Trademark Appeal Case
DRYMESHの記述性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2007−900034(T2007−900034/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5001944号商標(以下「本件商標」という。)は、「DRYMESH」の文字を書してなり、平成18年3月2日に登録出願され、第25類「編目織洋服,編目織コート,編目織セーター類,編目織ワイシャツ類,編目織寝巻き類,編目織下着類,編目織水泳着,編目織水泳帽」を指定商品として、同年10月2日に登録査定、同年11月10日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は「吸汗・速乾性で網目織」を意味する「DRYMESH」の欧文字を表示したものであって、単に商品の品質を表示するにすぎず、自他商品識別標識としての機能を果たし得ないものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当し、同法第43条の2第1号により取り消されるべき旨主張し、証拠方法として甲第1号証ないし甲第23号証(枝番を含む。)を提出している。
3 本件商標に対する取消理由
平成19年7月10日付け取消理由の要旨は、次のとおりである。
(1)申立人の提出に係る甲第3号証ないし甲第23号証によれば、以下の事実を認めることができる。
(ア)申立人のカタログ(MID SUMMER 2004/2004年盛夏号)の「011」頁には、「Dry Mesh」の表示のもと、「夏の新しいアイテムとして好評の、ドライメッシュ素材がウィメンズとしても新登場。ドライ素材の爽やかさと、メッシュならではの通気性を兼ね備えた素材です。」と記載されており、当該頁以降には、「ドライメッシュT(半袖)」、「ドライメッシュハーフジップT」、「ドライメッシュショートパンツ」などと商品が紹介されている(甲第3号証)。
(イ)申立人のカタログ(2004 EARLY SUMMER)の「067」頁には、「Dry Mesh」の表示のもと、「吸汗・速乾のドライ機能。クーリング機能やUVカット、抗菌防臭などはすべてそのままに、織り方をメッシュにしたのが、ドライメッシュ。通気性に極めて優れていながら、汗をかいてもべとつかず、すぐにさらっとした感触に。メッシュ素材ならではのフィット感や軽さを追求したデザインと相まって、スポーツシーンやアクティブな着こなしに欠かせません。」との記載とともに、商品写真の説明として、「ドライメッシュクルーネックT(半袖)」、「ドライメッシュハーフパンツ」などが記載されている。また、「069」頁には、「DRY MESH T−shirt」の文字が商品の写真とともに記載され、その他の頁にも、「ドライメッシュ」の文字を冠した被服が掲載されている(甲第4号証)。
さらに、申立人の2002年のカタログ(甲第5号証)にも、「ドライメッシュラインクルーネックTシャツ」などの商品が紹介されている。
(ウ)2003年6月7日付けスポーツニッポン(甲第6号証)及び2002年5月25日付け繊研新聞(甲第7号証)には、サッカーのユニフォームとして、ユニクロのドライメッシュTシャツなどが提供ないし販売された旨の記事が掲載された。
(エ)1999年3月8日付け繊研新聞には、「デサント、ヨーカ堂 男性下着を共同企画、50万枚の販売見込む」の見出しのもと、「・・繊維の空隙(くうげき)率を増やして軽量にし、吸汗速乾性や形態安定性などの快適機能があるという。トランクスのウエスト部分はドライメッシュベルトで、汗を素早く吸い上げ、肌のべたつきを抑える効果を持たせた。」との記載がある(甲第8号証)。
(オ)1997年3月6日付け繊研新聞には、「ニチリウ 介護肌着を開発販売 高品質・低価格で」の見出しのもと、「『らくらく安心肌着』の名称で、基本素材に帝人の抗菌防臭素材『ジーバリヤー』や超極細繊維、ドライメッシュなどを使い、抗菌防臭、吸水性、保水性にすぐれている。」との記載がある(甲第9号証)。
