Trademark Appeal Case
「空気触媒」の識別力と記述性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2005−10662(T2005−10662/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「空気触媒」の漢字を標準文字で横書きしてなり、第1類「抗菌消臭剤(工業用),その他の化学品」を指定商品として、平成15年10月30日に登録出願され、その後、指定商品については、当審における同20年8月18日付け手続補正書により、第1類「抗菌消臭剤(工業用)」に補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、空気中の酸素や水に反応して臭いや汚れをとる物質あるいはその仕組みを意味する『空気触媒』の文字を普通に用いられる方法で表してなるので、これをその指定商品中の、例えば『空気触媒による抗菌消臭剤(工業用)、空気触媒物質として使用する化学品』等、該文字に照応する商品に使用しても、単にその商品の用途、品質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権により証拠調べをした結果、別掲1並びに別掲2に記載の事実を発見したので、別掲1に記載の事実については平成18年12月7日付けの証拠調べ通知書により、並びに、別掲2に記載の事実については同20年7月2日付けの証拠調べ通知書により、請求人に対し、商標法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づく通知を行い、意見を求めた。
4 証拠調べ通知に対する請求人の意見の要点
(1)証拠調べ通知書で挙げられた新聞記事、公開特許公報及び特許公報並びにインターネット上のウェブサイト情報において、本願商標を構成する「空気触媒」の文字(語)が使用されている事実が認められるが、これら新聞記事、公開特許公報及び特許公報並びにインターネット上のウェブサイト情報によっても、「空気触媒」の文字(語)が、「空気中の酸素や水に反応して臭いや汚れをとる物質あるいはその仕組み」を意味するものとして取引上普通に使用されているとはいえないと考える。
(2)新聞記事について
(ア)別掲1に記載の新聞記事において、「空気触媒」の文字(語)は、商品の開発者・製造元・販売元・事業の提供者である会社名・企業名とともに使用されているが、その全てが本出願人(請求人)、その総販売元及びその特約店・代理店・OEM契約先であることから、別掲1に記載の新聞記事における「空気触媒」の文字(語)の使用は、本出願人(請求人)による自己の商標としての使用若しくはその使用権者による使用と同視しうるものであり、別掲1に記載の新聞記事は、「空気触媒」の文字(語)が、商品の品質及び用途を表示するものとして、一般の需要者・取引者により普通に使用されているとする根拠とはなり得ないものと考える。
(イ)さらに、別掲1の新聞記事において「空気触媒」の文字(語)が商品の品質・用途の説明とともに掲載されていることから、これらの記載を目にした需要者・取引者は「空気触媒」の文字(語)を商品の品質・用途と結び付けて認識・記憶することがあるとしても、新聞記事にはその商品・事業の出所として本出願人(請求人)に関連する会社名・企業名が共に記載されている事実を考慮するならば、これらの記載を目にした需要者・取引者は「空気触媒」の文字(語)をその商品の出所と結び付けて認識・記憶すると考えることができ、したがって、別掲1の新聞記事は、本願商標「空気触媒」が、商品の品質・用途を説明するものというよりは、商品の出所を表示する自他商品識別標識であると理解されていることを示す根拠ともなりうるものである。
(ウ)また、別掲1の新聞記事における「空気触媒」の文字(語)の使用は、その全てが本出願人(請求人)による自己の商標の使用若しくはその使用権者による使用と同視しうるものであるから、本願商標「空気触媒」は独占適応性を有するものであると考える。
(エ)別掲2の(3)に記載の新聞記事において、「空気触媒」の文字(語)は、そのほぼ全てが本出願人、代理店及びOEM契約先の商品に関する記事であることから、これら新聞記事における「空気触媒」の文字(語)の使用は、本出願人による自己の商標としての使用若しくはその使用権者による使用と同視しうるものであり、これ以外の記事においても、「空気触媒」の文字(語)が「空気中の酸素や水に反応して臭いや汚れをとる物質あるいはその仕組み」の意味合いで用いられているものはなく、本出願人の商標「空気触媒」を誤って自社商品の説明に使用したとみられる例が数件あるに過ぎない。よって、別掲2の(3)に記載の新聞記事は、「空気触媒」の文字(語)が、「空気中の酸素や水に反応して臭いや汚れをとる物質あるいはその仕組み」という商品の品質及び用途を表示するものとして、一般の需要者・取引者により普通に使用されているとの取引実情を示す根拠とはなり得ない。
