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Trademark Appeal Case

カイロの医療機器該当性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2007−301701(T2007−301701/J2)
審判種別取消
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4125498号商標の商標登録は取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4125498号商標(以下「本件商標」という。)は、「はる」の文字を横書きにしてなり、平成5年12月2日に登録出願、第10類「医療用機械器具」を指定商品として、同10年3月20日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張

請求人は、結論と同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第5号証を提出した。

(1)請求の理由

ア 取消事由

本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上、日本国内において商標権者、専用使用権者及び通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから商標法第50条第1項の規定により取消されるべきものである。

イ 取消原因

本件商標は、その指定商品について、下記のとおり使用されていない。

(ア)本件商標は、継続して3年以上日本国内において使用されていない。

(イ)商標権者、専用使用権者、通常使用権者のいずれによっても、本件商標が使用されていない。なお、甲第1号証から明らかなように本件商標について専用使用権者及び登録された通常使用権者は存在しない。

(ウ)本件商標は、その指定商品である「医療用機械器具」について使用されていない。

(エ)登録商標について使用されていない。

本件商標は、甲第2号証から明らかなように「はる」の平仮名の2文字を一定の間隔を置いて横書きしてなるものであるが、使用されていない商標はこの表記と物理的に同一のものだけでなく、書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生じる商標、外観において同視される図形からなる商標その他の本件商標と社会通念上同一と認められる商標についても使用した事実が存しない。

(オ)本件商標をその指定商品に使用していないことについて正当な理由があるとは認められない。

以上のとおり、本件商標は商標法第50条第1項に規定する取消しの要件を具備するから、その登録は取消されるべきである。

(2)弁駁

ア 被請求人は、本件商標を商品「貼付用磁気治療器(機能性カイロ)」に使用してきており、本件商標の登録は維持されるべきである旨を主張し、乙第号1証及び同第2号証を提出している。しかし、かかる被請求人の主張は失当であるから、以下のとおり反論する。

イ 被請求人のいう「本件商品はる(ジキホグス)」(以下「本件商品」という。)は、以下の理由から「医療用機械器具」とは認められない。

(ア)本件商品の「品名」について

本件商品の「品名」は「使いすてカイロ」とのみ表示されている。

「使いすてカイロ」は第11類に属する商品であるところ、本件商品に接する需要者、取引者は「品名」を見て、暖房目的の一般の使い捨てカイロと認識するのが自然である。

(イ)本件商品が、血流改善「肩ホットン」「腰ホットン」「ひざホットン」(以下「ホットンシリーズ」という。)などのカテゴリーに属するとの主張について

「ホットンシリーズ」は、乙第1号証のカタログの第8頁で被請求人が下線を引いているように「医療機器」である。

ここで「医療機器」とは、人若しくは動物の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること、又は人若しくは動物の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等であって、政令で定めるものをいい(薬事法第2条第4項)、許可を受けなければ業としてそれを製造販売できないものである(同法第12条)。

即ち、「ホットンシリーズ」は、そのパッケージ表面に「血流改善」と大きく記載されていることから明らかなように、「血流改善」という治療目的を客観的に明確にした商品であるが故に医療機器に該当し、製造販売の許可を受けているのであり、診断、治療、予防等の医療を目的としていない乙第1号証のそれ以外の商品とは用途が明確に区別されているのである。

よって、乙第1号証のカタログに接した需要者、取引者は、「ホットンシリーズ」については医療目的の商品と容易に理解し、それ以外の本件商品、「はる肩用」、「レディウォーマー」、「桐灰カイト/上からはるくつ下用」については通常の使い捨てカイロと認識するのが自然である。

請求人は、本件審判請求前に調査会社に本件商標の使用について調査を依頼したが、調査会社からの質問に対して、被請求人の本社が、「医療用機械器具としては「血流改善ホットン」しかない」と回答していることからして、被請求人の社内においても同様に認識されているものと推察する(甲第3号証)。

以上のことから、本件商品が「ホットンシリーズ」と同じカテゴリーに属するとの主張は失当である。

(ウ)「貼付用磁気治療器」に関する主張について

乙第1号証及び同第2号証のどこを見ても、本件商品に関して、被請求人の主張する「貼付用磁気治療器」の表示は一切見当たらない。

ちなみに、本件商品が「貼付用磁気治療器」に該当するのであれば、治療目的の医療機器として許可がなければ製造販売できないはずである。

しかし、前述したように本件商品は、診断、治療、予防等の医療を目的としていないから、許可を必要とせず製造販売されているのであり、それ故に「貼付用磁気治療器」として位置付けられることはない。

「血流改善」や「磁気治療」といった医療目的の商品であることを一切表示していないのであるから、たとえ本件商品の裏面の原材料名に「磁性粉末」が含まれ、それ対する警告文等が掲載されているからといって、需要者や取引者が本件商品を「貼付用磁気治療器」等の医療用機械器具と認識することはない。

