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Trademark Appeal Case

著名商標と混同のおそれ

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2007−680001(T2007−680001/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件国際登録第836997号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、2003年(平成15年)12月11日にノルウェー国においてした商標登録出願に基づき、パリ条約第4条による優先権を主張し、2004年(平成16年)5月27日を国際登録の日とし、第5類「Pharmaceutical preparations,food supplements containing fish oils for medical use;mineral food supplements,food supplements containing fatty acid and vitamins for medical use;cod−liver oil,liquid fish oil and fish oil vials,for medical use;primrose oil for medical use;natural remedies and preparations,dietetic food adapted for medical purposes.」を指定商品として、2006年(平成18年)4月28日に我が国において登録されたものである。

2 請求人の主張

請求人は、「本件商標の登録は、その指定商品中『food supplements containing fish oils for medical use;mineral food supplements,food supplements containing fatty acid and vitamins for medical use;cod−liver oil,liquid fish oil and fish oil vials,for medical use;primrose oil for medical use;natural remedies and preparations』(以下「本件に係る商品」という。)については、これを無効とする、審判費用は被請求人の負担とする」との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第229号証を提出している。

(1)請求の理由

(ア)本件商標は、その指定商品中「本件に係る商品」については、商標法第4条第1項第11号又は同法第4条第1項第15号に該当するにもかかわらず登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とされるべきものである。

(イ)審判請求の利益

請求人は、「経皮鎮痛消炎剤」の商品について、商標「モーラス」及び「MOHRUS」並びにそれらを要部とする後述の引用各商標ほかの「モーラス/MOHRUS」商標を使用し、取引者または需要者に周知・著名な商標(ブランド)となっている。かかる状況下において、本件商標がその指定商品中「本件に係る商品」に使用された場合には、本件商標は、請求人の「モーラス/MOHRUS」商標に類似するから、その商品の出所につき混同を生じさせるおそれがあり、かつ、請求人の周知・著名な商標の指標力を稀釈化させるおそれがあり、ひいては請求人の営業活動に取り返しのつかない損害を与えるおそれがある。よって、請求人は本件審判を請求することにつき利害関係を有する。

(2)本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当することについて

(ア)請求人の引用商標

請求人が本件商標の登録無効の理由に引用した登録商標は、以下の4件である。

(a)登録第1220004号商標(以下、「引用商標1」という。)は、「モーラス」の片仮名文字を書してなり、昭和47年2月29日に登録出願され、第1類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同51年9月20日に設定登録され、その後、平成18年4月26日に、指定商品を、第1類ないし第5類、第8類ないし第10類、第16類、第19類、第21類及び第30類に属する商標登録原簿に記載の商品とする、指定商品の書換登録がされたものである。

(b)登録第4470871号商標(以下、「引用商標2」という。)は、「モーラス」の片仮名文字を書してなり、平成12年5月19日に登録出願され、第5類「薬剤,歯科用材料,医療用腕環,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,失禁用おしめ,人工受精用精液,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,乳児用粉乳,乳糖,はえ取り紙,ばんそうこう,包帯,包帯液,防虫紙,胸当てパッド」を指定商品として、同13年4月27日に設定登録されたものである。

(c)登録第2397568号商標(以下、「引用商標3」という。)は、「MOHRUS」の欧文字を書してなり、昭和61年3月19日に登録出願され、第1類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成4年4月30日に設定登録され、その後、同14年9月18日に、指定商品を、第1類ないし第5類、第8類、第10類、第16類、第19類、第21類及び第30類に属する商標登録原簿に記載の商品とする、指定商品の書換登録がされたものである。

(d)登録第4470872号商標(以下、「引用商標4」という。)は、「MOHRUS」の欧文字を書してなり、平成12年5月19日に登録出願され、第5類「薬剤,歯科用材料,医療用腕環,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,失禁用おしめ,人工受精用精液,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,乳児用粉乳,乳糖,はえ取り紙,ばんそうこう,包帯,包帯液,防虫紙,胸当てパッド」を指定商品として、同13年4月27日に設定登録されたものである。(以下、一括していう場合は「引用各商標」という。)

