結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2007−300997(T2007−300997/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第259730号商標(以下「本件商標」という。)は、「COMET」の欧文字と「コメット」の片仮名文字とを上下二段に横書きしてなり、昭和9年1月20日に登録出願、大正10年法による商品類別第69類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同年12月4日に設定登録、その後、同29年9月7日、同50年2月27日、同59年11月26日、平成7年1月30日及び同16年11月2日の五回にわたり商標権存続期間の更新登録がなされ、また、指定商品については、同2年1月23日に指定商品中「電気通信機械器具、電子応用機械器具」を取り消す旨の商標権一部取消審判の確定登録がされ、さらに、同7年4月24日に「電気溶接切断機、電気錐」を一部放棄とする商標権の一部抹消の登録がされ、また、同18年3月29日に指定商品の書換登録があった結果、第10類「電気医療器,家庭用電気あんま器,家庭用電気マッサージ器」並びに、第7類、第8類、第9類、第11類、第12類、第17類及び第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品となされたものである。
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第16号証を提出した。
なお、後述「第4 当審の判断 1 請求の趣旨について」のとおり、請求人は、請求の趣旨の指定商品中「第10類 電気医療器及びその類似商品」と表示していたところ、審尋に対して、これを「第10類 電気医療器」と補正した。以下、請求人の主張は、「第10類 電気医療器」について取り消す旨として摘示した。
本件商標は、その指定商品中「第10類 電気医療器」について、本件審判請求の登録前3年以内に、日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによって使用されておらず、現在も使用されている事実は見いだせない。
また、商標登録原簿上において、専用使用権及び通常使用権の登録はなされていない。
したがって、本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが、指定商品電気医療器についての使用をしていないものであるから、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その指定商品中「電気医療器」については、その登録は取り消されるべきものである。
(1)被請求人は、理由(1)において、「書換後の商品『電気医療器』とは、類似群コード『10D01』及び類似群コード『11A06』に属する商品であることが明らかである。」と述べている。
しかしながら、本件取消しに係る商品に表れる「電気医療器」は、類似群コード「11A06」に属する商品を含む概念ではない。
ア そもそも、「特許庁商標課編 商品及び役務区分解説」によると、類似群コード10D01が属する医療用機械器具は、「医院又は病院で専ら使用される機械器具」を指し、家庭用電気あんま器・家庭用電気マッサージ器のような、民生用電気機械器具を含む概念ではない(甲第4号証)。書換後の商品として表示される「電気医療器」においては、「医療器」と表現する以上、医療・治療目的の商品であるとの前提から、これに医療用でない商品が包含されるとする解釈は、想定されていない。
イ それ故、特許庁が公表する特許電子図書館において、「電気医療器」は「10D01」のみが類似群コードとして付与されている(甲第5号証)。ここで参考例示されている出願番号に相応する書換2003−526076に係る公報を見ても、書換後の第10類には、「電気医療器」とのみ表示され、対応類似群コードは「10D01」のみとなっている(甲第6号証)。