なお、出願人の商品の総販売元であった株式会社ウィルサポートは、2007年11月1日付けで本出願人であるニチリンケミカル株式会社に経営統合している。
(オ)別掲2の(1)に記載の新聞記事は、消臭剤について主に光触媒等の技術が用いられる商品であることを示すものに過ぎず、本願商標「空気触媒」が指定商品の品質等を表示するものであることを何ら証左するものではない。
(3)インターネット上のウェブサイト情報について
(ア)別掲1(2)(オ)及び(ク)は、本出願人(請求人)の商品を取り扱う会社により運営されるウェブサイトであり、そこでの「空気触媒」の文字(語)の使用は、本出願人(請求人)による自己の商標としての使用若しくはその使用権者による使用と同視しうるものであり、別掲(2)(オ)及び(ク)は、「空気触媒」の文字(語)が、商品の品質及び用途を表示するものとして、一般の需要者・取引者により普通に使用されているとする根拠とはなり得ないものと考える。
(イ)また、別掲1(2)(ア)、(イ)、(エ)及び(キ)では、「空気触媒」の文字(語)は、単独ではほとんど使用されておらず、「無光触媒」、「無光型酸素触媒」、「酸素触媒」、「リン酸チタニア化合物」等の文字(語)に併記されるかたちで使用され、若しくはそれらの文字(語)と混同して使用されていることから、「空気触媒」の文字(語)が、未だ、商品の品質及び用途を示すものとして取引上普通に用いられるには至っていないと判断できるものであり、別掲1(2)(ア)、(イ)、(エ)及び(キ)は、「空気触媒」の文字(語)が商品の品質及び用途を示すものとして取引上普通に用いられているとする根拠とはなり得ないものと考える。
(ウ)また、別掲1(2)(ア)、(イ)、(ウ)、(エ)及び(ケ)では、本出願人(請求人)の商品パンフレットや説明会・セミナーのテキストと酷似した記載があり、本出願人(請求人)のウェブサイト、カタログ等が引用されることにより、商標である「空気触媒」の文字(語)が誤って普通名称や品質・用途表示の如く使用されたものであると考えるが、本願商標「空気触媒」が使用される商品のように、これまでに存在しなかったような新規な商品に関しては、商標があたかも普通名称や品質・用途表示の如く使用されてしまう傾向もあるものと考える。そして、インターネット上の膨大な情報のうち、上記のような例が数件認められることのみによって、「空気触媒」の文字(語)が、商品の品質及び用途を示すものとして取引上普通に用いられていると断定することはできないものと考える。
(エ)さらに、別掲1(2)のうち、本出願人(請求人)に関連するもの又は本出願人(請求人)の商品パンフレット等を引用するもの以外のウェブサイト情報は、わずかに別掲1(2)(カ)及び(キ)のみであり、これらは何れも商品「エコキメラ」に関連するものであると認められるが、商品「エコキメラ」の総販売元のウェブサイトにおいては、本出願人(請求人)とほぼ同種と考えられる商品を説明する際にも「空気触媒」の文字(語)は一切使用されていない。したがって、別掲1(2)(カ)及び(キ)は、本出願人(請求人)の商標「空気触媒」を誤って使用したものと考えられる。
(オ)また、取引秩序の維持を図るという商標法の趣旨からも、本願商標「空気触媒」は登録が認められるべきであると考える。すなわち、本出願人(請求人)は初めて「空気中の酸素や水に反応して臭いや汚れをとる物質(当初の主原料はリン酸チタニア化合物)」の開発に成功した者であり、本願商標「空気触媒」を最初に採用し、使用を開始した者であることから、そのような商品を取り扱う業界においては、本願商標「空気触媒」が本出願人(請求人)の商標であることは既に周知の事実となっているものであり、本願商標「空気触媒」は既に多大な顧客吸引力を有するに至っているものである。しかしながら、上述の如く、一部の業者にあっては、「空気触媒」の文字(語)を、あからさまに用いることはしないものの、例えば、自社のウェブサイト上で、他の文字(語)に併記したり、ウェブサイトの一部でのみ使用したりすることにより、検索エンジンで「空気触媒」をキーワードに検索したときに、自社のウェブサイトがヒットするようにする等、本願商標「空気触媒」の顧客吸引力を利用しようとする者が存在することも事実である。したがって、このような状況を是正し、本来あるべき取引秩序の維持を図るためにも、本願商標「空気触媒」の登録が認められるべきであると考える。
