Trademark Appeal Case
象図形商標の類否と混同
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成10年異議第90737号 |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | other |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4092164号商標(以下、「本件商標」という。)は、別紙(4)に表示したとおりの構成のものであり、平成8年8月22日に登録出願、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフー,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類(靴合わせくぎ、靴くぎ、靴の引き手、靴びょう、靴保護金具を除く),靴合わせくぎ,靴くぎ,靴の引き手,靴びょう,靴保護金具,げた,草履類,運動用特殊衣服,運動用特殊靴(乗馬靴を除く),乗馬靴」を指定商品として、平成9年12月12日に登録されたものである。
2 取消理由の通知
平成11年4月7日付けで、商標権者に下記の取消理由を通知した。
1 登録異議申立人(以下、「申立人」という。)が提出した甲第23号証によれば、本件商標権者の業種は、「経営コンサルタント」と認められるところ、本件商標の指定商品は商標登録原簿のとおりであって、本件商標権者の業種とはまったく関係のない商品とみられるものである。そうすると、本件商標権者は、自己の業務に係る商品について使用する商標(使用する予定があるものを含む。)を登録出願したものとは認め難い。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項柱書きの要件を具備していなかったにもかかわらず、商標登録されたものである。
2 本件商標は、象の図形を表してなるものであり、申立人がバッグ類等の商品に使用して、本件商標の登録出願前に既に著名となっていた別紙に表示した象の図形を含む商標(1)ないし(3)を想起させるものであるから、これを本件商標権者が、その指定商品について使用するときは、申立人の業務に係る商品であるかのように需要者において誤認し、混同を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項15号に違反して商標登録されたものである。
3 商標権者の意見
商標権者は、平成11年4月30日付け、平成11年5月6日付け及び平成11年5月11日付けで、意見書を提出して要旨次のように主張し、証拠方法として乙第1号証ないし乙第9号証(商標権者は、証拠方法を甲各号証として提出しているが乙各号証として扱う。また、平成11年5月6日付け意見書に添付の甲第1号証ないし甲第4号証を乙第6号証ないし乙第9号証として扱う。)を提出した。
(1)本件商標権者は、海外の商品輸入又は、海外のライセンス導入を専門に行っている会社である。本件商標権者は、昭和53年より海外ブランドの導入を行っており、現在は、50ブランド、国内300社のサブ・ライセンシー企業を有しており、その業務上、ファッション商品の輸入、及び国内ファッション・メーカーと共同で商品の製造、販売を行うことが多く、本件商標権者の事業を円満に行う上からも、本件商標の登録が必要である。
(2)動物の「象」が申立人のものであるとの見解は、大変一方的なものであり、その考え方を押し進めれば、動物の絵はすべて特定の法人や個人のものとなってしまうものである。動物の自然のポーズをかたどった絵は著作権や所有権を与えないとの考えが自然だと思われる。まして本件商標と引用商標を比較しても、それぞれの向きが正反対であり、一方は線画であり、片方は、黒の墨で塗りつぶした黒い絵であることを考えれば、その違いは明白であり、また、申立人の絵には必ず「HUNTING WORLD」の文字と一体に描かれてあり、「象のマーク」だけの使用はあり得ない。
(3)申立人の異議申立てが退けられた例、「HUNTING」関連商標で登録になった例を提出する(乙第6号証ないし乙第9号証)。
4 当審の判断
(1)申立人の商標の著名性及びその使用形態
申立人が提出した甲第10号証ないし甲第20号証によれば、別紙(1)ないし(3)に表示の商標(以下、「引用商標」という。)は、申立人がバッグ類などの商品に使用した結果、本件商標の登録出願前において既に著名となっていたものと認められる。そして、引用商標は、その著名性からすると、本件商標の指定商品の需要者の間においても広く認識されているものとみることができる。
また、申立人が提出した甲第11号証ないし甲第18号証及び甲第20証によれば、引用商標は、円形の皮革片上にプレスする方法でこれを表示したものをバッグ類に縫い付けて使用している形態が多いものと認められる。
(2)本件商標と引用商標の比較
本件商標は、鼻を振り上げた象の全体図形(以下、「本件象図形」という。)を表してなるが、引用商標も構成中に鼻を振り上げた象の全体図形(以下、「引用象図形」という。)を有する点に共通性がある。そして、本件象図形と引用象図形は、その描き方において、線画と黒塗りの違いがあり、向きも左右反対であって、他の細部においても異なるところはあるが、鼻を振り上げた象の姿を表した全体輪郭は似通っているものと認められる。また、引用商標は、象の図形以外に「HUNTING WORLD」の文字などの構成部分を有しているが、本件商標は、構成中に文字部分を有しない。
(3)混同のおそれについて
引用商標は、前記のとおり著名な商標であり、その構成中の「HUNTING WORLD」の文字及び引用象図形は、それぞれが単独に表示された場合であっても、申立人の商標として認識されるものと認められる。
また、引用商標は、前記のように円形の皮革片上にプレスする方法で表示されることが多く、その場合の引用商標中の引用象図形はやや盛り上がって見えるものである。
そして、同様のプレスする方法で本件商標が、皮革片上などに表示された場合を想定すると、やや盛り上がって見える鼻を振り上げた象の姿を表した全体輪郭が見る者に強く印象され、これに比べて、本件象図形の細部を表している線の印象はそれほど強くないものとみることができる。
そしてまた、本件象図形と引用象図形では、象の向きが左右反対であるが、象の左右の向きの印象は、強いものではなく、必ずしも正確に記憶されるとはいえない。
そうしてみると、時と所を異にして、前記のプレスする方法で表示した本件象図形及び引用象図形に接するときは、やや盛り上がって見える鼻を振り上げた象の姿を表した全体輪郭が共に強く印象されるところ、その全体輪郭が似通っているため、両者は外観上、互いに紛らわしいものということができる。
そうすると、本件商標は、これをその指定商品について使用するときは、需要者において、これより申立人の著名な引用商標を直ちに連想し、その商品が申立人又は申立人と関係のある者の業務に係るものであるかのように、商品の出所について混同を生じさせるおそれがある。
(4)関連の異議決定及び登録例について
商標権者は、別紙(5)に示したとおりの構成の登録第4095409号商標に係る異議決定などの異議決定及び登録例を乙第6号証ないし乙第9号証により示して、本件異議申立ては理由がないと主張するが、本件については、前記のとおり認定判断できるものであり、この点の主張は採用できない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、本件商標登録は、同法第43条の3第2項の規定に基づき、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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