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Trademark Appeal Case

世界遺産の郷の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2006−15761(T2006−15761/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

第1 本願商標

本願商標は、別掲に示すとおり「世界遺産の郷」の文字を横書きにし、その構成文字中の「郷」の文字の上に前記文字より小さく「さと」の文字を配してなり、第30類「菓子及びパン,アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤,食品香料(精油のものを除く。),茶,コーヒー及びココア,氷,調味料,香辛料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,コーヒー豆,穀物の加工品,アーモンドペースト,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,お好み焼き,焼きそば,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,酒かす,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン,穀物を主原料とする粉末状・粒状・顆粒状・錠剤状・カプセル状・ゼリー状又は液状の加工食品」を指定商品として、平成17年8月10日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は、「本願商標は、『世界遺産の郷』の文字よりなり、全体として『世界遺産に指定された区域』程の意味合いを理解させることから、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者は、『前記意味合いの区域で生産・販売されたもの』であることを表示したものと認識するに止まり、何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものと認める。したがって、この商標登録出願に係る商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審における証拠調べ通知

当審において、平成20年6月19日付証拠調べ通知書をもって通知した内容は、次のとおりである。

本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するか否かに関する、職権に基づく証拠調べをした結果(商標法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づく通知)について、請求人に対し、所定の期間を指定し、意見を述べる機会を与えて通知した内容は、以下のとおりである。

(1)「毎日新聞」(2007年2月14日付け、地方版/奈良 22頁)

「ラジオウォーク:斑鳩・聖徳太子の道 楽しい解説、お供に世界遺産の郷散策 /奈良」の見出しの下、「ポカポカ陽気に誘われ、昨年とほぼ同じ2万8000人が繰り出した――。12日、斑鳩町で開かれた第26回毎日カルチャースペシャル『斑鳩・聖徳太子の道ラジオウォーク〜世界文化遺産の郷をたずねて〜』。この日、県内各地は3月中旬の気温で、参加者らは、ユーモアたっぷりのラジオ解説に笑い声を上げながら、聖徳太子ゆかりの地に思いをはせた。同町の大和川第一緑地から、法隆寺や法輪寺、法起寺などを巡って中宮寺跡までの8キロコース。参加者らは毎日新聞の特集面を片手に、思い思いのペースで歩いた。」の記載がある。

(2)「東京新聞」(2002年11月9日付け、朝刊 25頁)

「こちら特報部 岐阜県白川村 合掌家屋集落 歩きたばこに“罰金” 世界遺産の郷でも 来春にも 『ポイ捨て禁止条例』改正」の見出しの下、「合掌家屋がユネスコの世界遺産にも登録されている岐阜県白川村は、合掌造り集落内での路上喫煙を禁止する条例を設けることを決めた。十月一日に条例が施行された東京都千代田区のように罰則付きとなる。白川村の萩町地区には、かやぶき屋根の合掌家屋があり、一九九五年には世界遺産に登録された。しかし登録後、観光客が急増し、現在では小さな集落に年間、約百三十万人が訪れるようになっている。今月十六日には東海北陸自動車道の白川インターが開通、観光客はさらに増えると見込まれている。」の記載がある。

(3)「中国新聞」(1999年10月25日付け、中国夕刊)

「三面鏡 世界遺産の郷に嫁入り行列」の見出しの下、「◎...世界遺産の合掌集落で知られる白川郷(岐阜県白川村)で二十四日、昔ながらの結婚式が約十年ぶりに再現され、あでやかな着物をまとった花嫁らの行列が集落の中をゆっくりと進んだ。・・・◎...晴れ渡った秋空の下、嫁入り行列は神社を出発し、花婿の家へ。途中、村人がはしごや縄を持って行列を止める風習も再現された。世界遺産の郷に嫁入り行列」の記載がある。

(4)「読売新聞」(2007年10月19日付け、東京朝刊 26頁)

「観光のプロが南砺市に助言 旅行業者、学識経験者=富山」の見出しの下、「・・・南砺市の観光に対して、プロがまちづくりや旅行商品づくりを助言した。・・また、国交省が募集した新形態の旅行商品に対する旅行者ニーズを探るモニターツアーに、南砺市の『世界遺産の里南砺里山発見伝』が採択されたことも報告された。ツアーは、南砺市観光連盟を主体に、12月から1月まで実施。五箇山や散居村などの歴史、和紙作りなどの体験ツアーを1泊2日と2泊3日の計4コースで、中京地区の計100人を対象に募集する。」の記載がある。