(イ)指定商品の抵触

本件商標の指定商品中第5類「本件に係る商品」は、何れも医療用のものであって、「薬剤」の概念に含まれる商品である。

他方、引用各商標はそのいずれについても、指定商品に「薬剤」を含むものである。よって、本件商標と引用各商標とはその指定商品が抵触する。

(ウ)本件商標から生じる称呼

本件商標は、欧文字で「MOLLER’S」(審決注:欧文字「O」の上には、ウムラオトのような記号あり。)と表してなるものであるところ、これは、商標権者との関係でノルウェー語の綴りと思われるが、ノルウェー語は我が国ではほとんど使用されることがないから、このような欧文字の綴り字については、我が国ではローマ字読みか、または英語読みされるのが自然である。そうすると、本件商標からは、その構成文字に相応して「モラーズ」と称呼されるか、又は英語読みでは「MO」を語頭に有する語にあっては、その部分が長音化されることもしばしばであるから「モーラーズ」の称呼も生じるものである。

(エ)引用各商標から生じる称呼

引用商標1及び2は、いずれも片仮名文字の「モーラス」を構成文字とするものであるから、「モーラス」の称呼を生じる。また、引用商標3及び4については、いずれも欧文字の「MOHRUS」を構成文字とするものであるから、同様に「モーラス」の称呼を生じる。

(オ)称呼の比較

本件商標の「モーラーズ」の称呼と、引用各商標の「モーラス」の称呼とを比較すると、語頭音から第3音までの「モーラ」を共通にし、異なるのは本件商標の第4音の長音部(第3音の「モ」が長音化された部分)と、本件商標の語尾音の「ズ」と、引用商標の「ス」である点のみである。

しかして、前記差異音は、いずれも称呼上弱いものである。すなわち、まず本件商標の第4音における長音の有無であるが、長音は前音「ラ」に吸収されるもので、音の差異としては微差である。次に語尾音の「ズ」の音と「ス」の音の差異も、音質において弱い差異とされる清音と濁音の差異でしかない。しかして、「モーラーズ」と「モーラス」の称呼においては、長音の有無は称呼上印象の弱い中間音の差異であり、かつ、清音と濁音の差異も、これまた称呼上印象の極めて弱い語尾音の差異でしかないから、それぞれ一連に称呼した場合には全体の音感が近似しており、弱い差異の要素の組み合わせであって全体の音感が近似する。本件と同様の審決例がある(甲第40ないし42号証)。

してみれば、本件商標の「モーラーズ」の称呼と引用各商標の「モーラス」の称呼は、相紛らわしく類似するものである。

(カ)結論

以上のとおりであって、本件商標は、引用各商標に類似する。そして、その指定商品も抵触するので、本件商標は、引用各商標との関係において商標法第4条第1項第11号に該当するものである。

(3)本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当することについて

(ア)請求人の商標「モーラス/MOHRUS」の著名性

(a)防護標章登録の存在

請求人の商標「モーラス/MOHRUS」は、「経皮鎮痛消炎剤」について著名な商標である。このことは、引用商標1について、防護標章登録(甲第3号証)を認めていることからも明らかである。

このように、請求人の商標「モーラス/MOHRUS」の著名性に疑いはないが、以下、その著名性を立証する。

(b)「モーラス/MOHRUS」商標に係る商品とその使用の経緯

請求人は、薬剤に属する「経皮鎮痛消炎剤」に、引用各商標と同じ構成文字からなる各商標(甲第43ないし第47号証)を使用し、著名な商標となっている。以下、これらの商標をまとめて「モーラス商標」といい、「モーラス商標」が使用される商品を「モーラス商品」と称する。

