結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2007−301443(T2007−301443/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第3091559号商標(以下「本件商標」という。)は、「ANGEL DEVIL」の欧文字と「エンジェルデビル」の片仮名文字とを二段に横書きしてなり、平成4年10月19日に登録出願、第25類「洋服,コ―ト,セ―タ―類,ワイシャツ類,靴下」を指定商品として同7年10月31日に設定登録されたものである。
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第6号証(枝番号を含む。)を提出した。
本件商標は、その指定商品の全てについて、継続して過去3年間以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用された形跡が見当たらないから、それらの指定商品についての本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
(1)青山商事株式会社等への販売について
被請求人は、本件商標と社会通念上同一の商標をその指定商品であるスポーツシャツの胸部分並びに袖部分に付したものを中国にて製造し、日本に輸入した上で青山商事(株)等に販売した旨主張している。
しかしながら、被請求人の主張には、以下に述べるとおりの疑義がある。
(ア)シャツの製造について
(a)シャツを製造するための「デザイン指示書」(乙第1号証の1ないし7)について、被請求人は、「この指示書は、記載のとおりのデザイン、素材、数量、配色等でシャツを製造するように中国でシャツを製造した会社であるウェイファンハンユーテキスタイル(WEIFANG HUANYU TEXTILES)有限公司に対するものである。」と主張している。
しかしながら、上記指示書中、乙第1号証の1ないし7では、配色として地色(Ground Color)を「オフ」又は「ブラック」で区別しているのみであり、図形部分の配色を指示しておらず、乙第1号証の1ないし4においては、袖口及び裾部分の刺繍の配色を指示していない。
そうすると、上記指示書のみでは、図形部分及び袖口・裾部分の刺繍の色を何色とするべきなのか不明であり、本件シャツの製造はできないはずである。
(b)乙第1号証の1ないし7のデザイン指示書には、いずれも「CA8005−58」という品番が付されており、この点について、被請求人は「基本デザインが共通であり、柄は、いわゆるトライバルシャツといわれるものであるので品番を被請求人の商品管理の便宜上共通にした」と述べている。
しかしながら、同じくトライバルシャツである乙第9号証に係るシャツについては、これとは異なる「25400−58」という品番が付されており、被請求人の上記主張と矛盾する。
また、異なるデザインのシャツに同一の品番を付すということが行われているとすると、販売先(又は消費者)から品番によって再発注又はクレームが入った場合、品番のみでは、乙第1号証の1から7のいずれの商品のことなのか特定できないはずであり、そうすると、被請求人が主張するような商品管理の便宜を却って損なう結果になるはずである。
(c)被請求人は、「日本の会社である被請求人は、デザイン指示書どおりのシャツの出来具合を直接中国の製造会社に出向いて監督することができないので、デザイン指示書に記載ある中国の会社『上海助潤貿易』を通して指示の確認を行ったものである。」と主張している。
被請求人の主張するとおり、上海助潤貿易により指示書どおりにシャツが製造されたか確認されたのであれば、上海助潤貿易から被請求人に対する報告書や製品の写真等が存在するはずであるから、これらの資料の提出を求める。
(d)乙第1号証の1ないし7の下方には、「*SHIP前にSHIPPINGサンプルを必ず送って下さい。」との記載があるので、該サンプルが被請求人宛てに送られたことが分かる資料の提出を求める。
(イ)スポーツシャツの輸入について
