結論テキスト
本願商標は、登録すべきものとする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 不服2008−101(T2008−101/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本願商標は、「十六島紫菜」の文字を標準文字で表示してなり、第29類「島根県出雲市十六島地区産ののりを用いたのりの佃煮,島根県出雲市十六島地区産の干しのり,島根県出雲市十六島地区産ののりを主に含む干した海草類,島根県出雲市十六島地区産ののりを用いたお茶漬けのり,島根県出雲市十六島地区産ののりを用いたふりかけ」及び第31類「島根県出雲市十六島地区産ののり,島根県出雲市十六島地区産ののりを主に含む海草類 」を指定商品として、平成18年4月11日に地域団体商標として登録出願されたものである。
その後、指定商品については、同19年4月6日付け手続補正書により、第29類「島根県出雲市十六島地区産の干しのり」及び第31類「島根県出雲市十六島地区産ののり」に補正されたものである。
原査定は、「本願商標は、『十六島紫菜』の文字を標準文字で書してなるところ、地域団体商標は、その商標が使用された結果、出願人又はその構成員の業務に係る商品を表示するものとして需要者に広く認識されていることを要件としている。しかしながら、出願人から提出の資料を精査するとともに職権による調査を行うも、本願商標は、それが補正後の指定商品に使用された結果隣接都道府県に及ぶ程度の需要者に認識されているものとは認めることができない。なお、出願人は、意見書において、平成18年11月から12月の2ヶ月間の販売実績等の表を表示し「この表には『十六島紫菜』『十六島海苔』『十六島のり』の区別がないこと及びのりは一次産品であるため流通末端の数が正確には把握しにくいものではあるが、相当数の流通が確認できること、また、出願人のホームページ情報等において本願商標を使用した商品の広告を行っている」旨述べるとともに、JFしまねのホームページ、その他の資料を提出している。それら資料からは、島根県出雲市十六島地区が『のり』の産地であることは認められるが、その商品『のり』について本願商標『十六島紫菜』以外にも『十六島海苔』『十六島のり』等複数使用していることが認められること、また、本願商標を使用した商品の具体的な販売地域・販売量等も明らかでないため、本願商標が出願人によって指定商品に使用された結果周知になったものとの判断ができない。更に、ホームページ情報における広告は、飲食物を提供する『十六島紫菜が食べられるお店』を紹介するものであって、本願商標が使用された商品の広告・宣伝を行っているものとみることはできない。そのため、本願商標が補正後の指定商品に使用された結果、出願人又はその構成員の業務に係る商品を表示するものとして需要者に広く認識されているものとは認めることはできない。したがって、本願商標は、商標法第7条の2第1項の要件を具備しない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
以下、「添付書類第○○号」を単に「添○○」という。
記
(1)「海苔の歴史」(添201)8頁、9頁、19頁の表、20頁の説明
のりを表現する表記として、「紫菜」は、分かっているだけでも一千数百年用いられ、現代の「海苔」はせいぜい百年余りの歴史しかないことが明瞭に記載されている。
また、「紫菜」の文字は、明治以降も博覧会、官庁統計では必ず使われた、とあり、19頁の表では、昭和にも使用されている事実が確認できる。これと同様の指摘が、「海苔」(法政大学出版局(2003年発行)27頁〜30頁(添202)にされている。
さらに、「紫菜」の文字は、古くからのりを表す語として用いられているとして、「出雲風土記」、「わが国の水産業 のり」、「食材魚貝大百科4」にも記載されている(添203ないし添205)。
(2)のりを表す言葉として「紫菜」が各種辞書に掲載されている。(添206ないし添209)。
(3)「十六島紫菜」が商標法第3条第1項第3号に該当するとする拒絶理由通知書において、十六島紫菜は十六島海苔を表現する古語として認識させるものである、と認定されている(添210、添211)。
