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Trademark Appeal Case

品質表示の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2006−29008(T2006−29008/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

第1 本願商標

本願商標は、「省燃費ATF」の文字を標準文字で書してなり、第4類「工業用油」を指定商品として、平成18年2月17日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶理由の要点

原査定は、「本願商標は、『燃料消費を省くこと』の意味合いを認識させる『省燃費』の文字と、『自動変速機用油』を指称する英語『automatic transmission fluid』の略語と認められる『ATF』の文字とを一連に『省燃費ATF』と標準文字で書してなるものであるから、これをその指定商品中の前記文字に照応する商品に使用するときは、その商品が燃料消費を省くことができる自動変速機用油であることを理解、認識させるものであって、単に商品の品質を表示するにすぎない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨、認定、判断して本願を拒絶したものである。

第3 当審における職権証拠調べ通知

本件審判事件について、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを行ったところ、下記の事実を発見したので、商標法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対し、証拠調べの結果を通知し、期間を指定して意見を申し立てる機会を与えたが、請求人からは何らの意見もない。

1 「省燃費ATF」の語に関して行った職権による証拠調べによれば、以下の事実が認められる。

(1)「省燃費」の語の有する意味について

「新明解国語辞典 第六版」(株式会社三省堂、2006年2月10日発行)に、「〔省〕・・・(中略)・・・はぶく。『省略・省力・冠省』の意。」「ねんぴ【燃費】〔燃料消費率〕・・・(後略)・・・」の記載がある。

(2)「省燃費」の語が、「燃費消費率を省く」の意味合いを有するものとして本願の指定商品「工業用油」を扱う業界において一般に使用されている事実について

(ア)「社団法人 潤滑油協会」のウエブサイト(http://www.jalos.jp/jalos/paper/pdf/2005report05.pdf#search='”省燃費潤滑油に関する調査”')、「第4章 省燃費潤滑油に関する調査 第4節 ガソリンエンジン油の規格動向 1.ガソリンエンジン油規格の変遷」の項(第51頁)に「ガソリンエンジン油の省燃費化は、・・・(中略)・・・環境問題の重要な課題となっている。」「1983年には最初の省燃費油規格である省燃費(EC : Energy Conserving )が米国石油協会(API : American Petroleum Institute)により採用された。」の記載がある。

(イ)「新日本石油株式会社」のウエブサイト(http://www.eneos.co.jp/company/rd/intro/lubricants/e71_cordinlu_hairyo.html)に、「省燃費エンジン油 エンジン油にはさまざまな働きがありますが、金属部品が擦れ合う場所の摩擦や摩耗を減らしてエンジンを保護することも重要な役割のひとつです。エンジン内部で発生する摩擦はエンジンの効率を低下させる要因となり、摩擦の大小が自動車の燃費に直接影響します。自動車の燃費向上は環境への配慮から社会的な命題となっており、摩擦損失を小さくできる省燃費エンジン油への期待が高まっています。」の記載がある。

(ウ)「ビーピー・カストロール株式会社」のウエブサイト(http://www.bp-oil.co.jp/product/compact/compact-cute.html)に、「0W-20推奨コンパクトカー専用に開発された高性能省燃費型オイルです。フリクションロスを抑えてパワーロスを低減させ、省燃費型エンジン本来の性能を最大限に発揮させます。」の記載がある。

(エ)「Mobil 1」のウエブサイト(http://www.mobil1.jp/cts/pdt/superhp.html)に、「モービル スーパーHP SM 5W-30は、優れた潤滑性能とコストパフォーマンスを両立させたエンジンオイルで、最新の省燃費規格ILSAC GF-4に適合した省燃費型エンジンオイルです。」の記載がある。

(オ)「Oil Labo」のウエブサイト(http://www.oil-labo.com/eco.html)に、「当ページでは、地球環境に優しくサーキット走行にも使える高性能エコオイル・省燃費オイルをご紹介しています。」の記載がある。

(カ)「北日本石油株式会社」のウエブサイト(http://www.kitanihon-oil.co.jp/pc/oil.htm)に、「最も厳しい環境・省燃費基準をクリアした次世代型最高級オイル。 コスモリオ ネオロード」の記載がある。