(a)被請求人は「シャツは、ウェイファンハンユーテキスタイル有限公司の被請求人に対する送り状によれば、平成17年8月5日に中国青島港で船積され横浜港に向かっている。」と述べている。
しかしながら、乙第5号証の2の「商業発票(Commercial Invoice)」によると、目的地は「OSAKA JAPAN」と記載されており、被請求人の上記主張と矛盾する。そして、品番「CA8005−58」の衣類は、乙第5号証の2のみに記載されており、その前日に中国青島港から横浜港に向けられた貨物の「商業発票(Commercial Invoice)」(乙第5号証の1)には含まれていない。
そうすると、乙第1号証の1ないし7のシャツ(品番:CA8005−58)は、大阪に輸入されたこととなるが、乙第1号証の2ないし7には「納期7/20東京」と記載されており、両者は矛盾する。
(b)東京三菱銀行の発行に係る「ARRIVAL NOTICE(船積書類到着通知書/L/C付)」(乙第6号証)に「DESTINATION(荷揚港)YOKOHAMA」と明記されており、乙第5号証の2に「OSAKA JAPAN」と記載されていることと矛盾する。
(ウ)スポーツシャツの販売について
(a)被請求人は、「被請求人の青山商事(株)へのシャツの売上明細は、被請求人のパソコンに記帳(記録)されている。」と述べ、乙第8号証を提出している。
しかしながら、品番CA8005の製品が本件商標が付された乙第1号証の1ないし4のシャツであったのか否かは、乙第8号証のみでは不明であるから、上記の点を明らかにし得る資料(例えば、販売当時の被請求人の商品カタログ等)の提出を求める。
(b)乙第8号証のみでは、CA8005の製品が青山商事等に販売されたことを客観的に証明するものではない。すなわち、当該商品が青山商事等に販売されているのであれば、青山商事等からの発注書、被請求人の納品書、商品の配達証明、被請求人から青山商事等への請求書(控)及び請求書に対する入金が確認できる書面等があるはずであり、それらの提出を求める。
(c)請求人は、日本経済新聞社の提供する新聞情報データベース「日経テレコン21」を使用して、被請求人の名称と本件商標(欧文字の「ANGEL DEVIL」及び片仮名の「エンジェルデビル」)をキーワードとしてAND検索したところ、いずれも0件であった(甲第3号証の1及び2)。
また、被請求人が5200枚販売したという青山商事(株)又はそのグループ会社の名称(又は営業店舗名:甲第4号証の1)と本件商標(欧文字の「ANGEL DEVIL」及び片仮名の「エンジェルデビル」)をキーワードとしてAND検索したところ、いずれも0件であった(甲第4号証の2ないし24)。なお、「青山 エンジェル デビル」で検索すると21件ヒットするが、この21件の記事はいずれも青山商事に関するものでもなく、また、被請求人の製品に関するものでもない(甲第4号証の4)。
日経テレコン21に蓄積される新聞・雑誌情報は、全国紙(9紙)及び地方一般紙(30紙)のほか、日本繊維新聞を含む専門紙(39紙)及び雑誌(80誌)に掲載されたものであり、一部地方新聞・専門紙及び雑誌を除き、遅くとも、本件審判の予告登録日の過去3年間(2004年11月22日から2007年11月21日)の全記事が収録されている(甲第5号証)。
すなわち、被請求人が青山商事(株)に対して、本件商標が付されたシャツ(乙第1号証の1ないし4)を5200枚も販売したと主張するが、過去の新聞(少なくとも繊維業界における専門紙である日本繊維新聞)に一切当該シャツに関する記事が記載されていないというのは極めて不自然である。
(2)株式会社アベイル等への販売について
被請求人は、「指定商品であるシャツの胸部分・袖部分・衿ネーム部分に本件商標『ANGEL DEVIL』を付してシャツを製造し平成17年2月2日に(株)アベイルヘ554枚販売している。この外に被請求人は、(株)パスポートへも販売している。」と主張している。
しかしながら、被請求人の主張には、前記したところと同様の疑義があり、上記事実の証明はなされていない。
(3)結語
上述したとおり、平成19年12月26日付けで提出された答弁書からは、本件商標が本件審判請求日前3年以内に使用されていた事実は証明されていない。
