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Trademark Appeal Case

不使用取消審判における使用証明

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2007−300739(T2007−300739/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第763217号商標(以下「本件商標」という。)は、「MEC」及び「メック」の文字を上下二段に横書きしてなり、昭和41年6月15日に登録出願、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品として昭和42年11月30日に設定登録され、その後、昭和53年6月7日、同62年11月17日、平成9年10月28日及び同19年8月7日の4回に亘り商標権の存続期間の更新登録がされているものである。

第2 請求人の主張の要点

請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を要旨以下のように述べている。

1 請求の理由

本件商標は、その指定商品について継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによって使用された事実は存在しないものであるから、商標法第50条第1項の規定により、登録を取消されるべきものである。

2 弁駁の理由

(1)被請求人は、答弁書において、本件商標の登録は取消されるべきではない旨主張し、本件商標の使用を示す証拠方法として乙第1号証ないし乙第25号証を提出している。

しかしながら、以下に述べる理由により、被請求人は本件商標をその指定商品中「被服、布製身回品、寝具類、これらに類似する商品」について使用していることを証明したとはいえないと確信する。

(2)被請求人が本件商標の登録の取消しを免れるためには、(a)本件審判の請求の登録(平成19年6月22日)前3年以内に(b)本件商標を(c)請求に係る商品のいずれかについて、使用していることを被請求人が証明する必要がある(第50条第2項)。

この点、被請求人は様々な証拠を提出しているが、そもそも証拠として採用すべきでないものも多数含まれていることのみならず、商標が実際に使用されていたならばそれほど困難であるとも思えない使用証明について間接的な証明ばかりで不自然な点を多数含んでいる。

以下において、被請求人の提出に係る乙第1号証ないし乙第25号証を検証する。

(ア)乙第1号証について

被請求人は、乙第1号証をもって「株式会社ジュニアー(審決注:被請求人は、答弁書において『商標権者である株式会社ジュニアー』、『株式会社ジュニアー商事部』、『株式会社ジュニアー商事部も含めて株式会社ジュニアーともいう』等と述べ、必ずしも一定していないが、答弁の内容からして、いずれも被請求人をいうものと解されるので、以下単に『被請求人』という。)は、請求に係る被服を販売していることは明らかである」と述べるが、失当であるといわざるを得ない。

乙第1号証から分かることは、2007年2月19日に被請求人が(有)モードO’−RUオール(以下「モードオール」という。)から被服を40点購入したという事実だけである。さらに、同号証には本件商標に関する記載もない。

よって、乙第1号証は、被請求人がいうような「被請求人は、請求に係る被服を販売している」ことを示す証拠足り得ない。

(イ)乙第2号証ないし乙第4号証及び乙第8号証について

乙第2号証から分かることは、「現在この下札が存在する」ことのみであり、そもそもここに存在することから「使用されたものでない」ことは明らかである。

そして、乙第2号証は、(a)本件審判の請求の登録前3年以内に(c)請求に係る商品のいずれかについて、使用していることのいずれの要件の充足も示すものではない。

この点、上記(a)の要件に関して、被請求人は、乙第3号証、乙第4号証及び乙第8号証から当該下札が2005年5月2日及び2006年4月3日に納入されたことを示すことは明白であると主張しているが、当該下札との関連において証明したとはいえない。つまり、当該下札は、本件審判の請求後又は遥か以前(例えば10年前)に印刷されたものかもしれないことについて合理的な疑いが残るといわざるを得ない。さらに、同一業者が同じ下札(乙第2号証)を示すために「メック無地ラベル」と「メック下札無地」と2種類の表記を使い分けていることについても不自然さが残るといわざるを得ない。

そして、そもそも下札を印刷及び購入したことの証明をもって当該下札を使用したこと及びそれに伴い本件商標を使用したことの証明にはならない。

(ウ)乙第5号証ないし乙第8号証について

乙第5号証から分かることは、「現在この値札が存在する」ことのみであり、そもそもここに存在することから「使用されたものでない」ことは明らかである。

そして、乙第5号証は、(a)本件審判の請求の登録前3年以内に(c)請求に係る商品のいずれかについて、使用していることのいずれの要件の充足も示すものではない。

この点、上記(a)の要件に関して、被請求人は、乙第6号証ないし乙第8号証をもって当該値札が2004年3月12日及び2006年12月5日に納入されたとしているが、当該値札との関連において証明したとはいえない。つまり、そもそも2004年3月12日の使用は、本件商標の使用とは何ら関連性がない(審判が予告登録された日である平成19年6月22日の3年前ではない)ので採用すべきではない。また、当該値札は本件審判の請求後又は遥か以前(例えば10年前)に印刷されたものかもしれないことについて合理的な疑いが残るといわざるを得ない。

そして、そもそも値札を印刷及び購入したことの証明をもって、当該値札を使用したこと及びそれに伴い本件商標を使用したことの証明にはならない。

さらに、乙第2号証の下札は合計60,000枚であり、一方、乙第5号証の値札は合計100,000枚であり、通常値札と下札が1枚づつ付されるとした場合、約66%も多く値札が発注されたとする主張は不自然といわざるを得ない。

