結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2007−301233(T2007−301233/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第1383405号商標(以下「本件商標」という。)は、「ヨーク」及び「York」の文字を上下二段に横書きしてなり、昭和47年4月3日に登録出願され、第24類「おもちや、人形、娯楽用具、運動具、釣り具、楽器、演奏補助品、蓄音機(電気蓄音機を除く)レコ−ド、これらの部品及び附属品」を指定商品として、昭和54年6月29日に設定登録されたものであるが、その後、2回に亘り商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
請求人は、「結論同旨の審決を求める」と申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のとおり述べ、証拠方法として甲第1号ないし第5号証を提出している。
(1)請求の理由
本件商標は、商標権者、専用使用権者及び通常使用権者のいずれによっても、その指定商品中「楽器、演奏補助品、蓄音機(電気蓄音機を除く)レコード、これらの部品及び付属品」について継続して3年以上日本国内において使用された事実が存しないことから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
(2)弁駁の理由
被請求人は本件商標に係る使用事実を証明する証拠として、乙第1号及び第2号証を提出しているが、これらの証拠は、被請求人又は通常使用権者が本件商標を予告登録前3年以内に日本国内で使用していた事実を証するものではない。以下、その理由を述べる。
(ア)通常使用権者の使用について
被請求人は、株式会社カルチャー(以下「カルチャー」という。)に対して使用許諾を行った旨主張するが、カルチャーが被請求人の通常使用権者として本件商標を使用していることを示す証拠は何ら提出されていない。
すなわち、被請求人とカルチャーとの間における使用許諾契約書等は一切提出されていない。さらに、乙第1号及び第2号証には、カルチャーが被請求人の通常使用権者である旨の記載もない。
我が国における取引の実情に鑑みれば、営利企業が自己の所有に係る商標権について、グループ企業以外に使用許諾をするにあたっては、その使用の条件・対価・期間等の様々な事項を詳細に定めた使用許諾契約書等を取り交わすのが通常である。すなわち、営利企業が単に口頭で、グループ外の企業に商標の使用許諾をすることは、少なくとも日本の取引事情においては一般的ではない。
よって、被請求人がカルチャーに対して、本件商標の使用許諾をしたのであれば、当然その契約書が存在するはずであり、またその契約書の提出は容易である。にもかかわらず、被請求人は当該契約書を提出していない。かかる状況下では、カルチャーが本件商標に係る商標権の通常使用権者であることが証明されていないと言わざるを得ない。
以上のように、被請求人提出の証拠によっては、カルチャーが本件商標の通常使用権者であることは証明されていない。
(イ)使用していると主張する標章について
(a)カルチャーが使用する標章
乙第1号及び第2号証より明らかなとおり、カルチャーが使用する標章は、「ヨークカルチャーセンター」であり、本件商標ではない。このことは、答弁書において、被請求人が乙第1号及び第2号証に記載の講座を開設するにあたり、標章「ヨークカルチャーセンター」を使用していると自白していることからも明らかである。
(b)標章「ヨークカルチャーセンター」において、「ヨーク」の語が要部であるとの主張について
被請求人は、「カルチャーセンター」が各種講座を意味するものであると自白している。しかしながら、本件審判事件において取り消しを求めている指定商品は、あくまで第24類「楽器、演奏補助品、蓄音機(電気蓄音機を除く)レコード、これらの部品及び付属品」である。そして、これら商品の属する分野において、「カルチャーセンター」の語が商品の品質、機能等を表示する語として使用されている事実は見受けられない。
そうすると、本件商標の指定商品との関係において鑑みれば、「カルチャーセンター」の語は、自他商品識別力を有していると判断すべきであり、標章「ヨークカルチャーセンター」において、殊更「カルチャーセンター」の語を取捨して認識し把握するという格別の理由は存在しない。
