結論テキスト
審判費用は被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2008−890003(T2008−890003/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第4935475号商標(以下「本件商標」という。)は、「ブテナパワー」の片仮名文字を標準文字で書してなり、平成17年7月7日に登録出願、第5類「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科用材料,医療用腕環,失禁用おしめ,はえ取り紙,防虫紙,乳糖,乳児用粉乳,人工受精用精液,食餌療法用食品,食餌療法用飲料」を指定商品として、同18年3月10日に設定登録されたものである。
請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録商標は、以下の(1)ないし(22)である。
(1)登録第4462395号商標(以下「引用商標1」という。)は、「ブテナロック」の片仮名文字を書してなり、平成12年4月5日に登録出願、第5類「薬剤,歯科用材料,医療用腕環,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,失禁用おしめ,人工受精用精液,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,乳児用粉乳,乳糖,はえ取り紙,ばんそうこう,包帯,包帯液,防虫紙,胸当てパッド」を指定商品として、同13年3月23日に設定登録されたものである。
(2)登録第4581355号商標(以下「引用商標2」という。)は、「ブテナロック」の片仮名文字を包含する別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成13年8月20日に登録出願、第5類「薬剤,歯科用材料,医療用腕環,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,失禁用おしめ,人工受精用精液,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,乳児用粉乳,乳糖,はえ取り紙,ばんそうこう,包帯,包帯液,防虫紙,胸当てパッド」を指定商品として、同14年6月28日に設定登録されたものである。
(3)登録第4462396号商標(以下「引用商標3」という。)は、「BUTENALOCK」の欧文字を書してなり、平成12年4月5日に登録出願、第5類「薬剤,歯科用材料,医療用腕環,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,失禁用おしめ,人工受精用精液,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,乳児用粉乳,乳糖,はえ取り紙,ばんそうこう,包帯,包帯液,防虫紙,胸当てパッド」を指定商品として、同13年3月23日に設定登録されたものである。
(4)登録第4581336号商標(以下「引用商標4」という。)は、「ブテナロック」の片仮名文字及び「足ふきシート」の文字を二段に書してなり、平成13年8月10日に登録出願、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」、第5類「薬剤,歯科用材料,医療用腕環,医療用油紙,衛生マスク,オブラート ,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,失禁用おしめ,人工受精用精液,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,乳児用粉乳,乳糖,はえ取り紙,ばんそうこう,包帯,包帯液,防虫紙,胸当てパッド」及び第16類「紙類,衛生手ふき,紙製タオル,紙製テーブルナプキン,紙製手ふき,紙製ハンカチ,衛生足ふき」を指定商品として、同14年6月28日に設定登録されたものである。
(5)登録第4581638号商標(以下「引用商標5」という。)は、「ブテナロック」の片仮名文字及び「足除菌ミスト」の文字を二段に書してなり、平成13年8月10日に登録出願、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」、第5類「薬剤,歯科用材料,医療用腕環,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,失禁用おしめ,人工受精用精液,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,乳児用粉乳,乳糖,はえ取り紙,ばんそうこう,包帯,包帯液,防虫紙,胸当てパッド」及び第16類「紙類,衛生手ふき,紙製タオル,紙製テーブルナプキン,紙製手ふき,紙製ハンカチ,衛生足ふき」を指定商品として、同14年6月28日に設定登録されたものである。
