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Trademark Appeal Case

称呼外観の類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2007−890174(T2007−890174/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5039904号商標(以下「本件商標」という。)は、「VULGAR」の欧文字と「ヴァルガー」の片仮名文字とを二段に横書きしてなり、平成18年8月9日に登録出願、第14類「キーホルダー,貴金属製食器類,貴金属製のくるみ割り器・こしょう入れ・砂糖入れ・塩振出し容器・卵立て・ナプキンホルダー・ナプキンリング・盆及びようじ入れ,貴金属製針箱,貴金属製のろうそく消し及びろうそく立て,貴金属製宝石箱,貴金属製の花瓶及び水盤,記念カップ,記念たて,身飾品,貴金属製のがま口及び財布,貴金属製コンパクト,時計,貴金属製喫煙用具」及び第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同19年1月18日に登録査定され、同年4月13日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張

請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第9号証(枝番を含む。)を提出した。

1 引用商標

請求人が本件商標の無効の理由に引用する甲第2号証に示す登録商標は、以下の(1)ないし(13)のとおりであって、いずれも現に有効に存続しているものである。

(1)登録第1598029号商標(以下、「引用商標1」という。)は、「BULGARI」の欧文字を書してなり、昭和55年2月19日に登録出願、第23類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同58年6月30日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録が2回わたりなされ、さらにその後、平成16年10月13日に第9類「眼鏡」及び第14類「時計」を指定商品とする書換登録がなされているものである。

(2)登録第1601804号商標(以下、「引用商標2」という。)は、「BULGARI」の欧文字を書してなり、昭和55年2月19日に登録出願、第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同58年7月28日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録が2回わたりなされ、さらにその後、平成15年9月3日に第14類「身飾品,貴金属製のがま口及び財布,宝玉及びその模造品,貴金属製コンパクト」、第18類「かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ」及び第21類「化粧用具(「電気式歯ブラシ」を除く。)」を指定商品とする書換登録がなされているものである。

(3)登録第1789717号商標(以下、「引用商標3」という。)は、「ブルガリ」の片仮名文字を書してなり、昭和58年5月31日に登録出願、第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同60年7月29日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録が2回わたりなされ、さらにその後、平成18年6月28日に第14類「身飾品,貴金属製のがま口及び財布,宝玉及びその模造品,貴金属製コンパクト」、第18類「かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ」及び第26類「腕止め,衣服用き章(貴金属製のものを除く。),衣服用バッジ(貴金属製のものを除く。),衣服用バックル,衣服用ブローチ,帯留,ボンネットピン(貴金属製のものを除く。),ワッペン,腕章,頭飾品,ボタン類」を指定商品とする書換登録がなされているものである。

(4)登録第1789718号商標(以下、「引用商標4」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、昭和58年5月31日に登録出願、第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同60年7月29日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録が2回わたりなされ、さらにその後、平成18年6月28日に第14類「身飾品,貴金属製のがま口及び財布,宝玉及びその模造品,貴金属製コンパクト」、第18類「かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ」及び第26類「腕止め,衣服用き章(貴金属製のものを除く。),衣服用バッジ(貴金属製のものを除く。),衣服用バックル,衣服用ブローチ,帯留,ボンネットピン(貴金属製のものを除く。),ワッペン,腕章,頭飾品,ボタン類」を指定商品とする書換登録がなされているものである。

(5)登録第1849668号商標(以下、「引用商標5」という。)は、「ブルガリ」の片仮名文字を書してなり、昭和58年5月31日に登録出願、第23類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同61年3月26日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録が2回わたりなされ、さらにその後、平成19年3月22日に第9類「眼鏡」及び第14類「時計」を指定商品とする書換登録がなされているものである。

(6)登録第1849669号商標(以下、「引用商標6」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、昭和58年5月31日に登録出願、第23類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同61年3月26日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録2回わたりなされ、さらにその後、平成19年3月22日に第9類「眼鏡」及び第14類「時計」を指定商品とする書換登録がなされているものである。

(7)登録第2538269号商標(以下、「引用商標7」という。)は、「BVLGARI」の欧文字を書してなり、平成2年10月8日に登録出願、第22類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同5年5月31日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらにその後、平成16年2月4日に第14類「貴金属製靴飾り」、第18類「傘」及び第25類「履物」を指定商品とする書換登録がなされているものである。

(8)登録第4926420号商標(以下、「引用商標8」という。)は、「BVLGARI」の欧文字と「ブルガリ」の片仮名文字とを二段に横書きしてなり、平成17年7月13日に登録出願、第9類「携帯電話機用のストラップ及びネックピース,その他の携帯電話機用部品又は付属品」及び第14類「キーホルダー」を指定商品として、同18年2月3日に設定登録されたものである。

