Trademark Appeal Case
「こだわりセット」の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2008−11204(T2008−11204/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「こだわりセット」の文字を標準文字で表してなり、第29類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成19年6月15日に登録出願され、その後、指定商品については、同20年1月18日付け手続補正書により、第29類「紅しょうが・天かす・乾燥青のり付きのたこ焼きのもと,天かす・乾燥青のり付きのお好み焼きのもと,天かす・きざみ焼きのり・もち付きのお好み焼きのもと,牛すじ肉とこんにゃくの煮込み・紅しょうが・たれ付きのねぎ入りお好み焼きのもと,赤とうがらし・すりごま・たれ付きのチヂミのもと,天かす・切りイカ・小エビ・乾燥青のり付きのもんじゃ焼きのもと」に補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『こだわりセット』の文字を書してなるところ、構成中の『こだわり』の文字が『些細な点にまで気を配ること』を意味し、『セット』の文字が『一揃い』の意味合いを有することから、全体として『些細なことにまでこだわった一揃いのもの』という意味合いを認識させるものである。 そして、読売新聞の『磯鶏郵便局は、昨年開かれた宮古地域の新製品開発発表大会(食品部門)で金賞を獲得した『サケの白子の香味焼き』と銀賞の『宮古の塩』、それに魚の干物を組み合わせた『三陸宮古産地物こだわりセット』を企画し、ゆうパックで販売』との記事や、日本食糧新聞の『南九州産黒豚のプリフライと国産玄米を使った黒酢たれのこだわりセット『南九州産黒豚と国産黒酢のセット』〜中略〜をそれぞれ提案』との記事から、食品を取り扱う業界において、『こだわりセット』の文字が『材料等にこだわった一揃いの商品』の意味合いで使用されている実情がある。こうした実情も踏まえ、本願商標を本願指定商品に使用したときには、需要者は上記の意味合いを理解するにすぎず、これが何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものと認める。しがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)本願商標は、「こだわりセット」の文字を横書きしてなるところ、その構成中の「こだわり」の文字は「こだわること。」等を意味する語として、「セット」の文字は「道具・家具などで組み合わせになっている物の一揃い。一組。一式。」等を意味する語として、一般に知られているものであるから、全体として「こだわった一揃いのもの」程の意味合いを容易に理解させるものである。
なお、「広辞苑 第六版」(株式会社岩波書店発行)の「こだわり」の項目に「こだわること。」との記載があり、そして、「こだわる」の項目には、「些細な点にまで気を配る。思い入れする。」等の意味とともに、用例として「材料にこだわったパン」が記載されており、また「新明解国語辞典 第六版」(株式会社三省堂発行)の「こだわる」の項目には、「他人はどう評価しようが、その人にとっては意義のあることだと考え、その物事に深い思い入れをする。」等の意味とともに、「こだわり」は「こだわる」の名詞形である旨が記載され、用例として「材料(鮮度・品質・本物の味)にこだわる」が記載されている。
(2)ところで、食品の分野においては、材料や品質、産地など、特定の観点にこだわって製造又は厳選した複数の商品を、一つのセット商品として取引するということはよく知られているところである。
そして、「こだわりセット」の文字自体が、食品の分野において、上記意味合いをもって取引上広く用いられているものである。
これらのことは、拒絶理由通知書で引用された新聞記事や、請求人提出の手続補足書で引用されたインターネット情報(甲第17号証ないし同第23号証)、及び別掲1のインターネット情報の記載からも裏付けられるところである。
請求人は、甲第17号証ないし同第23号証を「こだわりセット」の語が商品の識別標識として使用されている例としてあげているが、例えば、甲第17号証において「こだわりの人気商品『一番開花』『幻の米 氷温熟成米』『あづみのコシヒカリ』をセットにしました。」、同第19号証において「昔ながらの米と麹にこだわる純米酒」、同第21号証において「これがおいしさ、旨さへのこだわりです。厳選した新鮮で良質な原料豚、茨城県産豚のローズポークを使用しております。」との記載とともに、いずれも「こだわりセット」の語が使用されていることからすれば、「こだわりセット」の文字は、食品の分野において、「(提供者が)材料や品質、産地など、特定の観点にこだわって製造又は厳選した複数の商品を、一つのセットにした商品」を表わす語として用いられることが直ちに理解され得るところである。
更に、別掲2に挙げたインターネット情報からすれば、「こだわりセット」の文字は、食品の分野以外でも、前述の意味合いと同様に「(提供者が)材料や品質、産地など、特定の観点にこだわって製造又は厳選した複数の商品を、一つのセットにした商品」などの意味合いで、広く用いられていることがうかがい知り得るところである。
(3)以上のことからすれば、本願商標は、これをその指定商品に使用したときは、これに接する取引者、需要者が該商品を「材料、品質、産地などの特定の観点にこだわって厳選した複数の商品を、一つのセットにしたもの」であることを表したものと認識、理解するに止まり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものとみるのが相当であり、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものといわざるを得ない。
(4)また、請求人は、「こだわり」の文字のみでの登録例をはじめ、いくつかの登録例を挙げて、本願商標も同様に登録されるべき旨述べている。しかしながら、本願商標は、「こだわり」の文字と「セット」の文字を一連に書したものであって、それらの登録例とはその構成を異にするものであるばかりでなく、そもそも、商標の識別性の判断は、各商標につき、それぞれの構成態様や取引の実情等をも勘案し、個別具体的に判断されるべき性質のものであるから、請求人の主張している登録例をもって本件の判断が拘束されるものでもない。したがって、請求人の上記主張は、採用することができない。
(5)以上により、本願商標を、商標法第3条第1項第6号に該当するものとして拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すべきでない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
次の一手につながるサービス
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。