また、別の書換登録例においても、登録第423568号商標の書換において、従前大正10年法第69類の商品を指定した商標が、書換登録により第10類にて「電気医療器」に書き換えられ、その類似群コードとして「10D01」のみが付与されている(甲第7号証)。このことより、大正10年法第69類の商品を現行第10類に書き換える際に、書換後の指定商品を「電気医療器」とした場合は、類似群コード10D01のみが相応するものであって、「家庭用電気あんま器、家庭用電気マッサージ器」の表示があったときにはじめて、11A06の類似群コードが付与されることとなる。
本件商標の書換公報及び登録原簿の記載(甲第2号証ないし甲第3号証)については、書換後の指定商品第10類は、「電気医療器、家庭用電気あんま器、家庭用電気マッサージ器」であるが、甲第2号証に参考例示された書換後の類似群コードによると、本件だけが甲第6号証ないし甲第7号証と異なり「第10類 10D01、11A06」と記されている。
このことより、本件では、書換後の指定商品中に表記された「家庭用電気あんま器、家庭用電気マッサージ器」が、類似群コード11A06に相応したことが明白である。
ウ 被請求人は、特許庁が発行した書籍「商標権の指定商品の書換のための書換ガイドライン〔国際分類第8版対応〕」の記述をもって、電気医療器と家庭用電気あんま器、家庭用電気マッサージ器の包含関係を主張し、特に備考※02に表れる、「『電気医療器』の書換表示も認められる」の文言を、上書換表示の許容が「電気医療器(家庭用電気あんま器・家庭用電気マッサージ器を除く。)」と「家庭用電気あんま器・家庭用電気マッサージ器」の双方に及ぶと解釈したようだが(乙第1号証)、この解釈は正しくない。
2001年(平成13年)11月30日第2版発行の乙第1号証と同等の文献は、最終的な情報として現在の特許庁ホームページで公表されていて、このインターネット上の書換ガイドラインにあっては、乙第1号証とは異なる表記となっている(甲第8号証)。すなわち、備考欄にて※02が適用される範囲は、書換表示「電気医療器(家庭用電気あんま器・家庭用電気マッサージ器を除く。)」の類似群商品に限られ、これよりは、10D01に属する「電気医療器(家庭用電気あんま器・家庭用電気マッサージ器を除く)」が「電気医療器」の表記と置換可能であることを示すのみで、11A06の商品については、「家庭用電気あんま器・家庭用電気マッサージ器」の表記がないと、商品の移行は認められない。書換後の商品が「電気医療器」であるときは、必然10D01の商品のみに属するものであって、ここに「家庭用電気あんま器・家庭用電気マッサージ器」が包含される余地はない。
この乙第1号証と甲第8号証の細部の相違については、甲第8号証の記載が正確であることが、乙第1号証の書換ガイドラインの前後に発行された文献からも明らかである。すなわち、現行の国際分類第9版における大正区分第69類の書換商品にあっても、甲第8号証と同じく「電気医療器」の書換表示が認められる商品は「電気医療器(家庭用電気あんま器・家庭用電気マッサージ器を除く。)」であって、備考※02を指す商品類似群は10D01に限られている(甲第9号証)。国際分類第7版における大正区分第69類の書換商品では、電気医療器は第9類「X線管」(11C01)、第10類「電気医療器(家庭用電気あんま器・家庭用電気マッサージ器を除く。)」(10D01)及び「家庭用電気あんま器・家庭用電気マッサージ器」(11A06)に分かれることが記されているだけで、「電気医療器」のみの書換表示を認める備考の掲載自体がない(甲第10号証)。「電気医療器」が「家庭用電気あんま器・家庭用電気マッサージ」を含むとする解釈は、歴史的にも例を見ず、「電気医療器」の表示が「家庭用電気あんま器・家庭用電気マッサージ器」をも含むとする被請求人の解釈は、文献の備考表示を曲解したもので、書証の信頼性の面からも、また、本来の語義や用途の面からも、「家庭用電気あんま器・家庭用電気マッサージ器」が民生用機械器具を属するとする解釈は成り立たない。
(2)被請求人は、理由(3)において、「製造・販売している商品のうちには一連の家庭用美容電気機器のシリーズ(COMET BEAUTILINE シリーズ)の商品があり、その中には『顔面用、頭皮用の家庭用電気マッサージ器』が含まれている」と述べている。