(5)「金融専門誌ニッキン」(2007年6月22日付け、ニッキン 8頁)

「能登復興へ“信金の輪”、埼玉県信金が顧客旅行企画、北陸地区3信金も全面協力」の見出しの下、「・・・旅行は2泊3日。初日は富山県に入り、世界遺産の里・合掌造りの民宿に宿泊。2日目は金沢市内を観光し和倉温泉・加賀屋に宿泊。3日目に能登と富山県を観光、埼玉県に戻る。」の記載がある。

(6)「読売新聞」(2006年3月22日付け、東京朝刊 26頁)

「[世界遺産の里から]まきの囲炉裏、中心に=富山」の見出しの下、「・・世界遺産の相倉、菅沼の両合掌集落・・・昔は、一帯の五箇山地方すべてが合掌家屋で、どの家でも囲炉裏に火がともっていた。・・・1995年12月、相倉が世界遺産に登録・・・」の記載がある。

(7)「読売新聞」(2006年3月18日付け、中部朝刊 22頁)

「[古里PR]3月18日=愛知」の見出しの下、「18、19日の両日、名古屋市中区のアスナル金山で『富山となみ野チューリップ祭り』が開かれます。チューリップの切り花や鉢植え、お菓子などの特産品を販売したり、世界遺産の里『五箇山』の手すき和紙体験コーナーを開設したりします。」の記載がある。

(8)「東京新聞」(2006年1月11日付け、夕刊 7頁)

「レジャー 旅 富山・五箇山 世界遺産の里、癒やしの時間」の見出しの下、「築190年、合掌造りの宿 昔さながらの家族団欒 『雪にすっぽり埋もれた合掌造りの宿に泊まってみたい』−かねての願いだった。世界遺産にもなっている富山県南砺市の五箇山・相倉合掌造り集落。民宿に着くと、真っ白な雪が“歓迎の舞”で出迎えてくれた。これまで五箇山や白川郷(岐阜県)は、通りすがりに立ち寄ったことはあった。・・・五箇山の合掌集落は昨年12月、世界遺産10周年を迎えた。日本では6番目の登録だった。・・・冬の世界遺産の里。別の季節の顔にも出合ってみたいと思った。」の記載がある。

(9)「北国・富山新聞」(2001年9月23日付け 朝刊)

「越中路の無事故へ一丸 各地で交通安全運動 民謡で啓発活動 上平村」の見出しの下、「上平村交通安全対策協議会の「無事故でつなぐ世界遺産の里作戦」は二十二日、同村西赤尾の道の駅ささら館で行われた。」の記載がある。

(10)「河北新報」(2000年10月20日付け 河北新報記事情報) 「JR五能線・陸奥黒崎駅/「白神岳登山口駅」に名称変更/青森・岩崎村 12月に/世界遺産の里をPR」の見出しの下、「世界遺産・白神山地の主峰白神岳(1,232メートル)の登山口にある、青森県岩崎村黒崎のJR五能線陸奥黒崎駅の名称が、12月2日から『白神岳登山口駅』になる。JR東日本の12月ダイヤ改正で決まった。黒崎地区の玄関口として親しまれている陸奥黒崎駅は、平成5年に白神山地が世界遺産に登録されて以来、登山客の利用が急増している。村は世界遺産登録前の4年から駅名変更をJR側に繰り返し要望しており、今回ようやく実現した。」の記載がある。

(11)「日本工業新聞」(1995年6月26日付け 26頁)

「情報カプセル、北から南から:青森・深浦町 世界遺産の里で俳句を」の見出しの下、「青森県深浦町は、ブナの原生林が残る白神山地が世界遺産に登録されたのを記念して『世界遺産登録記念全国俳句大会』を開く。」の記載がある。

(12)「むらからまちから館」のウェブサイト内の「富山県のお泊まり&観光情報一覧」のタイトルの下、「宿泊&ビデオ情報」の項目の「五箇山商工会」の「ビデオ情報」の欄に「世界遺産の郷越中五箇山」の記載がある。(http://murakara.shokokai.or.jp/asp/srcSyosai1.asp?block=16&no=1&catno=all&type=all)

