Trademark Appeal Case
官公庁名称を含む商標の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2008−10193(T2008−10193/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、「警視庁0課の女」の文字を標準文字で表してなり、第9類、第28類及び第41類に属する願書に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成18年11月16日に登録出願、その後、指定商品及び指定役務については、原審における同19年9月6日付け手続補正書により、第9類「耳栓,加工ガラス(建築用のものを除く。),アーク溶接機,金属溶断機,電気溶接装置,オゾン発生器,電解槽,検卵器,金銭登録機,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,手動計算機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,パンチカードシステム機械,票数計算機,ビリングマシン,郵便切手のはり付けチェック装置,自動販売機,ガソリンステーション用装置,駐車場用硬貨作動式ゲート,救命用具,消火器,消火栓,消火ホース用ノズル,スプリンクラー消火装置,火災報知機,ガス漏れ警報器,盗難警報器,保安用ヘルメット,鉄道用信号機,乗物の故障の警告用の三角標識,発光式又は機械式の道路標識,潜水用機械器具,業務用テレビゲーム機,電動式扉自動開閉装置,乗物運転技能訓練用シミュレーター,運動技能訓練用シミュレーター,理化学機械器具,フィルム内蔵一体型簡易カメラ,その他の写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,携帯電話機用ストラップ及びネックピース,その他の電気通信機械器具,コンピュータ用のゲームプログラム,携帯電話機用ゲームプログラム,その他の電子応用機械器具及びその部品,磁心,抵抗線,電極,消防艇,ロケット,消防車,自動車用シガーライター,事故防護用手袋,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク,防火被服,眼鏡,家庭用テレビゲーム機並びにその部品及び附属品,家庭用テレビゲームおもちゃ用プログラムを記憶させた記録媒体,家庭用テレビゲームおもちゃ用プログラム,その他の家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM,回胴式遊技機,その他のスロットマシン,ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮袋,運動用保護ヘルメット,エアタンク,水泳用浮き板,レギュレーター,メトロノーム,計算尺」、第28類「スキーワックス,遊園地用機械器具(業務用テレビゲーム機を除く。),愛玩動物用おもちゃ,おもちゃ,人形,囲碁用具,歌がるた,将棋用具,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,トランプ,花札,マージャン用具,ぱちんこ器具,その他の遊戯用器具,ビリヤード用具,運動用具,釣り具,昆虫採集用具」及び第41類「当せん金付証票の発売,技芸・スポーツ又は知識の教授,献体に関する情報の提供,献体の手配,セミナーの企画・運営又は開催,動物の調教,植物の供覧,動物の供覧,美術品の展示,庭園の供覧,洞窟の供覧,スポーツの興行の企画・運営又は開催,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),競馬の企画・運営又は開催,競輪の企画・運営又は開催,競艇の企画・運営又は開催,小型自動車競走の企画・運営又は開催,スポーツクラブ又はアスレチックジムの提供,その他の運動施設の提供,ゲーム機械器具を備えた遊戯場の提供,スロットマシン場の提供,パチンコホールの提供,ビリヤード場の提供,カラオケ・ビデオカラオケ施設の提供,インターネット又はコンピュータネットワークを通じた通信端末を利用したゲームの提供及びこれに関する情報の提供,その他の娯楽施設の提供,運動用具の貸与,おもちゃの貸与,遊園地用機械器具の貸与,遊戯用器具の貸与,書画の貸与,写真の撮影,通訳,翻訳,カメラの貸与,光学機械器具の貸与」に補正されたものである。