また、乙各号証より明らかなとおり、当該標章は、同一の書体、同一の大きさ、同一の間隔でもって外観上、まとまりよく一体的に表してなり、これより生ずる「ヨークカルチャーセンター」の称呼も淀みなく一連一体として称呼することが可能である。すなわち、標章「ヨークカルチャーセンター」から、「ヨーク」の部分のみを抽出して認識又は称呼すると考えるのは極めて不自然である。
その他、「ヨーク」の語のみを独立して認識すべき特段の事情も見当たらないことから、標章「ヨークカルチャーセンター」において、「ヨーク」の部分が要部であるという被請求人の主張は失当であるといわざるを得ない。
(c)標章「ヨークカルチャーセンター」の使用が本件商標の使用に該当するとの主張について
取消審判においては、登録商標の使用か否かについて、使用商標が登録商標の構成部分に変更を加えた場合には、その使用商標は、その変更が登録された際の形態における商標の識別性に影響を与えず、かつ、商標の同一性を損なわないときに、当該登録商標と社会通念上同一の商標の使用であると解される(甲第3号証)。
そうすると、カルチャーが使用する「ヨークカルチャーセンター」は、本件商標から下段部分の欧文字「York」を削除し、かつ語尾に「カルチャーセンター」の語を付加している。すなわち、標章「ヨークカルチャーセンター」は、外観・観念・称呼のいずれの観点からみても、商標の同一性を損なっていることは明らかである。
よって、かかる標章の使用は、本件商標の使用であると認めることは、到底できない。
また、仮に「ヨーク」の部分が標章「ヨークカルチャーセンター」の要部であるとしても、かかる商標の使用は、本件商標の使用とは認められるべきではない。
なぜなら、登録商標の使用に際しては、これを付する商品の具体的な性状に応じ、適宜、変更を加えることは取引上一般に行われているところではあるが、その使用が登録商標の使用と認められるのは、あくまでも、当該登録商標と社会通念上同一と認められる範囲内の使用に限られるものであり、二段併記の構成から成る商標の場合にあっては、各構成文字の観念が同一のときのみ、商標の有する識別性に影響を与えないものとして、その一方の使用であっても、当該登録商標を使用しているものと解されているからである。
すなわち、本件商標は、使用片仮名文字「ヨーク」と欧文字「York」の二段併記からなるものであるところ、該構成中の欧文字部分は、特定の意味を有しない造語であるため、これにより、特定の観念を生ずるものとは認められない。
また、「ヨーク」の表音からなる欧文字は、「York」、「Yoke」、「Yorke」等々があり、片仮名文字「ヨーク」と欧文字「York」の各文字は、直ちに相互に互換し得るものではない。
したがって、仮に片仮名文字「ヨーク」の使用を主張、立証し得たとしても、商標法第50条第1項にいう社会通念上同一と認められる商標の使用には該当しない(甲第4及び第5号証)。
以上より、被請求人は、カルチャーの使用する標章「ヨークカルチャーセンター」の要部は「ヨーク」であるため本件商標の使用に当たる旨主張するが、取り消しを求めている指定商品の分野においては、このような主張は失当である。また、仮に「ヨーク」の語が要部と認められたとしても、被請求人の使用に係る標章は、社会通念上の同一性を逸脱しており、本件商標の使用と認めることはできない。
さらに、乙各号証によっては、被請求人又は通常使用権者による本件商標の使用の事実を窺い知ることはできない。
(ウ)使用していると主張する商品について
(a)カルチャーの使用商品について
乙各号証は、標章「ヨークカルチャーセンター」が第41類「音楽演奏の教授及びこれに関する情報の提供」に使用されていることを示すにすぎず、被請求人のいう、フルート等の「楽器」に本件商標を使用したことを証明するものではない。
すなわち、答弁書において被請求人も自白しているとおり、カルチャーは、各講座を開設するにあたり、役務たる「音楽演奏の教授及びこれに関する情報の提供」について標章「ヨークカルチャーセンター」を使用するにすぎず、本件商標の指定商品である「楽器、演奏補助品、蓄音機(電気蓄音機を除く)レコード、これらの部品および付属品」に使用していたという事実は見受けられない。