しかしながら、当該商品が「顔面用・頭皮用の家庭用電気マッサージ器」であるとする証拠が明らかでない。乙第4号証の1に示される製品の取扱説明書にあっては、表紙において「COMET BEAUTILINE\MODEL Pop−38\取扱説明書」と、乙第5号証の1に示される製品の取扱説明書にあっては、同様に、「COMET BEAUTILINE\MODEL Pop−38E\クリーナー機能付\取扱説明書」と記されていて、商品取扱いに係る注意事項、仕様、使用方法等が説明されている。この説明書内において、本製品が家庭用電気マッサージ器であることを表す表記は見当たらない。乙第4号証の1及び乙第5号証の1における証明書の表記では、「コメット電機 MODEL Pop−38(Pop−38E\クリーナー機能付)」と明示し、製造会社名とモデル名しか表示していない。これらの使用態様は、自他商品識別標識としての商標の使用とはいえない。
それだけではなく、乙第1号証にあっては、裏表紙見開きの「注意事項」の欄に、「この商品は、お顔のお手入れをする美容機器です。治療目的として使用しないでください」と明記されていて、第1に、本商品が治療用途の機械器具に属する余地は全くない。そして、治療用途でなければ医療用機械器具の範ちゅうには属さないといえる。
第2に、薬事法においては、被請求人が使用の根拠として主張する「家庭用電気マッサージ器」については、これを一般的名称とする商品の定義として、「家庭用にのみ専用設計された電動の器具をいう。例えば、ヘッド部又は他の形状部分が振動し、それを手に持ち治療目的の身体部位全体をなぞることができる。振動ヘッド又はパッド部は、大きさや形の異なるものに交換可能である。身体の筋肉組織を刺激・マッサージするためにも用いられる」とされているが(甲第11号証)、この商品は、平成17年4月に改正された薬事法によって、「人、動物の疾病の診断・治療・予防に適用される、または身体の構造・機能に影響を及ぼすことを目的とした機械器具であって、政令で定めるもの」と規定する医療機器に該当し、人体のリスクに応じて分類され、第三者認証機関による認証を要する。そして認証を受けた医療製品については、その製品容器や添付文書等の商品説明の表示においても、細かな制限があり、認証を得た製品にあっては、「家庭用電気マッサージ器」との一般的名称及び認証番号、クラス分類、「医療機器製造販売業」等の表示並びに製造販売業者の名称・住所等の表示が義務づけられている(甲第12号証)。
この状況において、乙第4号証、乙第5号証に係る使用商品については、説明書の表紙にあらわれる商品本体の写真を見ると商品自体には何らの商標の表示が認められず、取扱説明書の対象物として「COMET BEAUTILINE\MODEL Pop−38 取扱説明書」等と書かれているのみで、ここには「家庭用電気マッサージ器」の表示は、見当たらない上に、医療機器としての認証番号の記載がない。これらの商品の容器及び取扱説明書における表示から、当該製品は、家庭用電気マッサージ器の範ちゅうに属しない、単なる電気機器と解釈される。
(3)被請求人は、理由(3)において、「取扱説明書の向かって左上には、やや図案化された筆記体の文字にて『Comet』と記載された標章が付されており、『丸にR』が付記されている。また、これら取扱説明書の向かって右上には、一連の『COMET』美容電気機器製品であることを示す『COMET BEAUTILINE』の標章が付されている(『COMET BEAUTILINE』中の『BEAUTILINE』の部分は、美容電気機器製品ラインナップの一つである旨を示しているにすぎず、その要部は『COMET』である)。」と述べている。
しかしながら、「Comet」「COMET BEAUTILINE」の標章が、直ちに本件商標の使用であるとはいえない。
ア 被請求人は、「やや図案化された筆記体の文字にて『Comet』と記載された標章が付されており、『丸にR』が付記されている」と述べるが、ここで「丸にR」が付記されているとする標章は、同一の外観構成により商品家庭用電気マッサージ器等を指定した登録第1773761号商標に基づくものである(甲第13号証ないし甲第14号証)。
したがって、標章に「丸にR」が付記されていることが、本件商標の使用の根拠となるものではない。確かに、登録第1773761号と本件商標は、連合の関係にある類似の商標であるが、取消し審判の請求があった場合においては、登録商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていることを被請求人が証明しない限り、登録商標の取消しを免れない。ここで社会通念上同一の商標の範囲として、書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標等が例示されていて、本件商標は、ローマ字大文字の「COMET」と片仮名の「コメツト」を上下二段に横書きしたものに対し、「丸にR」が付記された標章は、ローマ字で頭文字のみ大文字とした「Comet」の筆記体を図案化した外観構成でなる。筆記体の筆跡は各文字間を下線で繋いだような図案化をなしたことによって横長の印象を受け、「e」は、小円の下部に直線の突出線を設けた図形のようにも見え、直ちに社会通念上同一の範囲に入るとは限らない。