(4)別掲2(2)に記載の公報(ア)ないし(カ)に記載されている「空気触媒」の文字(語)は、空気が触媒反応を起こすとの意味で用いられているわけではなく、指摘のような意味合いを有するものではない。また、「空気触媒」は、「光触媒」のように一般的に認識される技術用語というものでもなく、明細書において、技術を具体的に説明するために用いられた言葉又はその一部にすぎず、これら公報において、本願指定商品に係る「抗菌消臭剤(工業用)」に関して「空気触媒」の文字(語)が用いられた例はなく、本願商標「空気触媒」が「空気中の酸素や水に反応して臭いや汚れをとる物質あるいはその仕組み」を意味するものとして普通に用いられていることを何ら証左するものではない。
(5)付言するに、「空気触媒」が光触媒のごとく一般の需要者・取引者により普通に使用されるような用語であるとすれば、触媒分野において他の触媒技術と並び称されるものと考えるが、わが国で最も触媒情報に精通していると考えられる触媒学会のウェブサイトには「空気触媒」の文字(語)は全く見られない。この事実は、「空気触媒」が、光触媒やバイオ触媒、有機合成触媒等の技術用語とは違って、本出願人の商品を識別する商標であることを証明するものである。
(6)以上のとおり、新聞記事及びインターネット上のウェブサイト情報によっても、本願商標「空気触媒」が、「空気中の酸素や水に反応して臭いや汚れをとる物質あるいはその仕組み」を意味するものとして取引上普通に使用されているとは言えず、また、そのように認識される以上、本願商標「空気触媒」を、本願指定商品中いずれの商品に使用しても、商品の品質の誤認を生じるおそれはない。
よって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものではない。
5 当審の判断
(1)本願商標は、上記1のとおり、「空気触媒」の漢字を標準文字で横書きしてなるところ、該構成中の「空気」の文字は、「地球を包んでいる無色透明の気体。地上から高度80キロメートルまでの水蒸気を除いた組成はほぼ一定で、体積比で酸素20.93、窒素78.10、アルゴン0.93、二酸化炭素0.03のほかに、ネオン・ヘリウム・クリプトン・水素・キセノンなどを微量に含んでいる。」の意味を、また、「触媒」の文字は、「化学反応に際し、反応物質以外のもので、それ自身は化学変化をうけず、しかも反応速度を変化させる物質。」の意味をそれぞれ有する語(いずれも株式会社岩波書店「広辞苑第6版」)として一般に親しまれているものであり、本願商標はこれらの語を結合してなるから、空気と触媒に関連した観念を容易に想起させるものと認められる。
そして、本願商標に関して行った上記3の証拠調べ中、本願指定商品との関係において、別掲2の(1)に記載の新聞記事によれば、「消臭剤」に触媒の作用を有する消臭剤が一般に使用されていることが認められ、また、別掲1及び別掲2の(3)に記載の各事実によれば、「空気触媒」の文字(語)は、「空気中の酸素や水分に反応して臭いや汚れをとる物質あるいはその仕組み」程の意味を有するものとして使用されていることが認められる。
そうすると、「空気触媒」の文字(語)よりなる本願商標は、全体として「空気中の酸素や水分に反応して臭いや汚れをとる物質あるいはその仕組み」程の意味合いを極めて容易に理解、認識させるものである。
してみれば、これを補正後の本願指定商品「抗菌消臭剤(工業用)」に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「空気中の酸素や水分に反応して臭いや汚れをとる物質あるいはその仕組みによる抗菌消臭剤(工業用)」であること、すなわち、商品の品質を表示したものと理解するにとどまり、自他商品の識別標識としては認識し得ないものであり、また、これを前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるものというのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものである。
(2)なお、請求人は、上記4のとおり、証拠調べ通知書で挙げられた新聞記事及びインターネット上のウェブページの情報は、そのほとんどが本出願人に関連するものであることから、上記新聞記事及びインターネット上のウェブサイト情報によっても、「空気触媒」の文字(語)が、「空気中の酸素や水分に反応して臭いや汚れをとる物質あるいはその仕組み」を意味するものとして取引上普通に使用されているとはいえない旨主張する。
しかし、たとえ証拠調べ通知書で挙げた新聞記事及びインターネット上のウェブページの情報の多くが本出願人に関連するものであったとしても、請求人が取り扱う商品については商品名が「セルフィール」であり、該商品の販売を行う代理店、特約店等の各会社が、新聞の一般紙やインターネットのウェブページという一般消費者が接する媒体において、以下の(ア)ないし(ケ)に掲げるように、商品名としてではなく、「空気中の酸素や水分に反応して臭いや汚れをとる物質あるいはその仕組み」程の意味合いで「空気触媒」の語を使用して宣伝していることに変わりはない。