(カ)1995年4月25日付け産経新聞(東京朝刊、10頁)には、「【情報ひろば】夏季専用のパンスト」の見出しのもと、「靴下専業メーカーの岡本(本社・奈良県広陵町)は、パンティー部分にドライメッシュを採用した夏季専用パンティーストッキング『サマー・ドライサポート』を発売した。ドライメッシュ仕様で、ヒップ部の通気性を良くした。脚部分は汗をかいてもべたつかず、抗菌防臭、吸汗加工を施した。」との記載がある(甲第10号証)。
(キ)「UNIQLO」をはじめ、「DESCENTE」、「YAMAHA」、「ランナーズ」等の被服メーカー各社は、「素材はデサント定番の吸汗速乾 ドライメッシュ」、「吸汗速乾素材を要所に取り入れた、涼しげな配色のドライメッシュ」、「優れた吸汗速乾性素材でドライ感をキープ」などの説明のもと、「ドライメッシュ半袖Tシャツ」、「ドライメッシュスーツ」、「ドライメッシュキャップ」などのように、「ドライメッシュ」の語を冠した商品を、遅くとも2004年10月20日には、インターネット上で広告し、販売していた(甲第11号証ないし甲第18号証)。
(ク)2004年12月9日付け繊研新聞には、「【インナーファッション】 紳士肌着 定番脱却、ニューインナーに期待 スポーツ向け提案増える」の見出しのもと、「YG−Xは、心地良さが長持ちする快適ビジネスアンダーを年間商品として打ち出すほか、夏場は鹿の子調のドライメッシュ素材を使用した商品で対応する。」との記載がある(甲第19号証)。
(ケ)2005年9月15日付け繊研新聞には、「クールビズ対応増やす グンゼM&K春夏 新庄キャンペーン継続」の見出しのもと、「YG−Xもクールビズ対応として、VネックTシャツのバリエーションを増やす。素材は吸水速乾、吸湿機能や、涼感ドライメッシュなどで涼しさを出す。」との記載がある(甲第20号証、甲第21号証(2006年2月7日付け繊研新聞)にも、同社の同様の記事が掲載されている。)。
(コ)2006年4月5日付け河北新報には、「2年目迎えたクールビズ商戦/涼しさ提案 期待は熱く 三越仙台店、早くも売り場開設」の見出しのもと、「肌着のグンゼは『ドライメッシュ肌着や消臭機能もある新商品を用意した。品ぞろえも生産体制も万全』と説明。東北6県でのクールビズ関連商品の売り上げを、前年より20%伸ばしたい考えだ。」との記載がある(甲第22号証)。
(サ)2006年8月11日付け繊研新聞には、「ユニクロのクールビス 70%増目標達成」の見出しのもと、「インナーでは、ドライメッシュインナーが2枚で990円という価格と、メッシュ地の清涼感が受け、春先から売れ筋となった。」との記載がある(甲第23号証)。
(2)上記で認定した事実によれば、「DRY MESH(Dry Mesh)」又は「ドライメッシュ」の語は、「通気性があり、汗をかいても、汗を素早く吸収し、生地が肌にべとつかず、不快感の少ない素材」なる意味合いをもって、被服等を取り扱う分野において、本件商標の登録査定時(平成18年10月2日)には、既に普通に使用されていたことが認められる。
(3)本件商標は、前記のとおり、「DRYMESH」の文字を普通に用いられる方法で書してなるところ、これよりは、ごく自然に「ドライメッシュ」と称呼され得るものであって、前記被服等を取り扱う分野における取引の実情を考慮すれば、本件商標をその指定商品に使用した場合には、これに接する需要者は、「通気性があり、汗をかいても、汗を素早く吸収し、生地が肌にべとつかず、不快感の少ない素材を使用した商品」なる意味合い、すなわち、単に商品の品質を表示したものと認識するにとどまり、自他商品の識別機能を発揮する商標とは認識しないものというべきである。
(4)以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号に違反してされたものというべきである。
4 商標権者の意見
上記3の取消理由に対し、商標権者は、次のように意見を述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第5号証を提出している。