イ 被請求人は「『COMET BEAUTILINE』中の『BEAUTILINE』の部分は、美容電気機器製品ラインナップの一つである旨を示している」と述べるが、「BEAUTILINE」は、美容電気機器製品であることを表す外来語として実在せず、単なる造語にすぎない。美容に関することを想起させる英語として「BEAUTY」が存在するが、「BEAUTI〜」の語句では、直ちに美容電気機器を想起させない。そのため「BEAUTILINE」の語句は、美容電気機器製品について商品の一般名称や用途品質を表す語句とはされず、家庭用電熱用品類全般において識別力のある商標として、被請求人自らが登録している(甲第15号証)。この結果、「COMET BEAUTILINE」の語句は、2つの外来語が等しく結合した一体性の強い商標で、「BEAUTILINE」部分が商品の品質表示でない以上、観念的に「COMET」部分が分離抽出されることはなく、一連一体の外観上もいずれかの部分のみを抽出する理由はなく、さらに、「コメットビューティーライン」の称呼も冗長でなく一連不可分であるため、この標章が表れていることによって、本件商標「COMET\コメツト」を使用していることの証左にならない。このような2語を結合した商標が一体不可分と判断された登録例として、被請求人は「COMET COSMIC」のローマ字を用いた商標を所有するが、その登録時に規定された連合商標の表示がなく、本件商標とは、非類似の商標として登録されている(甲第16号証)。これより「COMET」部分が要部抽出されないことは、明らかで、「COMET BEAUTILINE」の語句においても、一連不可分であることに疑義はない。
(4)結び
以上のとおりであるから、被請求人が提出した書証における使用態様等、答弁書における他の証拠能力の欠陥を指摘するまでもなく、本件取消しに係る商品には、家庭用電気マッサージ器は、含まれず、また、提出の書証をもってしても、本件商標の医療用機械器具に属する商品における使用の証拠とならないため、商標権者は、本件商標を本件取消しに係る商品に過去3年以内に使用している事実を証明しておらず、その登録は、「電気医療器」についての取消しを免れない。
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める、と答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第6号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)本件商標は、平成16年7月29日付けで書換登録申請書が提出され、平成18年3月29日付けで書換登録がなされているものであって、国際分類第8版のもとで書換登録が行なわれたものである。
ところで、特許庁商標課編「『商品及び役務の区分』に基づく類似商品・役務審査基準〔国際分類第8版対応〕」社団法人発明協会発行には、「電気医療器」との表記の商品は掲載がない。そこで、特許庁商標課編「商標権の指定商品の書換のための書換ガイドライン〔国際分類第8版対応〕」社団法人発明協会発行(乙第1号証)を参照して見ると、書換後の商品「電気医療器」とは、類似群コード「10D01」及び類似群コード「11A06」に属する商品であることが明らかとなる。
(2)本件商標の商標権者である被請求人は、東京都武蔵野市中町2丁目25番6号に所在するコメット電機株式会社(ただし、この住所は営業上の本店住所であり、登記簿上の本店の所在地は東京都武蔵野市桜堤1丁目9番24号となっていて、ここは、現在は、研究所その他の施設の所在地となっている。以下「コメット電機」という。)の代表取締役社長であり(乙第2号証)、被請求人は、本件商標の総ての指定商品を対象とした通常使用権を、コメット電機及びその企業グループに属する会社に対して許諾している(コメット電機の会社の概要については、その大型商品の販売につき提携をしている扶洋薬品株式会社のパンフレット〔乙第3号証〕中の記載を参照されたい。)。なお、通常使用権については、商標登録原簿に登録されていなくとも、その許諾は法律上有効である。
