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Trademark Appeal Case

醗酵GABAの識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2007−17221(T2007−17221/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

第1 本願商標

本願商標は、「醗酵ギャバ」及び「醗酵GABA」の文字を上下二段に横書きしてなり、第29類「菌類・ハーブ・各種ビタミン・セラミド・各種ミネラル・コラーゲン・食物繊維・アミノ酸・γ−アミノ酪酸・動物エキス・魚類・野菜エキス又は果実エキスの1又は2以上を主原料とするカプセル状・錠剤状・顆粒状・液状・粉末状・ゼリー状・糖衣錠剤状・ゲル状・固形状・ウェハース状・ビスケット状・チュアブル状の加工食品,食用油脂,乳製品,食肉,卵,食用魚介類(生きているものを除く。),冷凍野菜,冷凍果実,肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物,豆,食用たんぱく」及び第32類「清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,乳清飲料」を指定商品として、平成18年7月7日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は、「本願商標は、『醗酵ギャバ』の文字と『醗酵GABA』の文字を併記してなるところ、その構成中『GABA』(ギャバ)の文字は、コメ胚芽や玄米などに多く含まれるアミノ酸の一種『γ−アミノ酪酸(gamma−amino butyric acid)』の略称として使用されている物質名であるから、本願商標を構成する全体の文字よりは『醗酵させたγ−アミノ酪酸』を認識、理解させるに止まり、これをその指定商品中『γ−アミノ酪酸を使用した商品』に使用するときは、単に該商品の品質、原材料を表示するにすぎないので、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審における証拠調べ通知

当審において、平成20年5月13日付で、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを実施した結果、「醗酵」並び「ギャバ」及び「GABA」の文字について、下記の事実(新聞情報等)を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、証拠調べの結果を通知し、相当の期間を指定して、意見を述べる機会を与えた。

1.各種情報

(1)2006年5月5日付け「FujiSankei Business i.」の9頁には、「健康成分『ギャバ』 配合商品目白押し 300億円市場見通しも」の見出しの下、「食品メーカー各社が、リラックスやストレス軽減に効果があるとされる健康成分『GABA(ギャバ)』配合の商品を続々と市場に投入している。二十億−三十億円といわれる市場規模は、『今後十倍くらいに広がる可能性もある』(関係者)との期待が集まっている。ギャバは、発芽玄米の主成分として知られるアミノ酸の一種。キムチや漬物、野菜などにも含まれており、精神安定や血圧低下にも効果がある。微量でも効果が期待できるほか、水にも溶けやすく食品に配合しやすいのが特徴だ。ヤクルトはギャバ配合の乳酸菌飲料『プレティオ』を二〇〇四年十一月に発売。大々的な広告を展開し認知度を徐々に広げると、江崎グリコが〇五年五月にチョコレート『GABA』を発売し、当初目標の二倍の四十億円を売り上げるヒット商品となった。日本たばこ産業も五月に清涼飲料『ギャバ クールウオーター』を発売。健康補助食品、ヨーグルトなどでもギャバ配合の商品が増えている。これを裏付けるように、食品メーカーにギャバを原料供給している協和発酵では、取扱量が〇五年で一・五倍増に。今後は『ギャバを重点品目に指定して生産に力を入れる』という。」の記載。

(2)2007年3月26日付け「日経MJ(流通新聞)」の21頁には、「ギャバ豊富な調味料、中国醸造(新製品)」の見出しの下、「・・・広島大学大学院と共同開発。酒粕(かす)を乳酸発酵させることでギャバを豊富に生成し、同みりん大さじ1杯(15ミリリットル)当たり30ミリグラム以上含有させることに成功した。・・・」の記載。

