Trademark Appeal Case
称呼類似と要部抽出
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2008−900023(T2008−900023/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本件商標
本件登録第5084570号商標(以下「本件商標」という。)は、「WinDVD Creator」の欧文字を書してなり、平成16年10月4日に登録出願、第9類「コンピューターゲーム用プログラム,ダウンロード可能なコンピューター用ソフトウェア,その他のコンピューター用ソフトウェア,ダウンロード可能な電子出版物,ダウンロード可能な音楽,ダウンロード可能な画像 」を指定商品として、同19年10月19日に設定登録されたものである。
第2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、以下の登録商標を引用し、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、また、同法第4条第1項第15号にも該当して登録されたものであるから、商標法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきである旨申し立て、証拠方法として甲第1号証ないし甲第33号証を提出した。
1 引用商標
(1)登録第4656069号商標(以下「引用商標1」という。)は、「DVD CREATOR」の欧文字を標準文字で表してなり、平成14年6月28日登録出願、第9類「コンピュータソフトウエア及びその他の電子応用機械器具その部品」を指定商品として、同15年3月20日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
(2)登録第4674402号商標ほか15件の商標は、別記記載のとおりである。
2 理由の要点
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、「WinDVD Creator」の文字を書してなり「、勝利、賞金、 第1着」等の意を有する英語の語句「Win」と、大容量光ディスクの普通名称である「DVD」と、「創造者、創始者、考案者」の意味を有する英語「Creator」とから構成されている。「Win」は通常の英語の用法では何らかの語句の前に修飾的に結合される語句ではなく、また「WinDVD」のような語句は存在しないので、「WinDVD」については、全体として一つの造語として意識するよりは、普通名称として誰もがその意味を知る「DVD」の先頭に「Win」を組み合わせたものと理解するのが自然である。
一方、本件商標の構成中、「DVD」の部分は、「DVD用の」や「DVDのための」といった意味を認識させ、それに続く「Creator」と観念的に結びつきやすく、「DVDの創作者」的な意味合いを認識させる。
そうすると、本件商標は、「Win」と「DVD Creator」とが組み合わされた商標であるとみるのが自然である。そして、本件商標の指定商品の性質を考慮すると、指定商品の機能を暗示させる「DVD Creator」の部分が、本件商標中最も識別力を発揮する部分であって、先頭に付された「Win」は、機能が優れていること等を暗示させる接頭句的な存在と認識される可能性が高い。
これに対し、引用商標1は、「DVD CREATOR」の英文字からなり、「DVDの創作者」的な意味合いを生じさせる。
このように、本件商標は、引用商標1を、称呼的にも、観念的にも、完全に含むものであり、外観的にも、完全に含む印象を与えているといってよい。
ここで、企業がある製品をシリーズ展開する場合に、すでに販売している製品名に機能等が優れていることを暗示させる短めの語句を先頭に付した製品名を付して新たな製品をシリーズ商品として売り出すことは、ソフトウェア業界においても頻繁に採用されている手法である。本件商標と、引用商標1とは、明らかにそのようなシリーズ製品であるかのような印象を与える関係にある。
さらに、引用商標1の実際の使用態様である「DVD Creator」を付した製品は、2002年11月の時点において、すでにDVD制作の業務用システムとして、世界中で数多くのDVDタイトルを制作するために著名なスタジオやポストプロダクション、企業のマーケティング部門で使用され周知となっていたものである。
引用商標1の周知性を考慮し、本件商標と引用商標1とを取引の実情を勘案しながら総合的に比較すると、本件商標と引用商標1とは明らかに同一あるいは類似の商品に付されていた場合に出所の混同を生ずる関係にある商標である。
