状況説明書は、2005年12月6日付にて厚生労働省医薬食品局に提出されている(乙第7号証)。
上述のように、治験終了後も本件医薬品を患者に対して継続投与するために、本件医薬品は、日本に繰り返し輸入され、また、譲渡された。
本件医薬品を上記2つの大学病院に譲渡したのは、米国法人「ワイス アエースト インターナショナル インコーポレーテッド」(英文名称:Wyeth Ayerst International Inc.)(主たる住所:アメリカ合衆国 ペンシルベニア州 19101−8616フィラデルフィア ピーオーボックス 8616)(以下「ワイス アエースト」という。)である。
ワイス アエーストは、本件権利者と同様にワイスの完全子会社であり、ワイス及びワイスの子会社が製造・販売する医薬品を世界各国に販売する業務に従事しており、その取り扱い商品の中に、商標「BENEFIX」の下ワイスが製造する本件医薬品が含まれる。このため、本件権利者は、ワイス アエーストに対して、世界中に於ける商標「BENEFIX」の使用について黙示の使用許諾をしており、このライセンスの中には、日本国商標登録第4286044号商標及び同第4296825号商標を本件医薬品について使用することに関する通常使用権が含まれている(乙第1号証)。
ワイス アエーストは、本件医薬品を聖マリアンナ医科大学病院に対し、平成19年4月30日、同18年12月7日及び同年10月9日、「BENEFIX 1000」を40キット、同年3月3日に、「BENEFIX 500」を40キット譲渡し、東京医科大学病院に対し、同19年3月5日、同18年10月9日及び同年5月8日に、「BENEFIX 1000」を80キット譲渡した(乙第9号証ないし乙第15号証)。
ワイス アエーストが日本において本件医薬品の譲渡をするに至る以前には、日本国法人「パレクセル・インターナショナル株式会社(住所:兵庫県神戸市中央区小野柄通4−1−22)(以下「パレクセル」という。)が本件医薬品を日本に輸入し、上記2つの大学病院に譲渡していた。パレクセルは、モニタリング業務を含めた臨床試験のフルサポート・薬事コンサルティング等を業務とする会社であり、本件権利者による医薬品申請とその取り下げに関する管理業務を行っており、本件権利者との間で締結した臨床試験受託サービス契約に基づき、かつ、治験に参加した患者に本件医薬品を継続投与することに関する厚生労働省の指導に従って、治験終了後も本件医薬品を輸入し、上記2つの大学病院に対して上記医薬品を譲渡していた次第である。
このため、本件権利者は、パレクセルに対して、黙示の同意に基づき、日本国商標登録第4286044号商標及び同第4296825号商標を上記医薬品について使用することに関する通常使用権を許諾していた(乙第1号証)。
パレクセルによる輸入例は、「rFIX 1000」について、平成17年3月24日に250キット及び同15年10月8日に100キット輸入している(乙第17号証及び乙第18号証)。
乙第17号証及び乙第18号証では輸入医薬品が「rFIX」と表示されているところ、「rFIX」が本件医薬品(遺伝子組換え血液凝固第IX因子)の略称であり、また、ワイス以外の者が本件医薬品を製造・販売することがないことから、パレクセルが輸入・販売した商品が本件医薬品であり、また、同商品の包装用箱に本件商標が使用されていたことは明らかである。
パレクセルは、本件医薬品を上記のようにまとめて輸入し、聖マリアンナ医科大学病院及び東京医科大学病院の注文に応じて、これらの大学に対して本件医薬品を譲渡していた。
以上、本件商標が本件医薬品の包装用箱や取引書類に表示されており、また、本件医薬品が、難病を患う患者の治療のために、大学病院の注文に応じて、過去3年以内に再三日本に輸入され、譲渡された事実に鑑み、本件商標は、本件審判請求に係る指定商品について、日本国内において、本件審判の請求前3年以内に、通常使用権者により使用されたと認定されるべきである。
(2)登録商標の不使用に関する正当理由について
被請求人は、上記(1)「登録商標の使用」において、本件審判請求前3年以内に日本国内において通常使用権者が本件医薬品について本件商標を使用したことを陳述し、添付の証拠書類により、これを証明した。
万が一、上記の主張が認められない場合の予備的主張として、以下のとおり、「本件商標の不使用に関する正当理由」を主張する。
本件商標の使用に係る商品である本件医薬品は、血友病Bまたはクリスマス病として知られる第IX因子欠乏症の治療薬であるところ、希少疾病用医薬品の指定を得ている(乙第3号証)。
本件権利者は、日本において本件医薬品に関する3件の治験(聖マリアンナ医科大学病院=1件、東京医科大学病院=2件)を実施した。これらの治験及び諸外国におけるデータを基に、本件医薬品について医薬品製造承認の申請を行ったが、申請資料として提出していた海外の治験データに、一部、不備が発見されたため、申請を取り下げざるを得なかった(乙第5号証、同第6号証)。