乙第8号証は、株式会社フェイス名古屋店が同号証に記載の物品を印刷したことを述べるに止まり、(a)本件審判の請求の登録前3年以内に印刷したものであるか否かが明らかではない。また、同号証から分かることは、「そのような印刷物を印刷した」ということのみであって、本件商標が実際に使用されたことについて何ら証明するものではない。

(エ)乙第9号証の1ないし3及び乙第10号証の1ないし4について

これらは、いずれも本件審判の請求の登録後の事情に関するものであって、証拠として採用すべきでなく、これに関する被請求人の主張は無意味であるだけでなく審判官の心証形成を誤らせる危険のある主張であるので採用すべきではない。

(オ)乙第11号証ないし乙第13号証について

被請求人は袋の存在をもって本件商標が使用されたことは明らかであると主張するが、この主張は失当である。つまり、被請求人の主張すべきことは、ただ1点「(a)本件審判の請求の登録前3年以内に(b)本件商標を(c)請求に係る商品のいずれかについて、使用していること」である。

そして、袋が印刷されたことは本件商標が「使用」されたことについて証明するものではない。

(カ)乙第14号証について

まず、被請求人は、当該チラシには年度の記載がないが、11月3日が祝日であって、11月4日が土曜日であるのは平成18年であることは明らかであると主張するが、失当である。平成12年も同様の状況にあり、被請求人の主張のみをもって当該チラシに記載された日付を一義的に決定すべきではない。

さらに、被請求人が本件商標の「使用」と主張する記載は「協賛:組合支部員・メック」とされている部分であるが、そもそも当該記載をもって「商標が使用された」といい得るかについては否定的に解すべきであり、被請求人の主張を採用すべきではない。

また、被請求人と「組合支部員・メック」との関係が明らかでない。被請求人は冒頭より本件商標が「ジュニアー商事部」によって使用されているとの主張を展開しているが、その主張と相容れない資料であるといわざるを得ない。

以上より、同号証は、被請求人が証明すべき期間(本件審判の請求が予告登録された日である平成19年6月22日前3年間)に関するものか否かが不明である点、「商標の使用」が見られない点、及び被請求人と「組合支部員・メック」との関係が不明である点を考慮すると、証拠として採用すべきでなく、これに関する被請求人の主張は無意味であるだけでなく審判官の心証形成を誤らせる危険のある主張であるので採用すべきではない。

(キ)乙第15号証について

乙第15号証は、株式会社フェイス(以下「フェイス」という。)が2006年10月13日にジュニアー商事部にチラシを納入したことを示すものであって、本件商標の使用の事実を示すものではない。

そして、上述したように、乙第14号証記載中の「メック」はそもそも「商標の使用」には当たらない。

よって、同号証は、本件商標が使用されたことを証明するものではない。

(ク)乙第16号証について

乙第16号証は、頒布の目的物が明らかではないにもかかわらず、被請求人は枚数が20,000枚という事実のみをもって乙第14号証に記載のチラシに関する領収書と主張するが、合理的な関連性が見られず失当である。

そして、当該領収書の宛名は「大阪服装縫製工業組合」宛であって、被請求人とは何ら関連性が明らかでない。

よって、同号証は、本件商標が使用されたことを証明するものではない。

(ケ)乙第17号証について

乙第17号証は、「『メック』ブランド商品」とのみ記載しており、商品「被服、布製身回品、寝具類、これらに類似する商品」との関連性が明らかではない。

よって、同号証は、本件商標が商品「被服、布製身回品、寝具類、これらに類似する商品」について使用されたことを証明するものではない。

(コ)乙第18号証について

被請求人は、乙第18号証に乙第14号証のチラシが写っていると主張するが、明らかでない。また、乙第18号証からは「商標」、「商品」のいずれも窺えるものではなく、本件商標が使用された事実を証明するものではない。

(サ)乙第19号証について

乙第19号証は、新聞の写しであるが、商標「MEC/メック」の記載がないので、本件商標が使用された事実を示すものではない。この点、被請求人は、乙第19号証に手書きで「『メック』の展示販売」と書き入れているが、無意味であるだけでなく審判官の心証形成を誤らせる危険のある証拠であるので採用すべきではない。

(シ)乙第20号証及び乙第22号証について

これらには、商標「MEC/メック」の記載がないので、本件商標が使用された事実を示すものではない。

(ス)乙第21号証について

まず、被請求人は乙第21号証のチラシには年度の記載がないが、7月3日が土曜日であって、7月9日が日曜日であるのは平成18年であることは明らかであると主張するが、失当である。平成12年も同様の状況にあり、被請求人の主張のみをもって当該チラシに記載された日付を一義的に決定すべきではない。

さらに、被請求人が本件商標の「使用」と主張する記載は、「メック流通センター」とされている部分であるが、この記載は地図の記載等とも併せて客観的に判断すると「場所(建物)」の記載であって「商標」ではない。