(ア)別掲1(1)(ウ)記載の2004年8月3日付け化学工業日報「中国塗料、新内装材用塗料を開発、ホルムアルデヒドなど吸着・分解」の見出し下の記事には、「室内の酸素と水分だけで化学物質を分解する、いわば“空気触媒機能”」との記載がある。
(イ)別掲1(1)(カ)記載の2005年1月25日付けの北海道新聞(朝刊地方)「旭川ターミナルホテル*香水、たばこのにおいシャットアウト!*女性専用に空気触媒客室*臭気物質の分解を促進*道内初の26室」の見出し下の記事には、「空気触媒とは、金属の一種の『リン酸チタニウム』の微粒子粉が主成分で、酸素と反応して、空気中の臭気の原因物質の分解を促すとされる。」との記載がある。
(ウ)別掲1(1)(ク)記載の2005年3月7日付けの日刊工業新聞「ウィルサポート、車向け空気触媒に参入−来年度7億円目指す」の見出し下の記事には、「空気触媒は有機化合物を空気中で酸素と結合させて分解する仕組み」との記載がある。
(エ)別掲1(2)(ウ)記載の「酸化チタンによる光触媒や空気触媒の先進技術を防カビに採用」と題するインターネットのウェブページ(http://www.kabi-killer.com/p-5.htm)の記事には、「空気触媒は、空気中の酸素や水分に反応してお部屋の空気をきれいにする、自然にやさしい仕組み」との記載がある。
(オ)甲第14号証「原査定の引例、『きれいなお花クラブ オンラインショップ、きれいなお花クラブとは』ホームページ抜粋写し」には、「空気触媒とは 空気中の酸素や水に反応して、臭いや汚れなどの有機物分子を、二酸化炭素(炭酸ガス)や水素に変えて無害化する仕組みです。」のように、空気触媒が仕組みであることの記載がある。
(カ)甲第16号証「原査定の引例、『シックハウス症候群対策にセルフィール。防臭、防汚、抗菌、防カビにもお勧めです。』ホームページ抜粋写し」には、「なかでも光触媒が良く知られていますが、セルフィールは空気触媒で、光を必要としない触媒です。」のように、空気触媒が触媒であることの記載がある。
(キ)甲第28号証「青山商事株式会社のニュースリリース記事写し」には、「空気触媒加工スーツ」、「空気触媒とは 薬剤を使わず空気中の酸素と水分をエネルギーとして、抗菌や消臭、防汚などの優れた効果を発揮するきわめて安全な技術です。」のように、空気触媒が技術であることの記載がある。
(ク)原査定で引用した2005年3月15日付け日経産業新聞には、同紙15ページの「サンワード商会、『空気触媒』で消臭、下着でも効果。」の見出しの下に、「特殊塗料製造のニチリンケミカル(大阪市)が開発した空気触媒溶剤をもとに、素材を傷めずに天然繊維にも浸透するよう独自改良を加えた。」及び「空気触媒加工を施した繊維に酸素と水が接触すると、表面に接触した臭気や雑菌などを分解。」との記載がある。
(ケ)請求人と経営統合した株式会社ウィルサポートとOEM契約を結んだ株式会社サンワード商会のインターネットのウェブページ(http://www.sunward-ltd.com/pages/tiotio/tiotio.html)には、「空気触媒清潔加工」、「従来の光触媒とは異なり、空気触媒は光が届かない暗闇でも効果を発揮します」等の記載がある。
(3)さらに、請求人は、「空気触媒」の文字(語)が使用された新聞記事情報の全て、及び、インターネット上のウェブページの情報の一部については、それらが出願人、その総販売元及びその特約店・代理店・OEM契約先に関するものであり、本出願人による自己の商標としての使用若しくはその使用権者による使用と同視しうるものである旨主張するとともに、その証拠として販売代理店契約書写し等(甲第18号証ないし甲第23号証、甲第25号証、甲第27号証、甲第29号証、甲第33号証及び甲第60号証。以下、「契約書等」という。)を提出しているところである。
しかしながら、該契約書等を詳細にみてみると、その表題部は「セルフィール販売代理店契約書」(甲第18号証、甲第20号証ないし甲第22号証等)、「セルフィール特約店契約書」(甲第19号証)等となっており、また、契約書の条項をみても、例えば甲第18号証では、「第1条(目的) 甲は、乙に対し、セルフィール(以下「商品」という。)を継続的に売渡し、乙は、これを買受けたうえ、甲の販売代理店としてこれを販売することを約した。」との記載はあるものの、該書面全体を見てみても本願商標「空気触媒」の文字(語)が使用されていることは認められないことから、本願商標「空気触媒」を使用した商品に関する契約書であるとは認めることができないばかりか、仮に、本願商標「空気触媒」を使用した商品に関する契約書であるとしても、契約当事者の間においても、契約の対象商品の特定は「セルフィール」の文字(語)をもって行われていたとみるのが相当であって、本願商標「空気触媒」が商標として使用されていた証拠と見ることはできないものである。