したがって、被請求人に対して、上述のとおり追加資料の提出及び説明を求めるものである。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証の1ないし同第19号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)本件商標の使用について
本件商標は、「ANGEL DEVIL」と「エンジェルデビル」を上下二段に横書きしてなるのに対して、被請求人の使用に係る商標は、本件商標のローマ字のみをひげ文字(フラクトゥール)で表示したものであり、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用である。
(2)被請求人製造商品について
被請求人が製造しているシャツは、前身頃や後身頃さらには袖等に大きく模様を付すものであって、いわゆるトライバルプリントといわれるスポーツ・レジャー用シャツである。トライバルプリントとは、東南アジアボルネオ諸島などでに住む民族に古くから伝わる民族起源のタトゥー(入れ墨)の炎の模様が発祥のファッションといわれ現在流行している。
(3)青山商事株式会社への販売について
被請求人は、本件商標を付したシャツ5200枚を平成17年9月1日から平成18年4月1日にかけて青山商事(株)に販売している。また、被請求人は、(有)GEE、坂善商事(株)、(株)パスポートへもサンプルとしてシャツ計10枚を販売している(乙第8号証)。
(ア)このシャツ製造については、平成17年6月10日付「デザイン指示書」がある。この指示書は、記載どおりのデザイン、素材、数量、配色等でシャツを製造するように指示したもので、中国でシャツを製造した会社であるウェイファンハンユーテキスタイル(WEIFANG HUANYU TEXTILES)有限公司に対するものである。
(イ)日本の会社である被請求人は、デザイン指示書どおりのシャツの出来具合を直接中国の製造会社に出向いて監督することができないので、デザイン指示書に記載ある中国の会社「上海助潤貿易」を通して指示の確認を行っている。
このデザイン指示書には、シャツの胸部分と袖部分に「ANGEL DEVIL」の表示がなされている。このシャツは、本件商標をシャツに付する場所の違いによって、A、B、C、D柄に分かれている。被請求人は、各柄それぞれ748枚を製造した(乙第1号証の1、2、3、4)。
なお、被請求人は、これらA、B、C、D柄注文の際に、本件商標とは別の商標を付したシャツの製造も一緒に注文している。それらの注文数は、E、F、G柄で各748枚である(乙第1号証の5、6、7)。
(ウ)本件商標を付した商品を含め、AないしG柄の商品番号は、全てCA8005−58という番号が付されている。これは、基本デザインが共通であり、柄は、いわゆるトライバルシャツといわれるものであるので品番を被請求人の商品管理の便宜上共通にしたのである。製造依頼枚数は、748×7=5200であるところ、書類には5236PCSとある。これは、ウェイファンハンユーテキスタイル有限公司が破損とか疵を考慮し36枚を予備として製造した結果である(乙第2号証の1・2)。製造枚数5200枚の代金は、ドル建てで1万2千828ドル20セントとなっている(乙第5号証の1・2)。ただし、輸入手続における代金決済は、本件商標を付したシャツ以外の商品代金決済をも同時に行っているのでこの金額より多くなっている(乙第3号証、乙第4号証、乙第5号証の1)。
(エ)シャツは、ウェイファンハンユーテキスタイル有限公司の被請求人に対する送り状によれば、平成17年8月5日に、中国青島港で船積され、横浜港に向かっている。その送り状の中に商品番号CA8005−58(枚数5236枚)という記載がなされている(乙第5号証の2)。平成17年8月4日に船積されたシャツもあった(乙第5号証の1)。
(オ)被請求人は、シャツが平成17年8月10日に被請求人に到達した後、平成17年12月4日にL/C輸入代金27万442ドル90セントを東京三菱銀行を通して決済した(乙第4号証)。この輸入手続の時は代金の追加があり、その追加代金額も含めた金額が上記の決済金額である(乙第6号証、乙第7号証)。
