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Trademark Appeal Case

ビットパターンドメディアの識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2008−352(T2008−352/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「ビットパターンドメディア」の片仮名文字を標準文字で表してなり、第9類「耳栓,加工ガラス(建築用のものを除く。),アーク溶接機,金属溶断機,電気溶接装置,オゾン発生器,電解槽,検卵器,金銭登録機,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,手動計算機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,パンチカードシステム機械,票数計算機,ビリングマシン,郵便切手のはり付けチェック装置,自動販売機,ガソリンステーション用装置,駐車場用硬貨作動式ゲート,救命用具,消火器,消火栓,消火ホース用ノズル,スプリンクラー消火装置,火災報知機,ガス漏れ警報器,盗難警報器,保安用ヘルメット,鉄道用信号機,乗物の故障の警告用の三角標識,発光式又は機械式の道路標識,潜水用機械器具,業務用テレビゲーム機,電動式扉自動開閉装置,乗物運転技能訓練用シミュレーター,運動技能訓練用シミュレーター,理化学機械器具,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,磁心,抵抗線,電極,消防艇,ロケット,消防車,自動車用シガーライター,事故防護用手袋,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク,防火被服,眼鏡,家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM,スロットマシン,ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮袋,運動用保護ヘルメット,エアタンク,水泳用浮き板,レギュレーター,レコード,メトロノーム,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM,計算尺,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,電子出版物」を指定商品として、平成18年11月2日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は、「本願商標は、ハードディスクの高記録密度化に向けた次世代記録媒体(磁性層の結晶を規則的に並べ、数個の結晶粒に1ビットを対応させる磁気記録方式)として開発が進められている『ビットパターンドメディア』の文字よりなるものであるから、これをその指定商品中、上記に照応する記録媒体及び同記録媒体を搭載した各種の機械器具に使用しても、その商品の品質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあり、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審における証拠調べ通知

当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、以下の事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して証拠調べ通知書を送付した。

1.新聞記事情報

(1)「フラッシュ数十個で構成するSSD――HDDの牙城崩せるか(イノベーションの潮流)」

「DTRよりさらに高密度にできるビットパターンドメディア(BPM)方式の開発を進める企業もある。点状の磁性材料領域をディスク上に高密度で配置し、一個の磁性領域に一個のデータを割り当てる。」

(2008.03.13 日経産業新聞)

2.インターネット検索情報

(1)「富士電機アドバンストテクノロジー」のホームページ(以下、HPという。)内の「ストレージメディア研究所」の標題で、「ハードディスクの高記録密度化においては、記録トラックの高密度化によるトラック間干渉の増大や、磁性粒子の微細化による熱揺らぎが問題となります。そこで、記録トラック間を分離してトラック間の干渉を低減するディスクリートトラックメディアや、記録ビット間を分離して熱安定性を高めるビットパターンドメディアの重点開発を行っています。」との記載。 (http://www.fujielectric.co.jp/fat/tec/storage.html)

(2)「新社会システム総合研究所」のHP内のレポート情報「垂直磁気記録の最新技術」の<8>次世代高密度化技術において、「2.パターンドメディア ビットパターンドメディアの熱磁気設計」との記載。 (http://www.ssk21.co.jp/repo/R_R02V0166.html)

(3)「日本磁気学会」のHP内の「第158回研究会報告 第24回ハイブリッド記録専門研究会報告 『次世代高密度磁気記録:パターンドメディアかハイブリッド記録か』」の標題で、「磁気記録技術が懸念する密度限界を打破する技術、ポストグラニュラー媒体の視点から有力視されている、熱アシスト磁気記録、ビットパターンドメディアの両技術に着目し、最新の研究成果をご紹介していただいた。」との記載。 (http://www.wdc-jp.com/msj/seminar/topical/158e.html )