(3)2007年1月27日付け「琉球新報朝刊」の13頁には、「GABA入りのスピルリナ開発/金秀バイオ、全国発売へ」の見出しの下、「健康食品製造販売の金秀バイオ(糸満市、呉屋守章社長)は、大日本インキ化学工業(東京)と共同で藍(らん)藻類スピルリナを乳酸菌発酵させGABA(ギャバ)を含む新素材『乳酸菌発酵スピルリナ』を生み出す技術を開発、新商品『GABAリーナs』=写真=を二月一日に全国発売する。(中略)乳酸菌発酵スピルリナは藍藻類スピルリナ中のグルタミン酸が乳酸菌と反応することで新たにGABAを作る性質を利用して生み出した。(中略)GABA含有量も発芽玄米やチョコレートに比べ高いという。」の記載。

(4)2006年12月5日付け「日本経済新聞 朝刊第2部」の3頁には、「第2部・関西経済特集――技術力に大手注目、事業提携で業績拡大。」の見出しの下、「・・・ストレス低減効果があるとして注目を集めているアミノ酸の一種『GABA(ギャバ)』。江崎グリコが発売し、ヒットした『メンタルバランスチョコレートGABA』用のGABAを提供しているのは、ファーマフーズだ。同社はグルタミン酸から乳酸菌発酵によりGABAを高純度で大量に製造する技術を持つ。・・・」の記載。

(5)2006年9月18日付け「日経MJ(流通新聞)」の14頁には、「大麦発酵研究所、GABA含有率50%、焼酎カス原料に新技術。」の見出しの下、「【大分】大麦発酵研究所(大分県宇佐市、大森俊郎社長)はリラックス効果があるとされるアミノ酸のGABA(ガンマ―アミノ酪酸)を大麦焼酎カスから高濃度で製造する技術を確立した。(中略)同研究所は発酵大麦エキスを二次発酵させることでGABA含有率を五%まで高め、今年春から濃度二〇%液(価格は一キロ一万六千円)を販売している。今回は乳酸を使ってエキス中の菌体を増やし、含有率を五〇%まで引き上げたという。・・・」の記載。

(6)2006年7月28日付け「FujiSankei Business i.」の23頁には、「【新商品】高純度のギャバを配合したサプリメント『リメイク 発酵ギャバ』」の見出しの下、「ギャバは自然界の生物の生体内に存在するアミノ酸の一種で、リラックス効果が期待できる。発酵技術を用いて作られたギャバを1粒あたり約17ミリグラム配合。水無しでも飲める速溶錠剤タイプでヨーグルト風味に仕上げた。1日の摂取目安量は3〜6粒。価格は900円(48粒)。通信販売中。■協和発酵工業TEL0120・807733」の記載。

(7)2006年5月23日付け「日本経済新聞 地方経済面(広島)」の23頁には、「高濃度のGABA液、中国醸造、まず梅酒を発売。」の見出しの下、「清酒や焼酎製造を手掛ける中国醸造(広島県廿日市市、白井龍一郎社長)は広島大学などと共同で、広島県産の温州ミカンから抽出した健康食品用素材のGABA(ギャバ)を多く含んだ高濃度GABA液を開発した。GABA高含有の梅酒を六月二日に発売するほか、リキュールなど関連商品の開発も急ぐ。(中略)梅酒に配合するGABAは、広島大学大学院の杉山政則教授などのバイオ研究を活用する。広島産ミカンを乳酸発酵させ、GABAを多く含んだミカン果汁を作る。中国醸造のアルコール技術を活用し、長期の保存が可能な高濃度ギャバ液とする。・・・」の記載。

(8)2006年1月23日付け「日経MJ(流通新聞)」の19頁には、「野村乳業、GABA入り乳製品、広島大と共同開発――ミカン果汁を発酵。」の見出しの下、「【福山】乳製品メーカーの野村乳業(広島県府中町、野村守男社長)は広島大学と共同で、健康食品・機能性食品用素材のGABA(ギャバ)を配合したヨーグルトを製品化した。GABAは広島大が発見した植物乳酸菌を用い、広島県産ミカンの果汁を特殊発酵させて量産に成功した。・・・」の記載。