なお、「経皮鎮痛消炎剤」のうち、貼付剤にはパップ剤とテープ剤が含まれる。これらは、請求人の主力商品の一つである。モーラス商品の発売開始時期は、パップ剤は1998年5月、大判のパップ剤を2005年5月、その後、2006年1月よりラインナップを拡充した。テープ剤は1995年12月及び2002年12月である。

(c)モーラス商品についての宣伝広告の実績

請求人は、モーラス商品の販売に当たって、以下のような宣伝広告活動を広汎かつ継続的に行ってきたものである。その宣伝広告活動においては、モーラス商標を明示して使用してきている。

まず、膨大な量の販売促進用パンフレットを作成し、医薬情報担当者(MR)や医薬品卸売業者の営業担当者(MS)を通じて、医師や薬剤師などの医療関係者に対してモーラス商品の宣伝広告物を、発売当初から現在に至るまで継続的に配布している(甲第55号証)。そして、それらのパンフレットには、各モーラス商標を表示している(甲第56ないし第190号証)。

さらに、日本医師会が発行する「日本医師会雑誌」において、各モーラス商標を表示した広告を継続的に掲載してきている(甲第191ないし第201号証)。

また、包装箱にも各モ−ラス商標を表示している(甲第202ないし第204号証並びに甲第100号証及び第101号証)ほか、商品自体や商品の包装袋にも各モーラス商標を表示している(甲第205号証)。

このように、モーラス商標が膨大な媒体物や商品包装等に使用された結果、本件商標の出願前から現在に至るまで、モーラス商標は、その取引者又は需要者に周知・著名な商標となっているものである。

(d)モーラス商品の圧倒的市場シェアと市場の評価

請求人の、上記モーラス商品の宣伝広告活動に加えて、モーラス商品は、その極めて優良な薬効効果によって医療業界に好評を博し、そのため、その販売当初から現在に至るまで、業界第1位の圧倒的シェアを誇っている。すなわち、モーラス商品全体の売上総計は、発売時から2004年までの累計で、5,500億円を超えており(甲第206号証)、大ヒット商品ということができる。

医療用「経皮鎮痛消炎剤」(パップ剤)市場における「モーラス/MOHRUS」の市場占有率は、発売翌年の1988年より第1位(1988年で27.5%)であり、今日に至るまで一貫して市場占有率第1位の商品である(甲第207号証)。

医療用「経皮鎮痛消炎剤」(テープ剤)市場における「モーラス テープ/MOHRUS TAPE」及び「モーラス テープ L/MOHRUS TAPE L」の市場占有率は、発売翌年の1996年より第1位(56.0%)であり、2004年で81.9%の圧倒的なシェアに達し、今日に至るまで一貫して市場占有率第1位の商品である(甲第208号証)。

2004年の医療用「経皮鎮痛消炎剤」(貼付剤)市場における、モーラス商品の市場占有率は50%を超えている(甲第209号証)。

「モーラス/MOHRUS」ブランドのパップ剤やテープ剤が、経皮鎮痛消炎剤の市場において、その品質の優良性によって高い評価を受け、その結果、驚異的な売上とシェアを獲得していることは、医薬品の分野における権威ある刊行物にも記載されているところである。(「薬事ハンドブック」甲第210ないし第214号証、「国際医薬品情報」甲第215ないし第224号証)。

さらに、国際商業出版のホームページにおいて、医薬品情報を検索した場合に、モーラス商品が1999年以来、増収総益を続け、好調を維持してきていることが紹介されている(甲第225号証)。

そして、このような実情と実績に基づいて、欧文字の「MOHRUS」商標が「日本有名商標集」に掲載されているとともに(甲第226号証)、前述のとおり片仮名文字の「モーラス」が特許庁において著名性を認定され、防護標章登録を受けているものである(甲第3号証)。

(イ)モーラス商標の造語性、独創性

請求人の商標「モーラス/MOHRUS」は、「市場を網羅する」ということにネーミングの由来を有する独創性の高い造語の商標である。そして、実際にも市場占有率が第1位の「市場を網羅(MORA)する」商標として、独創性が高い著名商標となっているものである。