(3)「ATF」の語の有する意味について

(ア)「自動車用語中辞典」(株式会社山海堂、平成9年5月25日発行)に、「エー・ティー・エフ〔ATF;automatic transmission fluid〕 エー・ティー・エフ・オイル」「エー・ティー・エフ・オイル〔ATF oil〕 自動変速機用油.オートマチック・トランスミッション・フルードの略.SAE10W級の粘度があり、酸化安定性に富み、大きな粘度指数を持つものが用いられる。」の記載がある。

(イ)「『ATF』いまさら聞けない!?自動車用語辞典」のウエブサイト(http://homepage3.nifty.com/KMG/dic/atf.html)に、「ATFとは、Automatic Transmission Fluid(オートマチック・トランスミッション・フルード)の略で、AT車のトランスミッション用オイルのこと。ギア(歯車)の潤滑・冷却・洗浄のほか、油圧によるATの制御やトルコン内部で駆動力を伝達する役割も果たす。」の記載がある。

(4)「ATF」の語が、「自動変速機用油」の意味合いを有するものとして本願の指定商品「工業用油」を扱う業界において一般に使用されている事実について

(ア)「日刊工業新聞」(1997年1月31日付け、7頁)に、「ハイテク講座/新石油時代(12)東燃、潤滑油ATF開発リーダー・吉村成彦氏」の見出しの下「最も高度な配合技術を有する潤滑油の一つに自動車用自動変速機油(ATF=オートマティックトランスミッションフルード)がある。」の記事がある。

(イ)「日刊工業新聞」(1998年9月4日付け、14頁)に、「ヤマダコーポ、AT車用オイル交換機を発売。マイコン制御で新油給油・廃油排出」の見出しの下「オートマティックトランスミッションフルード(ATF)の交換だけでなく、エンジンオイルの交換にも対応した。」の記事がある。

(ウ)「化学工業日報」(2006年12月7日付け、2頁)に、「新日本石油、米の潤滑油・グリース工場本格稼働」の見出しの下「NOLAの生産能力は潤滑油年三・八万キロリットル、グリース同八百トンで、省燃費効果の高いエンジン油、ATF(自動車用自動変速機潤滑油)、耐久性の高いグリースなどを製造する。」の記事がある。

(5)「省燃費」の語が、「燃費消費率を省く」の意味合いを有するものとして、また、「ATF」の語が、「自動変速機用油」の意味合いを有するものとして本願の指定商品「工業用油」を扱う業界において一般に使用されている事実について

(ア)「出光株式会社」のウエブサイト(http://www.idemitsu.co.jp/company/information/news/2006/070327_2.html)に、「2006年度 『ゼプロATF ECO』を4月1日から発売します 〜ATF(オートマチックフルード)でも省燃費を追求〜 当社(本社:東京都千代田区、社長:天坊 昭彦)は、2007年4月1日から、当社系列SSで、省燃費ATF(Automatic Transmission Fluid:自動車の自動変速機用潤滑油)『ゼプロATF ECO』を発売します。」の記載がある。

(イ)「新日本石油」のウエブサイト(http://www.eneos.co.jp/carlife/product/lubricants/ss/atf/index.html)に、「快適な走りと省燃費性能を両立させた新世代省燃費型ATF」の記載がある。

(ウ)「財団法人 石油産業活性化センター(PEC)」のウエブサイト(http://www.pecj.or.jp/japanese/report/2006report/06R214.pdf#search='”省燃費ATF”')、「〔R2.1.4〕省燃費型自動車用潤滑油生産に向けた次世代鉱油系基油製造プロセスの研究開発 3.3.2 省燃費エンジン油、ATFの開発 (2)省燃費ATF油」の項に、「試験の結果、開発ATFにより省燃費効果2.36%を得た。」の記載がある。

第4 当審の判断

上記第3の事実によれば、本願商標は、これをその指定商品中「自動変速機用油」に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、商品の品質を表示するものとして把握、認識するにとまるものと認められる。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、上記以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。

してみれば、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、取り消すべき限りでない。

よって、結論のとおり審決する。

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