(9)登録第1898386号商標(以下、「引用商標9」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、昭和59年3月26日に登録出願、第27類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同61年10月28日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録が2回わたりなされ、さらにその後、平成19年8月29日に第34類「たばこ,喫煙用具,マッチ」を指定商品とする書換登録がなされているものである。

(10)登録第1989622号商標(以下、「引用商標10」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、昭和60年4月15日に登録出願、第17類「被服、その他本類に属する商品」を指定商品として、同62年10月27日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録が2回わたりなされているものである。

(11)登録第1993826商標(以下、「引用商標11」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、昭和60年4月15日に登録出願、第22類「はき物、その他本類に属する商品」を指定商品として、同62年10月27日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録が2回わたりなされているものである。

(12)登録第2479998号商標(以下、「引用商標12」という。)は、「BVLGARI」の欧文字を書してなり、平成2年10月8日に登録出願、第17類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同4年11月30日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらにその後、同16年1月28日に第22類「衣服綿,ハンモック,布団袋,布団綿」、第24類「布製身の回り品,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」及び第25類「被服」を指定商品とする書換登録がなされているものである。

(13)登録第4356368号商標(以下、「引用商標13」という。)は、「BVLGARI」の欧文字を書してなり、平成10年6月15日に登録出願、第9類「眼鏡」及び第21類「ガラス基礎製品(建築用のものを除く。),なべ類,コーヒー沸かし(電気式又は貴金属製のものを除く。),鉄瓶,やかん,食器類(貴金属製のものを除く。),アイスペール,泡立て器,魚ぐし,携帯用アイスボックス,こし器,こしょう入れ・砂糖入れ及び塩振り出し容器(貴金属製のものを除く),卵立て(貴金属製のものを除く。),ナプキンホルダー及びナプキンリング(貴金属製のものを除く。),盆(貴金属製のものを除く。),ようじ入れ(貴金属製のものを除く。),米びつ,ざる,シェーカー,しゃもじ,手動式のコーヒー豆ひき器及びこしょうひき,じょうご,食品保存用ガラス瓶,水筒,すりこぎ,すりばち,ぜん,栓抜き,大根卸し,タルト取り分け用へら,なべ敷き,はし,はし箱,ひしゃく,ふるい,まな板,魔法瓶,麺棒,焼き網,ようじ,レモン絞り器,ワッフル焼き型(電気式のものを除く。),清掃用具及び洗濯用具,家事用手袋,化粧用具,おけ用ブラシ,デンタルフロス,金ブラシ,管用ブラシ,工業用はけ,船舶ブラシ,ブラシ用豚毛,洋服ブラシ,靴ブラシ,靴べら,靴磨き布,軽便靴クリーナー,シューツリー,ガラス製又は陶磁製の包装用容器,かいばおけ,家禽用リング,アイロン台,愛玩動物用食器,愛玩動物用ブラシ,犬のおしゃぶり,植木鉢,家庭園芸用の水耕式植物栽培器,家庭用燃え殻ふるい,紙タオル取り出し用金属製箱,霧吹き,靴脱ぎ器,こて台,小鳥かご,小鳥用水盤,じょうろ,寝室用簡易便器,石炭入れ,せっけん用ディスペンサー,貯金箱(金属製のものを除く。),トイレットペーパーホルダー,ねずみ取り器,はえたたき,へら台,湯かき棒,浴室用腰掛け,浴室用手おけ,ろうそく消し及びろうそく立て(貴金属製のものを除く。),花瓶(貴金属製のものを除く。),ガラス製又は陶磁製の立て看板,香炉,水盤(貴金属製のものを除く。),風鈴」を指定商品として、同12年1月28日に設定登録されたものである。

以上の引用商標1ないし引用商標13を一括していうときは、単に「引用各商標」という。

2 請求人の歴史及び世界的な著名性

ア 請求人は、銀細工を営むソティリオ・ブルガリが1884年にローマに創立し、「英和商品名辞典」に、「Romaにあるイタリアを代表する宝節アクセサリーと時計の店、そのブランド」と記されており(甲第3号証)、「世界の一流品大図鑑」、「The一流品」、「世界のブランド大全集」、「一流ブランドYoungセレクション‘96」(甲第4号証の1ないし18)、その他の一般ファッション雑誌「LA SEINE」、「ハイファッション」にも請求人の商品が掲載されている(甲第4号証の19ないし21)。