(ウ)本件商標と「モーラス/MOHRUS」商標との類似性

本件商標が、請求人の「モーラス/MOHRUS」商標及び「モーラス/MOHRUS」を要部とする各商標と称呼上類似することは前述したとおりであり、「モーラーズ」の称呼と「モーラス」の称呼とは、弱い印象しか与えない長音と語尾音の「ス」と「ズ」の音が相違するのみであるから、共通する称呼である「モーラ」の部分が聴者の記憶、印象に強く残るものである。そして、前記のとおり「モーラス/MOHRUS」商標が独創性の高い商標であることも考慮すると、本件商標と請求人のモーラス商標に接する取引者・需要者は、両者から共通した印象ないしはイメージを感受するものである。

ちなみに、裁判例においても、商標法第4条第1項第15号の適用における商標の類似性の認定にあっては、通常の商標法第4条第1項第11号の適用における類似性に比して、対比する商標間における共通する部分の記憶や印象を重視した認定がなされているものである(甲第227号証)。また、商標法第4条第1項第15号の審決例もある(甲第228号証)。

(エ)混同のおそれ

以上のとおり、請求人のモーラス商標の著名性及び独創性、本件商標と引用各商標の類似性、モーラス商品がパップ剤やテープ剤等の経皮鎮痛消炎剤という「薬剤」であって、本件商標の指定商品である「本件に係る商品」と共通することを総合的に考慮すれば、本件商標がその指定商品中、「本件に係る商品」に使用された場合には、これに接する取引者・需要者は、それがあたかも請求人のモーラス商標(ブランド)に係る商品のシリーズ商品であるか、または、何らかの関連性のある商品であるかの如く誤認され、あるいは、その商品提供者(出所)について、何らかの営業上の関連性や資本の関連性があるかの如く混同されるおそれがあると言わねばならない。

加えて、医療用医薬品の分野においては、需要者である患者の身体の安全性に深く関わっているが故に、混同のおそれは厳格に判断されるべきである。それは、医療品の分野において、近時、薬剤の取り替え事故や取り替え事例が存在することが現実に指摘されていること(甲第229号証)、そのような取り替えは薬品名称(商標)の誤認が原因の1つであることが報告されていることからも言えるところである。そうであるとすれば、本件商標の使用を容認することは、モーラス商品との関係で混同誤認の危険性が高いと言わねばならない。

(オ)結論

以上のとおりであって、本件商標は、請求人の著名なモーラス商標との間で出所の混同を生じるおそれのある商標であるから、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。

(4)むすび

以上から明らかなように、本件商標は、商標法第4条第1項第11号又は同第15号に該当するにもかかわらず商標登録されたものであるから、その指定商品中「本件に係る商品」については、同法第46条第1項の規定により無効とされるべきである。

3 被請求人の答弁

被請求人は、答弁していない。

4 当審の判断

(1)本件商標について

本件商標は、別掲のとおり「MOLLER’S」の文字(その構成文字中の欧文字「O」の上には、ウムラオトのような記号が付いている)よりなるところ、該文字は、我が国で親しまれている成語を表したものとは認め難いものであり、特定の観念を有しない造語と認識させる欧文字からなるものであるから、これに接する取引者、需要者は、ローマ字読み又は英語読み風に「モラーズ」と称呼して取引にあたるものと判断するのが相当である。加えて、その指定商品中の「薬剤」及び「医療用品」との関係においては、これをドイツ語読み風に「メラーズ」と発音して取引にあたる場合も少なくないものと判断されるから、該文字からは「メラーズ」の称呼をも生ずるものと認められる。

なお、請求人は「本件商標からは『モラーズ』の称呼のほか、英語読みで『MO』を語頭に有する語にあっては、その部分が長音化されることもしばしばであるから『モーラーズ』の称呼も生じる」旨主張し、例として「mobile」、「mode」、「moment」などを挙げている(甲第7号証)。