また、コンピュータやプリンタが発達した昨今においては、一般人が凝った年賀状を作成することで分かるように、このような葉書は比較的容易に作成することができる。よって、証拠としての価値は低いと思われる。そして、当該葉書の表面には「料金別納郵便」の記載があることから切手を貼って投函されたものではないので郵便局の窓口で支払いがなされたはずであり、それに関する領収書が当然添付されてしかるべきである。このようなあるべきはずの客観的な証拠が提出されない点からも、当該証拠の採用には疑問がある。

よって、乙第21号証は、被請求人が証明すべき期間(本件審判の請求が予告登録された日である平成19年6月22日の前3年間)に関するものか否かが不明である点、及び「商標の使用」が見られない点を考慮すると、証拠として採用すべきでなく、これに関する被請求人の主張は無意味であるだけでなく審判官の心証形成を誤らせる危険のある主張であるので採用すべきではない。

(セ)乙第23号証ないし乙第25号証について

被請求人は、店舗のショーウインドウをデコレイトした株式会社トーマネ(以下「トーマネ」という。)発行の請求書及び請求明細に「メック分」の記載があることをもって本件商標が使用されたと主張するが、失当である。そもそも当該請求書からは乙第22号証及び乙第25号証と併せて見ても、指定商品「被服、布製身回品、寝具類」との関係が明らかではない。

よって、乙第23号証ないし乙第25号証は、本件商標がその指定商品について使用されたことを示すものではない。

(3)まとめ

以上のとおり、被請求人は(a)本件審判の請求の登録前3年以内に(b)本件商標を(c)その指定商品のいずれかについて、使用していたことにつき証明をしたとはいえない。

第3 被請求人の答弁の要点

被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第25号証(枝番を含む。)を提出している。

1 被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、その請求に係る指定商品中「被服」について、本件商標を使用している。以下、本件商標の使用事実を述べる。

2 本件商標の使用事実

(1)使用事実1

(ア)被請求人は、被服等の販売の一形態として、被請求人の商事部(以下、「ジュニアー商事部」という。)において、ブランド「MEC」、「メック」を使用して被服等の販売を展開している。

この被服の販売方法は、商品「被服」を他社より購入し、また、該被服に付される下札(ラベル)及び値札の印刷を、ジュニアー商事部より他社である印刷会社へ発注し、該印刷された下札(ラベル)及び値札をジュニアー商事部へ納品させ、ジュニアー商事部において、上記印刷された下札及び値札を、上記購入した被服に付し、この下札及び値札を付した被服を被請求人が、自社の所有する「メック流通センター」内に併設された店舗内において譲渡のために展示し、末端需要者に販売している。

また、その販売時においては、その被服を持ち帰り用の袋に収納している。この袋の印刷もジュニアー商事部が印刷会社へ発注し納入させている。

上記のような、商標の使用者、商品の購入、商標を記載した下札(ラベル)及び値札、その印刷、譲渡のための展示、販売による商標の使用の事実を、以下、証拠に基づいて述べる。

(イ)使用に係る商品の購入

被請求人は、複数の被服製造会社から被服を購入しており、この被服の購入事実の一部を乙第1号証の納品書で示す。

乙第1号証の納品書には、請求に係る指定商品「被服」である「袖バルーン無地ハイネックT、Tシャツ、ヒョウ地柄ファスナー付パンツ等の商品名及び品番が記載されている。

さらに、宛先として「株式会社ジュニアー」が記載されている。その日付は、本件審判の請求の登録前3年以内の日付(2007年2月19日)である。

したがって、被請求人は、請求に係る被服を販売していることは明らかである。

(ウ)商標を記載した下札

乙第2号証は、上記の購入した被服に付する下札を示すもので、その下札の表面には本件商標を構成するローマ字の「MEC」と、カタカナの「メック」の文字が併記され、また、その下札の裏面には本件商標を構成する「メック」の文字が記載されており、1枚の下札に「MEC」と「メック」の文字が共に記載されている。

本件商標は、ローマ字の「MEC」とカタカナの「メック」を上下2段書きにしてなるものであるが、上段の「MEC」と下段の「メック」は共に同一呼称を生じるものである。

したがって、乙第2号証の「下札」に記載されている「MEC」及び「メック」の商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標である。

(エ)下札(ラベル)の印刷、納入

被請求人は、上記乙第2号証の下札の印刷を、印刷会社であるフェイスに発注し、乙第3号証の納品伝票に示すように、フェイスからその印刷された下札(ラベル)が2005年5月2日に30000枚納入されている。さらに、上記と同じ下札(ラベル)が、乙第4号証の納品伝票に示すように、フェイスから2006年4月3日に30000枚納入されている。

乙第3号証の納品伝票中の品名欄に記載されている「メック無地ラベル」の文字は、上記乙第2号証の「下札」を表わしている。すなわち、その納品伝票の品名に記載された「メック」と「ラベル」の文字は、乙第2号証の「下札」を特定するためのものである。なお、下札はラベルとも称されることから、乙第2号証の「下札」を本乙第3号証では「ラベル」と記載し、次の乙第4号証では「下札」と記載しているが、これらは共に乙第2号証の「下札」を表わすものである。

