Trademark Appeal Case
地名と普通名称の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2007−31811(T2007−31811/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「新府桃」の漢字を標準文字で表してなり、第30類「アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤,食品香料(精油のものを除く。),茶,コーヒー及びココア,氷,菓子及びパン,調味料,香辛料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,コーヒー豆,穀物の加工品,アーモンドペースト,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,酒かす,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン」を指定商品として、平成19年3月12日に登録出願されたものである。
2 原査定における拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『山梨県韮崎市の新府地域を産地とする桃』を認識させる『新府桃』の文字を書してなるから、これをその指定商品中『山梨県韮崎市の新府地域を産地とする桃を使用した商品(例えば、桃を使用した菓子等)』に使用するときは、単に該商品の原材料の産地、原材料、品質を表示するに止まり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標は、「新府桃」の文字よりなるところ、その構成中「新府」の文字は、コンサイス日本地名事典第3版(三省堂発行)の「しんぷ 新府」の項によれば、「山梨県韮崎市中北部の地区。市街北西3km。」と記載され、地名と認められるものであって、かつ、山梨県韮崎市の新府地区が桃の産地であることは、以下の新聞記事及びインターネット・ホームページの記載からも窺い知ることができる。
また、「桃」の文字部分は、「果実の桃」を表すものであって、本願の指定商品中「菓子及びパン」との関係においては、「桃を使用してなる菓子及びパン」を認識させるものであるから、本願商標全体としても、「山梨県韮崎市の新府地区産の桃を使用してなる菓子及びパン」程の意味合いを認識させるに止まるものというのが相当である。
(1)「強風、病虫害何のその 桃、2重袋で高品質/山梨・韮崎市」
(2007.12.16 日本農業新聞 エリア甲信越)の見出しの下、「山梨県韮崎市新府地区を走る県道17号沿いの桃の木に、たくさんの白い袋が垂れ下がっている。・・・これらの袋は2重袋と呼ばれ、風害や病虫害から果実を守るために20年以上前から県内全域で品種を決めて使っている。・・・県内最北部の桃の産地として知られる同地区は、遅場産地の特徴を出すため、全品種を有袋で栽培することを決めた。・・・10アール当たり1万枚。地域全体50ヘクタールの畑には500万枚が寒風に揺れる。」との記事。
(2)「完熟桃を求めて連日大にぎわい/山梨・JA梨北の新府共選場(2007.07.17 日本農業新聞 ワイド甲信越)の見出しの下、「山梨県韮崎市にあるJA梨北の新府共選場が、“新府の桃”を買い求める多くの人で連日にぎわっている。・・・新府地区は県を代表する桃の産地。・・・東京から買いに来た夫婦は『昨年に続き来た。今年もおいしそうな桃を買うことができて満足』と話した。」との記事。
(3)「桃の花みごろ 韮崎の『新府桃源郷』=山梨」(2007.04.14 読売新聞 東京朝刊)の見出しの下、「桃の花の名所、韮崎市中田町の「新府桃源郷」で桃の花が満開となり、見ごろを迎えている。七里岩の丘陵地帯に広がる約60ヘクタールの桃畑は、ピンク色のじゅうたんのよう。・・・畑は、お弁当を広げる花見客や、思い思いのアングルでシャッターを切るカメラマンでにぎわっている。」との記事。
(4)「モモと菜の花の競演ご覧あれ 『町おこしに景色を』地元農家取り組み 韮崎 /山梨県」(2007.04.10 朝日新聞東京地方版/山梨)の見出しの下、「韮崎市の新府城周辺では、モモと菜の花が同時に見られる=写真。『町おこしのために色とりどりの景色を作ろう』と、地元農家が10年ほど前から取り組み始め、この時期、丘いっぱいに黄色とピンクの模様が広がっている。市商工観光課などによると、新府城周辺は『新府桃源郷』と名付けられ、約75件の農家がモモを栽培している。・・・口コミで有名になり、今では週末になると、多くの観光客が訪れるという。見頃を迎える4月半ばには、毎年モモの花見会を開く。・・・今年で13回目になる花見会は15日、同市中田町中条の新府共選場で開かれる。」との記事。