また、商標「紫菜」、指定商品32類(旧々々々類における海草類)とする出願が、同法第3条第1項により拒絶査定となっている(添212)。
さらに、のり等を製造販売する会社等による商標出願・登録の例として、「磯紫菜」が出願されていること、また、「神仙紫菜」、「紫菜葛篭」、「壇紫菜」、「紫菜湯」及び「香紫菜」が登録されているところから、「紫菜」が海苔を表現する語であることを意図して出願・登録されたものと推認できる(添215ないし添220)。
(4)「紫菜」がのり等を表現するものとして使用されている事実として、以下のアないしエがある。
ア 磯のりを表すものとして「磯紫菜」の文字が使用され(添215、添216)、また、のり佃煮に対して「岩紫菜にんにく」「岩紫菜」及び「岩紫菜わさび」の文字が使用されている(添221)。
イ 岩のりが「岩紫菜」と表記されたレシピが紹介され(添222、添223)、磯のりが「磯紫菜」と表記された料理の紹介がされている(添224、添225)。
ウ 新聞にも、のりが「紫菜」と表記された記事が掲載されている(添226、添227、添228)。
エ 神社名としても、紫菜島の社が存在している(添202の33頁)。
(5)各方面から、「のり」を「紫菜」と表現する、もしくは、「紫菜」が「のり」等を表す普通名称または慣用名称であることの証明書を提出する(添234ないし添251)。
平成17年法律第56号により改正された商標法は、地域の産品等についての事業者の信用の維持を図り、地域ブランドの保護による我が国の産業競争力の強化と地域経済の活性化を目的として、地域の名称及び商品の普通名称のみからなる商標等について、地域団体商標の商標登録を受けることを可能とする地域団体商標制度を導入した。
そして、新たに商標法第7条の2を規定し、以下の、(1)出願された商標が地域の名称及び商品(役務)の名称等からなる文字商標であること(以下「対象とする商標の登録要件」という。)、(2)出願された商標が周知となっていること(以下「周知性の要件」という。)等の地域団体商標の登録要件を定めている。
(1)対象とする商標の登録要件
出願された商標の構成は、地域の名称と商品(役務)の普通名称からなる商標、地域の名称と商品(役務)の慣用名称からなる商標、地域の名称及び商品(役務)の普通名称又は慣用名称に「商品の産地又は役務の提供の場所を表示する際に付される文字として慣用されている文字」が付加された商標のみと規定されている。
(2) 周知性の要件
本願商標が、周知性を獲得しているか否かの判断に当たっては、実際に使用された商標及び商品(役務)、使用開始時期、使用期間、使用地域、当該商品の生産又は販売の数量、広告宣伝の方法及び回数及び内容等を総合勘案して、本願商標が使用をされた結果、自己又はその構成員の業務に係る商品又は役務を表示するものとして一定範囲の需要者、例えば、隣接都道府県程度に及ぶ程度の需要者に認識されていることを必要とする。
以下、この地域団体商標の登録要件に沿って検討する。
(1) 請求人の提出に係る添付書類からは、以下の事実が認められる。
ア 「海苔の歴史」(海路書院発行)(添201)の「4 紫菜−むらさきのり」の項に、「紫菜−ムラサキノリは、わが国では最古のノリを表す文字と言葉として使われた。」の記載があり、「11海苔(ノリ)の文字と呼称の区分」の項には、表1「海苔(ノリ)の文字と呼称の時代別変遷表」と共に、「紫菜(ムラサキノリ)が、わかっているだけでも一千数百年、甘海苔が(アマノリ)が一千余年使われている。・・・海苔、乾海苔に至ってはせいぜい百年余りの歴史しかない。」の記載がある。
そして表1の、「明治〜大正昭和1868〜」欄の、「呼称(通称)」として、「しさい(むらさきのり)」の記載があり、「文字」として、「紫菜」の記載がある。
イ 冨山房発行の「大言海」(添206)の「のり『海苔』」の項に、「紫菜」の記載があり、また、小学館発行の「日本国語大辞典」(添207)の「しさい『紫菜』」の項に、「海藻『あまのり(甘海苔)』の漢名。」の記載がある。
大修館書店発行の「大漢語林」(添208)【紫】の項に、「難訓」として「紫菜のり」の記載があり、また、東京堂出版発行の「衣食住語源辞典」(添209)の「のり 海苔」の項に、「・・古代の記録にあるものでは、紫菜(あさくさのり)、・・」の記載がある。