また、本件商標の指定商品と、引用商標1の指定商品とは、生産部門、販売部門、用途、需要者の範囲において重複するものであるから、同一あるいは類似の商標が双方の商品に付されて取引きされれば、出所の混同を招く関係にあり、互いに類似する商品である。
(2)商標法第4条第1項第15号について
申立人は、デジタルメディア制作用ソフトウェアの分野では著名な企業であり、業務用からパーソナルコンピュータ向けまで、様々な製品を提供している。申立人は、デジタルメディアの名称と「CREATOR」とを組み合わせた商標を数多く採択し、登録を取得し、使用してきている。また、「DVD」と「〜者」の意味を持つ英語の語句とを組み合わせた商標や、「DVD」の前にシンプルな英単語を結合させた商標について、複数の登録を取得し、使用してきている。特に、申立人が提供する「CREATOR」シリーズの製品の売上実績は膨大なものである。
したがって、「DVD」と「Creator」との組み合わせの冒頭に「Win」を結合させた本件商標がその指定商品に使用されると申立人が提供するシリーズ製品の一つであると誤認される可能性が非常に高い。
3 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号若しくは同第15号に該当する商標であるから、その登録は取り消されるべきである。
第3 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、前記のとおりの構成よりなるところ、「WinDVD」と「Creator」の間に半角程度の間隔を有する構成上、視覚的に「WinDVD」と「Creator」に分離して認識されるものであり、その構成文字全体に相応して生ずる「ウィンディブイディクリエイター」の称呼が冗長であり、さらに両文字が観念上一体不可分のものと把握しなければならない特段の事由もあるとはいえないことからすれば、簡易迅速を尊ぶ取引にあっては、後半部分を省略して前半部分の「WinDVD」の文字に相応して生ずる「ウィンディブイディ」の称呼を以て取引に資される場合も少なくないといわなければならない。
そうとすると、本件商標よりは、該構成文字全体に相応して、「ウィンディブイディクリエイター」の一連の称呼及び「WinDVD」の文字に相応して「ウィンディブイディ」の称呼を生じ、特定の観念を有しない造語よりなるものとみるのが相当である。
他方、引用商標1は、「DVD CREATOR」の文字よりなるから、構成文字に相応して「ディブイディクリエーター」の称呼を生じ、特定の観念を有しないものといえる。
そうとすれば、本件商標より生ずる「ウィンディブイディクリエーター」及び「ウィンディブイディ」の称呼と引用商標1から生ずる「ディブイディ」の称呼とは、その構成音数において明らかな差異を有し、それぞれ称呼するときには語感・語調を異にするものであるから、称呼上十分区別し得るものである。また、両者は、前記のとおり外観においても明らかな差異があり、かつ、共に特定の観念を有しない造語よりなるものであるから、観念において比較できないものである。
したがって、本件商標と引用商標1とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
2 商標法第4条第1項第15号について
申立人は、本件商標は、申立人が提供する「CREATOR」シリーズの商品の一つであると誤認される可能性が非常に高いから、商標法第4条第1項第15号に該当する旨主張しているので、この点について検討する。
申立人の提出した甲第16号証ないし甲第20号証によれば、申立人が商品「CD用ライテイングソフトウエア」について使用する「Easy CD Creator」(引用商標5)は、コンピュータソフトウエアの業界において広く知られていることが認められる。しかしながら、本件商標と引用商標5は、それぞれ前記のとおりの構成文字よりなるから、十分に区別し得る別異の商標というべきものである。
また、申立人の提出した甲各号証を総合しても、引用商標5以外の引用商標1ないし10が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、コンピュータソフトウエアの業界において広く知られているとは認め難いばかりでなく、その構成中に「creator」又は「クリエーター」の文字を有することを以て、商品「コンピュータソフトウエア」において、申立人が提供する「CREATOR」シリーズ製品として、コンピュータソフトウエアの業界において広く知られるに至っていたものとも認められない。
さらに、「DVD」と他の語句とを組み合わせた引用商標11ないし引用商標17について、申立人が、自己の業務に係る商品に使用しているとしても、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る製品として、コンピュータソフトウエアの業界において広く知られるに至っていたものとも認められない。
