sokuhyo

Trademark Appeal Case

品質表示の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2007−32547(T2007−32547/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

第1 本願商標

本願商標は、「しみないマイルド」の文字を標準文字で表してなり、第5類「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科用材料,医療用腕環,失禁用おしめ,はえ取り紙,防虫紙,乳糖,乳児用粉乳,人工受精用精液」を指定商品として、平成18年9月25日に登録出願されたものである。

第2.原査定の拒絶の理由の要点

原査定は、「本願商標は、その指定商品中のたとえば『目薬,外皮用薬剤』との関係において『しみない、刺激の少ない』という意味合いを容易に看取させる『しみないマイルド』の文字を標準文字で表してなるから、これをその指定商品中の前記『目薬,外皮用薬剤』等に使用しても『しみない、刺激の少ない目薬・外皮用薬剤』を認識させるにとどまり、自他商品を区別するための標識としての機能を有せず、単に商品の品質・効能を表示したものにすぎないものといわざるを得ない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記文字に相応する商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審における証拠調べ通知

当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、次の事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づく通知を行った。

本願商標は、「しみないマイルド」の文字よりなるところ、「しみない」及び「マイルド」の各文字を一連に書したものと容易に理解させるものである。

そして、「しみない」の文字は、指定商品との関係においては、「液体や気体などの刺激で刺すような痛みを感じる。」の意味を有する「しみる」の語の否定形であると認められ、また、「マイルド」の文字は、「刺激の少ないさま。」等の意味をそれぞれ有する語(株式会社三省堂 大辞林第2版)として一般に親しまれているものである。

ところで、「しみない」、「マイルド」の各文字は、本願指定商品を取り扱う業界において、商品の品質、効能を表示する語として使用されていることが、以下の新聞記事情報及びインターネット情報によっても裏付けられる。

そうとすれば、本願商標は全体として、「しみない、刺激の少ない」程の意味合いを容易に理解、認識されるものである。

してみれば、本願商標は、これをその指定商品中、例えば「目薬,殺菌消毒剤」に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、単に「(患部が)しみることない、刺激が少ない商品」であるという、商品の品質、効能を表示するにすぎないものと認識、把握するにとどまり、自他商品の識別標識としては認識し得ないものというべきであり、また、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるものといわなければならない。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するといわざるを得ない。

(1)「しみない」の文字について

ア 2002年9月26日付けの日刊工業新聞の23頁には、「武田薬品、コンタクト用目薬「マイティアシリーズ」に3タイプ追加」の見出しの下に「武田薬品工業は、千寿製薬(大阪市中央区)が製造するコンタクトレンズ用目薬マイティアシリーズの新製品3タイプ(写真)を10月22日発売する。目にしみない『NewマイティアCL』、クール感のある『NewマイティアCLクール』、クール感が強い『NewマイティアCLクールHi』の3品で、消費者が好みに応じて選択できる。価格は既存品に比べて100円安い600円(15ミリリットル)。」との記載がある。

イ 2006年1月16日付けの読売新聞 東京朝刊の6頁には、「目にしみない優しさ 目薬『アイリスAGユニット』発売/大正製薬」の見出しの下に「大正製薬は、花粉シーズンに向け、目のかゆみや充血を抑える目薬『アイリスAGユニット』を発売した。持ち運びに便利な『1回使いきりタイプ』で、目にしみない、優しい使用感にした。2種類の抗炎症剤と、基準内で最大量の充血除去剤を配合した。1本(両眼1回分)0.4ミリ・リットル、18本入り。945円。」との記載がある。

ウ 2006年4月8日付けの朝日新聞 東京朝刊の13頁には、「(情報ファイル・商品)しみない子供用目薬を発売 ロート製薬 」の見出しのもとに「ロート製薬は、目にしみない子供用目薬『ロートこどもソフト』を10日に発売する。しみる原因となる清涼化剤を使わず、成分配合も涙に極力近くした。生後4カ月から使え、付属ケースには人気キャラクター『ポケットモンスター』をあしらった。税込み希望小売価格は630円。」との記載がある。

エ 「『こどもロビンアイA キティ 10ml』は、お子様のデリケートな目にやさしい、しみないソフトなさし心地でお子様の目を守る目薬です。戸外での遊びやスポーツ、水泳などでゴミやほこりにさらされたときなど、お子様は目のかゆみや充血をおこしがちです。」との記載がある。(http://www.kenko.com/product/item/itm_7551608072.html)

