Trademark Appeal Case
容器形状の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成10年審判第17908号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、商標の構成を別掲に示すものとし、第3類「香料類」、第5類「消臭剤、防臭剤、脱臭剤」を指定商品として、平成9年12月26日に立体商標として登録出願されたものである。
2 原査定の理由
原査定は、「本願商標は、その上部に浮彫り及び透彫りによるデザインが施された容器の形状よりなるものであるが、その指定商品との関係よりすれば、この種商品の収納容器に採用し得る範囲でのデザインであると認識するに止まるものであって、この部分をもって商品の識別に当たるものとは言い難いから、全体としてその商品の収納容器の形状の一形態の範囲を出ないものと認識される立体的形状よりなるものと認める。してみれば、本願商標をその指定商品について使用しても、単に商品の収納容器(包装)の形状を普通に用いられる方法をもって表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定して本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)平成8年法律第68号により改正された商標法は、立体的形状若しくは立体的形状と文字、図形、記号等の結合又はこれらと色彩との結合された標章であって、商品又は役務について使用するものを登録する立体商標制度を導入した。
立体商標は、商品若しくは商品の包装又は役務の提供の用に供する物(以下「商品等」という。)の形状も含むものであるが、商品等の形状は、本来それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものであり、本来的(第一義的)には商品・役務の出所を表示し、自他商品・役務を識別する標識として採択されるものではない。
そして、商品等の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは商品等の機能、又は美感をより発揮させるために施されたものであって、全体としてみた場合、商品等の機能、美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には、これに接する取引者、需要者は当該商品等の形状を表示したものであると認識するに止まるというのが相当である。
また、商品等の形状は、同種の商品等にあっては、その機能を果たすためには原則的に同様の形状にならざるを得ないものであるから、取引上何人もこれを使用する必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものであって、一私人に独占を認めるのは妥当でないというべきである。
そうとすれば、商品等の機能又は美感とは関係のない特異な形状である場合はともかくとして、商品等の形状と認識されるものからなる立体的形状をもって構成される商標については、使用された結果、当該形状に係る商標が単に出所を表示するのみならず、取引者、需要者間において当該形状をもって同種の商品等と明らかに識別されていると認識することができるに至っている場合を除き、商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。
立体商標制度を審議した工業所有権審議会の平成7年12月13日付け「商標法等の改正に関する答申」P30においても「3.(1)立体商標制度の導入 需要者が指定商品若しくはその容器又は指定役務の提供の用に供する物の形状そのものの範囲を出ないと認識する形状のみからなる立体商標は登録対象としないことが適当と考えられる。・・・ただし、これらの商標であっても使用の結果識別力が生ずるに至ったものは、現行法第3条第2項に基づき登録が認められることが適当である。」としている。
(2) これを本願についてみれば、本願商標は、香料類、消臭剤、防臭剤等を収納し、当該消臭、防臭等のために必要な場所に置いて、収納された消臭剤等の薬剤が隅々までいきわたるように設計された容器であって、そのための機能又は美感を有する形状からなる収納容器と認められるところ、これを指定商品「香料類、消臭剤、防臭剤」等に使用しても、取引者、需要者は、単にそれらの収納容器と認識するにすぎないものと判断するのが相当である。
(3) 請求人は、種々主張するが、本願商標に係る容器の蓋体の上面及び側面部の独特のデザインからなる打ち抜き模様並びに輪郭付三つ葉図形の浮き彫り模様は、収納された消臭剤等の薬剤が隅々までいきわたるようにするため、或いは、容器の美感を高めるために採択された模様と認められる。
してみれば、請求人が主張する本願商標の独特のデザインは専ら指定商品の包装容器としての機能を発揮するため及び包装容器としての美感を高めるために機能又は作用するものである。そうとすれば、本願商標は、これに接する取引者・需要者は、包装容器の形状を表示したものと認識するに止まり、前示のデザインをもって自他商品の識別標識として機能するとは認め難いと言うべきである。
また、請求人は、本願商標に係る容器の蓋体に表した特徴的な輪郭付三つ葉図形の浮き彫り模様に識別力を有する旨主張する。
しかしながら、前記の三つ葉模様は、前示した蓋体の打ち抜き模様と一体の模様として、すなわち、蓋体全体に施された様々な模様に埋没して、その一部を構成するにすぎないものとみられ、同三つ葉模様のみが看取されて、しかも、自他商品の識別標識として機能するとは認め難く、甲第1号証に係る商標とは事案を異にするものと認められる。
(4) なお、立体的形状からなる商標であっても、商品又はその包装の形状をもって構成される立体的形状からなる商標は、平面的な商標とは明らかに異なるものであるため、商標法においては、立体商標制度導入に当たって、商標法第4条第1項第18号等が設けられ、また、前掲工業所有権審議会答申でも、「・・・指定商品やその容器の形状そのものの場合には不登録とする運用を厳しくすること・・・」としている(前掲答申P31参照)。
そして、商品又はその包装の形状であっても、使用により自他商品の識別力を取得する場合があり、そのときに、識別力を認めて登録することは前示のとおりであるが、請求人は、本願商標について、この点の立証をしていない。
4 結 論
以上のとおり、本願商標は、指定商品の包装(収納容器)の形状を表示するものとし、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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