(エ)「機能性カイロ」に関する主張について

被請求人は、「貼付用磁気治療器(機能性カイロ)」のように、「機能性カイロ」が「貼付用磁気治療器」を意味するような主張をしているが、証拠上明示されていない。乙第2号証をみても、本件商品には「機能性カイロ」の表記はなく、乙第1号証第8頁の最上部に一箇所記載されているのみである。そしてこの「機能性カイロ」なるものがどのようなものであり、また、カタログに掲載された各種カイロのどれを指すかは不明である。

この「機能性カイロ」の語を「Google」で検索すると僅かに9件ヒットするのみであり、いずれも被請求人の「ホットンシリーズ」を紹介するもののみである(甲第4号証)。その一例として、被請求人のウェブサイトを開くと、機能性カイロとして「首ホットン」のみが掲載されている(甲第4号証の1)

このことから、「機能性カイロ」なる語が一般的に通用する用語でないことは明らかであり、また、需要者、取引者がこの表記に接しても何を意味するか理解できず、まして、そこから医療用機械器具を認識するのは不可能である。

さらに、万一、「機能性カイロ」が「貼付用磁気治療器」を意味するものだったとしても、本件商品が「機能性カイロ」であることを示す証拠は一切ない。

(オ)本件商品が、ピップフジモト株式会社で商品化している「ピップエレキバン」と類似する商品であるとの主張について

「ピップエレキバン」は、現行薬事法の「医療機器」に該当する「医療用具」として許可されている(甲第5号証)。

即ち「ピップエレキバン」は、甲第5号証において、そのパッケージ表面上部に「筋肉のコリをほぐす」又は「血行を良くし、コリをほぐす」と記載され、また、下部に「磁気治療 装着部位のこり、血行」と記載されていることから明らかなように、「磁気治療」という治療目的を客観的に明確にした商品であるが故に医療用具に該当し、製造販売の許可を受けているのであり、診断、治療、予防等の医療を目的とせず、製品名が「使いすてカイロ」である本件商品とはその用途が明確に区別されているものである。

したがって、本件商品が「ピップエレキバン」と類似する商品であるとする被請求人の主張は失当である。

ウ 以上のとおり、本件商品には、医療用機械器具であると客観的に認識される表示が一切ない。

3 被請求人の答弁

被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証及び同第2号証を提出した。

(1)被請求人は、以下に示す証拠から明らかなように、本件商標を商品「貼付用磁気治療器(機能性カイロ)」について使用してきており、本件商標の登録は維持されるべきである。

(2)被請求人は、本件商標が本件商品について本件審判請求の登録日である平成20年1月30日前3年以内の期間内の使用であることを裏付ける証拠方法として、

ア 乙第1号証:2006年・秋 総合カタログ「機能性カイロ はる(ジキホグス)抜粋写

イ 乙第2号証:機能性カイロ はる(ジキホグス)の表裏パッケージデザイン

を提出する。

本件商品はる(ジキホグス)は、平成14年9月より販売され、現在においても継続的に販売している。総販売数量は、約60万個、総売上げ金額は、約1.5億円である。

乙第1号証及び同第2号証から明らかなように、本件商品は、通常の使い捨てカイロではなく、含有成分として「磁性粉末」を混入して、磁気効果により体の芯まで暖める効果を有するものである。通常の使い捨てカイロの成分は「鉄粉、水、活性炭、バーミキュライト、食塩」だけであるので、これらの商品とは全く相違するものであり、乙第1号証におけるカタログ内においても、血流改善「肩ホットン」「腰ホットン」「ひざホットン」などのカテゴリーに属しており、「貼付用磁気治療器」としての位置付けをなしているものである。

乙第2号証を検証するに、裏面パッケージにおいて原材料名「鉄粉、水、活性炭、バーミキュライト、磁性粉末、食塩」となっており、「磁性粉末」を混入していることがわかる。また、その下欄には、「心臓ペースメーカー等の体内植込型電子機器を装着している方は、使用しないでください。誤作動を招く恐れがあります。」という警告文を掲載しており、更に、その右側のその他の注意の欄には、「時計、磁気カード、フロッピーディスクなど、磁気の影響を受けるものに近づけないでください。データを破壊する原因になります。」という記載もされていることから、通常の使い捨てカイロではなく、機能性カイロ、即ち貼付用磁気治療器を示唆するものである。

他社の商品で言うならば、ピップフジモト株式会社で商品化している「ピップエレキバン」と類似する商品と考えてもらえれば幸いである。

よって、「貼付用磁気治療器(機能性カイロ)」は、本件審判請求に係る商品とは、その用途、取引経路及び需要者を共通にする同一又は類似の商品である。

なお、今回提出した証拠は、時間の都合上必要最小限の証拠のみ開示したが、万一これらの証拠において未だ不十分であれば、追加の証拠の用意があることを付言する。

(3)以上により、本件商標と社会通念上同一と認められる商標が、本件審判請求の登録前3年以内に日本国において、本件審判請求に係る指定商品に含まれると認められる商品「貼付用磁気治療器(機能性カイロ)」について使用されている。

