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Trademark Appeal Case

商標登録と使用意思

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2007−900401(T2007−900401/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5048789号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5048789号商標(以下「本件商標」という。)は、「篤姫」の文字を横書きしてなり、平成18年7月28日に登録出願され、第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」を指定商品として、同19年4月4日に登録査定、同年5月18日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由(要点)

甲第1号証ないし甲第3号証(NHKエンタープライズのホームページ抜粋)によれば、商標権者は、NHKの関連団体の一員として、番組制作とそれを基にした映像商品の提供を主たる事業とする会社であり、事業案内に照らしてみても、本件商標の指定商品のような酒類について、その製造・販売等の事業を行うものとは考え難い。また、甲第4号証(南日本新聞ホームページ抜粋)及び甲第5号証(毎日新聞ホームページ抜粋)の新聞報道によれば、NHKエンタープライズは、本件商標を出願したことについて、「大河ドラマのタイトルが無秩序、不適切に使われ、大河ドラマ自体のイメージが損なわれるのを防ぐため、そして、独占を防ぎ、多くの企業に公平に使ってもらうために行った」旨説明しており、この記事内容からみれば、商標権者に自ら使用をする意思があったものとは認められない。

してみれば、本件商標は、その指定商品について、商標権者が自己の業務に係る商品について使用をする商標とみるには合理的な疑義が存在するから、商標権者(出願人)が本件商標の登録査定当時において具体的な事業計画を有していたことを証明しない限り、本件商標の登録は、商標法第3条第1項柱書に違反してされたものというべきであるから、その登録は取り消されるべきである。

3 当審の判断

我が国商標法は、登録主義を採用し、登録するための要件として、出願された商標の現実の使用を必要とせず、使用の意思を有すれば足りることとしているが、将来においても使用されないことが明らかな商標までをも登録して保護するものでないことは同法第1条(目的)及び第50条(商標登録取消審判)の趣旨からみても当然のことといえる。

そして、自己の業務(近い将来開始の業務を含む)が存在しないところに、自己の業務に係る商品又は役務についてその商標を使用することは有り得ないから、出願された商標に係る指定商品又は指定役務に関する自己の業務(近い将来開始の業務を含む)が存在しない場合等、将来も使用されないことが明らかな商標は、商標法第3条第1項柱書により登録を受けることができないこととされている。

しかして、「自己の業務に係る商品又は役務について使用」をしないことが明らかな場合とは、例えば、法令上、業務の範囲が限られている出願人が、その業務範囲外に係る商品又は役務を指定する場合、あるいは、法令上、指定商品又は指定役務に係る業務を行い得る者の範囲が限定されている場合において、その範囲外の者が、その業務に係る商品又は役務を指定して出願するとき等をいうものとされている(特許庁ホームページの「商標審査基準」中の「第1 第3条第1項(商標登録の要件)二 第3条第1項柱書」の項を参照)。そして、この審査基準の運用の幅を超えて、商標法第3条第1項柱書の規定を厳格に適用することは、必ずしも商標法の精神に沿うものではなく、このことは、商標法条約第3条(7)及び(8)の趣旨からみてもいい得ることである。

これを本件についてみるに、申立人の提出した甲第1号証ないし甲第3号証(NHKエンタープライズのホームページ抜粋)をみる限りにおいては、商標権者(出願人)が本件商標の登録査定時において、本件商標の指定商品に係る業務を行っていたことを窺うに足る記載は認められない。

しかしながら、甲第1号証の「事業資格」の欄には、「一級建築士事務所、建築業許可、警備業認可」と記載されているように、自己の業務との関係において必要な場合には、現に、このような事業の資格も取得しているのであり、一般論としていえば、自己の現在の業務に関係がなくても、株式会社組織である商標権者(出願人)においては、酒類小売業免許を取得すれば、酒類の小売り業務を行うこと自体は可能なことであって、上記した法令上の制限を受ける場合に該当するものとも認められないから、少なくとも、本件商標の登録査定時において、商標権者(出願人)における近い将来における使用の蓋然性までをも否定することはできないものというべきである。

また、申立人は、甲第4号証及び甲第5号証を挙げて、NHKエンタープライズは自ら使用の意思がないにもかかわらず、本件商標を出願し、商標登録を受けたことは明らかである旨述べている。

しかしながら、該記事内容からみれば、商標権者(出願人)は、使用を希望する者に商標法でいうところの通常使用権を許諾する旨を述べたものと理解される。そうとすれば、同法上、商標権者(出願人)自身も使用し得る余地は排除されていないのであるから、このことをもって直ちに、本件商標の登録査定時において、商標権者(出願人)における近い将来における使用の蓋然性までもが否定されることには繋がらない。

そうとすれば、商標権者(出願人)が「自己の業務に係る商品について使用をする」とみるには合理的な疑義が存在する旨の申立人の主張は採用できない。そして他に、申立人の主張を認めるに足る証拠の提出もない。

したがって、本件商標の登録は、商標法第3条第1項柱書きに違反してされたものとは認められないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものとする。

よって、結論のとおり決定する。

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