(6)登録第4594172号商標(以下「引用商標6」という。)は、「ブテナロック 足ゆびミスト」の文字を書してなり、平成13年10月1日に登録出願、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」、第5類「薬剤,歯科用材料,医療用腕環,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,失禁用おしめ,人工受精用精液,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,乳児用粉乳,乳糖,はえ取り紙,ばんそうこう,包帯,包帯液,防虫紙,胸当てパッド」、第16類「紙類,衛生手ふき,紙製タオル,紙製テーブルナプキン,紙製手ふき,紙製ハンカチ,衛生足ふき」を指定商品として、同14年8月9日に設定登録されたものである。
(7)登録第4601835号商標(以下「引用商標7」という。)は、「ブテナロック」の片仮名文字を包含する別掲(2)のとおりの構成よりなり、平成13年10月26日に登録出願、第5類「薬剤,歯科用材料,医療用腕環,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,失禁用おしめ,人工受精用精液,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,乳児用粉乳,乳糖,はえ取り紙,ばんそうこう,包帯,包帯液,防虫紙,胸当てパッド」を指定商品として、同14年9月6日に設定登録されたものである。
(8)登録第4601837号商標(以下「引用商標8」という。)は、「ブテナロック」の片仮名文字を包含する別掲(3)のとおりの構成よりなり、平成13年10月26日に登録出願、第5類「薬剤,歯科用材料,医療用腕環,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,失禁用おしめ,人工受精用精液,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,乳児用粉乳,乳糖,はえ取り紙,ばんそうこう,包帯,包帯液,防虫紙,胸当てパッド」を指定商品として、同14年9月6日に設定登録されたものである。
(9)登録第4601838号商標(以下「引用商標9」という。)は、「ブテナロック」の片仮名文字を包含する別掲(4)のとおりの構成よりなり、平成13年10月26日に登録出願、第5類「薬剤,歯科用材料,医療用腕環,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,失禁用おしめ,人工受精用精液,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,乳児用粉乳,乳糖,はえ取り紙,ばんそうこう,包帯,包帯液,防虫紙,胸当てパッド」を指定商品として、同14年9月6日に設定登録されたものである。
(10)登録第4605539号商標(以下「引用商標10」という。)は、「ブテナロック」の片仮名文字及び「足洗いソープ」の文字を二段に書してなり、平成13年8月10日に登録出願、第3類「せっけん類」、第5類「日本薬局方の薬用せっけん」及び第16類「紙類,衛生手ふき,紙製タオル,紙製テーブルナプキン,紙製手ふき,紙製ハンカチ,衛生足ふき」を指定商品として、同14年9月20日に設定登録されたものである。
(11)登録第4647841号商標(以下「引用商標11」という。)は、「ブテナロック デオドラントミスト」の片仮名文字を書してなり、平成14年5月16日に登録出願、第3類「デオドラント効果を有する霧状のせっけん類,香料類,デオドラント効果を有する霧状の化粧品」、第5類 「デオドラント効果を有する霧状の薬剤,歯科用材料,医療用腕輪,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,失禁用おしめ,人工受精用精液,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,乳児用粉乳,乳糖,はえ取り紙,ばんそうこう,包帯,包帯液,防虫紙,胸当てパッド」及び第16類「デオドラント効果を有する衛生手ふき,デオドラント効果を有する紙製タオル,紙製テーブルナプキン,デオドラント効果を有する紙製手ふき,紙製ハンカチ,デオドラント効果を有する衛生足ふき,デオドラント効果を有するウエットティッシュ」を指定商品として、同15年2月21日に設定登録されたものである。