(b)標章「ヨークカルチャーセンター」を付してフルート等の楽器を販売していた旨の主張について
被請求人は、講座の申込者に対し、標章「ヨークカルチャーセンター」を付してフルート等の楽器を販売していた旨主張するが、各乙号証によって、当該事実が裏付けられていると認めることはできない。
商標とは、一般に、取引の対象となる商品について使用されるものである。とすれば、本件商標が指定商品について、市場・取引社会において実際に使用されていることを証明するためには、通常、領収書などの取引書類、在庫数量、販売数量など実際の取引に係る書類が証拠として提出されていて然るべきである。
しかしながら、これらの事実を裏付けるに足りる証拠が何一つ提出されていない。かかる状況下では、このような使用はなかったと理解するほかなく、被請求人の主張を採用することは到底できない。
以上より、乙第1号及び第2号証のいずれによっても、カルチャーが標章「ヨークカルチャーセンター」を、本件商標の指定商品中「楽器、演奏補助品、蓄音機(電気蓄音機を除く)レコード、これらの部品及び付属品」に使用しているとの事実は証明され得ない。
(エ)結語
以上のとおり、乙各号証のいずれによっても、被請求人の主張は立証されていない。
したがって、被請求人は、本件商標を本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、取消請求に係る指定商品「楽器、演奏補助品、蓄音機(電気蓄音機を除く)レコード、これらの部品及び付属品」の何れについても使用していなかったものといわざるを得ない。
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。」と答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号及び第2号証(枝番を含む。)を提出している。
(1)被請求人の本件商標の使用事実
被請求人は、本件商標につき通常使用権をカルチャーに許諾しており、カルチャーは、「ヨークカルチャーセンター」の商標を用いて各種講座を開設しており、本件商標を商品「楽器」に使用している。
カルチャーは、被請求人の経営するスーパーストアー「イトーヨーカドー」の店舗内において、「ヨークカルチャーセンター」の商標を用いて技芸又は知識を教授する各種講座を開設しており、例示すれば、川崎市中原区小杉町在の「イトーヨーカドー」5階において「ヨークカルチャーセンター」の商標を使用している(乙第1号証の1及び2)。
その講座には「音楽コース」があって、「フルート教室」、「ハーモニカ」、「ギター教室」、「ウクレレ入門」など各種楽器を用いる講座があり(乙第2号証)、講座の申込者は使用する楽器、例えば商品「フルート」を購入することができる。
したがって、カルチャーは、商品「楽器」を申込者のうちの希望者に「ヨークカルチャーセンター」の商標を使用して販売している事実がある。使用の時期は乙第2号証として提出した「講座案内」に「No.200709」の記載があるほか、「無料説明会9月17日(月)」(鉛筆デッサン)、「一日体験講習会9月18日」(ストレッチ&やさしいHIP HOP)、「無料説明会9月13日(木)15:00〜16:00」(四季の自然散策・花めぐり)などの記載があり、本件審判請求の登録日前であることが明らかである。
カルチャーの使用する商標は「ヨークカルチャーセンター」であるが、「カルチャーセンター」は講座を意味する部分であるため、商標としての要部は「ヨーク」であり、本件商標「ヨーク/York」は、商品「楽器」に本件審判の請求の登録前に通常使用権者によって使用されていることが立証できる。
(2)結論
以上の理由により、本件商標は、商標法第50条の規定に該当せず、その登録は取り消されるべきでなく、本件審判の請求は成り立たない。
(1)被請求人は、通常使用権者が本件商標を商品「楽器」について使用している旨主張し、その主張事実を立証すべく証拠を提出しているので、その証拠について検討する。