そうとすると、本件商標は、これを商標権者が、その指定商品に使用した場合に、これに接する取引者・需要者をして、引用商標1ないし引用商標17を連想又は想起させ、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生じさせるおそれがないものといわなければならない。
なお、申立人は、本件登録異議申立書において、本件商標は商標法第4条第1項第10号についても該当する旨主張するも、本件異議申立書の手続補正書において、何らの具体的理由を挙げておらず、かつ、本件商標と各引用商標が非類似の商標であること前記判断のとおりであるから、申立人の商標法第4条第1項第10号についての主張は採用できない。
3 まとめ
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別記
引用商標2ないし引用商標17
(2)登録第4674402号商標(以下「引用商標2」という。)は、「EASY DVD CREATOR」の欧文字を標準文字で表してなり、登録出願日、指定商品、設定登録日は商標登録原簿に記載のとおりである。
(3)登録第4784421号商標(以下「引用商標3」という。)は、「EASY CD & DVD CREATOR」の欧文字を標準文字で表してなり、登録出願日、指定商品、設定登録日は商標登録原簿に記載のとおりである。
(4)登録第5002666号商標(以下「引用商標4」という。)は、「DVD―AUDIO CREATOR」の欧文字を書してなり、登録出願日
、指定商品、設定登録日は商標登録原簿に記載のとおりである。
(5)登録第4591555号商標(以下「引用商標5」という。)は、「Easy CD creator」の欧文字を書してなり、登録出願日、指定商品、設定登録日は商標登録原簿に記載のとおりである。
(6)登録第4758163号商標(以下「引用商標6」という。)は、「ROXIO EASY MEDIA CREATOR」の欧文字を標準文字で表してなり、登録出願日、指定商品、設定登録日は商標登録原簿に記載のとおりである。
(7)登録第4785812号商標(以下「引用商標7」という。)は、「Easy デジカメクリエーター」の文字を標準文字で表してなり、登録出願日、指定商品、設定登録日は商標登録原簿に記載のとおりである。
(8)登録第4863220号商標(以下「引用商標8」という。)は、「Easy ビデオクリエーター」の文字を標準文字で表してなり、登録出願日、指定商品、設定登録日は商標登録原簿に記載のとおりである。
(9)登録第4887347号商標(以下「引用商標9」という。)は、「Easy 着メロ クリエーター」の文字を標準文字で表してなり、登録出願日、指定商品、設定登録日は商標登録原簿に記載のとおりである。
(10)登録第4727851号商標(以下「引用商標10」という。)は、「CREATOR CLASSIC」の欧文字を標準文字で表してなり、登録出願日、指定商品、設定登録日は商標登録原簿に記載のとおりである。
(11)登録第4450310号商標(以下「引用商標11」という。)は、「DVD Presenter」の欧文字を標準文字で表してなり、登録出願日、指定商品、設定登録日は商標登録原簿に記載のとおりである。
(12)登録第4689207号商標(以下「引用商標12」という。)は、「DVD BUILDER」の欧文字を標準文字で表してなり、登録出願日、指定商品、設定登録日は商標登録原簿に記載のとおりである。
(13)登録第4772134号商標(以下「引用商標13」という。)は、「DVD PRODUCER」の欧文字を標準文字で表してなり、登録出願日、指定商品、設定登録日は商標登録原簿に記載のとおりである。
(14)登録第4789512号商標(以下「引用商標14」という。)は、「DVD PRESENTER」の欧文字を標準文字で表してなり、登録出願日、指定商品、設定登録日は商標登録原簿に記載のとおりである。
(15)登録第4774224号商標(以下「引用商標15」という。)は、「SOFTDVD」の欧文字を標準文字で表してなり、登録出願日、指定商品、設定登録日は商標登録原簿に記載のとおりである。
(16)登録第4790472号商標(以下「引用商標16」という。)は、「OPENDVD」の欧文字を標準文字で表してなり、登録出願日、指定商品、設定登録日は商標登録原簿に記載のとおりである。
(17)登録第4554045号商標(以下「引用商標17」という。)は、「MYDVD」の欧文字を標準文字で表してなり、登録出願日、指定商品、設定登録日は商標登録原簿に記載のとおりである。
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