(カ)被請求人の青山商事(株)へのシャツの売上明細は、被請求人のパソコンに記帳(記録)されている。売上明細は、被請求人が品番CA8005のシャツが平成17年9月1日から青山商事(株)に売却された旨のデータを印刷したものである(乙第8号証)。デザイン指示書にあるCA8005−58のうち「−58」の数字部分は被請求人の発注先コードである。
(4)株式会社アベイルヘの販売
また、被請求人は、シャツの胸部分・袖部分・衿ネーム部分に本件商標「ANGEL DEVIL」を付したシャツを製造し、平成17年2月2日に、(株)アベイルヘ554枚販売しており(乙第16号証の1)、この外に、被請求人は、(株)パスポートへも販売している(乙第16号証の2)。
このシャツの製造についても、平成16年11月付の「デザイン指示書」(乙第9号証の1・2)により、前記したところと同様の状況のもとに、ウェイファンハンユーテキスタイル有限公司により製造され、輸入されたものである(乙第10号証ないし乙第15号証)。
(5)中国会社での製造
(ア)ウェイファンハンユーテキスタイル有限公司について
この会社は、本件商標を付した被請求人のシャツを製造した中国の会社であり、平成16年11月当時から現在も存在し操業している会社である。会社案内には被請求人を得意先としている旨の記載がある(乙第18号証、乙第19号証)。
(イ)上海助潤貿易有限公司について
この会社は、上海市中路1065号永騰大厦705Bに存在する。前述のとおり、被請求人は、シャツの製造会社に対する指示監督をこの会社を通して行っていたものである。書面にある安鳳花は、この会社の従業員である(乙第17号証)。
(6)以上のとおり、被請求人は、取消審判請求前3年の期間に本件商標を使用していること明らかであり、本件請求は成り立たない。
(1)被請求人の提出に係る乙各号証に被請求人の主張を併せみれば、以下の事実を認めることができる。
(ア)乙第1号証の1ないし4は、「デザイン指示書」と題する書面である。被請求人の主張によれば、これは、商標権者である被請求人(株式会社プラニング・ジャパン)がスポーツシャツの製作を依頼するため、中国のシャツ製造会社であるウェイファンハンユーテキスタイル(WEIFANG HUANYU TEXTILES)有限公司に宛てたものであり、指示書のメーカーの欄には「上海助潤貿易」と記載されているが、これは、被請求人が直接、中国の製造会社に出向いて監督することができないので、上海助潤貿易を通して指示の確認を行ったとのことである。
そして、該指示書には、いずれも、品番として「CA8005−58」とあり(「−58」は、被請求人の発注先コードとのことである。)、発注数として「748枚」とあり、素材や各種寸法の指示とともに、例えば、乙第1号証の1のA柄であれば、シャツの胸部分と袖部分に、別掲のとおりの構成からなるやゝデザイン化されたひげ文字をもって「ANGEL DEVIL」の表示(胸部分は図形とともに)を付することが指示されている(シャツに付する場所の違いによって、A、B、C、D柄に分かれており、それに対応して、乙第1号証の1、2、3、4となっている)。また、乙第1号証の5ないし7も「デザイン指示書」であるが、被請求人の主張によれば、本件商標とは別の商標を付したシャツの製造も一緒に注文しており、そのための指示書とのことである。そして、乙第1号証の1ないし7の各指示書のうち、その先頭の乙第1号証の1の指示書には、「05年6月10日」の日付があるが、その余の指示書には「05年6月」と表示されているのみで、日にちの表示はないが、同時に注文しているとの被請求人の主張に従えば、その余の指示書も「05年6月10日」になされていたものとみるのが相当である。
(イ)乙第2号証の1は、ウェイファンハンユーテキスタイル(WEIFANG HUANYU TEXTILES)有限公司が2005年6月20日付で被請求人であるプラニング・ジャパンに宛てた売買契約書(SALES CONTRACT)であり、商品名欄には、複数の品名の一つとして「CA8005−58」の表示があり、枚数として「5236PCS」、金額として「USD12828.20」と記載されている。