ウ 添215の「ヤマコ 選りすぐり商品【ケンコーコム】」を見出しとするウェブサイトには、「2.ヤマコ磯紫菜(バラ干しのり)50g」及び「3.ヤマコ磯紫菜(バラ干しのり)10g」の項目には、「発売元:ヤマコ」「・・・磯の香りをそのままに、海苔の香りと風味が楽しめるのり(乾物)です。海からノリの原藻をそのまま摘み取り、風味を損なわないように、丁寧に乾燥し焙煎しました。」の記載がある。
エ 添221の「グルメリア神戸」のウェブサイトには、「島根編 十六島紫菜佃煮」の文字と共に、「岩紫菜にんにく」「岩紫菜」「岩紫菜わさび」(いずれも「紫菜」の右横には、「のり」の振り仮名が付されている。)のラベルの付された商品画像が掲載されている(これらの商品の外袋は、添263ないし添265を参照。)。
添222の「海苔レシピたっぷり磯紫菜と温々きのこサラダ」を見出しとするウェブサイトには、「海苔 レシピ ★たっぷり磯紫菜と温々きのこサラダ 」の項目に、「◎材 料(2人分) 」欄に、「磯紫菜」の記載がある。
添223の「海苔レシピ磯紫菜のだし巻き卵〜たっぷりきのこあんかけ〜」を見出しとするウェブサイトには、「海苔 レシピ ★磯紫菜のだし巻き卵〜たっぷりきのこあんかけ〜」の項目に、「◎材 料(2人分) 」欄に、「磯紫菜」の記載がある。
添224の「株式会社久世」のウェブサイトには、「8837 春の香茶碗蒸し3種 」の項目に、「<メニューポイント>茶碗蒸しに桜・磯紫菜・グリーンピースの銀あんをかけ、・・・」の記載がある。
添225の「株式会社久世 業務用食材」を見出しとするウェブサイトには、「8489 揚げサバ磯鍋」の項目に、「<メニューポイント>一度油で揚げ旨みを封じ込めたサバに、磯紫菜が絡んだ風味抜群のお鍋です。・・・」の記載がある。
添267ないし添268は、共に、原材料名を「干しのり」、商品名を「磯紫菜/いそしさい」と記載された干しのり収納袋の現物である。
オ 島根県在の玉造温泉旅館協同組合、社団法人島根県調理師会、島根県日本調理技能士会及び島根庖友会、東京都在の株式会社市場ネットワーク、鳥取県在の米子日吉津商工会、日南町商工会、日野町商工会、南部町商工会及び江府町商工会、広島県在の備北商工会等が請求人宛に、「紫菜」が、生のり、干しのり(乾燥のり)についての普通名称または慣用されている名称である旨を証明している(添234ないし添251、添261及び添262)。
(2)上記(1)の事実より、「紫菜」の文字は、「のり」を意味する語として、古くから使用されている旨書籍、辞書等に掲載されていることが認められる。
また、「干しのり」について「磯紫菜」の文字を使用して販売され、「磯紫菜」を材料とする料理の紹介がされていること、さらに、「岩のり」を原材料とする佃煮についても、「岩紫菜」と表示し販売されていることが認められる。
そうしてみると、本願商標の構成中「紫菜」の文字は、上記(1)オの島根県在の玉造温泉旅館協同組合、社団法人島根県調理師会、島根県日本調理技能士会及び島根庖友会、東京都在の株式会社市場ネットワーク、鳥取県在及び広島県在の商工会等による証明書をも併せ考えると、商品「のり」を表示するものとして慣用されている名称に該当すると判断するのが相当である。
(1)請求人が当審において提出した添1ないし添41(原審において提出されたものと同一)、添95、添97及び添98(原審において提出された意見書に画像添付されたものと同一)、添101ないし添140及び請求人の主張によれば、以下の事実が認められる。
ア 「十六島紫菜浜帳」による仲買人への販売実績(添131−1ないし添131−5)
添131−1ないし添131−5は、JFしまね平田支所の「十六島紫菜浜帳」と題された、いわゆる、競り明細であって、「ハギ」と「ス干」を含む「十六島紫菜」の集荷明細と仲買への販売明細であり、平成19年末から同20年初頭シーズンに、5回の競りが開催された。
その際の集荷明細等の数量は、以下の(ア)ないし(オ)のとおりである。
(ア)平成19年12月13日の「十六島紫菜浜帳」と題された集荷明細には、「ハギ」、「ス干」を含む合計数量として「163,524g」、税込金額として「7,579,419円」であることが記載されている。
そして、この合計数量のうち、生産者からワタエーへの販売実績数量は、約29kgであることが認められる(添131−1)。