なお、乙第3号証の上記「メック無地ラベル」中の「無地」とは、裏面に図柄が無いことを意味している。

また、乙第4号証の納品伝票中の品名欄に記載されている「メック下札無地」は、前記乙第2号証の「下札」を表わしている。すなわち、その「メック」と「下札」の文字が上記と同様に乙第2号証の「下札」を表わしている。また、「無地」の文字も上記と同様の意味である。

したがって、乙第3号証及び乙第4号証より、フェイスで乙第2号証の下札が印刷され、その印刷された乙第2号証の下札が、各々の日付において被請求人ヘ納入されたことは明白である。

さらに、この納品伝票に記載された下札が、フェイスで印刷されたことを乙第8号証で証明する。

(オ)商標を記載した値札

乙第5号証は、前記の購入した被服に付する値札を示すもので、その値札の表面には本件商標中のローマ字「MEC」が記載されている。

そして、この値札に記載された「MEC」は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標である。

(カ)値札の印刷、納入

被請求人は、乙第5号証の値札の印刷をフェイスに発注し、乙第6号証の納品伝票に示すように、フェイスからその印刷された値札が2004年3月12日に50000枚納入されている。さらに、上記と同じ値札は、乙第7号証の納品伝票に示すように、フェイスから2006年12月5日に50000枚納入されている。

乙第6号証及び乙第7号証の納品伝票中の品名欄に記載されている「メック値札」の文字は、上記乙第5号証の「値札」を表わしている。すなわち、その納品伝票の品名の「メック」と「値札」の文字は、乙第5号証の「メック」の文字が記載された値札を特定するためのものである。

したがって、乙第6号証及び乙第7号証より、フェイスで乙第5号証の値札が印刷され、その印刷された乙第5号証の値札が、各々の日付において被請求人ヘ納入されたことが明らかである。

さらに、この納品伝票に記載された値札がフェイスで印刷されたことを乙第8号証で証明する。

(キ)被服の販売状態

被服の譲渡である販売に際しては、上記購入した被服に上記納入された「下札」と「値札」を乙第9号証の1ないし3に示すように吊り下げて付す。

一般に、被服に商標を付す場合には、被服に直接商標を記載することは少なく、商標を記載した下札、値札を被服に吊り下げている。本商標権者においても被服の展示販売に際してそのようにしており、その商標の使用状態の例を乙第9号証の1ないし3の写真で示した。なお、乙第9号証の1ないし3の写真は、平成19年9月4日に撮影したものである。

そして、上記のような「下札」と「値札」を吊り下げた被服は、乙第10号証の1ないし4の写真に示す被請求人所有の「メック流通センター」内に併設された店舗(所在地は、愛知県海部郡蟹江町今川東)内において、乙第10号証の4の写真に示すような状態で譲渡のための展示販売をしている。

なお、上記第10号証の1ないし4の写真は、平成19年8月31日に撮影したもので、参考(使用例)として示す。

(ク)具体的使用事実

前記乙第1号証の品名欄の最上段に記載された「袖バルーン無地ハイネックT」を2007年2月19日に購入した。該購入した商品を乙第9号証の1の写真に示す。この写真において、中央列最前の白い服が当該商品である。該写真から明らかなように、該商品は、袖が袋のように形成され、ハイネックで、かつ、全体が無地である。したがって、該商品は乙第1号証で購入された商品(被服)であり、かつ、該商品は本件商標の指定商品(本件審判の請求に係る被服)である。

また、該被服には乙第9号証の1ないし3に示すように前記「MEC」及び「メック」が記載された下札と値札が付されている。

また、前記乙第1号証の納品書における最上段の前記商品には、摘要欄において、被請求人の自社品番85032705が自社で手書きにより記入され、この品番が乙第9号証の3に示すように、下札と値札に手書き(ゴム印)で記入されている。

そして、該下札と値札が付された上記「袖バルーン無地ハイネックT」の商品は、本件審判の請求の登録日前に、前記乙第10号証の1ないし4に示す前記店舗内において、顧客に譲渡するために展示されていた。しかし、購入者が現れなかったため、季節上の商品入替により、現在は在庫状態になっている。そのため、乙第9号証の1ないし3の写真は、上記商品の在庫状態で平成19年9月4日に撮影したものである。

したがって、被請求人が、乙第9号証の1に示す商品(被服)に本件商標を付して、本件審判の請求の登録前に、前記店舗内において譲渡のための展示をしたことは明らかである。

以上により、被請求人が、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、指定商品に本件商標を付したものを譲渡のために展示して、本件商標を使用したことは明らかである。

なお、前記下札と値札が多量に前記日付で納入されていること及び乙第9号証の1の在庫の被服にも前記下札及び値札が付されていることから、上記1例としてあげた乙第9号証の1の商品以外の被服においても、前記下札、値札を付して本件審判の請求の登録前3年以内に譲渡のために展示され、かつ、販売されたことは容易に推測できるものである。