オ 「『スマイル アルフレッシュ Kids』は、お子さまの目のかゆみや充血などの目のトラブルに優れた効果を発揮する小児用目薬です。・・・涙に近いpHで、目にしみないソフトなさし心地です。医薬品。」との記載がある。(http://www.kenko.com/product/item/itm_8849967072.html)

カ 「ムヒのこども目薬 こどもアイスーパー 15ml アンパンマンケースがついた目にしみないやさしい目薬です。安全対策として密封包装しています。」(http://www.rakuten.co.jp/piyopiyo/162169/240441/515433/)

キ 「こどもアイリス 14ml pH、浸透圧を涙に合わせた、しみないソフトなさし心地です。」との記載がある。(http://item.rakuten.co.jp/fukuei/45714111/)

ク 「【NewマイティアCL】は、さらに涙に近づけた処方 コンタクトレンズなどでかわいた瞳に『うるおい』を与え、目のかわき・疲れを改善してくれる、しみない『やさしいさし心地』の目薬です。」との記載がある。(http://item.rakuten.co.jp/drug-yamashin/4987123143585/)

ケ 「スマイル40EXマイルド − ビタミンA・ビタミンB6・ビタミンEをトリプル配合。しみないタイプ。」との記載がある。(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%82%AA%E3%83%B3%E8%A3%BD%E5%93%81%E4%B8%80%E8%A6%A7)

コ 「こどもサンテ 幼い目を守るしみないさし心地の目ぐすり」との記載がある。」(http://health.yahoo.co.jp/hospital/medicine/detail/1/0330017/)

サ 「セピアARクール 医療用として使用されてきた『クロモグリク酸ナトリウム』を配合した目薬。目のアレルギー症状の緩和に効果があり、しみない差し心地もグッド。」との記載がある。(http://event.yahoo.co.jp/docs/event/kafun2002/goods/4.html)

シ 「◆抗生物質の目薬 抗生物質の目薬で、目やにがたくさん出るような結膜炎に使います。エコリシンはしみないのが特徴で、主に子供に処方しますが、10日間ぐらいたつとくすりが分解してしまって、効果がなくなってしまいますので注意してください。ゲンタマイシンは、冷蔵庫に入れておけば数ヶ月は大丈夫ですが、多少しみるようです。この2つのくすりは、効果に関しては大きな差はありません。」との記載がある。(http://www2.starcat.ne.jp/~kanocl/drug/drug06.htm)

ス 「子ども用の目薬は、ビタミン剤や栄養成分が配合されている程度の目にしみないマイルド処方です。」との記載がある。(http://www.e-people.co.jp/drag/quick/me.html)

セ 「『しみる目薬のほうが効くようだ』とか『しみるのは目がよくないからだ』とか言われる方がいます。同じ目薬を使ってもしみる人もいればしみない人もます。目の状態によってはしみやすい時もあります。」との記載がある。(http://www.arai-eye.com/51/index.php#4)

ソ 「マキロンは殺菌作用を有する逆性石鹸の塩化ベンゼトニウム(en:Benzethonium chloride)を主成分とし、組織修復剤(アラントイン)、抗ヒスタミン剤(マレイン酸クロルフェラニミン)を配合した医薬品で、性状は無色透明の液体である。かつては局所麻酔薬(塩酸ジブカイン)と血管収縮剤(塩酸ナファゾリン)が配合されており、組織修復剤は配合されていなかった。・・・・そこでマキロンが発売され、『色がつかず、しみない消毒薬』(このほか麻酔・消炎作用もあった)として一気に普及した。」との記載がある。(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%82%AD%E3%83%AD%E3%83%B3)

タ 「『ムヒのきず液75ml』は、お子様用のしみない殺菌消毒液。」との記載がある。(http://www.kenko.com/product/item/itm_7731033072.html)

(2)「マイルド」の文字について

チ 「コンタクトの瞳に うるおいとやさしさを 刺激の少ないマイルドな差し心地 New マイティアCL 15ml ○目にしみない、やさしい差し心地。」との記載がある。(http://item.rakuten.co.jp/aobado/mtcl/)

ツ 「アスパラ目薬ソフト − 分類上は涙液型目薬。刺激が少ないマイルドタイプ。」との記載がある。(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%B0%E8%BE%BA%E4%B8%89%E8%8F%B1%E8%A3%BD%E8%96%AC)

テ 「エーゼットアルファ 清涼化剤は使用しておりませんので、刺激を抑えマイルドな差し心地の点眼薬です。」との記載がある。(http://item.rakuten.co.jp/okusuriyasan/81657/)