(4)「内閣府 地域科学技術ポータルサイト」のHP内の「研究テーマデータベース」の標題で、「強磁性−反強磁性転移を誘起するイオンパターニングによるビット・パターンド・メディアの開発」を研究テーマ名とし、「ビット・パターンド・メディア(BPM)は直径10〜20nm の強磁性ドットを非磁性媒質中に配列した記録媒体であり、テラビット/ 平方インチを越える次世代超高密度磁気記録メディアとして期待される。その作製手法には微細加工あるいは自己組織化を利用した化学的手法等が検討されているが、技術的難しさや製造コストなどの多くの点で実用性に難がある。」との記載。(http://www.chiiki.go.jp/searchpjt.php?action=detail&code=1963015112)

(5)「SBIインテクストラ株式会社」のHP内の 「NEW REPORTS HDD(ハードディスク装置)関連技術〜Tバイト時代を迎えるHDD〜」の標題で、「【分析対象について】● 媒体の高密度化技術として、先行する『ディスクリート・トラック』、実用化に更なる時間を要する『ビット・パターンドメディア』、『熱アシスト記録』を取り上げる。● 実用化が予定される『ディスクリート・トラック』技術は垂直記録方式を採用し、実現できる記録密度は1Tビット/(平方インチ)とされている。一方、『ビット・パターンドメディア』技術、『熱アシスト記録』技術は、記録方式の転換を図ることにより、1Tビット/(平方インチ)超えの記録密度を可能にするといわれる。」との記載。 (http://www.intechstra.com/infoservice/reportnumber/no06/index.html)

(6)日経BP社の情報技術に係る専門情報サイトであるITProのHP内の、「ニュース」記事(2006年5月17日付け)において、「また、Self Organized Magnetic Arrays(SOMA)やBit Patterned Media (BPM)recordingなどもHDDへの採用を考えている。SOMAは形もサイズもバラバラな磁性体をある程度同じ大きさ、同じ形にすることで記録密度を上げる技術だ。BPMは1ビット中の磁性体の数を少なくして、効率的に磁性体を利用する技術。これらの技術によって、記録密度は50テラビット/平方インチに高まるだろう。ロードマップとしてはこれらの技術が採用されるようになるのは、およそ10年後だろう。」との記載。(http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/USNEWS/20060502/236869/?ST=pc_news)

(7)電子情報通信学会技術研究報告. MR, 磁気記録(IEICE technical report. Magnetic recording Vol.107, No.324(20071109) pp. 7-12 MR2007-27 社団法人電子情報通信学会 ISSN:09135685)の、「Magnetization behavior of nanomagnets for patterned media application (磁気記録・情報ストレージ・PMRC(Perpendicular Magnetic Recording Conference)2007特集)Magnetization behavior of nanomagnets for patterned media application」の抄録では、「微細加工技術を用いて形成した磁性ドットアレイを媒体とし、1ドットに1ビットの記録を行うビットパターンドメディア(BPM)が次世代超高密度記録の候補として注目されている」との記載。(http://ci.nii.ac.jp/naid/110006533065/)

(8)株式会社アイメスのHP内の「磁気ディスクヘッド試験装置事業」中の「ハードディスク用リードライトテスター」において、「また、業界唯一のVCMフォローイング技術により、ディスクリートトラックメディア、ビットパターンドメディア、磁気転写サーボメディア等の次世代記録メディアの実践的な評価を可能としています。」との記載。(http://www.imes.co.jp/service/service04.html)

(9)株式会社クレステックのHP内の「製品情報」のEBマスタリング装置CEBRシリーズの説明として、「次世代DVD及び次世代HDD(ビットパターンドメディア)用の回転ステージを使ったEBマスタリング装置です。」との記載。(http://www.crestec8.co.jp/japaneseF/prod/)

4 証拠調べに対する意見の内容(要点)