(イ)平成19年12月25日の「十六島紫菜浜帳」と題された集荷明細には、「ハギ」、「ス干」を含む合計数量として「212,238g」、税込金額として「7,371,189円」が記載されている。
そして、この合計数量のうち、生産者からワタエーへの販売実績数量は、約39kgであることが認められる(添131−2)。
(ウ)平成20年1月10日の「十六島紫菜浜帳」と題された集荷明細には、「ハギ」、「ス干」を含む合計数量として「355,671g」及び合計税込金額として「9,565,891円」が記載されている。
そして、この合計数量のうち、生産者からワタエーへの販売実績数量は、約102kgであることが認められる(添131−3)。
(エ)平成20年1月22日の「十六島紫菜浜帳」と題された集荷明細には、「ハギ」、「ス干」を含む合計数量として「140,681g」及び合計税込金額として「2,559,968円」が記載されている。
そして、この合計数量のうち、生産者からワタエーへの販売実績数量は、約56kgであることが認められる(添131−4)。
(オ)平成20年2月15日の「十六島紫菜浜帳」と題された集荷明細には、「ハギ」、「ス干」を含む合計数量として「48,951g」及び合計税込金額として「654,487円」が記載されている。
そして、この合計数量のうち、生産者からワタエーへの販売実績数量は、約25kgであることが認められる(添131−5)。
イ ワタエーから各事業者への納品書(控)(添135−1ないし添135−5)
添135−1ないし添135−5は、納品書(控)であって、いずれも、「ワタエー」から島根県内の出雲市、雲南市等及び広島県内の庄原市等の各事業者に 、「十六島紫菜」を平成19年1月及び、同年12月に納品していたことが認められる。
ウ 販売実績証明書(添136)
添136は、平成20年2月28日付け社団法人島根県物産協会による「十六島紫菜 販売実績」(単位:千円)と題されている証明書であるところ、「物産観光館(島根県松江市殿町)」と「にほんばし島根館(東京都中央区日本橋室町)」における平成18年の「生のり」と「乾燥のり」の販売合計は、「2,972,000円」と認められる。
同じく、平成19年の「生のり」と「乾燥のり」の販売合計は、「3,496,000円」と認められる。
エ ワタエーによる「十六島紫菜」の使用(添4ないし添6、添111ないし添115)
添4は、木箱の蓋のラベルに「献上紫菜」、「十六島紫菜/うっぷるいのり」「かんそうのり」と記載したものと、「献上紫菜」、「十六島紫菜/うっぷるいのり」「要冷蔵」と記載したものとの2葉の写真である。
添5は、添4の2葉の写真のうち、ラベルに「要冷蔵」の記載の商品が木箱に納められた写真であり、また、添6は、添4の2葉の写真のうち、「かんそうのり」の記載の商品が木箱に納められた写真である。いずれの写真も、2006年10月13日付け撮影のものである。
添115は、添4の「要冷蔵」の記載があるラベルの現物である。
添111ないし添114は、ラベルであり、そこには、名称「海藻加工品」、品名「十六島紫菜」、原材料「十六島産岩紫菜」、賞味期限「08.9.23」及び「08.7.25」、保存方法「常温で保存して下さい」、製造者「(有)ワタエー加工場」の記載がされている。
オ 「にほんばし島根館」における「十六島紫菜」の販売(添110−1ないし添110−3)
添110−1は、「にほんばし島根館」の看板が掲げられた店の入り口の写真であり、その入り口には「JFしまね」と「十六島紫菜」の書かれた幟が立てかけられている。
添110−2及び添110−3は、「にほんばし島根館」の店内の様子で、店の入り口に立てかけられたものと同じ幟があり、その横にワタエーのコーナーが設けられ、各種商品が陳列されている。
カ 周知性に関する証明 (添116ないし添129)
(ア)添116ないし添129は、商工会等から漁業協同組合JFしまね組合長宛に提出された「十六島紫菜の周知性について」を表題とする証明書であって、証明者が、「広島県在の東城町商工会 及び備北商工会、鳥取県在の米子商工会議所、南部町商工会、伯耆町商工会、米子日吉津商工会、日南町商工会、日野町商工会及び 江府町商工会、島根県在の平田商工会議所、出雲観光協会、鳥取県漁業協同組合境港支所、社団法人島根県物産協会、東京都在のにほんばし島根館」であり、証明の内容に関しては、すべて「十六島紫菜が島根県出雲市十六島地区ののりおよび干しのりに使用され、JFしまねの管理するのりおよび干しのりを表示するものとして、それぞれの管轄区域内等の需要者に広く認識されていることを証明する。」旨の記載がされている。