(3)通常使用権者であるコメット電機は、種々の商品を製造し、販売しているところ、製造・販売している商品の内には、一連の家庭用美容電気機器のシリーズ(COMET BEAUTILINE シリーズ)の商品があり、その中には「顔面用・頭皮用の家庭用電気マッサージ器」が含まれている。
顔面用・頭皮用の家庭用電気マッサージ器の具体的な商品の例を2種類ほど示せば、MODEL Pop−38及びMODEL Pop−38Eが挙げられる。これらの商品について、MODEL Pop−38の取扱説明書(乙第4号証の1)、及び、MODEL Pop−38Eの取扱説明書(乙第5号証の1)を証拠として提出する。これら取扱説明書の内容を検討すれば、Pop−38及びPop−38Eが家庭用電気マッサージ器であることは明らかである。
これら取扱説明書の最終頁には、いずれも製造元としてコメット電機の記載がなされている。これら取扱説明書の表紙の向かって左上には、やや図案化された筆記体の文字にて「Comet」と記載された標章が付されており「丸にR」が付記されている。また、これら取扱説明書の表紙の向かって右上には、一連の「COMET」美容電気機器製品であることを示す「COMET BEAUTILINE」の標章が付されている(「COMET BEAUTILINE」中の「BEAUTILINE」の部分は、美容電気機器製品ラインナップのひとつである旨を示しているにすぎず、その要部は「COMET」である。)。これら標章は、商品に添付する取扱説明書に付したものであって、「商品に付したもの」と法律上評価されるものであり、自他商品の識別標識、すなわち、「商標」として用いられているものである。
(4)これら取扱説明書の印刷であるが、いずれも、東京都小平市小川東町5丁目13番22号の株式会社アトミの印刷にかかるものであって、その時期については、Pop−38の取扱説明書については、平成18年10月5日納品、同年11月20日代金支払(乙第4号証の2、乙第4号証の3及び乙第4号証の4)となっており、Pop−38Eの取扱説明書については、平成18年7月18日納品、同年8月21日代金支払(乙第5号証の2、乙第5号証の3及び乙第5号証の4)となっている。
(5)Pop−38及びPop−38Eの販売であるが、直近の販売としては、同じ企業グループの販売会社である株式会社コメットアドバンス(住所はコメット電機と同じ)を通じて、東京都台東区元浅草3丁目2番1号の瀧川株式会社に、平成19年7月26日にPop−38Eを1台、同7月27日にPop−38を2台、同8月2日にPop−38Eを1台、それぞれ販売しており、代金の支払として他の販売商品の代金と合算した金額の手形を受領している(乙第6号証の1及び乙第6号証の2)。当然、瀧川株式会社に対して販売されたPop−38及びPop−38Eには、それぞれの取扱説明書が添付されている。
(6)以上述べたとおり、取消請求対象である「電気医療器及びその類似商品」に含まれる商品である「家庭用電気マッサージ器」に該当するPop−38及びPop−38Eに、通常使用権者であるコメット電機が、本件商標と社会的に同視しうる「Comet」「COMET BEAUTILINE」を、過去3年以内に使用している以上、商標法第50条第2項によって、本件商標が指定商品「電気医療器及びその類似商品」につき登録を取り消されるいわれはない。
(1)請求人は、取消請求の対象である商品「電気医療器」につき、類似群コード「10D01」に属する商品のみであり、類似群コード「11A06」に属する商品は含まない、との主張をしているが、これは誤りである。
甲第4号証には「医院又は病院で専ら使用される機械器具が〔医療用機械器具〕の概念に属する」旨記載されているが、このことは、「『医院又は病院で使用される機械器具』ならば『医療用機械器具に属する』」という「命題」を示しているのみで、その「逆」である「『医療用機械器具』なら『医院又は病院で使用される機械器具』である」ことまでもを示しているのではない。現実にいっても、「医療用機械器具」に属する「血圧計」や「体温計」や「補聴器」などは「医院又は病院」だけでなく広く一般で使用されている。