1996年7月9日読売新聞に、「カルテイエ(仏)、ティファニー(米)と並ぶ、世界における三大宝飾メーカーの一つ。...」及び「...70年代には腕時計、94年には香水を発売し、現在、世界に四十七店の直営店を展開している。」と掲載されている(甲第5号証)。

そして、近年に至っては、宝飾品に加え、女性がファッションの小物として愛用するバッグ、革製品、財布などに加えホテル業に至っても、広く事業を展開している(甲第6号証及び甲第7号証)。

「世界の一流品大図鑑2000」(甲第4号証の4)及び「世界の一流品大図鑑2006」(甲4号証の6)においても宝飾品、香水、バックについて取り上げられており、本件商標の登録出願前に「BULGARI」商標等(以下「BULGARI標章等」という。)が著名となっていること、また、その著名性が現在も維持されていることを確認することができる。

請求人の商品は、一流ブランドを広く取扱うインターネット上の各種サイトにおいても広く取扱われており、宝飾品と時計の「BULGARI」から「宝飾品、時計、バッグ、その他の革製品、高級ホテルサービス」の「BULGARI」へと拡大して日本国内において広く認知されている。

このように、請求人は一世紀以上をかけて、宝飾品分野を初めとする「BULGARI」ブランドを世界に確立し、現在に至っては、高級商品・サービスを提供する多角経営企業として、欧米のみならず日本においても著名性を獲得している。

イ 「BULGARI標章等」の日本における周知性

請求人は、1991年に日本における営業活動の拠点として東京本店を開いて販売場所を東京・大阪とし、1992年には福岡店を開設、その後、三越、高島屋、そごう、伊勢丹といった有名百貨店への出店を中心に全国展開を図っており、現在日本全国で40店舗を数える。2002年にはブルガリ銀座店がオープンした。その2階には、アクセサリーグッズと呼ばれるレザーバッグ、レザー小物等のファッショナブルなコレクションが人気を集めている。また、インターネット通販の普及とともに、ブルガリも一般需要者にも人気の裾野を拡げている。加えて、請求人は、現在まで15年にわたる営業活動や広範囲かつ頻繁な新聞、雑誌を中心としたメディアへの露出、宣伝・広告を行ってきている。このような事実から、過去の審決(甲第8号証の1ないし3)でも「BULGARI標章等」の著名性は認められているところである。これらの審決をベースとして、IPDLの日本国周知・著名商標検索にも「BULGARI」が掲載されている(甲第9号証)。このように、「BULGARI標章等」の日本における周知著名性については改めて証拠を挙げるまでもないところである。特許庁において、本件商標の登録出願時である平成18(2006)年8月9日において「BULGARI」が著名商標であることは既に顕著な事実であり、その状況は本件商標の登録査定時である平成19(2007)年4月13日から現在に至るまで継続しているものと思料する。

ウ 請求人による「BULGARI標章等」の登録

請求人は現在、商標「BULGARI」「BVLGARI」「ブルガリ」について総計19件の登録商標を有している。

そのうち、13件の引用各商標に係る指定商品と本件商標に係る指定商品が類似している。

3 商標法第4条第1項第11号及び同第10号について

(1)商標法第4条第1項第11号について

ア 商標について

本件商標は、「VULGAR」の欧文字と「ヴァルガー」の片仮名を二段書きに構成した商標である。

日本人は欧文字をローマ字風に読む傾向が強いため、「ヴァルガー」の称呼のほか、称呼「ブルガー」も自然に生ずると考えられる。

引用各商標「BULGARI」「BVLGARI」「ブルガリ」からは、いずれも「ブルガリ」の称呼が生じる。

本件商標の称呼「ブルガー」と引用各商標の称呼「ブルガリ」を比較すると、4音中、強く明確に発音される語頭からの3音「ブルガ」が同一であり、また「ブルガ」は強い印象や響きをもつ音であるため、全体としてみても、両者は称呼上かなり相紛らわしいといえる。

また、商標の類否を考える際には、取引の実情として、引用各商標が著名であることも考慮されるべきと思料する。

「ブルガリ」の称呼は、「BULGARI標章等」が国際的にも国内的にも著名であることから、日本において非常に親しまれている。

本件商標の最初の3音の称呼「ブルガ」に接した場合、需要者、取引者は、称呼「ブルガリ」を即座に想起し、次にくる長音を認識しないままに、引用各商標「BULGARI」、「BVLGARI」又は「ブルガリ」であると把握するおそれがある。

よって、本件商標と引用各商標とは称呼において相紛らわしい類似の商標であると考える。

イ 指定商品について

本件商標の上記第1の指定商品と引用各商標の指定商品とは、生産部門・販売部門・原材料及び品質・用途・需要者の範囲を共通にするものであり、類似商品・役務審査基準においても類似とされる商品であるから、本件商標と引用各商標の指定商品が類似であることは明らかである。