(イ)添132は、平成20年2月28日付けの「十六島紫菜 仲買人一同」による「十六島紫菜」の周知性についての証明書であり、そこには、「十六島紫菜は、島根県出雲市十六島地区産ののりまたは干しのりであり、25年前からは一元管理するため漁協(現JFしまね平田支所)が同地区の生産者からこの十六島紫菜を全量集荷するようになり、競りは支所内で行われている。また、十六島紫菜を競ることができる仲買人は旧来より固定され、他の仲買人が自由に競りに参加できるものではない。さらに、十六島紫菜は、他ののりと比較しても香気が高く滋味にあふれ、特に正月料理(雑煮)に使うものとして、島根県東部、鳥取県西部、広島県北部において需要がある。十六島紫菜は、JFしまねの流通させる十六島地区産ののりまたは干しのりを表示するものとして、広く認識するに至っている。」旨を内容とするものである。そして、次ページには、「十六島紫菜 仲買人一同」として、ワタエーを含む9名の仲買人の記名と捺印がされている。
キ 新聞(添134、添137)
添134は、2008年1月8日発行の新聞記事(請求人は、発行新聞が山陰中央新報と主張している。)であり、「地域ブランドを追う」「十六島紫/うっぷるいのり」(出雲市十六島地区)の見出しの下、「島根県は最高級と言われる岩ノリをブランド化重点産品に指定。・・年間の水揚げ量は最大でも1トン程度。」の記載と、「JFしまね」「十六島紫菜」の旗が掲げられたJFしまね平田支所における十六島紫菜の競りの様子を撮った写真とその説明「仲買人に競り落とされた十六島紫菜の量を量る生産者=出雲市十六島町、JFしまね平田支所」との記載がある。
添137は、日刊新聞社発行の2008年3月号の「メトロガイド」で、2頁下段広告欄として、「島根県・出雲が誇る「食の文化財」十六島紫菜うっぷるいのり」の記載とその左横に、【十六島紫菜フェア開催】2/23(土)〜25(月)、十六島紫菜(生のり)・・(10g)500円、十六島紫菜(乾燥のり)・・(10g)600円、販売 ワタエー(島根県出雲市)、協賛「JFしまね」と、にほんばし島根館の地図が記載されている。
ク リーフレット(添11)
添11は、「十六島紫菜」のリーフレットで、「特選 しまね県産品ブランド化重点産品」「出雲が誇る『食の文化財』十六島紫菜うっぷるいのり」の記載と、「大海が育んだ上質の根付く土地」の項に、「島根県出雲市十六島地区。・・・この唯一無二の生産地において採取される年間生産量は1トン未満と極めて少量。・・・十二月から二月の短い期間にしか生産できないためだ。」の記載、さらに、十六島町の地図とその下段に、「お問い合わせは・・・漁業協同組合JFしまね平田支所」の記載がある。
ケ JFしまねのホームページ(添95)
添95は、JFしまねのホームページ(2007/03/29打ち出し)であり、「しまね自慢の一品」の項に、「十六島紫菜/うっぷるいのり」の記載があり、「しまねの魚 さばき方・調理レシピ」の項には、「十六島紫菜の取扱について 下ごしらえ」、「十六島紫菜の調理レシピ」、「十六島紫菜の保存方法」の見出しの下に、「十六島紫菜」に関する説明がされている。
さらに、「十六島紫菜うっぷるいのりが食べられるお店」の見出しの下に、松江市及び出雲市の店の紹介がされている。
(2)まとめ
ア 前記(1)を総合してみると、以下の事実が認められる。
(ア) 採取地域・量・競りについて
本件のりは、12月から2月の短期間に島根県十六島地区で採取されるもので、その年間生産量は1トン未満と極めて少量であり、また、通常ののりと異なり、品質に優れ高価で希少価値があることが認められる。
25年前からは、本件のりを一元管理するために漁協(現JFしまね平田支所)が、生産者から全量集荷するようになり、競りが平田支所内で行われていることが認められる。
しかも、仲買人は固定され、他の仲買人が自由に競りに参加することができないこと、そして、仲買人であるワタエーの代表取締役は、JFしまねの組合員(添98)であることが認められる。
(イ)競りにおける販売数量及び販売金額