しかし、本件権利者は、本件医薬品について医薬品承認を得ることを断念したわけではなく、再度申請する意向である。そして、不備のあった治験データを再調査した結果、海外での追加試験の実施が必要となり、再申請のため、この追加試験の結果が得られるのを待っている状態である。このような経緯から、申請取下げから 4年以上の月日を要しているが、まもなく、海外での追加試験が終了するため、再申請の準備をしている。
ちなみに、医薬品の承認審査業務が、現在、独立法人・医薬品医療機器総合機構(英文名称:Pharmaceuticals and Medical Devices Agency)(略称:PMDA)の管轄業務であるところ、本件権利者は、日本法人「ワイス株式会社」(住所:東京都品川区大崎1丁目2番2号)(以下「ワイス株式会社」という。)を介して、再申請の事前準備のために、2007年3月12日及び同年5月15日に同機構の担当者と面談し一定のアドバイスを得た。乙第20号証及び同第21号証は、ワイス株式会社(WKK)による医薬品医療機器総合機構(PMDA)に対する面談質問申込書と同面談結果を本件権利者に連絡した内部文書であり、その内容については公開を差し控えるが、同証拠書類から本件権利者が本件医薬品に関して再度承認申請をするために準備していることが明らかである。
なお、ワイス株式会社は、ワイスの完全子会社であり、本件権利者とは同一グループに属する会社であることから、本件医薬品の承認申請を再度行うことについて本件権利者をサポートしている(乙第22号証)。
以上、本件医薬品は、難病の治療薬として有効でありその必要性が認められるため、希少疾病用医薬品に指定されており、一日も早く医薬品承認がおりることが望まれる薬剤であるところ、本件権利者も承認申請のために努力しているが、なにしろ、極めてまれな病気であるため治験例が少ないため、日本において承認が得られるだけのデータに乏しく、今日まで、承認を得られていない。しかし、日本以外の国では承認された国もあり、日本における厳格な承認審査に耐えられるだけの治験データを得るべく手配中である。また、同データが整い次第、再度承認申請を行い、希少疾病用医薬品について与えられる優遇措置に基づき、優先的審査をしてもらう所存である。
以上、希少な疾病を対象とする治療薬であり充分な治験データを容易に集めることが困難なため未だ日本における医薬品承認が得られていないが、困難な状況にも拘わらず、治験データの収集に努力しており、ほどなく再度の申請ができるように準備中である。したがって、万が一、上記(1)で陳述した日本における治験終了後に被験者(患者)に本件医薬品を継続投与するために行われる商行為(本件医薬品の輸入・譲渡)をもって本件商標の使用と認められないとしても、本件商標の不使用について正当な理由があると認められるべきである。
(1)被請求人の主張及び提出した証拠によれば、以下の事実が認められる。
ア 商品説明書等(乙第2号証及び同第3号証)によれば、「BeneFix」と表示する被請求人に係る「血液凝固第IX因子(遺伝子組換え)」は、血友病Bまたはクリスマス病として知られる第IX因子欠乏症治療用として遺伝子組換え技術により作られた精製たんぱく質であり、前記病気の患者の出血又は併発症の防止及び治療に供されるものである。
イ 被請求人に係る「血液凝固第IX因子(遺伝子組換え)」は、平成8年4月1日に厚生大臣(当時)から希少疾病用医薬品としての指定を受けた(乙第3号証及び同第4号証)。
ウ 平成11年1月14日、被請求人は本件医薬品について医薬品承認申請をしたが、平成15年5月6日に同申請の取下げ願を提出した(乙第6号証)。
エ 本件商標の使用について、親子会社及び関連会社の関係にあることから、被請求人よりワイス及びワイス アエーストに対して、いずれも黙示の同意に因る許諾がされたということができ、また、被請求人との間の臨床試験受託サービス契約の日本における受託者パレクセルに対しても、同様に、黙示の同意に因る許諾がされたということができる(乙第1号証、乙第19号証)。
オ 包装箱(乙第8号証)は、「Coagulation Factor IX(Recombinant)」及び「GENETICS INSTITUTE」の表示があることからみて、被請求人に係る医薬品「血液凝固第IX因子(遺伝子組換え)」のものと認められるところ、その包装箱の面には右肩に小さく丸Rを配した「BeneFix」の文字が表示されている。
カ 医薬品輸入報告書、小包送付伝票、請求書及び納品書(乙第9号証ないし同第15号証)によれば、聖マリア医科大学病院は、平成18年3月3日、同年10月9日、同年12月7日及び平成19年4月30日に、いずれも、「BENEFIX 1000」「40キット」を個人輸入したことが認められる。