(ウ)乙第3号証は、東京三菱銀行の発行に係る「CONFIRMATION OF SWIFT/TELEX(輸入信用状)」と題する書面であり、これには、発行日として「2005年7月11日」、信用状番号として「S−082−2002818」、信用状の種類として「取消不能信用状」、受益人として「WEIFANG HUANYU TEXTILES CO.,LTD」、依頼人として「(株)プラニング・ジャパン」、信用状発行金額として「USD277,442.90」、商品名として「衣服」、積出港として「中国港/空港」、到着港として「日本港/空港」等の記載のあることが認められる。
(エ)乙第4号証は、東京三菱銀行宛ての「APPLICATION FOR IRREVOCABLE DOCUMENTARY CREDIT(取消不能信用状発行依頼書)」であり、これには、日付として「2005.7.11」、受益人として「WEIFANG HUANYU TEXTILES CO.,LTD」、依頼人として「(株)プラニング・ジャパン」、金額として「US$277,442.90」、商品名として「衣服」、到着港として「日本港/空港」等の記載のあることが認められる。
(オ)乙第5号証の2は、ウェイファンハンユーテキスタイル有限公司が(株)プラニング・ジャパンに宛てた2005年8月5日付の「COMMERCIAL INVOICE(商業送り状)」であり、これには、信用状番号として「S−082−2002818」、積出港として「QINGDAO CHINA(青島)」、仕向港として「OSAKA JAPAN」、商品名の一つとして「GARMENTS(衣服)/CA8005−58」とあり、その枚数として「5236PCS」、その金額として「USD12828.20」等と記載されている。
乙第5号証の1も、ウェイファンハンユーテキスタイル有限公司が(株)プラニング・ジャパンに宛てた2005年8月4日付の「COMMERCIAL INVOICE(商業送り状)」であり、これにも、信用状番号として「S−082−2002818」の記載はあるが、積出港として「QINGDAO CHINA(青島)」、仕向港として「YOKOHAMA JAPAN」と記載されており、商品名として「GARMENTS(衣服)」と記載されてはいるが、「CA8005−58」の記載はない。
(カ)乙第6号証は、東京三菱銀行の発行に係る(株)プラニング・ジャパン宛ての「ARRIVAL NOTICE(船積書類到着通知書)」であり、到着日時として「2005−08−10」、信用状番号として「S−082−2002818」、手形金額として「USD124,195.40」、手形振出人として「WEIFANG HUANYU TEXTILES CO.,LTD」、品名として「GARMENTS(衣服)」、船積港として「QINGDAO」、荷揚港として「YOKOHAMA」等と記載されている。
また、乙第7号証は、東京三菱銀行の発行に係る(株)プラニング・ジャパン宛ての「信用状条件変更手数料等明細」「AIR WAY T/R、L/G保証料明細」「信用状開設手数料等明細」「計算書(自行ユーザンス決済)」なる表題のある書面であり、取引日欄には「2005−12−08」とあり、L/C番号(信用状番号)として「S−082−2002818」、金額欄には「USD124,195.40」等の記載がある。
被請求人の主張によれば、乙第1号証の1ないし7のシャツの代金は、ドル建てで1万2千828ドル20セントであるが、輸入手続における代金決済は、本件商標を付したシャツ以外の商品代金決済をも同時に行っているので、この金額より多くなっているとのことである。
(キ)乙第8号証は、「商品別売上明細表」と題する書面であり、被請求人の主張によれば、被請求人のパソコンに保存されているデータを印刷したものとのことであって、商品コード欄には「CA−8005」と記載されており、得意先名称欄にある「青山商事(株)」に対して、「2005/09/01」に4928枚、「2005/09/05」に55枚、「2005/09/06」に252枚販売された旨記載されており、その外にも、(株)アズプランニングに対して「2005/10/24」に1枚、ゼンモール(株)渋谷店に対して「2005/11/17」に2枚等の販売状況が記載されている。