(2)甲第5号証、甲第6号証及び甲第7号証は、いずれも御庁が「参考情報」として開示しているものであり、特に甲第6号証及び甲第7号証については「参考情報」と明確に記載されている。
(3)商標法の商品の表記としては、「AAA(「XXX」を除く。)」との表記の商品と「XXX」との表記の商品とがある場合において、「AAA」との包括表記で記載したときには、商品「AAA(「XXX」を除く。)」と商品「XXX」との両方を意味するのは常識である。
仮に請求人の主張を正しいものと仮定すると、商品「電気医療器(家庭用電気あんま器・家庭用電気マッサージ器を除く。)」と商品「電気医療器」とでは差異はなく全く同じもの、との結論になるが、そうであるならば、乙第1号証並びに甲第8号証、甲第9号証及び甲第10号証の枠でくくった表中では「電気医療器」と端的に記載してあれば足り、わざわざ「かっこ書き」を記載する必要性は全くなく(甲第8号証及び甲第9号証の各「※02」も記載不要であり)、そうなっていないのは、「電気医療器」との表記は「電気医療器(家庭用電気あんま器・家庭用電気マッサージ器を除く。)」と「家庭用電気あんま器,家庭用電気マッサージ器」との両方を含む包括表記であることを意味しているからである。
(4)請求人は、薬事法(甲第11号証及び甲第12号証)を持ち出してきて議論をするが、法律は各法律の制定目的にしたがって用語を定義して用いているのであって、制定目的が異なる薬事法の概念を持ってきて商標法の議論をしても意味がない。
薬事法についていえば、商品「歯磨き」は、商標法上は第3類の「歯磨き」に纏められているが、薬事法上は「化粧品に属する『歯磨き』」と「医薬部外品に属する『歯磨き』」とに分けられ、それぞれ異なった薬事法上の規制に服しているのである。また、商標法上の「薬剤」には「蚊取線香」が含まれているものの、薬事法上の「医薬品」には「蚊取線香」は含まれていない。したがって、薬事法上の概念を前提にしている請求人の議論は、その前提自体が失当である。
なお、商標法以外の他の法律について言うのであれば、コメット電機株式会社は、電気用品安全法第5条にしたがい届出承認を経て「電気マッサージ器」の製造を行なっているものである(乙第8号証)。
(5)請求人は、筆記体の文字にて記載された「Comet」との標章(やや図案化されている)の標章について、「使用」を争うが、「COMET」との標章は、審判の対象となっている本件商標と比べ、同一の称呼である「こめっと」が生じ、かつ、同一の観念である「彗星・ほうき星」が生じるものであるから、商標法第50条第1項の「平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標」に該当するか、これに準じて「その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標」に該当するものである。
(6)平成20年4月24日付け手続補正書について
請求人は、平成20年4月11日(起案日)付け「審尋」に対して、同月24日付けで回答書及び手続補正書を提出している。
しかしながら、不明確なものを明確にする補正(審判長から指摘を受けた「その類似商品」との取消対象商品を、例えば「義眼」や「注射針」等と具体的な商品の記述にする補正)は認められる余地はあろうが、「その類似商品」を削除し取り除いてしまう補正は「要旨を変更するもの」に該当するから許されない。
請求人は、審判請求書の「請求の趣旨」において、本件商標の指定商品中「第10類 電気医療器及びその類似商品」についての登録の取消しを求めていたが、該記載中の「その類似商品」は、請求の趣旨として不明確なものである。
そこで、審判長より請求人に対し、「その類似商品」とは、いかなる指定商品を取消しの対象とするのかについて、客観的で明確な表示に釈明されたい旨の審尋を発したところ、請求人より、平成20年4月24日付けで請求の趣旨を「商標法第50条第1項の規定により、登録第259730号商標の指定商品中『第10類 電気医療器』について、その登録を取り消す。審判費用は、被請求人の負担とする、との審決を求める。」とする手続補正書及び回答書が提出されたものである。
そして、前記手続補正書により、明確でなかった「及びその類似商品」を削除したことにより、取消しの対象とする指定商品が客観的で明確なものとなったものと認められる。