第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は『警視庁0課の女』の文字を標準文字で書してなるところ、構成中の『警視庁』の文字は、『東京都の警察行政をつかさどる官庁,長として警視総監をおき,管内には警察署をおく』(株式会社岩波書店『広辞苑第五版』)として全国的に知られており、また、該文字は本願商標の構成中前半部に位置し看者の注意を惹く部分といえ、本願商標に接する取引者・需要者が該文字部分に強く印象づけられ認識されることからも、本願商標は常に一体不可分のものとして把握しなければならない特別の理由は認められない。そうすると、本願商標は、国若しくは地方公共団体若しくはこれらの機関等を表示する標章であって著名なものと同一又は類似の商標と認められる。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断して、その登録を拒絶したものである。
第3 当審の判断
1 商標法第4条第1項第6号について
商標法第4条第1項第6号(以下「本号」という。)において、「国若しくは地方公共団体若しくはこれらの機関、公益に関する団体であって営利を目的としないもの又は公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章であって著名なものと同一又は類似の商標」は、商標登録を受けることができない旨規定している。
工業所有権法逐条解説[第17版](特許庁編集 社団法人発明協会発行)によれば、「六号の立法趣旨はここに掲げるものを表示する標章を一私人に独占させることは、本号に掲げるものの権威を尊重することや国際信義の上からみて好ましくないという点にある。なお、本号は八号と異なり、その承諾を得た場合でも登録しないのであるから単純な人格権保護の規定ではなく、公益保護の規定として理解されるのである。」と説明されている。
そこで、以上の観点から本件について検討する。
2 本願商標の本号の該当性について
(1)「警視庁」の著名性の認定
本願商標は、前記第1のとおり「警視庁0課の女」の文字を書してなるところ、その構成中の「警視庁」の文字は、「東京都の警察行政をつかさどる官庁」を表示する標章と同一のものと認められる。
また、「警視庁」の文字が、全国的に知られていることは、以下の(ア)ないし(オ)等の新聞記事情報からも明らかであり、本願構成中の「警視庁」の文字は、「地方公共団体の機関を表示する標章であって著名なもの」に該当するものと認められる。
(ア)毎日新聞(2008年7月16日付け
兵庫
23頁)
「神戸・灘区の殺人未遂:指名手配の容疑者逮捕 /兵庫」の見出しの下、「・・・15日午後、
警視庁
の捜査員が逮捕した。」の記載。
(イ)毎日新聞(2008年7月13日付け
地方版/茨城
28頁)
「詐欺:ニセ警官名乗り 取手の女性、口座情報盗み取られ330万引き出される /茨城」の見出しの下、「10日に市内の金融機関から女性に「不審な取引がある」と指摘があり、
警視庁
品川署に問い合わせて被害に気付いたという。」の記載。
(ウ)読売新聞(2008年7月11日付け
西部朝刊
25頁)
「山本弁護士公判 「黙秘強要せず」 被告、無罪を主張=宮崎」の見出しの下、「・・・2006年11月2日、
警視庁
麹町署の接見室で・・・」の記載。
(エ)毎日新聞(2008年7月10日付け
北海道夕刊
6頁」
「北海道洞爺湖サミット:取材拠点・IMCがら〜ん 10月までに『更地』に」の見出しの下、「・・・胆振管内洞爺湖町の会場周辺で警備に当たった
警視庁
第7機動隊副隊長・・・」の記載。
(オ)読売新聞(2008年7月5日付け
大阪夕刊
11頁)
「83歳母殺害容疑、59歳長女を逮捕/東京・千住署」の見出しの下、「
警視庁
千住署は5日未明、東京都足立区千住関屋町・・・」の記載。
(2)本願商標と「警視庁」の類似について
本願商標は、「警視庁0課の女」の文字を書してなるところ、その構成中
の「警視庁」の文字部分の著名性については、前記(1)で認定したとおりである。
また、その本願構成中の「0課の女」の語は、請求人著作による漫画のタイトルであることは認められるものであるが、前記漫画のタイトルには、「警視庁」の文字は使用されていない。