さらには、株式会社サンワード商会が保有する商標登録第4983264号の商標権(商標は、「空気触媒」の漢字を大きく顕著に横書きしたものと、その右下部分に小さく「Tio Tio」を書した構成からなるものである。)を見てみると、第18類、第24類、第25類、第40類に属する商品及び役務を指定商品及び指定役務としているところ、例えば第18類「空気触媒処理を施したかばん金具」や、第40類「空気触媒による布地・被服又は毛皮のコーティング加工処理」のように、指定商品及び指定役務の表示に、「空気触媒」の文字(語)を使用していることが認められる。
してみると、本願商標「空気触媒」の文字(語)は、これら販売代理店等においても、商標として使用されていたというよりは、請求人が商品化した商品「セルフィール」の品質等を説明するために、新聞記事やインターネットのウェブページ上、等で用いられているというべきである。
ところで、商標法第3条第1項第3号については、「商標法3条1項3号が、指定商品の品質、用途を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標について、商標登録を受けることができない旨規定する趣旨は、そのような商標が商品の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示としてなんぴともその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占的使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解される(最高裁昭和54年4月10日第三小法廷判決・判例時報927号233頁参照)。そうすると、同号は、指定商品の品質、用途を表すものとして取引者、需要者に認識される表示態様の商標につき、そのことのゆえに商標登録を受けることができないとしたものであって、同号を適用する時点において、当該表示態様が、商品の品質、用途を表すものとして現実に使用されていることは必ずしも必要でないものと解すべきである。」(平成13年(行ケ)第207号 東京高等裁判所平成13年12月26日判決言渡参照)旨、判示されている。
そうとすれば、仮に、上記3の証拠調べ通知において挙げた新聞記事やインターネットのウェブページにおける使用例が、本願指定商品について使用されて、商品の品質を表しているものといえない場合があったとしても、本願商標が、現実にその指定商品に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解されるものであり、本願商標は、上記のとおり、商品の品質を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものといえるから、特定人によるその独占使用を認めるのは適当ではないというべきである。
この点についても、請求人の主張は採用することができない。
(4)また、請求人は、過去の登録例を挙げて本願商標が識別力を有するものである旨主張する。
しかし、登録出願に係る商標が自他商品の識別力を有するものであるか否かは、指定商品等の取引の実情に基づき、取引者・需要者の認識を基準として、個別具体的に判断されるべきものであるから、請求人の挙げた登録例があるからといって、本願商標が登録されるものであるということにはならない。
(5)さらには、請求人は、新聞記事における「空気触媒」の文字(語)の使用は、その全てが本出願人による自己の商標の使用若しくはその使用権者による使用と同視しうるものであるから、本願商標「空気触媒」は独占適応性を有するものである旨主張する。
しかして、上記3の証拠調べの各事実に照らし、「空気触媒」の文字(語)は、本願指定商品を取り扱う業界においては、「空気中の酸素や水分に反応して臭いや汚れをとる物質あるいはその仕組み」程の意味合いで多数使用されているものと認められるのであって、そうである以上、当該語もまた、取引に際し必要適切な表示として何人にもその使用を開放しておくことが適当であって、その中の特定の者のみに当該商標の使用を独占させるのは公益上望ましくないというべきである。
したがって、上記請求人の主張は、いずれも採用することができない。
(6)以上のとおりであるから、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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