sokuhyo

Trademark Appeal Case

足跡図形の類似判断

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2007−890074(T2007−890074/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4906668号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成17年4月27日に登録出願、第25類「被服,ズボンつり,バンド,ベルト,履物」を指定商品として、同年11月4日に設定登録されたものである。

2 引用商標

請求人が本件商標の登録無効の理由に引用した登録商標は、次のとおりであり、その商標権は、いずれも現に有効に存続しているものである。

(1)登録第2324652号商標は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、昭和63年6月30日に登録出願、第17類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成3年7月31日に設定登録、その後、同13年8月7に商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、同14年5月15日に、指定商品を第20類「クッション,座布団,まくら,マットレス」、第22類「衣服綿,ハンモック,布団袋,布団綿」、第24類「布製身の回り品,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」及び第25類「被服」とする指定商品の書換の登録がされたものである。

(2)登録第2329483号商標は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、昭和63年6月30日に登録出願、第22類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成3年8月30日に設定登録、その後、同13年8月7に商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、同14年5月15日に、指定商品を第18類「傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄」、第25類「履物」及び第26類「靴飾り(貴金属製のものを除く。),靴はとめ,靴ひも,靴ひも代用金具」とする指定商品の書換の登録がされたものである。

(上記登録商標をまとめて、以下「引用商標」という。)

3 請求人の主張の要点

請求人は、「本件商標の登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由を次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第20号証(枝番を含む。)を提出した。

(1)商標法第4条第1項第11号について

(ア)本件商標は、下部に黒塗り山形図形を配し、その上部に、4つの黒塗り歪形の図形を該黒塗り山形図形の凸部に沿うように配してなるものであり、全体の図形は、仮想垂直線より左方向に約30度位傾いて描いてなり、かつ、上記黒塗り山形図形は獣類の足裏の肉瘤を、また、上部の4つの黒塗り歪形の図形は、その足指を表したかのように看取され、これら全体として、漫画風に描いた獣類の足跡を表現したものと、かつ、前者の右横には、左側の1本の足指が前者の肉瘤に隠れ、全体の図形が仮想垂直線より右方向に約30度位傾いた、一回り小さい漫画風に描いた獣類の足跡と思しき図形を表示してなるものと認識される。

しかして、本件商標からは、前記の歩行状態の結果を示す2個の犬等の「獣類の足跡」と思しき図形部分から、一応「ニコノジュウルイノアシアト」の称呼及び「2個の獣類の足跡」の観念が生じ得ることを否定するものではない。

しかしながら、上記2個の犬等の「獣類の足跡」と思しき図形は、歩行することによって印される足跡の極めて自然な状態を描いてなるものであって、2個であることに格別の意味があるものとの印象を受けがたいものであるから、これに接する取引者、需要者は、足跡の状態に留意することなく、これを単なる「獣類の足跡」の図形として認識する場合も決して少なくないものといわなければならない。

かかる事実を考慮した場合、本件商標からは、これを簡易かつ明快に表現した「ジュウルイノアシアト」の称呼及び「獣類の足跡」の観念をも生じさせるものと認められる。

また、上記事実は、甲第2号証(商標公報)に記載のとおり、本件商標が「(531)ウィーン分類(参考情報)3.6.1;3.6.3」、すなわち「3.6.1 四足獣又は四手獣の身体の一部・骸骨・頭蓋骨」「3.6.3 かぎつめのある足、ひづめの足、これらの足跡」に分類されていることからも明らかである(甲第7号証)。

(イ)これに対し、引用商標は、下部に黒塗り山形図形を配し、その上部に、4つの黒塗り歪形の図形を該黒塗り山形図形の凸部に沿うように配し、これら4つの黒塗り歪形の図形の上部には、それぞれ小さい黒塗り三角形を配してなるものであり、全体の図形は、仮想垂直線より右方向に約45度位傾きをもって描いてなるものである。そして、上記黒塗り山形図形は、獣類の足裏の肉瘤を、また上部の4つの黒塗り歪形の図形は、その足指を、また、先端の小さな黒塗り三角形はその爪を表したかのように看取され、これら全体として、獣類の足跡を表現したものと理解させるものといえる。