(12)登録第4647842号商標(以下「引用商標12」という。)は、「ブテナロック デオドラントシート」の片仮名文字を書してなり、平成14年5月16日に登録出願、第3類「デオドラント効果を有するシート状のせっけん類,デオドラント効果を有するシート状の化粧品」、第5類 「デオドラント効果を有するシート状の薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,ばんそうこう,包帯,防虫紙,胸当てパッド」及び第16類「デオドラント効果を有する衛生手ふき,デオドラント効果を有する紙製タオル,紙製テーブルナプキン,デオドラント効果を有する紙製手ふき,紙製ハンカチ,デオドラント効果を有する衛生足ふき,デオドラント効果を有するウエットティッシュ」を指定商品として、同15年2月21日に設定登録されたものである。
(13)登録第4652743号商標(以下「引用商標13」という。)は、「ブテナロック」の片仮名文字を包含する別掲(5)のとおりの構成よりなり、平成14年5月30日に登録出願、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」及び第5類「薬剤,歯科用材料,医療用腕環,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,失禁用おしめ,人工受精用精液,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,乳児用粉乳,乳糖,はえ取り紙,ばんそうこう,包帯,包帯液,防虫紙,胸当てパッド」を指定商品として、同15年3月14日に設定登録されたものである。
(14)登録第4652744号商標(以下「引用商標14」という。)は、「ブテナロック」の片仮名文字を包含する別掲(6)のとおりの構成よりなり、平成14年5月30日に登録出願、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」、第5類「薬剤,歯科用材料,医療用腕環,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,失禁用おしめ,人工受精用精液,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,乳児用粉乳,乳糖,はえ取り紙,ばんそうこう,包帯,包帯液,防虫紙,胸当てパッド」及び第16類「紙類,衛生手ふき,紙製タオル,紙製テーブルナプキン,紙製手ふき,紙製ハンカチ,衛生足ふき,ウエットティッシュ」を指定商品として、同15年3月14日に設定登録されたものである。
(15)登録第4652745号商標(以下「引用商標15」という。)は、「ブテナロック」の片仮名文字を包含する別掲(7)のとおりの構成よりなり、平成14年5月30日に登録出願、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」、第5類「薬剤,歯科用材料,医療用腕環,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,失禁用おしめ,人工受精用精液,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,乳児用粉乳,乳糖,はえ取り紙,ばんそうこう,包帯,包帯液,防虫紙,胸当てパッド」及び第16類「紙類,衛生手ふき,紙製タオル,紙製テーブルナプキン,紙製手ふき,紙製ハンカチ,衛生足ふき,ウエットティッシュ」を指定商品として、同15年3月14日に設定登録されたものである。
(16)登録第4658673号商標(以下「引用商標16」という。)は、「ブテナロック」の片仮名文字を包含する別掲(8)のとおりの構成よりなり、平成14年5月30日に登録出願、第3類「せっけん類」及び第5類「日本薬局方の薬用せっけん」を指定商品として、同15年4月4日に設定登録されたものである。
(17)登録第4688428号商標(以下「引用商標17」という。)は、「ブテナロック」の片仮名文字を包含する別掲(9)のとおりの構成よりなり、平成14年9月30日に登録出願、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」及び第5類「薬剤,歯科用材料,医療用腕環,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,失禁用おしめ,人工受精用精液,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,乳児用粉乳,乳糖,はえ取り紙,ばんそうこう,包帯,包帯液,防虫紙,胸当てパッド」を指定商品として、同15年7月4日に設定登録されたものである。