(1)本件商標は、前半部分の「DRY」と、後半部分の「MESH」を結合してなるものであり、「DRY」をYahoo辞書の「プログレッシブ英和中辞典」(乙第1号証)で検索すると、「1 かわいた、乾燥した、かわかした、2 雨がふらない、乾燥した、12 ・・・」等、その意味するところは多種におよんでいる。本件商標「DRYMESH」を、YAHOO辞書の「すべての辞書」で検索しても、該当する情報は見つからず、「新英和辞典(研究社発行)」及び「ファッション辞典」にも掲載されていない。本件商標は、「DRY」と「MESH」の語を結合させた造語であり、その意味合いは、「かわいた編目」、「乾燥した編目」の他に「無味乾燥な編目」、「飾り気のない編目」ほどのものである。
(2)申立人提出の証拠を検証してみると、「DRY MESH(Dry Mesh)」又は「ドライメッシュ」の語が、申立人主張の「通気性があり、汗をかいても、汗を素早く吸収し、生地が肌にべとつかず、不快感の少ない素材」なる意味合いを直接表示するものとして、その指定商品である被服業界全般において、普通に使用されているとはいえない。以下に、その理由を述べる。
(3)申立人は、自社カタログ、各種新聞の掲載記事より、一般需要者において、「DRYMESH(ドライメッシュ)」の語が「通気性があり汗をかいても汗を素早く吸収し、生地が肌にべとつかず、不快感の少ない素材」なる意味合いを持って、被服等を取り扱う分野に普通に使用されていたと主張している。
しかし、実際の使用内容は、申立人の証拠資料の文面に使用されている「ドライメッシュ」の語の「前後の文字」により、申立人の主張するところの意味合いである「通気性があり汗をかいても汗を素早く吸収し、生地が肌にべとつかず、不快感の少ない素材」を想起させているものであり、「ドライメッシュ」の語より想起されるものではない。
各資料の使用方法については、「DRYMESH(ドライメッシュ)」が単独で使用されているものではなく、「ドライメッシュ○○」、「○○ドライメッシュ」、「○○がドライメッシュ」とか「ドライメッシュで○○」との使用方法である。このことは、「DRYMESH(ドライメッシュ)」の語が一般用語化されていないことを意味するものである。
(4)一般需要者における英語理解力は、日常親しまれている「DRY」、「MESH」については辞典に掲載されている意味の範囲である「乾いた」、「乾かせる」、「ありのままの」、「飾り気のない」、「そっけない」であり、「網の目」と理解するのが普通であり、「DRYMESH」が、単独で特定の観念を持つ語ではないことが明白である。申立人の主張する意味合いである「通気性が良い」、「汗を素早く吸収」、「肌にべとつかない」とか「不快感の少ない」等を一般需要者が想起することは不可能である。
(5)業界紙の記事について、「DRYMESH」(ドライメッシュ)の語が普通に使用されていると主張するが、「DRYMESH」(ドライメッシュ)単独で使用されていない使用方法であり、「DRYMESH」(ドライメシュ)の語の前ないしは後ろに、その説明又は解説の言葉が附記されている内容である。このことは、「DRYMESH」(ドライメッシュ)の語が、異議申立人の主張する意味合いを持って、本件商標の指定商品である被服業界に普通に使用されていることの証拠とはならないものである。
(6)一般的に、業界紙のニュースにおいては、記者本人の文章ではなく、当該企業より提供された販促用リリースに基づくものであり、記事に使用される語が、すべて一般用語化されたものであるとはいい得ない。これらのことからして、被服関係の業界全般において、「DRYMESH」(ドライメッシュ)が普通に使用され、誰もが、申立人の主張する意味合いを容易に理解するものではないことが明らかである。
(7)よって、本件商標「DRYMESH」は、その指定商品の業界において、品質等を普通に表すものとして使用されているものではない。
5 当審の判断
(1)本件商標は、前記のとおり、「DRYMESH」の文字よりなるところ、その構成中の「DRY」の文字は、「乾いた、乾燥した」等を意味する英語であり、同じく「MESH」の文字は、「網の目、網目状の織物」等を意味する平易な英語として知られているものであるが、同義と認められる「ドライ」や「メッシュ」の文字についても、「広辞苑第五版」によれば、それぞれ「乾いているさま。無味乾燥のさま。」及び「網の目。網目織り」等を意味する外来語として日常的に用いられ、その意味も広く知られているものである。