しかして、引用商標は、「ジュウルイノアシアト」の称呼及び「獣類の足跡」の観念をもって取引に資されるとするのが自然である。

(ウ)したがって、両商標は、「ジュウルイノアシアト」の称呼、「獣類の足跡」の観念を共通にする類似のものであること明かである。

上記請求人の主張の正当性は、本件商標と同種事件において「称呼、観念において互いに紛れるおそれがある。」と判断した審決事例の存在からも明らかである(甲第8号証ないし甲第13号証)。

(2)商標法第4条第1項第15号について。

請求人は、1981年(昭和56年)に設立されたテントやザック、スリーピングバッグ等の製造・販売をする会社であり、その製造に係る商品には、創業者の愛読書の著者名である「ジャック(Jack)」と「狼の皮」を意味する「ウルフスキン・wolfskin」を組み合わせたブランドネームと「狼の足跡」の図形マークが使用され、これらは、請求人商品を象徴するものとして、世界中のアウトドア・スポーツの愛好家に知られた存在となっている。

日本国内では、1986年(昭和61年)より、東京都豊島区在の株式会社キャラバンを通じて輸入販売され、今日では三越、小田急、京王を始め直営店14店舗のほか、全国に340店舗ある特約店において、アウトドア関連グッズが販売されており、また、アウトドア専門誌である「山と渓谷」(山と渓谷社発行)や「BE−PAL」(小学館発行)等に広告を掲載している(甲第14号証ないし甲第19号証)。

したがって、本件商標がその指定商品に使用されれば、その出願時及び登録査定時には著名となってた引用商標との類似性から、請求人商品との関連において出所につき混同を生じるおそれは明らかなところである。仮に本件商標は引用商標と商標自体が非類似であったとしても、商標の構成やアイデア等から容易に著名な引用商標を連想せしめるから、これをその指定商品に使用する場合においては、請求人の業務に係る商品と出所につき混同を生じる虞れは明白なところであり、いずれの場合も、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に該当するものである。

前記請求人の主張は、本件と類似すると思われる事件において、「犬と熊のごとく全く異なった動物が蓄音器の前に配されている図形は、相互に称呼、観念を異にするが、一方が著名商標であり、独自の発想に基づいて構成されているものであれば、両商品はあたかも同一会社又は特殊関係者のものであるごとく混同を生じるおそれがある。」(昭和32年抗告審判179号、甲第20号証)と判断された事例の存在からも明らかである。

(3)以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号又は同15号の規定に違反して登録されたものであり、同法第46条第1項第1号の規定によりその登録は無効にされるべきものである。

4 被請求人の答弁

被請求人は、前記3の請求人の主張に対し、何ら答弁をするところがない。

5 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第11号について

(ア)本件商標は、別掲(1)のとおり、その構成中、中央に大きく描かれた図形は、下部に黒塗り山形図形を配し、その上部に、4つの黒塗り歪形の図形を該黒塗り山形図形の凸部に沿うように配してなるものであり(以下「本件左図形」という。)、また、本件左図形中の黒塗り山形図形の右下に描かれた図形は、本件左図形と相似形と思しきものであり、そのほぼ左半分が本件左図形の下に隠れるように、ほぼ右半分を本件左図形よりやや小さく描いてなるものである(以下「本件右図形」という。)。そして、本件左図形と本件右図形は、重なるように一体的に描かれているところから、構成全体として、2つ獣類の足跡を表したと理解されるというより、むしろ、特定の称呼、観念を生じない抽象的図形を表したと理解されるとみるのが相当である。