(ケ)商標を付した袋

上記店舗内で販売された被服は、レジにおいて乙第11号証に示す袋(小)(大)に入れて持ち帰るようにしている。

乙第11号証の袋には「MEC」の文字が記載されている。この「MEC」の文字も上記と同様に、本件商標と社会通念上同一と認められる商標である。

(コ)袋の印刷

被請求人は、乙第11号証の大小の袋の印刷をフェイスへ発注し、乙第12号証の納品伝票に示すように、フェイスからその印刷された袋(小)が2006年5月15日に20000枚納入されている。さらに、乙第13号証に示すように、印刷された袋(大)が2006年9月28日に21700枚納入されている。

これらの納品伝票の品名に記載されている「メック袋」の文字は、乙第11号証の「MEC」が記載された袋を特定するものであり、該袋が納入されたことは明らかである。

したがって、該袋の納品日、数量からして、本件審判の請求の登録前3年以内に上記被服の販売時に、その被服の包装に商標を付する行為として、袋が使用されたことは明らかである。

(サ)以上から、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において被請求人が請求に係る指定商品中の被服について本件商標の使用をしていることは明らかである。

(2)使用事実2

(ア)被請求人は、乙第14号証の「チラシ」に示すように、平成18年11月3日(祝)及び4日(土)(なお、乙第14号証の開催日に年度が記載されていないが、その日付、祝日及び曜日を暦と照合すると、平成18年であることは明らかである。)に、大阪服装縫製工業組合主催の「レディス・メンズファッション バザール」に前記の「MEC」、「メック」が記載された「下札」、「値札」を付した被服を展示販売した。この事実を以下に述べる。

(イ)頒布されたチラシ

乙第14号証の「チラシ」は、上記展示販売用の案内の「チラシ」であり、該チラシには、「レディス・メンズ ファッション バザール」の文字が記載され、かつ、メンズ及びレディスの図柄が記載され、さらに、「ブラウス」「ジャケット」等の文字が記載されていることから、「被服」に係るものであることは明白である。

また、該チラシの最下段の主催、協賛の欄には「メック」の文字が記載されている。これは、ジュニアー商事部が、前記のように、ブランド「メック」を使用して被服の販売を展開していることからブランド「メック」を使用して広告したものである。

また、この「メック」の記載は、上記と同様に、本件商標と社会通念上同一と認められる商標である。

(ウ)チラシの印刷、納入

被請求人は、上記「チラシ」の印刷をフェイスへ発注し、乙第15号証の納品伝票に示すように、その印刷されたチラシは2006年10月13日に20000枚納入された。

乙第15号証の品名の欄の「メック」の文字は、上記のチラシに記載された「メック」を示すもので、また、その日付が2006年10月13日であることから、この納品伝票が乙第14号証の「チラシ」の印刷のものであることは明らかである。

なお、該「チラシ」が、フェイスで印刷されたことを乙第8号証で証明する。

(エ)チラシの新聞折込み

上記印刷した「チラシ」の新聞折込みを主催者である大阪服装縫製工業組合を通じて読売I.C.玉造へ依頼し、該読売I.C.玉造は、上記チラシを新聞に折込んで頒布した。その読売I.C.玉造の領収書(写)を乙第16号証として示す。

この領収書中のチラシの枚数と、前記印刷されたチラシの枚数は一致している。また、「11/2入」の文字から11月2日に折込まれた。

このチラシの新聞への折込みにより、該チラシが一般需要者に頒布され、被服に関し広告による本件商標の使用がなされたことは明らかである。

(オ)バザール開催

平成18年11月3日及び4日に、大阪市中央区森之宮中央の大阪服装縫製工業組合(2階・3階)内において、前記バザールが大阪服装縫製工業組合の主催で開催され、該会場において、被請求人が、前記「MEC」、「メック」が記載された「下札」、「値札」を付した被服を展示販売した。

このバザールにおいて、被請求人が「メック」ブランド商品を展示販売したことを乙第17号証により証明する。

また、上記のバザールの会場写真を乙第18号証に示す。上記バザール会場では、上記「チラシ」が机上に置かれている。

さらに、大阪服装縫製新聞を乙第19号証として示す。該新聞は、平成18年(2006年)12月1日に発行されたもので、その記事の「第6回消費者直販セール実施」の欄に、「開催日」、「(株)ジュニアーとの共催」、「(株)ジュニアー衣服類3000点」、「11月2日(木)、読売新聞朝刊に2万枚の折込みチラシ」及び「会場写真」等が記載されている。

また、上記バザールの開催を広告するために、ジュニアー商事部で作成した葉書(乙第20号証)を蟹江郵便局より発送した。この葉書には「メック」の記載はないが、被請求人が「メック」のブランドで販売展開していることから、集客を高めるために被請求人として広告したものである。

この葉書には、「ブラウス、スカート、ジャケット、パンツetc」と記載されていることから、上記バザールにおいて、これらの被服が展示販売されたことが分る。

(カ)以上のとおり、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において被請求人が、請求に係る指定商品中の被服に本件商標を付して、その商品を譲渡のために展示し、販売し、広告をして本件商標の使用をしたことは明白である。

