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Trademark Appeal Case

称呼類似性の判断

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2007−900526(T2007−900526/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5071770号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5071770号商標(以下「本件商標」という。)は、「CARINO」の欧文字と「カリノ」の片仮名文字とを二段に横書きしてなり、平成18年10月5日に登録出願、第25類「被服,妊産婦用被服」を指定商品として、同19年7月12日に登録査定、同年8月17日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由(要旨)

1 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、以下の(1)ないし(7)の登録商標を引用している。

(1)登録第2385143号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成1年12月15日に登録出願、第17類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同4年2月28日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらにその後、同14年5月8日に第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品とする書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

(2)登録第4403043号商標(以下「引用商標2」という。)は、「CARLA」と「CARINI」の欧文字を二段に横書きしてなり、平成11年9月20日に登録出願、第18類及び第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同12年7月21日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

(3)登録第4138630号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、1989年3月21日イタリア共和国においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張して、平成8年6月11日に登録出願、第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同10年4月24日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

(4)登録第4233842号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲(3)のとおりの構成よりなり、平成8年3月4日に登録出願、第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同11年1月29日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

(5)登録第3294123号商標(以下「引用商標5」という。)は、「CARLA」と「CARINI」の欧文字を二段に横書きしてなり、平成7年4月20日に登録出願、第3類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同9年4月25日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

(6)登録第4107490号商標(以下「引用商標6」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、平成8年6月11日に登録出願(優先権主張、イタリア共和国、1989.03.21)、第3類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同10年1月30日に設定登録されたものである。

(7)登録第4136620号商標(以下「引用商標7」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、平成8年6月11日に登録出願(優先権主張、イタリア共和国、1989.03.21)、第18類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同10年4月17日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

以上の(1)ないし(7)の登録商標を一括していいうときは「引用各商標」という。

2 理由の要点

(1)商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、「CARINO」の欧文字及び「カリノ」の片仮名文字より、「カリノ」の称呼が生じる。

一方、引用商標1は、別掲(1)のとおり、「Carla」の欧文字と「Carini」の欧文字を空白(スペース)を設けて筆記体で書してなる商標であり、「Carini」の文字に相応して、「カリニ」の称呼をも生じる可能性がある。

次に、引用商標2は、「CARLA」の欧文字を上段に、「CARINI」の文字を下段に書してなる商標であり、下段の「CARINI」という文字に相応して、「カリニ」の称呼をも生じる可能性がある。

そうすると、本件商標より生ずる「カリノ」の称呼と、引用商標1及び引用商標2より生ずる「カリニ」の称呼とは、共に3音構成からなり、3音中「カ」及び「リ」の音を共通にし、第3音の「ノ」と「ニ」に差異を有するのみであり、この差異も、「n」の子音を共通にした近似した音であることから、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは、その語調・語感が近似し、彼此相紛らわしいものというべきである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。

(2)商標法第4条第1項第15号について

申立人であるカルラ・カリーニ エッセ・ピ・アは、ファッション界において国際的に有名な企業の一つである(甲第8号証)。同人は、1968年から市場で活動する、モリア(マントヴァ)の被服関連企業である。このことは、同人のホームページにおいても記載されてる。

また、1970年代前半から現在まで、三十年以上にもわたり国際市場で活動を展開してきた。

さらに、申立人は、NATIONAL CHAMBER OF ITALIAN FASHION(以下「NATIONAL CHAMBER」という。)のメンバーである(甲第9号証)。

NATIONAL CHAMBERは、イタリアでファッション分野において最大で最も重要な団体であり、世界中で宣伝され注目される、ミラノの“Moda Donna”ファッションショーを含む業界最大のイベントの開催と運営を行っている。同メンバーの中には、例えば、VERSACE、PRADA、ROBERTO CAVALLI等、世界的に有名で重要なファッションデザイナーが名を連ねている。

NATIONAL CHAMBERは、例えば、パリ・ロンドン・ニューヨークの対応する団体など、世界レベルで業界最大級の団体とも繋がりをもち、連携している(甲第10号証)。重要なファッションショーがミラノ・パリ・ロンドンとニューヨークで行われていることは、世界的に知られている。

