Trademark Appeal Case
称呼類似と著名商標
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2007−900399(T2007−900399/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5048501号商標(以下「本件商標」という。)は、「メイソジン」の片仮名文字を標準文字で表してなり、平成18年9月29日に登録出願、第5類「薬剤,歯科用材料,医療用腕環,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ」を指定商品として、同19年4月2日に登録査定、同年5月18日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由(要点)
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、登録異議の申立ての理由を要旨次のように主張し、証拠方法として、甲第1号証ないし同第173号証を提出した。
(1)申立人の引用商標
申立人は、下記の2件の商標を引用している(以下、これらの商標を総称するときは「引用各商標」という。)。
(ア)登録第498384号商標(以下「引用商標1」という。)は、「ISODINE」の欧文字を横書きしてなり、昭和31年5月2日に登録出願、第1類「防腐剤、口腔衛生用薬剤、やけど、擦過傷及鼻腔充血治療用軟膏、粉末殺菌剤、直腸用或は避妊用座薬、治療用ガ−ゼ、その他繃帯材料、保健衛生用薬剤、膣注水器、防腐性せきどめドロツプ、その他本類に属する商品」を指定商品として、同32年3月20日に設定登録されたものであり、指定商品については、その後、平成19年7月25日に指定商品の書換登録により、第5類「薬剤(蚊取線香その他の蚊駆除用の薫料・日本薬局方の薬用せっけん・薬用酒を除く。),医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,綿紗,綿撒糸,医療用海綿」となっている。
(イ)登録第584989号商標(以下「引用商標2」という。)は、「イソジン」の片仮名文字を横書きしてなり、昭和35年8月13日に登録出願、第1類「化学品、薬剤及び医療補助品」を指定商品として、同37年4月10日に設定登録されたものであり、指定商品については、その後、平成14年4月24日に指定商品の書換登録により、第1類「化学品」及び第5類「薬剤,ばんそうこう,包帯」となっている。
(2)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、申立人の所有に係る引用各商標と同一又は類似であって、その指定商品と同一又は類似の商品について使用される商標である。
(3)商標法第4条第1項第15号について
引用各商標は、申立人の商標として広く一般に知られている(甲第7号証ないし同第170号証)から、これを構成中に含む本件商標がその指定商品に使用された場合、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
(4)商標法第4条第1項第19号について
本件商標は、著名商標にフリーライドするものであり、著名商標の出所表示機能を希釈化させ、かつ、著名商標の名声を毀損するおそれがあるので、不正の目的をもって使用するものである。
(5)商標法第3条第1項柱書きについて
本件商標は、商標権者によって現在使用されておらず、かつ、将来においても使用する予定の無い商標であるから、「自己の業務に係る商品又は役務について使用する商標」ではない。
3 取消理由通知
当審において、平成20年4月30日付けで、商標権者に対し通知した取消理由は、要旨次のとおりである。
(1)引用各商標の著名性について
申立人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
申立人は、1957年にスイス国バーゼルで設立された法人であり、世界100カ国以上にライセンス・物流ネットワークを有し、日本においては、1998年に日本事務所(東京・丸の内)を開設(甲第7号証ないし同第11号証)、2002年に日本法人であるムンディファーマ株式会社を発足させたが、申立人の製品自体は、そのはるか以前から、日本の製薬会社に対してライセンス供与を行うという形で製造・販売が行われており(甲第12号証ないし同第26号証)、本件商標の商標権者である明治製菓株式会社に対しても、1967年に、「ポビドンヨード(殺菌消毒剤、うがい薬など)」の製造・販売に対してライセンスを供与するとともに、その商標である「イソジン(ISODINE)」についても通常使用権の設定を行っていたことが認められる(甲第19号証ないし同第61号証)。
そして、日本における「イソジン(ISODINE)」関連商品の年間売上高は、本件商標が出願された2006年においては61億円にのぼっており(甲第62号証ないし同第126号証)、雑誌・新聞等においても盛んに紹介されていたことが認められる(甲第127号証ないし同第170号証)。
上記証拠によれば、引用各商標は、本件商標の出願時及び登録査定時においては既に、申立人の業務に係る商品「ポビドンヨード(殺菌消毒剤、うがい薬など)」を表示するものとして、我が国においても広く認識されていたものということができる。
(2)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、前記したとおり、「メイソジン」の片仮名文字を標準文字で表してなるところ、該語は、全体として特定の意味合いを有する成語ないしは熟語とは認められないものである。
しかして、本件商標構成中の「イソジン」の文字部分は、上記したとおり、我が国においても広く知られている引用商標2と同一の構成からなるものであり、引用各商標との関係においては、その称呼を同一にするものである。
そうとすれば、本件商標がその指定商品について使用されたときには、これに接する取引者・需要者は、その構成中の「イソジン」の文字部分に強い印象を受け、これに注目するであろうことは容易に想像し得るところである。
してみれば、本件商標は、その構成全体から「メイソジン」の称呼を生ずるとともに、「イソジン」の文字部分から、単に「イソジン」の称呼をも生ずるものといわなければならない。
他方、前記したとおり、引用商標1は「ISODINE」の欧文字を横書きしてなり、引用商標2は「イソジン」の片仮名文字を横書きしてなるものであるから、該構成文字に相応して、いずれからも「イソジン」の称呼を生ずるものと認められる。
そうとすれば、本件商標と引用各商標とは、「イソジン」の称呼を共通にする類似の商標であり、また、本件商標と引用商標2とは、外観においても紛らわしい類似の商標というべきである。
そして、本件商標の指定商品中の「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ」は、引用商標1の指定商品及び引用商標2の指定商品中の第5類の指定商品と同一又は類似のものである。
したがって、本件商標の指定商品中、「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ」についての登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものである。
(3)商標法第4条第1項第15号について
また、上記したとおり、本件商標と引用各商標とは類似する商標であり、引用各商標は、申立人の業務に係る商品「ポビドンヨード(殺菌消毒剤、うがい薬など)」を表示するものとして、我が国においても広く認識されている商標であるから、商標権者が本件商標を、「殺菌消毒剤」と近接した領域にある「歯科用材料,医療用腕環」について使用するときは、これに接する取引者・需要者は、申立人の使用に係る著名な引用各商標を連想・想起し、該商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く、その商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本件商標の指定商品中、「歯科用材料,医療用腕環」についての登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものである。
(4)まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してされたものであるから取消しを免れない。
4 商標権者の意見
上記の取消理由に対し、商標権者は、何ら意見を述べるところがない。
5 当審の判断
本件商標についてした先の取消理由は、妥当なものと認められる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録したといわざるを得ないから、他の申立の理由について判断するまでもなく、本件商標の登録は、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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