(18)登録第4688429号商標(以下「引用商標18」という。)は、「ブテナロック」の片仮名文字を包含する別掲(10)のとおりの構成よりなり、平成14年9月30日に登録出願、第3類「せっけん類」及び第5類「日本薬局方の薬用せっけん」を指定商品として、同15年7月4日に設定登録されたものである。
(19)登録第4694574号商標(以下「引用商標19」という。)は、「ブテナロック」及び「足指ミスト」の文字を一連に書してなり、平成14年11月12日に登録出願、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」及び第5類「薬剤,歯科用材料,医療用腕環,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,失禁用おしめ,人工受精用精液,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,乳児用粉乳,乳糖,はえ取り紙,ばんそうこう,包帯,包帯液,防虫紙,胸当てパッド」を指定商品として、同15年7月25日に設定登録されたものである。
(20)登録第4740784号商標(以下「引用商標20」という。)は、「ブテナロックL」の文字及び「BUTENALOCK L」の欧文字を二段に書してなり、平成15年5月23日に登録出願、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」、第5類「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科用材料,医療用腕環,失禁用おしめ,はえ取り紙,防虫紙,乳糖,乳児用粉乳,人工受精用精液」及び第16類「紙類,衛生手ふき,紙製タオル,紙製テーブルナプキン,紙製手ふき,紙製ハンカチ,衛生足ふき,ウェットティッシュ」を指定商品として、同16年1月16日に設定登録されたものである。
(21)登録第4768564号商標(以下「引用商標21」という。)は、「ブテナロック」の片仮名文字を包含する別掲(11)のとおりの構成よりなり、平成15年7月31日に登録出願、第3類「足用のシート状化粧品」、第5類「足用のシート状薬剤」及び第16類「衛生足ふき」を指定商品として、同16年4月30日に設定登録されたものである。
(22)登録第4791406号商標(以下「引用商標22」という。)は、「ブテナロック」の片仮名文字を包含する別掲(12)のとおりの構成よりなり、平成15年12月15日に登録出願、第5類「スプレー式の薬剤」を指定商品として、同16年7月30日に設定登録されたものである。
以下、引用商標1ないし引用商標22を一括していうときは、単に「引用商標」という。
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由、答弁に対する弁駁及び上申書において要旨次のとおりに述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第211号証(枝番を含む。)を提出した。
本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものであるから、商標法第46条第1項第1号に基づいて、その登録を無効とされるべきである。
(1)審判請求の利益について
本件商標は、請求人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれのある商標である。
そして、請求人は、本件商標の使用により、その営業活動に取り返しのつかない損害を受けるおそれがある。
したがって、請求人は、本件審判を請求することにつき、利害関係を有する。
(2)商標法第4条第1項第11号について
(ア)本件商標と引用商標との類否
(a)本件商標と引用商標1との類否
本件商標は、「ブテナパワー」の片仮名文字よりなるものであるところ、前半の「ブテナ」の文字(語)は、特定の意味合いを有さない造語であるのに対して、後半の「パワー」の文字(語)は、「力」の意味を有する英語として一般に親しまれている「POWER」の語を想起させる語であるから、観念上「ブテナ」と「パワー」の結びつきは極めて弱く、したがって、両文字は、分離して観察されやすいものである。
しかも、「パワー」の語は、薬剤関係の商標においては、その構成要素を表示するものとして多用されている語であり、識別力の弱い部分といえる。