申立人は、ミラノの“Moda Donna”ファッションショーや他のファッションショーやそれらの関連行事に長年にわたって参加している。その証明として、2000年から現在に至るまでの世界的に有名なデザイナーARMANI、TRUSSARDI等が多数参加している“Moda Donna”ファッションショーと関連イベントのプログラムを添付する(甲第11号証ないし甲24号証)。

これらのイベントが明白に示すように、申立人とその商標の両方が、非常に広く宣伝され普及し、世界的高い名声を得ている。

さらに、申立人はその商標や商品とともに、VOGUE、ELLE、MARIECLAIRE、その他多数、世界中で常にファッション業界の一流の新聞や雑誌に掲載されている(甲第26号証ないし甲第34号証)。これは、申立人のホームページに公開されているものである(甲第25号証)。

また、申立人は、上述の引用商標1及び引用商標2以外にも、引用商標3ないし引用商標7を所有している。

これらの商標は非常に有名であり、CARLA CARINIは、名声あるスタイリストとして、日本において、また、世界的にも広く知られている。

また、申立人は、イタリア、欧州共同体商標(EC27ヶ国)、オーストリア、ベネルックス、スイス、ドイツ、フランス、中国、日本、モナコ、ポルトガル、バーレーン、アメリカ合衆国外多数の国々で認められた数々の商標を所有している。

以上のように、申立人の名声や世界的知名度は著しいといえる。

申立人の商標「CARLA CARINI」は、同人の商号に相当し、本件商標「CARINO」は、申立人の商標である「CARLA CARINI」「CARIN」の部分が一致する。

ここで、姓と名で構成されているファッション業界の商標は、その全体のみならず、姓だけでも、また、主に姓だけで認められ、消費者に知られているものであり、GIORGIO ARMANI−ARMANI、ROBERTO CAVALLI−CAVALLI、GIANNNI VERSACE−VERSACE、その他多数の例が考えられる。

申立人の商標「CARLA CARINI」も同様のことをいうことができ、「CARINI」のみで認識されるといえる。

したがって、「CARINI」の高い知名度を考慮して、「CARINI」を「CARINO」と比較すべきである。

これらの商標は同じ数の文字と数字で構成されているため視覚的に一致し、また、商標全体の印象も同じである。また、前記(1)で述べたように、上記両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは、その語調・語感が近似し、彼此相紛らわしいものというべきである。外観についても、「CARINO」と「CARINI」では、6文字のうち5文字が一致し、両者は互いに相紛らわしいといわざるを得ない。

したがって、本件商標は、申立人の商標と事実上、出所を混同するおそれがある商標であるということができ、本件商標は、申立人の関連の商品の、シリーズ商品あるいは関連商品であるかの如く、看取されるおそれがあるものといえる。

以上の事実に徴すれば、「CARINI」なる商標が、遅くとも本件商標の登録出願日前には、「被服,妊産婦用被服」の分野において申立人の著名な商標となっていたことは否定しえない。

してみれば、仮に、本件商標と引用商標1及び引用商標2とが非類似の商標であったとしても、「CARIN」を含む本件商標が被服等に使用された場合、「CARIN」の文字を含む本件商標に接する取引者又は需要者は、本件商標の語頭に位置する「CARIN」の文字部分に着目し、そのシリーズ商品あるいは関連商品であるかの如く、引用各商標をその一部に含むものとして看取し、認識される場合も決して少なくないというのが相当である。

そして、本件商標の指定商品中、「被服,妊産婦用被服」は、引用商標1及び引用商標2の使用商品と同一又は類似の商品である。

してみれば、本件商標は、その登録出願時において指定商品に使用するときには、取引者又は需要者が本件商標の構成中、「CARIN」の部分から引用商標1及び引用商標2を想起し、連想して、当該商品を申立人の業務に係る商品、あるいは、同人と組織的又は経済的に関係のある者の業務に係る商品であるかの如くに誤信し、その出所について混同するおそれがあったといわざるを得ない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。

