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Trademark Appeal Case

容器形状の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2007−24321(T2007−24321/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成18年3月15日に登録出願、その後、原審における同19年2月23日付け手続補正書において、第3類「香水,オードトワレ,オーデコロン,身体防臭用化粧品,精油,せっけん類,顔用及び身体用のクリーム・乳液・化粧水,ひげそり用化粧品,ひげそり用せっけん類,ひげそり用ジェル,ひげそり用ムース,アフターシェーブローション,アフターシェーブバーム,ひげそり用乳液,浴用泡状化粧品,シャワージェル」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶理由

原査定は、「本願商標は、指定商品との関係よりすれば、多少デザイン化が施されてはいるが特異性があるものとは認められず、通常採用し得る形状の範囲を超えているとは認識し得ないので、全体としてその商品の形状(収納容器)の一形態を表したものと認識させる立体的形状のみよりなるものといわざるを得ないから、これをその指定商品について使用しても、単に商品の包装(収納容器)の形状を普通に用いられる方法をもって表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

(1)立体商標は、商品若しくは商品の包装又は役務の提供の用に供する物(以下「商品等」という。)の形状も含むものであるところ、商品等の形状は、本来それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものであり、本来的(第一義的)には商品・役務の出所を表示し、自他商品・自他役務(以下、「自他商品等」という。)を識別する標識として採択されるものではない。

そして、商品等の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは前記したように商品等の機能、又は美感をより発揮させるために施されたものであって、本来的には、自他商品等を識別するための標識として採択されるのではなく、全体としてみた場合、商品等の機能、美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には、これに接する取引者、需要者は当該商品等の形状を表示したものであると認識するに止まり、このような商品等の機能又は美感と関わる形状は、多少特異なものであっても、未だ商品等の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ないと解するのが相当である。

また、商品等の形状は、同種の商品等にあっては、その機能を果たすためには原則的に同様の形状にならざるを得ないものであるから、取引上何人もこれを使用する必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものであって、一私人に独占を認めるのは妥当でないというべきである。

そうとすれば、商品等の機能又は美感とは関係のない特異な形状である場合はともかくとして、商品等の形状と認識されるものからなる立体的形状をもって構成される商標については、使用をされた結果、当該形状に係る商標が単に出所を表示するのみならず、取引者、需要者間において当該形状をもって同種の商品等と明らかに識別されていると認識することができるに至っている場合を除き、商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。

(2)そこで、本願商標を以上のことに照らし検討するに、本願商標は、別掲のとおり、上部が白色の蓋部分、下部が、磨りガラス風の容器部分からなり、蓋部分の長方形の両長辺が最上部、端から下方に向けて円錐柱状に徐々に張り出し、丸みを帯びた形状の容器からなるものと容易に理解させるものである。

してみると、本願の指定商品との関係においては、例えば「香水,化粧水」等の液体状のものを収納する容器の一形態を表したと認められるものであるから、これをその指定商品に使用しても、取引者、需要者は、単に商品の収納容器と認識するにすぎないものと判断するのが相当である。

(3)請求人は、「本願商標は、『充分』デザイン化が施されており『特異性』があり、『通常』採用し得る範囲を超えているものである。」旨主張する。

しかしながら、本願の指定商品においては、商品や商品の包装の形状等の外観上の特徴が需要者の購買心理、選択意欲、消費行動等に重要な影響を与えるものといえるから、商品や商品の包装の形状において、特に、美感が強く追求されるのに対し、商品との機能、効果等の面から特定の形状にしなければならない必要性は比較的薄いといえる。

そうすると、上記、香水、化粧水等の商品における商品や商品の包装の形状は、市場の流行や需要者の用途、嗜好等に合わせ、美感を強く意識した各種の特徴的な変更、装飾等が施される実情にあるものと認められる。

その場合、立体的形状に施されたその種の変更、装飾等は、外観上同種の商品や商品の包装の形状と比較し特徴的なものと認められるとしても、それらは専ら需要者が商品を選択するに際して、外観上の美感、若しくは魅力的な形状という嗜好上の意味合いを与えているにすぎず、それは未だその商品や商品の包装の形状の範囲内のものと認識するに止まるものである。

したがって、上記の商品や商品の包装の形状における変更、装飾等は、自他商品の出所を表示する識別標識として機能しているものではなく、その立体商標の形状の全体を観察しても識別力を有するものとは認められない。