これに基づいて、本件商標の商標登録原簿には、平成20年4月30日付けで、請求の趣旨についての職権更正の登録がなされたものである。
その結果、本件審判の請求は、「第10類 電気医療器」のみについての登録の取消請求があったと認められ、以下、これを前提として、審理を進める。
なお、この点について、被請求人は、不明確なものを明確にする補正、すなわち、「その類似商品」を削除し取り除いてしまう補正は、「要旨を変更するもの」に該当するから許されない旨主張するが、明確になっている商品を変更、削除することは審判における審理の対象・範囲を変更することとなろうが、本件では、明確でない商品を削除するものであり、その削除によって当初から明確になっている審理の対象・範囲が変更することにはならず、前記手続補正書による補正は、「請求の趣旨」について要旨を変更するものに該当しないというべきであるから、前記主張は採用できない。
(1)コメット電機株式会社による使用商品について
ア 乙第4号証の1は、製造元コメット電機株式会社発行のMODEL Pop−38の取扱説明書であり、表紙には、左上に筆記体の「Comet」の標章(以下「使用標章」という。なお、右隅に小さく、「丸にR」が付記されている。)及び上部に「COMET BEAUTILINE」の標章が表示されている。同1頁の上部に「このたびは、コメット美顔器MODEL POP−38をお買い上げいただき、まことにありがとうございました。」と記載され、「安全のために必ずお守りください」の標題の下、「警告」の欄において「本器はお顔のお手入れをする美顔器です。治療目的としては絶対に使用しないでください。」と記載されている。
また、同2頁の「安全にご利用いただくために・・・取扱い上のご注意」の標題の下、「電源」の項目には「専用アダプタを使用して、家庭用電源(AC・100V)でご使用ください。」と記載されている。
さらに、同4頁には「ご使用方法」の標題の下、「使用前の器具の操作方法」として、「1 付属の電源コードの電源プラグを本体背面の電源プラグ差込口に、ACアダプターを家庭用電源(AC100V)のコンセントにそれぞれ差し込んでください。」「3 テスラーを取り出し、用途にあったガラス管を選び、ガラス管の中程を持って右に回しながらテスラーに取りつけてください。」と記載され、丸形ガラス管はお顔のマッサージ用、クシ型ガラス管は頭皮のマッサージ用と矢印をもって表し、その右側には取り付け方法が図示されている。
同5頁には「スキンケアステップ(お顔マッサージ)」の標題の下、前述の丸形ガラス管を顔の中心から外側へらせんを描きながら1〜3分マッサージする旨が記載されている。
同6頁には「ヘアケアステップ(頭皮マッサージ)」の標題の下、前述のクシ形ガラス管を先端を頭皮に軽く宛て、頭頂部から生えぎわへとゆっくり移動させながら頭皮全体に2〜3分マッサージする旨が記載されている。
上記記載によれば、コメット電機株式会社の製造する「MODEL Pop−38」の商品は、治療を目的として使用する器具ではなく、家庭用電源を用いた顔面及び頭皮をマッサージするための器具(以下、次のMODEL Pop−38Eをも含めて「使用商品」という。)といえるものであって、本件商標の指定商品中の「家庭用電気マッサージ器」に含まれる商品と認められる。
イ また、乙第5号証の1は、製造元コメット電機株式会社発行のMODEL Pop−38Eの取扱説明書であり、モデル(MODEL)番号を除いて、乙第4号証の1と同様な内容が記載されており、MODEL Pop−38と同様、該商品は、治療を目的として使用する器具ではなく、家庭用電源を用いた顔面及び頭皮をマッサージするための器具であって、本件商標の指定商品中の「家庭用電気マッサージ器」に含まれる商品と認められる。
(2)本件審判請求に係る「電気医療器」について
本件商標の指定商品は、第1のとおり、大正10年法による商品類別第69類に属する商品であったところ、その後の指定商品の書換登録があった結果、第10類「電気医療器,家庭用電気あんま器,家庭用電気マッサージ器」を含む指定商品となされたものである。
そして、本件審判請求に係る商品は、第10類「電気医療器」であるところ、該「電気医療器」は、例えば、一般・超低周波治療器、電気針治療装置、赤外線治療器、超音波治療器(「医療機器事典」の「電気治療機器」の項(482頁以下)参照。昭和62年2月5日株式会社産業調査会出版部発行)等の機器であり、治療を目的にした病院等で使用される商品と認められるものであって、第10類「医療機械器具」に属する商品といえる(甲第4号証「商品及び役務の区分解説」1996年12月25日社団法人発明協会発行)。