(3)使用事実3

(ア)被請求人は、前記のようにブランド「メック」を使用して被服の販売を展開していることから、乙第21号証の広告用の葉書を社内で作成して一般需要者へ郵送した。

(イ)乙第21号証の葉書の裏面には「婦人服メーカ特別販売」の文字が記載され、「被服」についての広告であることは明白である。

さらに、葉書の表面には、「主催:株式会社 ジュニアー・メック流通センター」と記載され、裏面には「メック流通センター」と記載されていることから、商標権者である被請求人が「メック」のブランドを使用して、被服に関して広告したことは明らかである。

(ウ)乙第21号証の葉書には「7/8(土)・7/9(日)」と記載されている。

なお、該日付に年度が記載されていないが、その日付及び曜日を暦と照合すると、平成18年であることは明白である。

(エ)以上から、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者が、請求に係る指定商品中の被服について広告し、本件商標の使用をしたことは明白である。

(4)使用事実4

(ア)被請求人は、自社が所有する前記乙第10号証の1ないし4の写真に示す店舗において、その正面入口の上部に「MEC」の看板を掲げ、かつ、その正面にショーウインドーを設け、該ショーウインドー内においてマネキン人形に被服を着せ、かつ、店内において乙第10号証の4に示すように被服を展示販売している。

(イ)乙第22号証は、上記店舗の正面の一部を、本件審判の請求の登録前である平成19年4月6日に撮影したものである。

乙第22号証には、上記「MEC」の看板の全体は写っていないが、その写真の左上角部に「MEC」の看板の一部が写っている。この看板の一部と乙第10号証の3(平成19年8月31日撮影)に写っている「MEC」の看板とを照合すると、両者の「MEC」の看板は同一のものであることは明らかである。

したがって、乙第22号証の写真の撮影時(平成19年4月6日)には、乙第10号証の3に写っている「MEC」の看板は掲げられていたことは明らかである。

(ウ)また、乙第23号証及び乙第24号証は、上記店舗のショーウインドー内をデコレイトしたトーマネからの2007年4月30日付の請求書及び請求明細書である。該請求書の宛先には、「(株)ジュニアー」及び「メック分」の文字が記載されている。

さらに、乙第22号証のウインドディスプレイを2007年4月6日に行ったことを乙第25号証に示す。

したがって、平成19年4月6日には、前記「MEC」の看板が掲げられた店舗のショーウインドーにおいて被服が譲渡のために展示されていたことが明らかである。

(エ)以上から、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において被請求人が請求に係る指定商品中の被服に関する広告をし、本件商標の使用をしたことは明白である。

3 むすび

以上のとおり、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において被請求人により指定商品中「被服」について使用していることが明らかであるから、本件審判の請求は成り立たない。

第4 本件審判の審理の対象たる指定商品

1 当審における請求人に対する審尋

当審において、請求人に対し「請求人は、審判請求書の『請求の趣旨』において、登録第763217号商標の指定商品中、『被服,布製見回品,寝具類,これらに類似する商品』について登録の取消しを求めている。しかしながら、上記の指定商品の記載中『これらに類似する商品』は、『請求の趣旨』として不明確なものである。商標法第50条の規定よりすれば、取消審判請求の審理の対象となる指定商品の範囲は、請求人が取消しを求めた審判請求書の『請求の趣旨』の記載に基づいて決められるところ、『請求の趣旨』は、審判における審理の対象・範囲を画し、被請求人における防御の要否の判断・防御の準備の機会を保障し、取消審決が確定した場合における登録商標の効力の及ぶ指定商品の範囲を決定づけるという意味で重要なものであるから、『請求の趣旨』の記載は、客観的で明確なものであることを要するものである。したがって、『請求の趣旨』に記載された『これらに類似する商品』とは、如何なる指定商品を取消しの対象とするのかについて釈明し、要旨の変更とならない範囲内で明確な表示に補正するか、又は『これらに類似する商品』の記載を削除する補正をして、『請求の趣旨』を客観的で明確なものにされたい。」旨の審尋を発した。

2 審尋に対する請求人の回答と補正

請求人は、審尋に対し、平成20年5月9日付けの回答書において、請求に係る指定商品を同日付の手続補正書により、「これらに類似する商品」を削除する補正を行った旨回答し、同日付の手続補正書において、本件審判の「請求の趣旨」に記載の取消しに係る指定商品を「被服,布製見回品,寝具類,これらに類似する商品」から「被服,布製見回品,寝具類」と補正した。

第5 当審の判断

1 本件について、請求人が提出した前記2の手続補正書により、本件審判の審理の対象たる指定商品の範囲は、要旨の変更とならない範囲内において明確な表示に補正されたものと認められる。そして、本件商標の登録原簿の「商標権取消し審判の予告登録」における請求の趣旨について、平成20年5月16日付けで更正の登録を行った。

2 被請求人提出に係る証拠について

被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に本件商標をその指定商品中の「被服」について使用している旨主張し、証拠を提出しているので、提出に係る証拠について検討する。

