Trademark Appeal Case
原産地名称のただ乗りと希釈化
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2007−900488(T2007−900488/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
第1 本件商標
本件登録第5067459号商標(以下「本件商標」という。)は、「シャンパン烏龍」の文字を標準文字により表してなり、平成18年9月20日に登録出願され、第30類「ウーロン茶」を指定商品として同19年8月3日に設定登録されたものである。
第2 登録異議申立ての理由(要旨)
本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により取り消されるべきである。
第3 取消理由の通知
1 「シャンパン」について
登録異議申立人の提出に係る証拠によれば、次の事実が認められる。
(1)「CHANPAGNE」の語は、フランス北東部の地名であり、同地で作られる発泡性ぶどう酒をも意味する。
(2)フランスにおいては、1935年に制定された原産地統制呼称法が優れた産地のワインを保護・管理することを目的に政府機関(INAO)等によって運用されており、「CHANPAGNE」の語は、フランスのシャンパーニュ地方産の発泡性ワインにのみ使用することができるフランスの原産地統制名称として、その使用が厳格に管理・統制されている。
(3)上記意味合いを有する「CHANPAGNE」の語を表す日本語として「シャンパン」の文字が普通に使用されている。
(4)「CHANPAGNE」(シャンパン)は、発泡性ワインを代表するものとして世界的に知られており、我が国においても多数の辞書、辞典、書籍、雑誌、新聞等においてその紹介、説明がなされている。
(5)以上の事実を総合すると、「CHANPAGNE」及び「シャンパン」の語は、「フランスのシャンパーニュ地方産の発泡性ぶどう酒」を意味し、その使用が管理・統制されているものとして、我が国においても取引者・需要者の間に広く認識されているものと認められる。
2 本件商標と「シャンパン」について
本件商標は、「シャンパン烏龍」の文字よりなるところ、その構成中の「烏龍」の文字部分は指定商品「ウーロン茶」を表す品質表示というべきものであるから、「烏龍」の文字部分は自他商品識別標識としての機能を有さないというべきである。
また、「シャンパン烏龍」の文字は、全体として親しまれた既成の観念を有する語を表したものとはいえない。
その他、本件商標を構成する「シャンパン烏龍」の文字を常に一体不可分のものとしてのみ認識し把握すべき事情を見いだすことができない。
加えて、上記1で認定した「シャンパン」の周知著名性をも考慮すれば、本件商標は、「シャンパン」の文字部分が強く看者の印象に残り、原産地統制名称たる「シャンパン」の表示を含む商標として認識し把握されるというべきである。
そうとすると、本件商標をその指定商品に使用した場合には、周知著名となっている原産地名称である「CHANPAGNE」及び「シャンパン」の表示へのただ乗り(フリーライド)及び該表示の希釈化(ダイリューション)を生じさせるおそれがあり、公正な取引秩序を乱し、ひいては国際信義に反するものといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号の規定に違反して登録されたものであるから、その登録を取り消すべきものである。
第4 商標権者の意見
1 「シャンパン烏龍」の語は、全体で一つの意味を生ずる。
したがって、本件商標「シャンパン烏龍」は、一体不可分のものとして認識、把握されるべきである。
2 外国において「CHAMPAGNE」を含む商標が登録になっている。 したがって、本件商標も国際信義に反するものではなく、その登録は維持されるべきである。
第5 当審の判断
1 上記第3の取消理由は妥当なものと認められる。
2 商標権者の意見について
(1)商標権者は、「『シャンパン烏龍』の語は、全体で一つの意味を生ずる。したがって、本件商標『シャンパン烏龍』は、一体不可分のものとして認識、把握されるべきものである。」旨主張し、乙第1号証ないし乙第30号証を提出している。
当該意見について検討するに、乙第1号証によれば、「香檳」は中国語で「シャンパン」の意味があることが認められる。
また、乙第2号証には「また、白毫烏龍茶湯をお酒のシャンパンで割ったものを香檳烏龍茶と称して、メニューに加えている店もあります。」の記載があり、 乙第4号証には「・・・『東洋のシャンパン』と賞賛されたことから、香檳(シャンピン)烏龍茶とも呼ばれます。」の記載がある。
以上の事実よりすれば、「香檳(シャンピン)烏龍茶」は、「シャンパン」の意味を有する「香檳(シャンピン)」と茶の一種である「烏龍茶」とを結合した語であることが認められる。
してみれば、「香檳(シャンピン)烏龍茶」は、「香檳(シャンピン)」と「烏龍茶」の2つの語よりなるというべきである。
したがって、「香檳(シャンピン)烏龍茶」を一体不可分の語であるということはできない。
しかも、乙第1号証ないし乙第30号証に表示されている「香檳(シャンピン)烏龍茶」と本件商標「シャンパン烏龍」とは、その構成態様も称呼も異なるものであるから、商標権者が「香檳(シャンピン)烏龍茶」の一体不可分性について述べても、本件商標「シャンパン烏龍」の一体不可分性について述べたことにはならない。
したがって、商標権者の意見は採用できない。
(2)商標権者は、「外国において『CHAMPAGNE』を含む商標が登録になっている。したがって、本件商標も国際信義の反するものではなく、その登録は維持されるべきである。」旨主張し、乙第31号証ないし乙第67号証を提出している。
当該意見について検討するに、我が国と外国では法制が異なり、また、商慣習も異なるから、外国において商標登録がされていることを理由として、本件商標の登録が維持されるべきであるということはできない。
しかも、乙第31号証ないし乙第67号証に表示されている商標と本件商標とは、その構成態様が全く異なるものであるから、乙第31号証ないし乙第67号証に表示されている商標が外国で登録されているという事実は、本件とは無関係である。
したがって、商標権者の意見は採用できない。
3 結論
上記1および2で述べたとおりであるから、本件商標登録は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものである。
したがって、商標法第43条の3第2項の規定に基づき、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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