確かに、請求人指摘のとおり、「MO」を語頭に有する英単語で長音化されて発音されるものがあるとしても、しかし、例えば、一般によく知られた「Mother」「Monday」「Money」「Model」など、「MO」を語頭に有し「マザー」「マンデー」「マネー」「モデル」と短く称呼される語も多数あるのが実情であって、このことは、例えば「株式会社ナツメ社」発行の「外来語辞典」によれば、「MO」の文字を語頭に含み、「モー」と発音される語が「mortgage」、「motion」等、約2ページ分程掲載されているのに対し、「モ」と短く発音されるものが約7ページにも及び多数掲載されていることからも明白といわざるを得ない。

してみれば、請求人の「MO」を語頭に含む語が、しばしば長音化されて発音されるものという主張は、認めることができない。

そうすると、本件商標からは、先に述べたとおり「モラーズ」の称呼のほか、「メラーズ」の称呼をも生ずるものと認めるのが相当である。

(2)引用各商標について

引用商標1及び2は、いずれも片仮名文字の「モーラス」を構成文字とするものであるから、これより「モーラス」の称呼を生ずるものと認める。

また、引用商標3及び4については、いずれも欧文字の「MOHRUS」を構成文字とするものであるから、その構成文字に相応して「モーラス」の称呼を生ずるものと認める。

そして、引用各商標は、いずれも特定の観念を生じない造語と認められる。

(3)本件商標の商標法第4条第1項第11号該当性について

(ア)まず、本件商標から生ずる「モラーズ」の称呼と、引用各商標から生ずる「モーラス」の称呼とを比較するに、共に3音という短い音数で構成されるところ、語頭において「モ」及び「モー」、第2音において「ラー」及び「ラ」、さらに、語尾において「ズ」及び「ス」と、構成する音のすべてが相違し、長音を伴う音の位置も異なるものである。そして、前者の場合、全体が若干ゆるやかな語調として聴取されるのに対し、後者の場合は、「モ」にアクセントを付けて、短くはっきりと発音されるものであり、この差異が両者とも3音という短い音構成からなる称呼全体に及ぼす影響は決して小さいとはいえないから、両者をそれぞれ一連に称呼するときは、全体の語調、語感を異にし、彼此聞き誤る虞はないものといわざるを得ない。

(イ)次に、本件商標から生ずる「メラーズ」の称呼と、引用各商標から生ずる「モーラス」の称呼とを比較するに、共に3音という短い音数で構成されるところ、語頭において「メ」及び「モー」、第2音において「ラー」及び「ラ」、さらに、語尾において「ズ」及び「ス」と、構成する音のすべてが相違するものであり、そして、長音を伴う音の位置も異なることから、本件商標と引用各商標をそれぞれ称呼する場合、明らかに区別することができるものである。

そして、本件商標と引用各商標とは、それぞれの構成に照らし、外観上判然と区別し得る差異を有するものであり、また、本件商標と引用各商標は、共に特定の観念を生じない造語であるから、観念上も比較することができない。

してみれば、本件商標と引用各商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。

(4)本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性について

前記(3)のとおり、本件商標と引用各商標とは十分に区別し得る別異の商標と認められるものである。

そして、引用各商標と同じ「モーラス」及び「MOHRUS」からなる商標(以下「モーラス商標」という。)が、申立人の業務に係る「経皮鎮痛消炎剤」を表示するものとして、需要者・取引者の間に広く認識されている商標である事実は認められるとしても、前記と同様、本件商標とモーラス商標とは、全く別異の商標であるから、その称呼、外観及び観念のいずれからしても、十分に区別し得る商標である。

そうすると、商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者が、使用商標を連想又は想起するものとは認められず、その商品が申立人又は同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれもないものというべきである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。

(5)まとめ

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号のいずれにも違反して登録されたものではないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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