してみれば、本件商標は、「ブテナ」の文字部分より、「ブテナ」の称呼を生ずるというべきである。
一方、引用商標1は、「ブテナロック」の片仮名文字よりなるところ、
前半の「ブテナ」の文字(語)は、特定の意味合いを有さない造語であるのに対して、後半の「ロック」の文字(語)は、「鍵」の意味を有する英語として一般に親しまれている「LOCK」の語又は「岩」の意味を有する英語として一般に親しまれている「ROCK」の語を想起させる語であるから、観念上「ブテナ」と「ロック」の結びつきは極めて弱く、したがって、両文字は、分離して観察されやすいものである。
しかも、取引の実際においては、引用商標1「ブテナロック」が、周知著名なこともあり、簡便かつその親しみから、「ブテナ」と略称されている事実がある(甲第101号証)。
してみれば、引用商標は、「ブテナ」の文字部分より、「ブテナ」の称呼を生ずるというべきである。
また、両商標において「ブテナ」の部分が注目され、「ブテナ」の略称が生ずることは、次の点からも裏付けられる。
すなわち、語頭音の「ブ」の音は強く発音され聴取される濁音であり、続く第2音の「テ」も強く発音される破裂音であり、さらに、第3音の「ナ」の音は口を大きく開いて発音される母音[a]を帯有する音であるから、「ブテナ」の音全体が極めて強い語感をもって聴取されるものである。
さらに、取引者、需要者に語頭部の「ブテナ」の称呼が強く印象付けられることは、水虫薬の商品名(商標)においては請求人が調査した限り、本件商標の出願当時から現在に至るまで「ブテナ」の文字及び称呼を有する商標としては、請求人の「ブテナロック」しか存在していないことからもいえるところである。
してみれば、本件商標と引用商標1とは、「ブテナ」の称呼を共通にする称呼上類似の商標である。
さらに、観念について検討すると、引用商標1は「ブテナ」と略されているほどであるから、本件商標に接する者は、その語頭の「ブテナ」に着目し、「塩酸ブテナフィン」を暗示させる引用商標1「ブテナロック」を直ちに連想することは想像に難くない。
したがって、両商標は、その観念やイメージにおいても相紛らわしく類似するものである。
以上を総合的に考察し、かつ、引用商標1「ブテナロック」が水虫薬について周知著名商標となっている取引の実情を考慮した場合においては、本件商標がその指定商品、特に「水虫薬」に使用されたときには、取引者、需要者は、本件商標から観念において引用商標1を連想し、かつ、両者はその称呼においても相紛らわしいところから、その商品の出所を混同する蓋然性は極めて高いといわなければならない。
したがって、本件商標は、引用商標1と類似するものである。
また、商品についても、本件商標の指定商品と引用商標1の指定商品は、抵触するものである。
(b)本件商標と引用商標2との類否
引用商標2は、図形中に、ロゴデザイン化した「ブテナロック」の文字を顕著に表してなる商標であるから、当該「ブテナロック」の文字部分を要部とする商標であり、引用商標1と同様に「ブテナロック」の称呼を生じる。
そして、本件商標と引用商標2から生じる「ブテナロック」の称呼が類似すること及び本件商標と引用商標2とが、観念上類似することは、上記(a)で述べた、引用商標1の場合と同様である。
かつ、本件商標の指定商品と引用商標2の指定商品は、「薬剤」等につき抵触する。
(c)本件商標と引用商標3ないし引用商標22との類否
引用商標3ないし引用商標22は、普通書体の片仮名文字「ブテナロック」を要部とする商標、ロゴデザイン化した片仮名文字「ブテナロック」を要部とする商標、又は、欧文字の「BUTENALOCK」を要部とする商標であるから、いずれの商標からも「ブテナロック」の称呼を生じる。
そして、本件商標より生じる「ブテナパワー」の称呼と引用商標3ないし引用商標22より生じる「ブテナロック」の称呼が類似すること及び本件商標と引用商標3ないし引用商標22とが、観念上類似することは、上記(a)及び(b)で述べた、引用商標1及び引用商標2の場合と同様であり、かつ、本件商標の指定商品と引用商標3ないし引用商標22の指定商品は、「薬剤,日本薬局方の薬用せっけん,デオドラント効果を有する霧状の薬剤,足用のシート状薬剤,スプレー式の薬剤」等につき抵触する。
(イ)むすび
以上のとおり、本件商標は、引用商標との関係で、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号について
(ア)請求人が、「ブテナロック」を商標登録するに至った経緯
「水虫、いんきんたむし、ぜにたむしに対する治療薬」(以下、これらを総称して「水虫薬」という。)の有効成分として高い薬効を有する薬の一つとして「塩酸ブテナフィン」がある。