競りは、「JFしまね」と「十六島紫菜」の文字が書かれた幟や垂れ幕のかかった平田支所内で行われ、その際の、JFしまねによる、平成19年末から同20年初頭シーズンの5回の競りに関する「十六島紫菜浜帳」の取引書類からは、5回の競りでの「十六島紫菜」の全集荷数量が、約0.9トンであり、その合計税込金額が、約2,770万円であることが認められる。
そうとすると、上記全集荷数量については、リーフレット(添11)における「十六島紫菜の年間生産量が1トン未満」である旨の記載と一致するものである。
さらに、その全集荷数量のうち、ワタエーへの販売数量は、約253kgであって、全集荷数量の約3割を占めていることが認められる。
(ウ)販売地域・販売実績
ワタエーは、上記(イ)のとおり、卸の段階における「十六島紫菜」の全集荷数量の約3割を占める大口の仲買人であり、かつ、販売者でもあるところ、同人が、島根県、広島県、鳥取県の事業所に、「干しのり」及び「のり」につき「十六島紫菜」として販売し、また、これを「にほんばし島根館」等のアンテナショップにおいても販売していることが認められる。
島根県在の物産観光館及び東京都在の「にほんばし島根館」における「十六島紫菜」の販売実績の合計は、平成18年において約300万円、同19年においては約350万円であることが認められる。
(エ)広告・宣伝
「十六島紫菜」が「しまね県産品ブランド化重点産品」として、リーフレットで宣伝・広告され、発行部数100万部、東京メトロ全駅において配布しているメトロガイド(添138)にも広告されていること、2008年1月8日付の新聞に、競りの風景写真とともに、「十六島紫菜」が紹介されていることが認められる。
加えて、JFしまねのホームページでは、「十六島紫菜」に関する取扱、下ごしらえ、調理レシピ等を紹介し、さらには、「十六島紫菜うっぷるいのりが食べられるお店」の紹介記事を通して、「十六島紫菜」の特徴、品質等をホームページの閲覧者に説明し、理解させるものであるから、商品の販売促進を図る目的をもって宣伝・広告されたとみるのが相当である。
(オ)「十六島紫菜」以外の使用
商品「のり」について「十六島紫菜」以外に、「十六島海苔」「十六島のり」と表記し、使用されていることが散見されるが、少なくとも、「のり」を集荷・競り・出荷等する際には、その表記を「十六島紫菜」に統一にすることとした内部資料(添130)があり、実際に、競りが「十六島紫菜」の文字が書かれた幟や垂れ幕の下で行われ、その際の販売明細である浜帳にも、「十六島紫菜」が統一して使用されていることが認められる。
さらに、上記(エ)のとおり、「十六島紫菜」が「しまね県産品ブランド化重点産品」として、リーフレット、新聞等において宣伝・広告されており、このような状況の中において、構成員自らによる販売の際に、「十六島紫菜」が使用されて相当数流通していることは、上記(ウ)からも窺えるところである。
イ したがって、本願商標である「十六島紫菜」は、各方面からの周知性に関する証明 (添116ないし添129、添132)をも併せ考慮すれば、その指定商品に使用された結果、出願人又はその構成員の業務に係る商品を表示するものとして、隣接都道府県に及ぶ程度の需要者に認識されていると判断するのが相当である。
なお、上記(オ)のとおり、商品「のり」について「十六島紫菜」以外の文字により表記されている場合があるとしても、上記判断を左右するとまでには至っていないものとみるのが相当である。
職権により調査するも、JFしまね又はその構成員以外の者により、「十六島紫菜」の文字よりなる商標が、「干しのり」及び「のり」について使用されていることを発見することができなかった。
以上のとおり、本願商標である「十六島紫菜」は、地域の名称及び商品の名称等からなる文字商標であり、また、出願人又はその構成員が、本願商標をその指定商品に継続して使用した結果、自己又はその構成員の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されるに至っていると認めることができる。
したがって、本願商標が商標法第7条の2第1項の要件を具備しないとした原査定は、妥当でなく、その理由をもって本願を拒絶すべきものとすることはできない。
その他、政令で定める期間内に本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。