3 以上のように、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものであり、同法第43条の3第2項の規定により取り消されるべきものである。

第3 当審の判断

1 商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、上記第1のとおり、「CARINO」の欧文字と「カリノ」の片仮名文字とを二段に横書きしてなるところ、その構成中の下段の「カリノ」の片仮名文字は、上段の「CARINO」の欧文字の表音を表したものと無理なく認識できるものであるから、これよりは「カリノ」の称呼のみ生じ、特定の意味を有しない造語というのが相当である。

他方、引用商標1は、別掲(1)のとおり「Carla」の欧文字と「Carini」の欧文字の下部に装飾的アンダーラインが両語を繋げるように施されており、全体として外観上極めてまとまりの良いといえるものであるから、これよりは、全体の欧文字に相応して、「カルラカリーニ」の称呼を生ずるというのが相当である(この点については、申立人自身が同人の商号の表記が「カルラ・カリーニ エッセ・ピ・ア」と述べている。)。

次に、引用商標2は、「CARLA」の欧文字を上段に、「CARINI」の欧文字を下段に書してなる商標であるところ、上段、下段共やや太字で同じ幅で表されており、引用商標1と同様に、全体として外観上極めてまとまりの良いといえるものであるから、これよりは、全体の欧文字に相応して、「カルラカリーニ」の称呼を生ずるというのが相当である。

そうとすれば、本件商標から生ずる称呼「カリノ」と引用商標1及び引用商標2から生ずる称呼「カルラカリーニ」とは、その音構成、構成音数において明らかな差異を有するものであるから、称呼上十分区別し得るものである。また、両者は、外観においても明らかな差異があり、観念においては、本件商標が上記のとおり特定の観念を有しないものであるから、比較できないものである。

したがって、本件商標と引用商標1及び引用商標2とは、称呼、外観及び観念のいずれの点においても紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。

2 商標法第4条第1項第15号について

(1)「CARINI」の著名性について

申立人の提出に係る甲第8号証ないし甲第34号証に、「Carla Carini」の表記、又は「CARLA」と「CARINI」との欧文字表記が認められるが、英文表記のみか、若しくはファッション雑誌の表紙の部分のみであって、引用各商標の具体的な使用方法が把握できる証拠とはいい難いものであるから、これらの証拠のみによっては、申立人のいう「CARINI」又は「Carini」のみをもって、本件商標の登録出願時(平成18年10月5日)及びその査定時(平成19年7月12日)において、我が国の服飾を中心としたファッション関連分野の取引者、需要者の間に広く知られていたものと認めるには不充分なものといわざるを得ない。

(2)混同について

本件商標と引用商標1及び引用商標2とは、上記1のとおり、十分に区別し得る別異の商標というべきものであ。

また、引用商標3、引用商標4、引用商標6及び引用商標7は、別掲(2)及び同(3)のとおりの構成よりなるところ、これらは、いずれも下段部分の「byCARLA CARINI」又は「DI CARLA CARINI」の文字部分の要部といえる「CARLA CARINI」の文字に相応して、「カルラカリーニ」の称呼を生ずるというのが相当である。

さらに、引用商標5は、引用商標2と同様の構成よりなるものであるから、「カルラカリーニ」の称呼を生ずるというのが相当である。

してみれば、本件商標と引用各商標とは、十分に区別し得る別異の商標といえるものであることに加え、上記のとおり、甲第8号証ないし甲第34号証のみによっては、申立人いう「CARINI」又は「Carini」のみをもって、本件商標の登録出願時(平成18年10月5日)及びその査定時(平成19年7月12日)において、我が国の服飾を中心としたファッション関連分野の取引者、需要者の間に広く知られていたものと認めるには不充分なものであることを総合すると、商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者をして、引用各商標を連想又は想起させるとはいえないものであって、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものといわなければならない。

3 まとめ

したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきである。

よって、結論のとおり決定する。

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