この「塩酸ブテナフィン」の原薬は、科研製薬株式会社(以下「科研製薬」という。)が新薬として開発したものである。
そして、科研製薬と請求人は、この「塩酸ブテナフィン」を配合した外用薬(クリーム剤、液剤及び噴霧剤)を共同開発し、平成4年1月21日に、厚生労働省より、クリーム剤と液剤について、医療用医薬品(医者の処方築や薬剤師等の指導が必要な医療機関等によって処方される薬剤)としての製造承認(現在の製造販売承認に相当)を取得した。
そして、請求人は、平成4年4月17日に、医療用医薬品としての「塩酸ブテナフィン」配合の外用薬(販売名称「ボレー」)を新薬として製造、販売し、現在に至っている(甲第118号証)。
さらに、請求人は、「塩酸ブテナフィン」を有効成分として配合した外用薬を医者の処方箋なく一般の大衆に広く使ってもらえるように、一般用医薬品としての製造販売承認を取得した。
(イ)「ブテナロック」の著名性
(a)「ブテナロック」の使用態様
請求人は、平成15年2月5日より、一般用医薬品として「クリーム状・液状の水虫薬」を販売している。
そして、当該指定商品には、当初から現在に至るまで、普通書体で表示してなる「ブテナロック」の商標及び別掲(23)の書体よりなる「ブテナロック」の商標(以下、両商標を一括して「使用商標」という。)を使用している(甲第11号証ないし甲第24号証、甲第120号証)。
(b)水虫薬「ブテナロック」に対する市場の評価
水虫薬「ブテナロック」は、一般用医薬品では初めて「塩酸ブテナフィン」が配合された水虫薬であることもあって、注目を浴びた(甲第13号証ないし甲第15号証、甲第25号証及び甲第26号証)。
そして、水虫薬「ブテナロック」は、医者や薬剤師等によって高い薬効をもつことが認められた医療用医薬品をスイッチした一般用医薬品であるという、極めて画期的なものであることもあって、発売開始から僅か3ヶ月で市場シェア第2位の地位を占めるほどのヒット商品となり、2003年度の医薬品に限らないあらゆる商品の中での「ヒット商品ベスト30」にランクインされた(甲第27号証ないし甲第29号証)。
(c)「ブテナロック」の広告実績
請求人の水虫薬「ブテナロック」の発売が開始された、平成15年2月以降、本件商標の出願時点までの期間の広告宣伝だけでも53億円の費用をかけて、テレビコマーシャル、新聞広告、雑誌広告、電車のステッカー、駅構内でのポスター等の広告、薬局の店頭でのPOP広告等を行っている。
(d)水虫薬「ブテナロック」の売上高と市場占有率
水虫薬「ブテナロック」の売り上げは、発売当初の平成15年度において約19億円強であり(甲第67号証)、発売開始である平成15年2月から本件商標の出願時である平成17年7月までのトータルで約50億円に達している(甲第68号証及び甲第69号証)。
水虫薬(一般用医薬品)の市場規模は、年間約200億円であり、そのことからも「ブテナロック」の前記売上高が、水虫薬(一般用医薬品)としては画期的なものであることがわかる。
そのために、「ブテナロック」は、大ヒット商品としてランクされ、注目されてきたのである(甲第27号証及び甲第28号証、甲第37号証)。
また、水虫薬(一般用医薬品)が100品目以上ある中で、「ブテナロック」商品の市場占有率は、発売から僅か3ヶ月で11.8%に達し(甲第27号証)、その後も飛躍的にシェアを高め、本件商標の登録出願時である平成17年12月当時で約16%(全国第2位)であり、平成18年では、19.2%(全国第1位)までに達し、水虫薬(一般用医薬品)でのシェアは抜きん出ている(甲第29号証、甲第34号証及び甲第70号証)。
このことからも、「ブテナロック」の周知著名性が伺い知れるところである。
そして、請求人は、水虫薬「ブテナロック」の周知著名性を背景に、「足洗用の石けん、消臭スプレー、足ふきシート」等の関連商品についても「ブテナロック」の使用を拡大してきている(甲第71号証)。
以上から明らかなように、請求人は、上記(c)で述べたとおり「ブテナロック」に、莫大な広告宣伝費用を投じて、そのブランドの浸透を図ってきたものであり、その結果、少なくとも本件商標の出願時点においては、「ブテナロック」は、取引者及び需要者間で周知、著名となっていたものである。
(ウ)使用商標の独創性
使用商標「ブテナロック」の語頭部である「ブテナ」は、格別の意味を有しない造語である。この「ブテナ」は、請求人と請求人の共同開発者により創造されたものであり、「水虫薬」の分野では、「ブテナ」を有する商標は「ブテナロック」しか存在しないものである。
したがって、使用商標は、独創性の高い商標である。
(エ)後発品と悪意(不正競争の意図)によるフリーライド商標の存在