そして、両語を結合した「DRYMESH」ないし「ドライメッシュ」の文字が、上記3の(1)の(ア)ないし(サ)に記載された事実によれば、該文字が「汗を素早く吸収し、素早く乾かす、通気性に優れ、汗をかいてもべとつかず、不快感の少ない素材」程の意味合いをもって、本件指定商品に含まれる「ティーシャツ,タンクトップ,ショートパンツ,パンティーストッキング,作業服,下着,ポロシャツ」等について、商品の品質を表すための語として普通に使用されていることが認められる。
そうすると、本件商標をその指定商品について使用しても、これに接する取引者、需要者は「通気性に優れ、汗を素早く吸収して、素早く乾かす網目織りの商品」の如き意味合いを表したものと容易に認識するに止まるから、結局、本件商標は、単に商品の品質を表示したにすぎず、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、上述したとおり、商標法第3条第1項第3号に違反してされたものといわなければならない。
(2)上記の取消理由に対し、商標権者は、申立人の提出に係る甲第3号ないし6号証、甲第8号ないし11号証及び甲第18号ないし23号証について、「DRYMESH(ドライメッシュ)」の語が単独で使用されているものではなく、「ドライメッシュ○○」、「○○ドライメッシュ」、「○○がドライメッシュ」とか、「ドライメッシュで○○」との使用方法であり、このことは「DRYMESH(ドライメッシュ)」の語が一般用語化されていないことを意味する旨を主張している。
しかしながら、「DRYMESH(ドライメッシュ)」という文字が、現在のところ、単独で使用されてる製品が存在しないとしても、例えば、「ドライメッシュクルーネックTシャツ(半袖)」や「ドライメッシュタンクトップ」など、本件商標に係る指定商品の普通名称に冠して本件商標が使用されている取引の実情よりすれば、かかる表示は、将来とも一定の商品の品質、機能及び効能等を表示するものとして理解されるものであって、かつ、汗の濡れ戻りを防ぎ、ドライ感を保つ商品(衣服)を取引過程に置く場合に、この種の商品(衣服)を取り扱う当業者であれば、何人もその使用をする必要性が生じ得るものであり、また、そうすると、何人もその使用を欲するものとみるのが相当であるから、かかるものを特定の一私人に商標登録させ、その独占的使用に委ねることは、商標本来の機能・役割(自他商品の識別標識)と商標使用者の業務上の信用の維持・保護を目途とする法目的(商標法第1条)に照らし、妥当性を欠くものといわなければならない。
してみれば、単独で使用されていない点を述べる商標権者のこの主張は、妥当でなく、採用することができない。
また、商標権者は、一般的に業界紙のニュースにおいては、記者本人の文章ではなく、当該企業より提供された販促用リリースに基づくものであり、記事に使用される語が、すべて一般用語化されたものであるとはいい得ない。これらのことからして、被服関係の業界全般において、「DRYMESH」(ドライメッシュ)が普通に使用され、誰もが、申立人の主張する意味合いを容易に理解するものではないことが明らかである旨を主張している。
しかしながら、商標権者は、「記事に使用される語が、すべて一般用語化されたものであるとはいい得ない。したがって、誰もが、申立人の主張する意味合いを容易に理解するものではない」旨を主張するのみで、この主張を裏付ける何らの証拠も提出していない。
してみれば、「DRYMESH」(ドライメッシュ)の文字が、普通に使用されていることは前記(1)のとおりであるから、この理由をもって先の取消理由の認定を覆すことはできない。
(3)以上のとおり、商標権者のこれらの意見は是認し得るものでなく、本件商標の登録は、前記法条の規定に違反してされたものといわざるを得ないから、その登録は商標法第43条の3第2項により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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