(13)「世界遺産の郷 銀山を語る会−粋兆のブログ−楽天ブログ(Blog)」のウェブサイト内の「粋兆のブログ」のタイトルの下、「2008年05月10日 世界遺産の郷 銀山を語る会」の記載がある。

(http://plaza.rakuten.co.jp/yoiko16/diary/200805100000/)

(14)「南砺市観光連盟」のウェブサイト内の「なんと観光ガイド」のタイトルの下、「★おすすめプラン『世界遺産の里 南砺里山立ち寄り型旅行プラン パート6』」の記載がある。

(http://710kanko.nanto-e.com/product/index-1015.html)

(15)「iタウンページ」のウェブサイト内の「別冊・関西ぶらり旅 −Let’s Enjoy NACHIKATSUURA− 那智勝浦おでかけガイド」のタイトルの下、「意外と近い?世界遺産の里へ」の記載がある。

(http://itp.ne.jp/contents/kansai/nachikatsu/heritage.html)

(16)「TOKYO HEADLINE web」のウェブサイト内の「EVENT&TRAVEL」の項目の「vol.279 世界自然遺産 秋の白神山地をゆく。−秋田県能代−」のタイトルの下、「奥深き巨木の森とともに暮らす─“世界遺産の里”」の記載及び「白神山地の秋田県側の能代市と周辺の町は、世界遺産指定地域に劣らぬ自然に触れることができる自然派に人気の旅スポットでもある。」の記載がある。

(http://www.tokyoheadline.com/vol279/event01.html)

第4 職権証拠調べに対する請求人の意見

前記第3のとおり、証拠調べ通知書をもって通知し、相当の期間を指定し、請求人に対し意見を求めたが、請求人は、指定した期間内に意見書を提出していない。

第5 当審の判断

本願商標は、前記第1のとおり「世界遺産の郷」の文字を横書きにし、その構成文字中の「郷」の文字の上に前記文字より小さく「さと」の文字を配してなるところ、その構成中「世界遺産」の文字は「さまざまな国や地域の誇る文化財や自然環境を人類共通の遺産として守り、次世代に伝えていくため、1972年にユネスコ総会で採択された「世界遺産条約」に基づき登録された遺産。世界遺産には、文化遺産と自然遺産、複合遺産の3種類がある。」(現代用語の基礎知識2007 自由国民社発行)を意味する語としてよく知られており、また、「郷」と、その表音と認められる「さと」の文字は、「むら。さと。いなか。場所。ふるさと。」(広辞苑第五版 株式会社岩波書店発行)等を意味する語である。

そして、「世界遺産」及び「郷」「さと」の語を格助詞「の」で結合したものと認められる「世界遺産の郷(さと)」の文字は、それぞれの文字の有する意味から、全体として「世界遺産に指定された場所」すなわち「世界遺産に指定された区域」であることを容易に理解させるものとするのが相当である。

さらに、前記第3の証拠調べ通知書で提示した証拠からも、「世界遺産の郷」あるいは請求人提出の原審における意見書(以下「意見書」という。)において主張する「郷」と同義語の「里」の文字を置き換えたにすぎない「世界遺産の里」の文字が、「世界遺産に指定された区域」を表すものとして、実際に使用されている実情が認められるものである。

してみれば、本願商標をその指定商品について使用するときは、これに接する取引者、需要者をして、「世界遺産に指定された区域で生産・販売されたもの」と理解、認識させるにとどまり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものであるから、これをもって、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものといわざるを得ない。

なお、請求人は、意見書及び審判請求書において、過去の登録例を挙げて、本願商標が自他商品の識別機能を有するものであるから、登録されるべきである旨主張している。

しかしながら、商標登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第6号に該当するものであるかどうかの判断は、当該商標の構成態様、指定商品及び指定役務に基づいて、個別具体的に判断されるものであるところ、本願商標が自他商品の識別標識として機能し得ないものであることは、前記認定のとおりであり、また、請求人の挙げる登録例は本願商標とはその文字構成、指定商品及び指定役務を異にするものであって、同一に論ずることはできないものであるから、請求人の主張は採用することができない。

また、前記第4のとおり、請求人は、当審において通知した証拠調べに対し、何ら意見を述べるところがなく、かつ、請求人提出の意見書及び審判請求書におけるその他の主張をもってしても、原査定の拒絶の理由を覆すに足りない。

したがって、本願商標が、商標法第3条第1項第6号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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