後発品の製造・販売自体は薬事法上では違法な行為ではないが、商標法上問題となるのは、このような後発品に先発品と混同を生じるような類似の商標が採択され、使用されることである。
被請求人は、請求人の製造・販売する水虫薬「ブテナロック」が、その高い効用と請求人が莫大な費用を投じて広報宣伝活動を行った結果ヒット商品となったことを同業者として当然に知っており、これに着目して、あえて、類似商標である本件商標を採択し、それを水虫薬に使用することによって、請求人の「ブテナロック」が有する信用力にフリーライドせんとしているものである。
審判長は、被請求人に審判請求書副本を送達すると共に、期間を指定して答弁の機会を与えたが、答弁の提出はなかった。
商標法4条1項15号にいう「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれ」の有無は、「当該商標と他人の表示との類似性の程度、他人の表示の周知著名性及び独創性の程度、当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との間の性質、用途又は目的における関連性の程度並びに商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし、当該商標の指定商品等の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断すべきである。」(最高裁判所第三小法廷、平成10年(行ヒ)第85号)。
そこで、上記基準に沿って、本件商標が、他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標であるか否かについて、以下検討する。
(1)甲各号証及び請求の理由によれば、次の事実を認めることができる。(ア)水虫薬の有効成分として高い薬効を有する薬の一つとして「塩酸ブテナフィン」がある。
この「塩酸ブテナフィン」の原薬は、科研製薬が新薬として開発したものである。
そして、科研製薬と請求人は、この「塩酸ブテナフィン」を配合した外用薬(クリーム剤、液剤及び噴霧剤)を共同開発し、平成4年1月21日に、厚生労働省より、クリーム剤と液剤について、医療用医薬品としての製造承認(現在の製造販売承認に相当)を取得した。
また、請求人は、平成4年4月17日に、医療用医薬品としての「塩酸ブテナフィン」配合の外用薬(販売名称「ボレー」)を新薬として製造、販売し、現在に至っている(甲第118号証)。
さらに、請求人は、「塩酸ブテナフィン」を配合の薬品について、一般用医薬品としての製造販売承認を取得した。
(イ)請求人は、平成15年2月5日に一般用医薬品として販売した、「クリーム状・液状の水虫薬」に、使用商標を使用し(甲第11号証ないし甲第16号証)、その後現在に至るまで、当該商標を継続的に使用している(甲第17号証ないし甲第24号証)。
(ウ)水虫薬「ブテナロック」は、一般用医薬品では初めて「塩酸ブテナフィン」が配合された水虫薬であることもあって、注目を浴びた(甲第13号証ないし甲第15号証、甲第25号証及び甲第26号証)。
そして、水虫薬「ブテナロック」は、発売開始から3ヶ月で市場シェア第2位となった(甲第27号証ないし甲第29号証)。
水虫薬「ブテナロック」は、ヒット商品の例として、一般誌、経済誌、薬事関係の業界誌等でしばしば紹介されている(甲第30号証ないし甲第36号証)。
また、経済誌等においては、製薬業界各社が製造・販売する水虫薬が対比紹介されることも多くあるが、水虫薬「ブテナロック」は、商品対比でも取り上げられている(甲第37号証)。
さらに、全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどで販売されている一般用医薬品を紹介する家庭用医薬品ガイド「くすりやさん(甲第38号証ないし甲第41号証)にも水虫薬「ブテナロック」が、その発売以来常に紹介されており、水虫薬「ブテナロック」を取り扱う通信販売業者も多数に上っている(甲第42号証ないし甲第46号証)。
(エ)請求人の水虫薬「ブテナロック」の発売が開始された、平成15年2月以降、本件商標が商標登録出願される平成17年7月7日の間においても、26,279GRPを超えるテレビコマーシャル、6,604万部の新聞広告、及び568万部の雑誌広告がなされている。
さらに、電車のステッカーや駅構内でのポスター等の広告、薬局の店頭でのPOP広告等も日本全国を網羅する規模でなされている。
これらの広告宣伝に要した費用は、発売当初から現在までで約83億円を超えており、本件商標の出願時点までの期間の広告宣伝費用だけでも53億円の規模に達している。
(オ)水虫薬「ブテナロック」の売上高と市場占有率