したがって、本件商標は、これより特定の称呼、観念は生じないものといわなければならない。

(イ)これに対して、引用商標は、別掲(2)のとおり、下部に黒塗り山形図形を配し、その上部に、4つの黒塗り歪形の図形を該黒塗り山形図形の凸部に沿うように配し、これら4つの黒塗り歪形の図形の上部には、それぞれ小さな黒塗り三角形を配してなるものである。そして、上記黒塗り山形図形は獣類の足裏の肉瘤を、また、上部の4つの黒塗り歪形の図形はその足指を、また、先端の小さな黒塗り三角形はその爪を表したかのように看取され、これらは全体として、獣類の足跡を表したと理解させるものといえる。

そうすると、引用商標は、これより「ジュウルイノアシアト」の称呼及び「獣類の足跡」の観念が生ずるものと認めることができる。

(ウ)したがって、本件商標と引用商標は、称呼及び観念において比較することができない。

また、本件商標は、構成全体が丸みを帯びた柔らかい印象を与えるものといえるのに対し、引用商標は、爪を表したと理解される先端の小さな黒塗り三角形を有することにより、構成全体が鋭い印象を与えるものといえるから、両者は、看者に与える印象において異なり、外観上顕著な差異を有するものである。

以上によれば、本件商標と引用商標は、称呼、観念及び外観のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。

(エ)請求人は、本件商標より「ジュウルイノアシアト」の称呼及び「獣類の足跡」の観念が生ずる根拠として、甲第2号証(商標公報)の「ウィーン分類(参考情報)」において、「3.6.1 四足獣又は四手獣の身体の一部・骸骨・頭蓋骨」、「3.6.3 かぎつめのある足、ひづめの足、これらの足跡」が付与されていることを指摘し、さらに、本件商標より「ジュウルイノアシアト」の称呼及び「獣類の足跡」の観念が生ずることを前提に、本件商標と引用商標とが類似する根拠として審決例等を引用する。

しかしながら、商標公報に記載されている「ウィーン分類(参考情報)」は、これから商標を出願しようとする者が先行商標の調査等をする上で便宜のため、参考として掲載されたものであって、「細分化ウィーン分類表に関する一般的注意事項」(特許庁ホームページ参照)にも、「図形の捉え方は、分類を付与する『人』の環境・習慣・慣習等の様々の条件により大きく変わるものであるから、分類に付与に際しては、できる限り一般的な視野に立って付与している。」とあるように、必ずしも商標公報に付与された「ウィーン分類(参考情報)」がすべてではなく、指定商品及びその分野の取引の実情・需要者層等の違いにより、図形の見方も異なる場合があるというべきであるから、商標公報に「ウィーン分類(参考情報)3.6.1(四足獣又は四手獣の身体の一部・骸骨・頭蓋骨)、3.6.3(かぎつめのある足、ひづめの足、これらの足跡)」が付与されていることをもって、本件商標より「ジュウルイノアシアト」の称呼及び「獣類の足跡」の観念が生ずるとする請求人の主張は採用することができないし、また、請求人の挙げた審決例等は、本件とは、対比する商標等が相違するものであるから、事案を異にするものといわざるを得ない。

(2)商標法第4条第1項第15号について

甲第14号証ないし甲第19号証(枝番を含む。)によれば、請求人は、引用商標をジャケット等の被服、ザック、スリーピングバッグなどのアウトドア関連商品について使用し、これらの商品を本件商標の登録出願前より宣伝広告していた事実を認めることができる。

そうすると、引用商標は、請求人の取扱いに係るアウトドア関連商品を表示するためのものとして、本件商標の登録出願時には、この種商品分野の需要者の間に広く認識されていたものと認め得るところであり、また、その著名性は、本件商標の査定時においても継続していたものと認められる。

しかしながら、前記(1)認定のとおり、本件商標と引用商標は、非類似の商標であり、別異の商標として印象づけられるものであるから、本件商標に接する需要者は、これより直ちに引用商標を想起又は連想することはないとみるのが相当である。

してみれば、本件商標は、これをその指定商品について使用しても、該商品が請求人又はこれと営業上何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれはないものといわなければならない。

(3)以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してされたものではないから、同法第46条第1項の規定により、無効とすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。