(1)乙第1号証は、モードオールが被請求人宛に発行した2007年2月19日付けの納品書の写しと認められるところ、その品名欄に「袖バルーン無地ハイネックT」、「Tシャツ」、「胸元花刺繍T」・・・「ヒョウ地柄ファスナー付パンツ(M〜LL)」等と記載されると共にそれぞれに応じた数量、単価等が記載されている。また、単価欄には手書きによる「3500」、「5000」等の数字が記入され、摘要欄にも同様に「85032 705」、「721」等の数字が記入されている。これらの手書きによる数字は、後に書き加えたものと推認される。

(2)乙第2号証は、商品に付する両面印刷の「下札」と認められるところ、その表側には、図案化された「Mec」の如き文字に重ねて「MEC」の文字が記載され、さらにその右上に小さな「メック」の文字が記載されており、その裏側には「メック」の文字が最上部に記載され、その下部に「品番」、「カラーNo.」、「品質表示」等を表示する欄が設けられている。そして、上記「MEC」及び「メック」の文字は、本件商標と社会通念上同一といい得るものである。

乙第3号証及び乙第4号証は、フェイスが被請求人宛に発行した2005年5月2日付け及び2006年4月3日付けの「納品伝票」の写しと認められるところ、それぞれの品名欄に「1−A615」「メック無地ラベル」又は「1−A776」「メック下札無地」と記載されているほか、数量、単価及び金額がそれぞれの欄に記載されている。

(3)乙第5号証は、商品に付する片面印刷の「値札」と認められるところ、その表面右上に「MEC」の文字が記載され、その下部に「税込み」、「本体価格」等を表示する欄が設けられている。そして、上記「MEC」の文字は、本件商標と社会通念上同一といい得るものである。

乙第6号証及び乙第7号証は、フェイスが被請求人宛に発行した2004年3月12日付け及び2006年12月5日付けの「納品伝票」の写しと認められるところ、それぞれの品名欄に「1−31237」「メック値札」又は「1−A928」「メック値札」と記載されているほか、数量、単価及び金額がそれぞれの欄に記載されている。

(4)乙第8号証は、フェイスが乙第2号証の下札及び乙第5号証の値札等を印刷したことを証明する書面と認められ、上記納品伝票と併せてみれば、該下札及び値札は、フェイスによって印刷され、上記にいう日付で請求人に納品されたものとみて差し支えない。

(5)乙第9号証の1ないし3及び乙第10号証の1ないし4は、いずれも本件審判の請求の登録後に撮影されたものであるが、被請求人の店舗及びその内部の商品展示状態を示す写真と認められ、乙第9号証の1ないし3の写真には、実際の販売価格及び品番を記載した乙第2号証及び乙第5号証の下札及び値札が各商品に付された状態が撮影されている。

かかる商品展示の方法は、被服等の商品にあっては取引上極く普通に行われる形態といえる。

そして、上記品番として「85032705」の数字が記載されており、この数字は、乙第1号証の納品書に記載された商品「袖バルーン無地ハイネックT」について摘要欄に記入された手書きの「85032 705」と一致するものといえる。

また、乙第10号証の2及び3の写真には、被請求人店舗の看板に図案化された「Mec」の如き文字に重ねた「MEC」の文字からなる標章が掲げられている状態が示されており、上記標章は本件商標と社会通念上同一といい得るものである。

(6)乙第11号証は、顧客が購入した商品を入れるための大小2種類の袋で、いわゆるレジ袋と呼ばれるものと認められるところ、これらの袋は、販売に係る商品を包装するために無償で提供される一種の包装用袋というべきものである。そして、これらの袋には、そのいずれの表面にも、図案化された「Mec」の如き文字に重ねた「MEC」の文字からなる標章が筆記体の「High Sensibility Fashion By」の文字と共に表示されており、上記標章は本件商標と社会通念上同一といい得るものである。

乙第12及び第13号証は、フェイスが被請求人宛に発行した2006年5月15日付け及び同年9月28日付けの「納品伝票」の写しと認められるところ、それぞれの品名欄に「1−A784」「メック(小)袋」又は「1−A864」「メック(大)袋」と記載されているほか、数量、単価及び金額がそれぞれの欄に記載されている。そして、乙第8号証のフェイスによる証明書と併せてみれば、上記納品伝票に記載された「メック(小)袋」及び「メック(大)袋」は、乙第11号証のレジ袋を指すものとみて差し支えない。

また、被請求人店舗の内部を撮影した乙第10号証の4の写真には、レジ横の机上に上記袋と思われる袋が置かれている状態が撮影されている。

(7)乙第14号証は、商品販売に関するチラシと認められるところ、その左上方に「メーカー協賛 工場直売」、「秋物・冬物」、「レディス・メンズ ファッション バザール」の各文字が記載され、中央右寄りに「目玉商品各種」の表題下に「●ブラウス・スカート・パンツ・ジャケット・コート・・・etc.●紳士・婦人服地、はぎれ●小物、バッグ」及び「その他雑物・キズ物超特価品も有ります」と記載されている。その下方には、「とき 11/3(祝)・4(土)」及び「主催:大阪服装縫製工業組合 協賛:組合支部員・メック」の文字が住所、地図等と共に表示されている。