(9)2004年6月30日付け「読売新聞東京朝刊」の33頁には、「注目の『ギャバ』豊富に 湯沢の酒造メーカー、アミノ酸玄米酒発売=秋田」の見出しの下、「おいしく飲んで健康増進?血圧降下や精神安定作用があるとして注目されているアミノ酸の一種『ギャバ』を豊富に含んだ『健康美酒 発芽玄米酒Gaba』が、湯沢市の酒造メーカー『秋田銘醸』から発売された。ギャバは、発芽玄米の中に白米の十倍、玄米の三倍含まれる。同社は県総合食品研究所(秋田市)と共同で、米ぬかを乳酸菌発酵させ、高濃度のギャバを含んだギャバ水とギャバパウダーを作り出す技術を開発。・・・」の記載。

(10)2003年7月22日付け「化学工業日報」の9頁には、「協和発酵、GABAを発酵法で量産開始、栄養補助食品も投入」の見出しの下、「協和発酵は、発芽玄米に多く含まれ健康食品素材として関心を集めているアミノ酸、ガンマーアミノ酪酸(GABA)を発酵法により量産する技術を開発、バルク販売を開始するとともに、GABAを含有した機能性栄養補助食品『リメイクギャバ』を子会社を通じて発売した。同社のGABAは、九九%以上の高い純度を持つとしており、バルクはGABAの血圧効果作用などを利用した健康食品や加工食品向け原料として販売していく方針。協和発酵は、得意とする発酵技術を生かして、グルタミン酸を原料にして微生物を使ってGABAを高収率で製造することに成功。GABAを自社グループでサプリメント(栄養補助食品)として売り出す一方、バルクで販売する両面で展開、売り上げ拡大を狙う。・・・」の記載。

2.本願商標は、「醗酵ギャバ」及び「醗酵GABA」の文字を上下二段に横書きしてなるところ、その構成中、前半の「醗酵」の文字は、「一般に、酵母・細菌などの微生物が、有機化合物を分解してアルコール・有機酸・炭酸ガスなどを生じる過程。本態は酵素反応。酒・醤油・味噌、さらにビタミン・抗生物質などはこの作用を利用して製造する。狭義には、糖質が微生物によって酸素の関与なしに分解する現象を、また広義には、これと化学的に同じ反応過程である生体の代謝(解糖系など)、および微生物による物質生産を指す。」の意味を、また、後半の「GABA」及び「ギャバ」の文字は、「(γ-aminobutyric acid) ガンマ‐アミノ酪酸(グルタミン酸から生体内で合成されるアミノ酸の一つ。中枢神経系で抑制性神経伝達物質として働く。)の略。」(いずれも株式会社岩波書店 広辞苑第六版)の意味を有する語として、それぞれなじみがあるといえるから、これらが結合した「醗酵ギャバ」及び「醗酵GABA」の語が、「醗酵させて作られたγ−アミノ酪酸」の意味合いを有することは、その語の構成自体によって容易に認識し得るものということができる。

ところで、「GABA」「ギャバ」は、上記のとおりアミノ酸の一種で、米、茶、野菜、発酵食品などに微量ながら含まれているが、特に発芽玄米には多く含まれているものである。この「GABA」「ギャバ」は、血圧を下げたり、中性脂肪を抑えたり、肝臓・腎臓の働きを高めたり、神経を静める効果があるものと知られており、それは微量でも効果が期待できるほか、水にも溶けやすく食品にも配合しやすいのが特徴であることから、既にチョコレートやコーヒー飲料などの商品に配合された食品も登場し、「GABA」「ギャバ」配合の商品が続々と市場に投入されている。また、各種企業においては、この「GABA」「ギャバ」を、量産したり、又は高濃度にするため、発酵技術を用いて製造を行っている。