(5)「花見会:ピンク色の桃畑、2000人のどかに 新府桃のPR−−韮崎 /山梨」(2006.04.21 毎日新聞地方版/山梨)の見出しの下、「◇50キロウォークや絵かき大会 峡北地域で唯一の桃の産地である韮崎市中田町の『新府桃(しんぷもも)』をPRする『新府桃の花見会』がこのほど、同町で開かれた。同市観光協会や商工会などが主催。真っ青に晴れわたった空の下、南アルプス連峰をバックにピンク色の花を咲かせ始めた桃畑が広がる桃源郷に、会場を訪れた約2000人の家族連れは、絵を描くなどのどかな春の一日を楽しんだ。『新府桃』の知名度アップと販売促進を目的に毎年桃の花が咲く時期に開催され、今回で12回目。」との記事。
(6)「観光:韮崎市観光協会など、桃の花500本配りPR−−東京・八王子 /山梨」(2005.03.05 毎日新聞地方版/山梨)の見出しの下、「新府桃源郷へどうぞ−−。韮崎市観光協会(小野修一会長)と韮崎市は4日、東京都八王子市のJR八王子駅前で、観光協会員や県外の女性に委嘱している『韮崎の大使』の長友植子さんら5人が桃の花約500本を配り、観光キャンペーンを行った。同観光協会は2月下旬に東京・八重洲地下街、今月1日にも同武蔵野市の山梨中銀吉祥寺支店前で桃の花計800本を配布し観光キャラバン=写真=を実施した。国史跡に指定されている新府城址近くの広さ約50ヘクタールの桃団地は、5〜6月にかけピンクの花と菜の花がマッチして桃源郷のようになる。南アルプスや桃源郷を描くアマチュア画家とカメラマンら1万人を超す観光客が訪れる。」との記事。
(7)「富士の国やまなし観光ネット」のホームページの「イベントカレンダー」には、「イベント名」として「新府桃の花見会(シンプモモノハナミカイ)」の見出しに続き、「山梨県韮崎市中田町中条JA梨北新府共選場」において開催されること及びその説明として、「青く澄み渡る空と南アルプスの白く輝く残雪が、桃のピンク色と鮮やかなコントラストをなす『新府桃源郷』。満開の桃の花のもと、地元特産品販売をはじめ、親子、家族で楽しめるさまざまな楽しいイベントが行われます。一面に広がる桃の花に囲まれて、春の1日を満喫してみては。」との記載。(http://www.yamanashi-kankou.jp/event/detail.html?id=c4873&year=&month=&date=&area=)
(8)「韮崎市観光協会」のホームページには、「新府桃源郷」の項目に「山梨県の北西部に位置する約60haと広大な面積を誇る山梨県下でも桃の花の開花時期が遅いエリアです。また、武田氏最期の城跡・新府城跡や能見城跡などの旧跡にも恵まれ、四方には霊峰富士をはじめ南アルプス鳳凰三山、八ヶ岳、茅ヶ岳などの山々を眺望することが出来ます。」との記載。(http://www.city.nirasaki.yamanashi.jp/kankokyo/sight/tougenkyou.htm)
(9)「るるぶ.com 日本のイベントサーチ」のホームページには、「新府桃の花見会 しんぷもものはなみかい」の見出しの下、「青く澄み渡る空と南アルプスの白く輝く残雪が、桃のピンク色と鮮やかなコントラストをなす『新府桃源郷』。」との記載。(http://www.rurubu.com/event/detail.asp?ID=11949)
(10)「JA梨北(梨北農業協同組合)」のホームページ中、「特産物紹介」、「梨北のもも」の項目があり、そこには「新鮮な『新府の桃』を大切に皆様のおてもとへ」の見出しに続いて、「梨北農協新府共選場では、全品種二重袋使用で農薬が桃に直接かからない栽培方法を取り入れ東京の市場で味、品質とも日本一と好評の『新府の桃』を、親せき・知人に召し上がっていただくために、中田郵便局と共同企画により「ふるさと小包」として、生産者から直接消費者にお届けする、産地直売を開始いたしました。」との記載。(http://www.jarihoku.or.jp/article_peach.html)
上記の実情からすれば、本願商標をその指定商品中、例えば「新府産の桃を使用した菓子及びパン」について使用しても、これに接する取引者、需要者は、単に、その商品の品質(産地、原材料)を表示したものと認識するにすぎず、自他商品の識別標識として認識することはないものといわざるを得ない。
また、本願商標を「新府地区産の桃以外の桃を使用した商品」に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるといわなければならない。
したがって、本願商標を商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものとした原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
おって、請求人は、いくつか登録例を挙げ、本願商標も同様に登録されるべきである旨を主張しているが、これらの登録例は、本願と事案を異にするするものであるから、請求人の主張は採用できない。
よって、結論のとおり審決する。
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