乙第15号証は、フェイスが被請求人宛に発行した2006年10月13日付けの「納品伝票」の写しと認められるところ、その品名欄に「1−37351」「メックA4チラシ」と記載されているほか、数量、単価及び金額がそれぞれの欄に記載されている。

そして、乙第8号証のフェイスによる証明書と併せてみれば、上記納品伝票に記載された「メックA4チラシ」は、乙第14号証のチラシを指すものとみて差し支えない。

(8)乙第19号証は、平成18年(2006年)12月1日付けの「大阪服装縫製新聞12月号」の写しと認められるところ、その第1面には、「第6回消費者直販セール実施」、「11月3日(金)・4日(土)の2日間」の表題下に、大阪服装縫製工業組合と被請求人との共催で「紳士・婦人服・子供服、着分カットした表生地ハギレ等」について展示販売された旨が写真と共に掲載されている。また、乙第17号証は、平成18年11月3日及び4日に大阪服装縫製工業組合が被請求人と共催で「メック」ブランド商品を販売したことを証する書面の写しと認められる。

乙第18号証は平成18年11月3日に撮影された写真と認められるところ、上記新聞に掲載された写真と併せてみると、上記消費者直販セールのレジカウンターの状態を撮影したものとみて差し支えない。そして、上記レジカウンターには、乙第14号証のチラシと思しき書面が置かれていることが判る。

乙第20号証は、葉書の写しと認められるところ、その裏面の記載内容からして上記消費者直販セール(レディス・メンズ ファッション バザール)を告知するための顧客向けの葉書といえる。

(9)乙第21号証は、商品販売セールを告知する葉書の写しと認められるところ、その裏面には、「婦人服メーカー特別販売」、「7/8(土)・7/9(日)」、「メック流通センター・駐車場完備」等の文字が地図と共に記載されている。この「7/8(土)・7/9(日)」の日付は、年の記載がないものの、暦からすれば、平成18年とみて差し支えない。

(10)乙第22号証は、被請求人店舗のショーウィンドーを撮影した写真と認められるところ、ショーウィンドーの商品展示と共にやや不鮮明ながら「4月営業案内」の表示と共にカレンダーが掲示されており、このカレンダーは1日が日曜日から始まるものと解読できる。また、左上隅にわずかながら写ったものは、乙第10号証の3の写真と併せてみると、上記(オ)にいう看板の一部といえなくもない。

(11)乙第25号証は、上記乙第22号証の写真に示される被請求人店舗のショーウィンドーのディスプレーをトーマネが2007年4月6日に行ったことを証明する書面であり、乙第23号証及び乙第24号証は、被請求人宛に発行された該ディスプレーに関する請求書及び請求明細書の写しと認められる。

3 本件商標の使用について

以上、検討したところによれば、以下のように判断するのが相当である。

(1)被請求人は、モードオールから「袖バルーン無地ハイネックT」、「Tシャツ」等の商品を仕入れ、その商品に品番を記入した乙第2号証の下札及び販売価格を記入した乙第5号証の値札を付して、平成18年11月3日及び4日に開催された大阪服装縫製工業組合と共催の「レディス・メンズファッション バザール」において販売した。その販売に当たっては、顧客が購入した商品を入れるために乙第11号証の包装用袋が用いられた。

上記バザールの開催については、その広告宣伝のために乙第14号証のチラシ及び乙第20号証の葉書が印刷、頒布されたほか、業界新聞にも報道された。

そして、前示のとおり、上記の下札、値札及び包装用袋には本件商標と社会通念上同一と認め得る標章が表示されていた。

(2)上記(1)のほか、被請求人は、自己の店舗においても、平成18年7月8日及び9日に上記と同様の商品の展示販売を行った。そして、被服等の商品取引の経験則によれば、展示商品には下札及び値札が付されること、顧客が購入した商品を包装用袋に入れて手渡すことは一般的な慣行といえるから、被請求人の上記展示販売においても乙第2号証、乙第5号証及び乙第11号証の各下札、値札及び包装用袋が用いられたものと推認される。

(3)被請求人の店舗には、ショーウィンドーが設けられ、被服等の商品の展示が行われているほか、店舗の看板には本件商標と社会通念上同一と認め得る標章が表示されている。該看板を撮影した乙第10号証の2及び3の写真は、本件審判の請求後に撮影したものであるが、ショーウィンドーのディスプレーが平成18年(2007年)4月6日に行われ、その時に撮影されたと認められる乙第22号証の写真には、乙第10号証の2及び3の写真と略同様のショーウィンドーが写っており、さらに左上隅に看板の一部と思しき部分が写っていることから、平成18年4月6日には既に上記看板が設置されていたものとみて差し支えない。

(4)以上を総合勘案すると、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、本件商標と社会通念上同一といえる商標をその指定商品中の「被服」について使用していたものというべきである。

なお、請求人は、弁駁書において、被請求人の提出した各乙号証について、証拠として採用すべきでない旨種々述べているが、被請求人提出の証拠についての認定は、前記のとおりであるから、請求人の主張は認められない。

4 まとめ

以上のとおり、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、被請求人によって、その指定商品について使用されていたものであるから、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべき限りでない。

よって、結論とおり審決する。

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