(3)上記(1)及び(2)の認定を総合すれば、コメット電機株式会社による使用商品は、治療を目的として使用する器具ではないので、本件審判請求に係る商品である治療を目的にした病院等で使用される「電気医療器」には含まれない商品というべきである。
(4)乙第2号証ないし乙第6号証(枝番号を含む。)を総合すると、被請求人が代表取締役であり、本件商標の通常使用権者と認め得るコメット電機株式会社は、本件審判の請求の登録前3年以内である平成18年10月5日及び同年7月18日に印刷会社「株式会社アトミ」より、本件商標と社会通念上同一の認められる使用標章を付した使用商品の取扱説明書の納品を受け(乙第4号証及び乙第5号証。ともに枝番号含む。)、その時期以降の使用商品の販売に際して購入者に頒布したことを推認することができ、事実、コメット電機株式会社と住所を同じくする同じ企業グループで同様に本件商標の通常使用権者と認め得る株式会社コメットアドバンスより請求外「滝川株式会社」へ2007(平成19)年7月26日、同27日使用商品を販売したことが認められ(甲第6号証の1及び2)、その販売に際して購入者に頒布したことが十分に推測することができる。
(5)してみれば、提出に係る乙号証によって、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者が使用商品に社会通念上同一と認められる商標を使用していたことが認められるものの、請求に係る指定商品には使用していたとは認めることができないから、被請求人が、請求に係る指定商品についての使用を証明するものに該当しない。他に請求に係る指定商品についての使用を認め得る証拠はなく、また、使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
しかしながら、本件商標は、平成16年7月29日付けで書換登録申請書が提出され、平成18年3月29日付けで書換登録がなされているものであって、国際分類第8版のもとで書換登録が行なわれたものであるところ、「商標権の指定商品の書換のための書換ガイドライン〔国際分類第8版対応〕」社団法人発明協会発行(乙第1号証)によれば、大正10年法による商品類別第69類に属する「電気医療器」は、書換登録申請当時の国際分類第8版のもとでは、第9類「X線管」、第10類「電気医療器(家庭用電気あんま器・家庭用電気マッサージ器を除く。)」、第10類「家庭用電気あんま器・家庭用電気マッサージ器」に書換表示として可能である旨掲載されている(乙第1号証、甲第8号証)ことに照らせば、「電気医療器」と「家庭用電気あんま器・家庭用電気マッサージ器」とは別々に書き換えし、かつ、類似群コード(互いに類似する商品又は役務であると推定されたものについて同一の記号を付したもの)もそれぞれ、前者が10D01、後者が11A06としていることから、後者が前者に含まれる、あるいは類似する商品とはいえない。
前記「商標権の指定商品の書換のための書換ガイドライン〔国際分類第8版対応〕」の備考※02において「『電気医療器』の書換表示も認められる。」の文言があるが、これは、第10類「電気医療器(家庭用電気あんま器・家庭用電気マッサージ器を除く。)」でも第10類「電気医療器」でも書換表示として認められ、その類似群コードも10D01であることを示し、第10類「電気医療器」と書換表示した場合、「家庭用電気あんま器・家庭用電気マッサージ器」を含むとまで示したものではないと解するのが相当であり、前記書換ガイドラインの備考欄に点線(社団法人発明協会発行:乙第1号証)あるいは実線(特許庁ホームページ:甲第8号証)があるかに係わらないというべきである。
そのことは、被請求人は、本件商標の指定商品を「電気医療器」と別に、「家庭用電気あんま器」、「家庭用電気マッサージ器」と書換登録の申請をし、その旨登録されていることからも、「家庭用電気あんま器」、「家庭用電気マッサージ器」が「電気医療器」に含まれていないと解釈するのが自然というべきである。
したがって、被請求人の前記主張は採用できない。
よって、結論のとおり審決する。
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