さらに、請求人より平成19年9月7日付け手続補足書により提出された参考資料1及び参考資料2を徴するとともに、当審において職権により調査するも、本願商標「警視庁0課の女」がDVD等のタイトルを表示するものとして単独で使用されている例はなく、「ZeroWOMAN」「ZeroWOMAN R」「ゼロ・ウーマン」「ゼロ・ウーマンR」の文字と常に一緒に使用されており、あくまで「警視庁0課の女」の文字は、サブタイトルとして使用されている程度である。
そうしてみると、「警視庁0課の女」の一連の文字が、直ちに請求人著作による漫画・DVD等のタイトルとして認識されているとは認められないものである。
また、「警視庁」の組織図(http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/sikumi/gaiyo/sosikizu.htm)を参照するも、警視庁内に「0課」なる組織は存在しないことから、本願商標「警視庁0課の女」の文字が一連で特定の意味を持った成語として認識されるとは認められないものである。
さらに、本願商標「警視庁0課の女」から生ずると認められる「ケイシチョウゼロカノオンナ」の称呼も、やや冗長であり、その他、本願商標を常に一体不可分のものとして認識されるべき格別の理由も見いだし難いものである。
そうとすれば、本願商標に接する取引者・需要者は、構成中の前半に位置し、かつ、著名な標章と認める「警視庁」の文字部分に強く印象づけられ認識されるものとするのが相当である。
してみれば、本願商標は、「警視庁」の標章と同一又は類似する商標である。
(3)まとめ
前記(1)及び(2)で認定したとおり、本願商標は、地方公共団体の著名な機関「警視庁」を表示する標章と同一又は類似する商標である。
したがって、本願商標を一私人たる請求人に独占させることは、公益保護の観点からも穏当ではない。
第4 請求人の主張(要旨)
請求人は、「本願商標『警視庁0課の女』は、外観・称呼及び観念のいずれの要素においても、標章『警視庁』とは非類似の商標である」旨主張している。
しかしながら、本願商標が標章「警視庁」と同一又は類似の商標であることは、前記第3の2の認定のとおりであり、この点について請求人の主張は採用できない。
また、請求人は、「『警視庁』の文字は、日常的にテレビドラマや映画・漫画・小説等の作品において長年にわたって取り上げられており、これらの作品中の『警視庁』は架空の組織として認識されるものであるから、『警視庁』の権威に対して、何らの影響も与える事はないというべきであり、本願商標が使用された商品/役務が、実在の『警視庁』と何らかの関係があるものと認識されることはあり得ず、本願商標の登録や使用が、警視庁の権威を失墜させることになるおそれはない。」旨主張している。
しかしながら、ドラマ等のタイトルに「警視庁」の文字が使用されている例が多数あることをもって、本願の登録の適否を判断する基準とするのは適切ではなく、また、前記第3の1で述べたとおり、商標法第4条第1項第6号の規定は、「公益保護」を目的とする規定であることからすると、「警視庁」を表示する著名な標章と同一又は類似の商標であると認められる本願商標を「警視庁」となんら関係を有さない一私人たる請求人に権利付与することは、公益保護の観点からも適切ではなく、この点についても請求人の主張は採用できない。
さらに、請求人は、過去の登録例を挙げ、本願商標は商標法第4条第1項第6号に該当しないものであり、登録されるべきである旨主張しているが、該登録例は、商標の構成において本願とは事案を異にするものであり、それらの登録例をもって、本願商標の登録の適否を判断する基準とするのは必ずしも適切とはいえない。
また、請求人が登録例として挙げたもののうち、登録第5012504号(商標「ISOコーディネーター」)は、登録第5012504号商標の商標登録に対する登録異議の申立て(異議2007−900152)によって、当該商標は、「国際標準化機構(ISO)」を表示する標章であって著名な「ISO」と同一又は類似の商標であり、商標法第4条第1項第6号に違反して登録されたものとして、平成20年3月10日付けで異議決定が確定し、同年4月25日付けで商標権の登録が抹消されているものである。
したがって、この点についても請求人の主張は採用できない。
その他の請求人の主張をもってしても、拒絶査定の理由を覆すに足りない。
第5 結論
以上によれば、本願商標は、商標法第4条第1項第6号に該当するとして本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
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