したがって、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものである。

(2)商標法第4条第1項第10号について

請求人に係る「BULGARI標章等」は、宝飾品、時計、かばん類などの革製品、香水等の商品において周知である。

本件商標は、周知商標たる「BULGARI標章等」に類似する商標であり、本件商標の指定商品と周知商標「BULGARI」の使用に係る商品は同ー又は類似の範囲に属する関係にあるから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。

4 商標法第4条第1項第15号について

(1)出所混同の可能性

「混同を生ずるおそれ」(商標法第4条第1項第15号)の有無を判断する場合において、他人の標章の周知度、他人の標章が創造標章であるかどうか、他人の標章がハウスマークであるかどうか、企業における多角経営の可能性、商品間の関連性を総合的に考慮するものとされている。

「BULGARI標章等」が、請求人の業務に係る商品「身節品」「時計」「かばん類」「化粧品」などにつき本件商標の登録出願時・登録査定時において著名であったことは、特許庁においても顕著な事実と思料する。

また、「BULGARI標章等」は、請求人のハウスマークであり、創業者ソリティオ・ブルガリの苗字に由来して選択されたものである。

日本における需要者、取引者には一種の造語として認識されるものと考えられ、また「ブルガリ」の称呼は日本語には珍しい響きであることから、需要者、取引者に強い印象を与えるものといえる。

さらに、上記に述べたとおり、請求人の業務は、現在では宝飾品、時計、かばん類、各種革製品(財布など)、化粧品(香水など)に加え、高級ホテルサービスにまで拡大しており、世界中で商品やサービスを提供する多角経営企業となるに至っている。

請求人と本件商標に係る商標権者の商品間の関連性をみると、本件商標に係る指定商品の大部分が請求人の業務に係る商品と類似関係にある。

類似関係にない本件商標に係る指定商品である第14類「貴金属製宝石箱,記念カップ,記念たて」及び第25類「ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,仮装用衣服」についても、請求人が宝飾品の分野で著名であり、様々な貴金属製品を製造販売していることや、美感性、ファッション性、高級感が重視される身節品である時計やバック類を製造販売していることから、請求人がこれらの商品を取り扱っているものと誤認される余地は十分にあると考えられる。

また、現在、ファッション分野の高級ブランド企業は、その発祥に関連する商品を中心としながらもファッション関連商品全般を取り扱う傾向にあり、一ブランド企業がかばん類、財布、宝飾品、時計などと被服やベルト等の小物類を一店舗内で販売することは珍しくないと考えられる。

よって、本件商標に係る指定商品と請求人の業務に係る商品の関連性は密接であるといえる。

したがって、「BULGARI標章等」の著名性の程度、同商標が請求人のハウスマークであること、商品間の関連性の程度、高級ブランド企業の最近の経営傾向などを総合的に勘案すると、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接する需要者、取引者が「BULGARI標章等」を想起し、これより連想して、当該商品が請求人又は請求人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であると誤認し、その商品の出所について混同するおそれがあると考える。

また、例えば、請求人が特に世界中で名声を得ている宝飾品に本件商標が使用されるような場合、請求人の「BULGARI標章等」の有する信用や経済的価値が利用されたり、品質保証機能、宣伝広告機能、顧客吸引力が稀釈化されたりする可能性があると思料する。

(2)以上のとおりであり、本件商標が指定商品に使用された場合には、需要者は請求人又は請求人と何等かの関係がある者の業務に係る商品であるかのごとく誤認し、商品の出所について混同の生じるおそれがあるから、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものである。

5 むすび

以上、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第10号及び同15号に該当するものである。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、何ら答弁するところがない。

第4 当審の判断

1 商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、「VULGAR」の欧文字と「ヴァルガー」の片仮名文字とを、それぞれ同じ書体、同じ大きさ、同じ間隔で、外観構成上まとまりよく、上下二段に横書きしてなるものである。

しかして、本件商標構成中の、下段の「ヴァルガー」の片仮名文字部分は、上段の「VULGAR」の欧文字部分の表音を表したものと無理なく看取されるといえるものである。

また、本件商標より生ずると認められる「ヴァルガー」の称呼は、長音(ー)を含めてわずか4音という短音構成からなるものであって、極めて自然に、一気一連に称呼し得るものである。

してみれば、本件商標は、下段の「ヴァルガー」文字に相応して「ヴァルガー」の称呼のみを生ずるものである。

そして、「VULGAR」の文字(語)は、「下品な、野卑な、平民の」等の意味を有する英語であるから、本件商標からは、「下品な、野卑な、平民の」等観念を生ずるというのが相当である。