前記3の「証拠調べ通知」に対して、請求人が提出した意見書の内容は以下のとおりである。

商標において品質(質)表示等に該当する、あるいは、自他商品識別力なしと判断できるのは、対象となる標章全体、あるいは、構成要素が、取引者、需要者の間で、定着しているか、あるいは、どのぐらい使用されているかなどを勘案し、商標に接する取引者、需要者が、商品(役務)との関係において、一致して同一の品質(質)内容、同一の用途内容等を認識できるものでなければならない。

しかしながら、前記3における使用例は未だ研究段階というべきものであって、記録媒体を取り扱う業界において、取引上普通に使用されているものとはいい難い。

そうとすると、本願商標から、記録媒体を取り扱う業界の取引者、あるいは、記録媒体を購入する一般の需要者が一致して、「磁性材料領域をディスク上に高密度で配置し、1個の磁性領域に1個のデータを割り当てた磁気記録方式」の意味を直感することはない。さらに、「磁性材料領域をディスク上に高密度で配置し、1個の磁性領域に1個のデータを割り当てた磁気記録方式で記録された記録媒体」とは、本願指定商品の何れを指し、又は指し得るのか、加えて、本願商標が如何なる理由で「機能の誇称」となるのか指摘がない。

請求人としては、本願商標を指定商品に使用しても、充分に自他商品識別機能を備え、登録適格を有する商標と考えている。

5 当審の判断

本願商標は、前記1のとおり「ビットパターンドメディア」の片仮名文字を標準文字で表してなるところ、前記3の証拠調べによれば、該文字は、本願指定商品中、電気通信機械器具、電子応用機械器具及びその部品など記録媒体(メディア)を取り扱う業界においては、ハードディスクの高密度化のための開発が進む中で、さらなる高密度化のための技術として、磁性材料領域をディスク上に高密度で配置し、1個の磁性領域に1個のデータを割り当てた磁気記録方式による記録媒体を、「ビットパターンドメディア」と称している実情にあるといい得るものである。

そして、上記業界においては、記録方式が高密度化された「HDD(ハードディスクドライブ)」を採用していることを謳う商品が取引されているというのが相当であるから、本願商標を指定商品中、このような記録方式の高密度化が進んでいるハードディスクドライブを採用する商品、すなわち、「磁性材料領域をディスク上に高密度で配置し、1個の磁性領域に1個のデータを割り当てた記磁気記録方式による記録媒体を採用したハードディスクドライブ,同磁気記録方式による記録媒体を採用したビデオカメラ,同磁気記録方式による記録媒体を採用した乗物用ナビゲーション装置,同磁気記録方式による記録媒体を採用した電子計算機,同磁気記録方式による記録媒体を採用した業務用テレビゲーム機,同磁気記録方式による記録媒体を採用した家庭用テレビゲームおもちゃ」に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、「磁性材料領域をディスク上に高密度で配置し、1個の磁性領域に1個のデータを割り当てた磁気記録方式で記録された記録媒体」あるいは「同記録媒体を組み込んだ商品」であると理解し、単に商品の品質、機能を表示したものと認識し、把握するにとどまるというべきであるから、自他商品の識別標識としての機能を有する商標とは認識し得ないものといわざるを得ない。

また、本願商標を上記商品以外の「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,業務用テレビゲーム機,家庭用テレビゲームおもちゃ」について使用するときは、商品の品質、機能について誤認を生じさせるおそれがあるものというべきである。

なお、請求人は、前記3に対して、平成20年7月9日付け意見書において前記4に記載の旨述べ、前記3で提示された使用例は未だ研究段階というべきものであって、記録媒体を取り扱う業界において、取引上普通に使用されているものとはいえない旨主張するが、そもそも、商標法第3条第1項第3号に規定する品質表示というためには、指定商品の品質を表すものとして取引者、需要者に認識されるか否かが重要なのであって、商品の品質を表すものとして現実に使用されていることは必ずしも必要ないものであるから(昭和52年(行ケ)第82号 東京高裁昭和56年5月28日判決言渡、平成13年(行ケ)第207号 東京高裁平成13年12月26日判決言渡)、請求人の上記主張を採用することはできない。

したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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