(ア)乙第1号証の1及び2は、被請求人が通常使用権者と主張するカルチャーのインターネットホームページの写しと認められるところ、同号証の1は、各地に所在する教室(店舗)を一覧表にしたもので、その上部欄外には、社標の如き図形と共に大書された「株式会社カルチャー」の文字の右横に「株式会社カルチャーは『一流の講師とすばらしい仲間』をモットーに全国78ヶ所で展開しております。どの教室も、100講座以上のクラスがございます。お近くの教室案内をご覧下さい。」と記載されている。そして、北海道の欄に記載された「札幌カルチャーセンター平岡」以下、沖縄県の欄に記載された「南風原カルチャーセンター」まで、各県毎に教室(店舗)名が記載されている。各教室(店舗)名は、いずれも、所在する地名を前又は後ろに付して「○○カルチャーセンター」又は「カルチャーセンター○○」とするか、さらに「ヨーク」の文字を付加して「ヨークカルチャーセンター○○」又は「○○ヨークカルチャーセンター」とするものである。
(イ)乙第2号証は、カルチャーが作成した「講座案内」と題するパンフレットと認められるところ、このパンフレットの一枚目には、中央部分に「講座案内」の文字が大きく書され、その下に「受講生募集中」、「2007年秋号」、「入会金50%OFF」等の文字が数段に亘って記載され、さらに、その下部に「ヨークカルチャーセンター小杉」の文字が図形と共に大きく横書きされているほか、「講座案内」の文字部分の両側にはいくつかの講座の内容が写真と共に説明されている。二枚目以降には、美術コース、趣味コース、書道コース、音楽コース等の各種コースの表題の下に、講座名として「油絵」「日本画」「折り紙教室」等が掲げられ、それぞれ講師、曜日、時間及び受講料が掲載されている。音楽コースには「琴(山田流)」をはじめ「フルート教室」や「ピアノ教室」等が掲載されている。
(ウ)乙第1号証の1及び2並びに乙第2号証には、教室(店舗)名として「ヨークカルチャーセンター小杉」のように一連に書されているのみで、何処にも「ヨーク」の文字が単独で記載されているものは見当たらない。
その他、「ヨーク」又は「York」の文字が独立して用いられていることを示す証左は一切ない。
(2)以上からすると、被請求人の提出に係る証拠によっては、本件商標が請求に係る指定商品について使用されているものとは認められない。
すなわち、通常使用権の許諾は、常に必ず書面による契約を必要とするものでもないから、カルチャーが本件商標に係る通常使用権者と認められるとしても、上記乙各号証の記載からは、カルチャーは、各種講座を開設し、「技芸・スポーツ又は知識の教授」という役務を提供していることが認められるものの、商品についての記述は一切なく、本件は、商品について本件商標が使用されているか否かが問題なのであり、役務について種々述べても埒外というほかはない。
さらに、使用しているとする商標も、一連一体に書されたもののみであり、「ヨーク」の文字と「カルチャーセンター」の文字とが分離・分断されて、「ヨーク」の文字のみが、自他商品識別の要部として看取されるべき理由は見出し難く、むしろ、全体をもって一体のものとして認識し把握されるものであるから、本件商標と社会通念上同一とは到底いえないものである。
被請求人は、カルチャーによる講座中の「音楽コース」には、フルート教室、ハーモニカ、ギター教室等、各種楽器を用いる講座があり、講座の申込者は講座で使用する楽器を購入することができる旨主張するが、実際に楽器が販売され、かつ、その楽器について本件商標が使用されていることを示す証拠は一切提出されていないから、被請求人の主張を認めることはできない。
(3)以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品について本件商標を使用していることを証明したものとは認められない。
また、本件商標を使用していないことについて正当な理由があるものとも認められない。
(4)まとめ
したがって、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、その請求に係る指定商品「楽器、演奏補助品、蓄音機(電気蓄音機を除く)レコード、これらの部品及び付属品」について使用されていなかったものといわざるを得ないから、商標法第50条第1項の規定に基づき、その指定商品中の上記商品についての登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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