これらの事実は、上記の各種情報等から裏付けられるものである。

以上のような事実を総合勘案すれば、本願商標「醗酵ギャバ」及び「醗酵GABA」からは、「醗酵させて作られたγ−アミノ酪酸」の如き意味合いを容易に看取し得るものというのが相当である。

してみれば、本願商標は、「醗酵ギャバ」及び「醗酵GABA」の文字を普通に用いられる方法で表示してなるにすぎないものであるから、これをその指定商品中の「発酵させて作られたγ−アミノ酪酸を使用した菌類・ハーブ・各種ビタミン・セラミド・各種ミネラル・コラーゲン・食物繊維・アミノ酸・γ−アミノ酪酸・動物エキス・魚類・野菜エキス又は果実エキスの1又は2以上を主原料とするカプセル状・錠剤状・顆粒状・液状・粉末状・ゼリー状・糖衣錠剤状・ゲル状・固形状・ウェハース状・ビスケット状・チュアブル状の加工食品,清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,乳清飲料」について使用しても、これに接する取引者、需要者は、該商品の品質、原材料を表示したものと理解するにとどまり、自他商品の識別標識とは認識し得ないものであり、また、これを上記商品以外の指定商品について使用するときは、その商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるものといわなければならない。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当するものである。

第4 当審における証拠調べ通知に対する請求人の意見

上記第3の「証拠調べ通知」に対して、請求人からは、何らの意見、応答はなかった。

第5 当審の判断

本願商標は、前記第1のとおり、「醗酵ギャバ」及び「醗酵GABA」の文字を上下二段に横書きしてなるところ、前記第3の証拠調べ通知に示した各事実に照らせば、本願商標は、その構成全体として、「醗酵させて作られたγ−アミノ酪酸」の如き意味合いを容易に看取し得るものであって、これをその指定商品中の「醗酵させて作られたγ−アミノ酪酸を使用した菌類・ハーブ・各種ビタミン・セラミド・各種ミネラル・コラーゲン・食物繊維・アミノ酸・γ−アミノ酪酸・動物エキス・魚類・野菜エキス又は果実エキスの1又は2以上を主原料とするカプセル状・錠剤状・顆粒状・液状・粉末状・ゼリー状・糖衣錠剤状・ゲル状・固形状・ウェハース状・ビスケット状・チュアブル状の加工食品,清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,乳清飲料」について使用しても、これに接する取引者、需要者は、該商品の品質、原材料を表示したものと理解するにとどまり、自他商品の識別標識とは認識し得ないものであり、また、これを上記商品以外の指定商品について使用するときは、その商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。

なお、請求人は、請求書において、本願商標「醗酵ギャバ」「醗酵GABA」なる語が、本願商標の指定商品の業界において何等かの具体的な品質等を表す用語として使用されている事実はなく、また、他の分野においても特定の意味の用語として使用されている事実はないため、本願商標が指定商品の如何なる品質を表示しているのかは全く不明で、品質の誤認を生じさせる余地も一切ない旨主張する。

しかしながら、本願商標「醗酵ギャバ」及び「醗酵GABA」の語が、「醗酵させて作られたγ−アミノ酪酸」であると理解することを困難にすべき事情を認めることはできず、かつ、前記第3の証拠調べ通知に示した各事実からして、取引者、需要者はむしろ自然に「醗酵させて作られたγ−アミノ酪酸」を示す語として認識することになるものというべきである。

そして、商標法第3条第1項第3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきである。

更に、請求人は、既登録例、審決例を挙示して、本願商標もこれらと同様に登録されて然るべきものである旨主張するが、それらの登録例、審決例は商標の具体的構成において本願商標とは事案を異にするものであり、また、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるかどうかの判断は、当該商標の構成態様と指定商品とに基づいて、個別具体的に判断されるべきものであるから、それらの登録例、審決例に拘束されるべき理由はない。

したがって、これらの点についての請求人の主張は採用することができない。

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、本願を拒絶した原査定は、妥当であって取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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