また、東京医科大学は、平成18年5月8日、同年10月9日及び平成19年3月5日に、いずれも、「BENEFIX 1000」「80キット」を個人輸入したことが認められる。
そして、これらに係る「COMMERCIAL INVOICE」の「EXPORTER」欄の記載から、その取引相手がワイス アエーストであると認められる。
キ パレクセルは、従前より血友病Bの治験薬を輸入して聖マリア医科大学病院や東京医科大学に継続的に提供していた(乙第7号証)。そして、医薬品輸入報告書(乙第17号証)によれば、パレクセルは、治験薬の継続提供を目的として、平成17年3月24日に、「rFIX」の「250キット」を輸入したことが認められる。
なお、被請求人に係る医薬品「血液凝固第IX因子(遺伝子組換え)」が「rFIX」と略記号をもって表されている(乙第5号証、同第7号証)ことから、乙17の「rFIX」は、上記医薬品「血液凝固第IX因子(遺伝子組換え)」を表記したものとみるのが自然である。
ク ワイスの子会社であるワイス株式会社(乙第22号証)は、平成19年2月26日に、上記rFIX製剤の国内申請について、独立法人医薬品医療機器総合機構へ事前相談の申込みをし、同年3月12日に事前相談を行ったこと、さらに、その3月12日の面談において同機構から提出を求められた追加情報が整ったので、それを提出するとともに、同年4月27日に再度の事前相談の申込みをしたことが認められる(乙第22号証)。
ケ そして、上記カないしクの年月日はいずれも、本件審判請求の登録前3年以内(以下「本件期間内」という。)のものである。
(2)本件商標は「BENEFIX」及び「ベネフィックス」の文字からなるものであるところ、上記(1)オないしキの商標は、「BeneFix」あるいは「BENEFIX」の文字を表してなるものであり、本件商標とは構成欧文字を同じにし、称呼「ベネフィックス」を共通にし、観念の変動を伴わないから、本件商標と社会通念上同一の商標と認め得るものである。
そして、商標の使用に係る商品である前記「第IX因子欠乏症の治療薬(血液凝固第IX因子(遺伝子組換え))」は、本件商標の指定商品の一である「薬剤」の範疇に含まれる商品であることが明らかである。
(3)以上よりすれば、本件商標と社会通念上同一の商標を付した商品が本件期間内に当たる年月日において、本件商標の通常使用権者と認められるパレクセルによって輸入され、前記病気の患者への治療薬を供する医療機関に、当該商品が譲渡されたと推認し得るものである。また、通常使用権者のワイス アエーストから本件商標と社会通念上同一の商標を付した商品が前記医療機関によって日本に個人輸入されたことが認められ、これをもって、当該商品が日本に在住する需要者(医療機関)に譲渡されたといい得るものである。してみると、本件商標について商標法第2条第3項第2号に該当する行為があったということができる。
したがって、本件商標は、本件期間内に通常使用権者によって指定商品「薬剤」について使用をされたと認められる。
(4)なお、本件事案の性質に鑑み、さらに敷衍して正当理由についても言及する。
商標法第50条第2項ただし書にいう「正当な理由」があるといえるためには、登録商標を使用しないことについて商標権者の責めに帰すことのできないやむを得ない事情があり、不使用を理由に当該登録商標を取り消すことが、社会通念上商標権者に酷であるような場合をいうと解するのが相当である(平成9年(行ケ)第53号・平成9年10月16日判決参照)。
本件において、被請求人は、本件商標を使用すべき医薬品について承認申請を行ったことがあり、その際には承認を得るのに必要なデータに欠缺や不足があったため、後に同申請を取り下げた。しかし、承認については断念したわけではない。そして、これを達成すべく、再申請に向けて現に準備を継続中であることが上記(1)クによっても認められる。
しかして、本件医薬品が希少疾病用医薬品に係るものであり、短期間に承認に必要なデータを得ることが相当に高い難易度のあることと前記を併せ勘案すれば、未だ承認を得るに至っておらず、そのため、我が国においては製造・販売ができないものであるが、既に我が国以外では本件商標が本件医薬品に使用されていることが窺えることもあり、我が国における本件商標の不使用は、偏に被請求人の怠慢によるものではないというべきである。
そうとすれば、仮に我が国における使用が認められないとされる場合であっても、被請求人には、本件商標の使用をし得ないことについて同人の責めに帰すことができない正当な理由があるというのが相当である。
(5)以上のとおり、本件商標は、本件期間内に通常使用権者によって、取消請求に係る指定商品について使用をされたと認め得るものである。
したがって、本件商標は、商標法第50条により、その登録を取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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