そして、本願商標は、前記認定のとおりの形状からなる、その指定商品の容器であることを容易に認識し得るものであり、その形状がデザインが施されているものであっても、それは商品や商品の包装の、主として美感をより発揮させるために施されたものというのが相当であり、商品や商品の包装の形状を普通に用いられる方法の範疇で表示する標章のみからなる商標というべきであるから、その形状に特徴をもたせたことをもって自他商品の識別力を有するものとは認められないことは、前記のとおりである。

(4)さらに、請求人は、当審において提出した甲第1号証ないし甲第57号証及び過去の登録例を示し、「仮に本願商標に自他商品識別力がないとしても、本願商標は本願出願人の製造販売する化粧品に永年(1995年から今日まで12年間)使用した結果、当該化粧品の容器の形状からなる立体商標として我国において周知であるから、本願商標は法3条2項に該当する。」と主張するとともに、過去の立体商標の登録例及び本願商標が外国で登録されていることを挙げて、本願商標は自他商品識別力を有するものであると述べている。

ところで、商品等の形状に係る立体商標が、商標法第3条第2項に該当するものとして登録を認められるのは、原則として使用に係る商標が出願に係る商標と同一の場合であって、かつ、使用に係る商品と出願に係る指定商品も同一のものに限られるものである。

そうすると、出願に係る商標が立体的形状のみからなるものであるのに対し、使用に係る商標が立体的形状と文字、図形等の平面標章より構成されている場合には、両商標の全体的構成は同一でないことから、出願に係る商標については、原則として使用により識別力を有するに至った商標と認めることができない。

また、使用に係る商品が出願に係る指定商品の一部である場合は、使用に係る商品に指定商品が限定されない限り、出願に係る商標については、使用により識別力を有するに至った商標と認めることはできないものである。

そこで検討するに、まず、請求人の提出に係る甲第14号証ないし甲第49号証をみると、本願の指定商品中の「オードトワレ」の包装容器の形状が明示されていることは認められるとしても、前記各号証による雑誌の記事には、本願商標は、「L’EAU D’ISSEEY POUR HOMME」の文字等とともに使用されていることが認められる。

そうすると、上記証拠における記事に表された立体的形状は、本願指定商品の一つである「オードトワレ」の包装容器の形状そのものを表したものであり、「L’EAU D’ISSEEY POUR HOMME」の文字によって、商品の出所が識別されているものとみるのが商取引の実際に照らして自然というべきである。

してみると、包装容器そのものに、「L’EAU D’ISSEEY POUR HOMME」の文字を表してなる、上記証拠における本願商標の使用とするものは、立体的形状と文字商標より構成されており、本願商標と使用に係る商標が同一のものとはいえず、また、これらの文字より立体的形状部分のみが需要者に強い印象、記憶を与えているとも認められない。さらに、請求人の主張する本願商標の使用に係る商品は、本願指定商品中の「オードトワレ」についてのみである。その他に、本願商標が、その指定商品に使用されて、取引者、需要者に広く知られるに至ったと認めるに足りる書証の提出もない。

したがって、請求人の提出に係る甲各号証によって本願商標それ自体が自他商品の識別標識として認識されたとするには十分とはいえないものであるから、本願商標が、その指定商品について使用され識別力を有するに至っているものと認定することはできないというべきであり、本願商標は、商標法第3条第2項に規程する要件を具備しているものということはできない。

なお、請求人の挙げた登録商標(甲第2号証ないし甲第13号証)は、立体的形状のみを構成要素とするものでなく、これと文字、図形等の標章の結合により構成されているものであること、又は、本願の指定商品とはその商品を異にするものであること等、本件と事案を異にするものである。そして、諸外国の商標の登録制度と我が国のそれとが同一のものと解釈しなければならない特段の事由が存するものとは認めることができず、諸外国の登録例をもって、本願商標が我が国において登録されなければならないとする根拠とはなり得ないから、これらの点に関する請求人の主張はいづれも採用することができない。

(5)以上のとおり、本願商標は、これをその補正後の指定商品に使用しても、取引者、需要者は、全体として商品の収納容器の形状を表示するにすぎないものと理解するに止まり、自他商品の識別標識として認識し得ないものと判断するのが相当である。

したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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