4 当審の判断

(1)被請求人提出の証拠によれば、以下の事実が認められる。

ア 被請求人に係ると認められる「2006・秋 総合カタログ」(乙第1号証)には、その8頁の最上段に、「機能性カイロ」「足元用カイロ」の表題があり、同頁の製品名欄の6段目に「はるジキホグス(腰用)」「5ヶ入袋」との記載があり、その製品特徴欄には「大判サイズで腰にピッタリ。」「●持続時間:12時間」「●最高温度:58°C」「●平均温度:47°C」の記載がある。そして、そのパッケージ欄には包装された製品の現物写真が掲載されており、その包装をみると、白い輪郭線で籠字風に「はる」の文字を表しているのが確認できる。

イ 上記カタログの同じ頁には、製品名欄に「血流改善 肩ホットン(医療機器)」、「血流改善 腰ホットン(医療機器)」、「血流改善 ひざホットン(医療機器)」と記載したものが表示されており、それらの製品特徴欄には、それぞれ、「3つに折れて肩を包み込み温めて血流改善し、肩などのコリをほぐします。」、「温熱による血流改善効果で、腰などの痛みをやわらげます。」、「ひざを包み込むように温めて血流改善し、痛みをやわらげます。」の各記載がある。また、同欄のそれぞれに、届出番号が表示されている。

ウ 商品パッケージ(乙第2号証)には、その表面に、中央部に白い輪郭線で籠字風に「はる」の文字を表し、その上に、「桐灰カイロ」、「大判サイズで」「腰にピッタリ!」を表示し、前記「はる」の文字の下に、「ジキホグス」「腰用」の文字が表示されている。そして、そのさらに下に、「特許出願中 衣類にはるカイロ」とし、「●肌に直接貼らないでください。」といった記載がされている。

エ また、同パッケージの裏面には、「桐灰カイロ」「はる」「ジキホグス」「腰用」の文字が表示されており、その下に、「●横幅が広い、大判サイズなので腰にぴったりフィットします。」「●47°C〜48°Cのじんわり気持ち良い温度が腰にぴったりです。」「●特殊粉末入りなので、からだの芯まで暖かさが広がります。」と記載されている。

そして、下部の四角囲い内には、「品名/使いすてカイロ 原材料名/鉄粉、水、活性炭、バーミキュライト、磁性粉末、食塩」の記載がある。

さらに、「警告:心臓ペースメーカー等の体内植込型電子機器を装着している方は、使用しないでください。誤作動を招く恐れがあります。」と記載され、「その他の注意」として「●時計、磁気カード、フロッピーディスクなど、磁気の影響を受けるものに近づけないでください。データを破壊する原因になります。」等が記載されている。

(2)上記(1)ア、ウ及びエの包装に表示された「はる」は、本件商標とその構成文字を同じにするものであり、本件商標と社会通念上同一の商標と認められるものであるから、被請求人によって、本件商標が使用されたとみることができる。そして、上記カタログの年次からみて、その使用時期は、本件審判請求の登録前3年以内(以下「本件期間内」という。)と認め得るものである。

しかしながら、本件商標の使用に係る商品である本件商品は、包装に品名を「使いすてカイロ」と表記して流通する商品であって、上記カタログの製品特徴の記載や包装の記載からみても、被請求人の取扱いに係る前記(1)イの「肩ホットン」等の「医療機器」とは別種の商品とみるのが相当である。

そして、これが、人若しくは動物の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること、又は人若しくは動物の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具の一に該当する商品であることを窺わせる証左(例えば、効能表記)は見いだせない。

してみると、本件商品は、保温効果を得るのに用いられる使い捨てカイロの一とみるのが妥当であって、磁気を利用して身体の治療若しくは予防に使用される医療具の一である磁気治療器とは認められられないものである。

したがって、上記(1)の認定事実によっては、本件商標が、指定商品「医療器械器具」の一について使用されたと認めることはできないものである。

(3)被請求人は、本件商品について、乙第2号証のパッケージ裏面における材料名及び警告文や注意を挙げ、通常の使い捨てカイロではなく、機能性カイロ、即ち貼付用磁気治療器である旨主張する。

しかし、被請求人のいう「機能性カイロ」が如何なるものを指すのか確定し得ず、また、その「機能性カイロ」と「貼付用磁気治療器」との関係についても、取引通念上一般的に明らかなものとはいえない。そして、含有成分に「磁性粉末」が混入されていることが、仮に通常の使い捨てカイロの含有成分とは異なるとしても、このことをもって直ちに、品名を「使い捨てカイロ」とする本件商品が医療用機械器具の一である「磁気治療器」の概念を充足するとは言い難いものである。また、前記の警告文等は、製品の使用者に向けて製品の製造者が注意を喚起するために各種商品でも一般に行われている類のものといえるものである。

したがって、被請求人の上記主張をもって、本件商品が「磁気治療器」に属すべき商品であるとすることはできない。

(4)してみれば、被請求人提出の証拠によっては、取消請求に係る指定商品「医療器械器具」について、本件商標が使用されたと認めることはできないものである。また、不使用についての正当理由に係る主張及び立証はない。

(5)以上のとおり、本件商標は、商標登録の取消請求に係る指定商品について、本件期間内に使用をされていたとは認められないから、商標法第50条に基づき、その登録の取消しを免れないものである。

よって、結論のとおり審決する。

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