ト 「『スマイル40EXマイルド』は中でも、『疲れ目用・ピント調節』目薬になります。特に『ビタミンA』・『ビタミンE』などのビタミンも配合されていますので、『疲れ目』に高い効果が期待できるお薬です。目薬を使用した際の刺激感が苦手な方は、こちらをどうぞ。」との記載がある。(http://www.okusurinavi.com/DB/show/2007080100023.html)

ナ 「バイシン プラスII 10ml マイルドな清涼感とやさしい差し心地で、疲れた目をリフレッシュします。」との記載がある。(http://www.ladydrug.jp/shop/commodity_param/ctc/030071/shc/0/cmc/4987114412904/backURL/http%28++www.ladydrug.jp+shop+main)

ニ 「アイリス50 − 2007年5月発売。2種類のピント調節改善成分『ビタミンB12+メチル硫酸ネオスチグミン』と『ビタミンB2』を配合。清涼感タイプの『アイリス50クール』とマイルドタイプの『アイリス50』がある。」との記載がある。(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E6%AD%A3%E8%A3%BD%E8%96%AC%E8%A3%BD%E5%93%81%E4%B8%80%E8%A6%A7)

ヌ 「スマートアイ ●目の疲れ、充血、かゆみに効果のある、マイルドなさし心地の目薬です。」との記載がある。(http://www.kusuriya.co.jp/Home/productA.DLL?PI=998014973&CI=220407&UC=&TH=&EM=) ネ 「清涼感のある目薬は苦手です。あの刺激はいやで、マイルドな注し心地の目薬が好きなのですが、クールタイプが多いです。クールタイプの方が人気があるのでしょうか?」との記載がある。(http://q.hatena.ne.jp/1078158021)

第4 職権証拠調べに対する意見の要点

請求人は、「本願商標『しみないマイルド』は、その外観上・称呼上のまとまりのよさ、更に、『しみないマイルド』の文字が本願の指定商品について、品質を表示するものとして取引上普通に用いられている事実がなく、その結合は、普通に用いられる方法で表示されたものには相当しないことから、本願商標構成全体をもって一体不可分の造語であると認識されるべきものである。したがって、これを本願指定商品について使用しても、自他商品の識別標識としての機能を十分に果たし得るものである。」旨述べている。

第5 当審の判断

本願商標は、前記1のとおり、「しみないマイルド」の文字よりなるところ、構成中の「しみない」の文字は、指定商品との関係においては、「液体や気体などの刺激で刺すような痛みを感じる。」の意味を有する「しみる」の語の否定形であると認められ、また、「マイルド」の文字は、「刺激の少ないさま。」等の意味をそれぞれ有する語(株式会社三省堂 大辞林第2版)として一般に親しまれているものである。

そして、本願指定商品中には、「目薬」及び「殺菌消毒剤」が含まれているところ、これらの商品を取扱う業界において、目や傷口にしみない、刺激が少ないタイプの商品が製造・販売されていることは、前記第3の証拠調べ通知に記載の事実より窺い知ることができる。

そうすると、「しみないマイルド」の文字よりなる本願商標は、全体として「しみない、刺激の少ない」程の意味合いを極めて容易に理解、認識させるものである。

してみれば、これを本願の指定商品中、例えば「目薬,殺菌消毒剤」に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「(患部が)しみることない、刺激が少ない商品」であること、すなわち、商品の品質、効能を表示したものと理解するにとどまり、自他商品の識別標識としては認識し得ないものであり、また、これを前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるものというのが相当である。

なお、請求人は、上記第4のとおり、本願商標は、品質を表示するものとして取引上普通に用いられている事実がないことから、その構成全体をもって一体不可分の造語であると認識されるべきであり、自他商品の識別標識としての機能を十分に果たし得る旨主張しているが、「商標法第3条第1項第3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきである(平成12年(行ケ)第76号 東京高裁平成12年9月4日 判決言渡参照)」から、たとえ、一連一体で表された「しみないマイルド」の文字が、その指定商品を取り扱う業界において、商品の品質、効能を表示するものとして使用されている事実が存在しなくとも、本願商標が商品の品質、効能を表示するものであるとすることの妨げにはならないものである。

さらに、請求人は、過去の登録例を挙げ、本願商標も同様に登録されるべきである旨主張するが、登録出願された商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるかどうかの判断は、当該商標の構成態様と指定商品に基づいて、個別具体的に判断されるものであって、他の登録例の存在によって、上記判断が左右されるものではなく、本願については前記のとおり判断するのが相当であるから、この点についての請求人の主張も採用することができない。

したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び第同法第4条第1項第16号に該当するものとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことができない。

よって、結論のとおり審決する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。