他方、引用各商標は、上記第2で述べたとおり、「BULGARI」、「BVLGARI」、「ブルガリ」若しくは「BVLGARI」と「ブルガリ」との組み合わせよりなるものであるから、これらの構成文字に相応して「ブルガリ」の称呼を生じ、特定の意味を有しない造語(この点に関して、請求人も請求書において、「日本における需要者、取引者には一種の造語として認識されるものと考えられる」と主張している。)というのが相当である。

そこで、本件商標より生ずる「ヴァルガー」の称呼と、引用各商標より生ずる「ブルガリ」の称呼とを比較するに、両者は「ヴァ」と「ブ」、「ガー」と「ガリ」という音構成に顕著な差異を有するものであるから、両者は称呼上明らかに区別し得るものである。

また、引用各商標が特定の意味を有しない造語であるから、本件商標と引用各商標とは、観念上比較することができないものである。

さらに、本件商標と引用各商標の構成は、外観上判然と区別し得るものである。

してみれば、本件商標と引用各商標とは、その称呼、観念及び外観のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。

2 商標法第4条第1項第10号について

(1)「BULGARI標章等」の著名性について

甲号証を総合勘案すると次の事実を認めることができる。

ア 請求人は、1884年にローマで銀細工の店として創業され、その後、カルティエ、ティファニーと並ぶ世界の三大宝飾メーカーとして知られるに至り、支店が、東京赤坂にある(甲第3号証及び甲第5号証)。

イ 「BULGARI標章等」の表示は、例えば、甲第4号証の1(「世界の一流品大図鑑」1994年版)、甲第4号証の2(「世界の一流品大図鑑」1995年版)、甲第4号証の3(「世界の一流品大図鑑」1996年版)、甲第4号証の4(「世界の一流品大図鑑」2000年版)、甲第4号証の5(「世界の一流品大図鑑」2003年版)、甲第4号証の6(「世界の一流品大図鑑」2006年版)、甲第4号証の7(「the一流品 Part2 THE BEST of the best」1987年版)、甲第4号証の8(「the一流品 Special THE BEST of the best」1988年版)、甲第4号証の9(「the一流品 Part3 THE BEST of the best」1988年版)、甲第4号証の10(「the一流品 Part4 THE BEST of the best」1989年版)、甲第4号証の11(「the一流品 Part6 THE BEST of the best」1991年版)、甲第4号証の12(「the一流品 Part7 THE BEST of the best」1992年版)、甲第4号証の13(「the一流品 Part10 THE BEST of the best」1996年版)、甲第4号証の14(「世界のブランド大全集」1997年版)、 甲第4号証の15(「世界のブランド大全集」1998年版)、甲第4号証の16(「世界のブランド大全集」2001年版)、甲第4号証の17(「世界のブランド大全集」2004年版)、甲第4号証の18(「一流ブランドYoungセレクション」1996年版)、甲第4号証の19(「LA SEINE 4」1987年版)、甲第4号証の20(「LA SEINE 5」1987年版)、甲第4号証の21(「ハイファッション」1987年6月号)等各種雑誌等において繰り返し掲載されていること。

ウ 上記イにおける各種雑誌等における「BULGARI標章等」の表示は、主に「宝飾品,時計」等の商品と係わりで掲載されていること。

(2)むすび

上記(1)の事実よりすると、「BULGARI標章等」は、宝飾品、時計等の商品におけるブランドとして、少なくとも本件商標の登録出願時である平成18年8月9日前において、すでに我が国の取引者、需要者間に広く認識されていたものであり、また、その状況は本件商標の登録査定時である同19年1月18日を含む現在に至るまでも継続していたものである。

しかしながら、本件商標と引用各商標は、上記1で述べたとおり、その外観、称呼及び観念のいずれの点においても紛れるおそれのない非類似の商標であるから、「BULGARI標章等」が、本件商標の登録出願時に商品「宝飾品、時計」等に使用され、周知、著名であるとしても、本件商標は商標法第4条第1項第10号に該当するものではない。

3 商標法第4条第1項第15号について

「BULGARI標章等」が本件商標の登録出願時に商品「宝飾品、時計」等に使用され、周知、著名であるとしても、本件商標と「BULGARI標章等」とは、上記1及び2で述べたとおり、非類似の商標であって、商標として明らかに別異のものであるから、本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者が「BULGARI標章等」を連想、想起して、請求人若しくは請求人と何らかの関係のある者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。

4 むすび

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第10号及び同第15号に違反して登録されたものではないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきでない。

よって、結論のとおり審決する。

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