水虫薬「ブテナロック」の売り上げは、発売当初の平成15年度において約19億円強であり(甲第67号証)、発売開始である平成15年2月から本件商標の出願時である平成17年7月までのトータルで約50億円に達している(甲第68号証及び甲第69号証)ところ、水虫薬(一般用医薬品)の市場規模は年間約200億円であることから、水虫薬「ブテナロック」は大ヒット商品としてランクされ、注目されてきた(甲第27号証、甲第28号証及び甲第37号証)。
また、水虫薬(一般用医薬品)が100品目以上ある中で、「ブテナロック」商品の市場占有率は、発売から僅か3ヶ月で11.8%に達し(甲第27号証)、その後もシェアを高め、本件商標の登録出願時である平成17年7月当時で約16%(全国第2位)であり、現在では、19.2%(全国第1位)までに達し、水虫薬(一般用医薬品)でのシェアは抜きん出ている(甲第29号証、甲第34号証及び甲第70号証)。
そして、請求人は、水虫薬「ブテナロック」の周知著名性を背景に、「足洗用の石けん、消臭スプレー、足ふきシート」等の関連商品についても「ブテナロック」の使用を拡大してきている(甲第71号証)。
(2)以上の事実を総合勘案すれば、使用商標は、請求人により継続して使用され、宣伝、広告された結果、本件商標の出願時には、請求人の業務に係る商品を表示するものとして取引者、需要者の間に広く認識されるに至っていたと判断するのが相当である。
そして、その周知性は、本件商標の登録時を含め、それ以降にも継続していたと認められ(甲第139号証ないし甲第143号証)、これを覆すに足りる証拠はない。
使用商標「ブテナロック」の語は、全体としては特定の意味合いを有さない造語であること、及び市場に存在する水虫薬の商標としては、語頭部に「ブテナ」を有する商標は「ブテナロック」以外発見できないことを考慮すれば、独創性の程度の高い商標であるということができる。
本件商標は、「ブテナパワー」の片仮名文字よりなるところ、「ブテナ」は、特定の意味合いを有さない語であるのに対して、「パワー」は、「力」の意味を有する語として一般に親しまれている英語「power」を想起させる語であるから、観念上「ブテナ」と「パワー」の結びつきは極めて弱く、両文字は分離して観察されやすいものといえる。
使用商標は、「ブテナロック」の片仮名文字よりなるところ、「ブテナ」は、特定の意味合いを有さない語であるのに対して、「ロック」は、「鍵」の意味を有する語として一般に親しまれている英語「lock」及び「岩」の意味を有する語として一般に親しまれている英語「rock」を想起させる語であり、加えて、水虫薬「ブテナロック」が単に「ブテナ」と略称されている事実(甲第101号証)も認められることから、観念上「ブテナ」と「ロック」の結びつきは極めて弱く、両文字は分離して観察されやすいものといえる。
そして、本件商標「ブテナパワー」と使用商標「ブテナロック」は、比較的印象が強いといえる語頭部分において「ブテナ」の文字部分を共通にしており、また、「ブテナ」の文字部分は、水虫薬「塩酸ブテナフィン」を暗示させるものであり、さらに、使用商標は水虫薬に使用され、上記2で述べたとおり、需要者に広く認識されており、単に「ブテナ」と略称されて称呼されている実例もある。
以上の点よりすれば、本件商標「ブテナパワー」及び使用商標「ブテナロック」に接した取引者、需要者は、両商標を記憶するに当たって、両商標中の「ブテナ」の文字部分の外観及び当該「ブテナ」の文字部分より生ずる「ブテナ」の称呼に強い印象を受けるというの相当である。
してみれば、本件商標と使用商標は、離隔観察する場合には極めて類似性の程度が高い商標であるということができる。
使用商標が使用されている「水虫薬」と本件商標に係る指定商品「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科用材料,医療用腕環,失禁用おしめ,はえ取り紙,防虫紙,乳糖,乳児用粉乳,人工授精用精液,食餌療法用食品,食餌療法用飲料」とは、同一商品若しくは類似商品又は極めて関連性の強い商品である。
以上を総合勘案すると、本件商標に接する取引者、需要者は、普通に払われる注意力において、使用商標を連想、想起するものといえる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、同第11号に該当するか否かについて論及するまでもなく、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効にすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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