(2)上記において認定した事実を総合し、これに被請求人の主張をも併せみれば、被請求人は、中国のウェイファンハンユーテキスタイル有限公司(WEIFANG HUANYU TEXTILES CO.,LTD)に対して、乙第1号証の1ないし4のデザイン指示書により、スポーツシャツ(品番CA8005)の製作を依頼し、該社の製作したスポーツシャツを本件審判の請求の登録(平成19年11月26日)前3年以内である2005年8月10日当時に我が国に輸入し(乙第6号証)、少なくとも、該スポーツシャツ(品番CA8005)を青山商事(株)に対して、2005年9月1日に4928枚、2005年9月5日に55枚、そして、2005年9月6日に252枚販売したものと認められる(乙第8号証)。
そして、該スポーツシャツには、例えば、乙第1号証の1のA柄であれば、別掲のとおり、やゝデザイン化された「ANGEL DEVIL」の文字が表示されているところ、胸部分には他の図形とともに、袖部分には、該文字のみが大きく表示されており、このような表示態様に装飾的な要素のあることは否定できないとしても、商標としての機能をも併せ果たしているものということができる。そして、該使用商標は、やゝデザイン化されたひげ文字をもって表されてはいるが、本件商標構成中の欧文字部分と同一の綴り字からなるものであり、片仮名文字部分と同一の称呼を生ずるものであるから、本件商標と社会通念上同一の商標と認められるものである。
また、該スポーツシャツは、本件審判の請求に係る指定商品に含まれるワイシャツ類の概念に属する商品と認められる。
(3)請求人の主な反論に対して
(ア)請求人は、東京三菱銀行の発行に係る船積書類到着通知書(乙第6号証)によると、「DESTINATION(荷揚港)YOKOHAMA」と記載されているが、乙第5号証の2のインボイスには、品番「CA8005」の衣類が記載されているが、目的地としては「OSAKA JAPAN」と記載されていること、また、乙第5号証の1のインボイスには、目的地として「YOKOHAMA JAPAN」と記載されてはいるが、品番「CA8005」の衣類は記載されておらず、これら乙号証の記載は矛盾している旨主張している。
しかしながら、中国のシャツ製造会社であるウェイファンハンユーテキスタイル有限公司に宛てたデザイン指示書(乙第1号証の1ないし4)には、品番を「CA8005−58」とするスポーツシャツの製作指示がなされていること、ウェイファンハンユーテキスタイル有限公司が被請求人に宛てた乙第2号証の1の売買契約書及び乙第5号証の2のインボイスには、いずれも、商品の品番として「CA8005−58」が記載されており、数量として「5236PCS」、金額として「USD12828.20」と記載されていること、そして、乙第4号証の輸入信用状発行依頼書に基づいて、東京三菱銀行により発行されたものと認められる乙第3号証の輸入信用状には、信用状番号として「S−082−2002818」の番号が付されており、この番号は、乙第5号証の2のインボイスにも、乙第6号証の船積書類到着通知書にも、乙第7号証の計算書にも記載され、一致していることが認められる。
そうとすれば、乙第1号証の1ないし4のデザイン指示書、乙第2号証の1の売買契約書、乙第4号証の輸入信用状発行依頼書、乙第3号証の輸入信用状、乙第5号証の2のインボイス、乙第6号証の船積書類到着通知書及び乙第7号証の計算書は、被請求人が中国のウェイファンハンユーテキスタイル有限公司に対してスポーツシャツの製作を依頼し、ウェイファンハンユーテキスタイル有限公司から商品の品番「CA8005−58」のスポーツシャツを輸入するまでの一連の取引書類であったものと認めることができる。
そして、確かに、仕向港と荷揚港の点について、上記乙各号証の記載事項の間には齟齬があるとはいえるが、乙第3号証の輸入信用状には、積出港として「中国港」、到着港として「日本港」と記載されていることからみれば、具体的な荷揚港がいずれの港であったかにより、該輸入信用状の効力に影響を及ぼすものとは認められず、また、インボイスに記載されている仕向港が変更されることもあり得ないことではないから、乙第5号証の2のインボイスにおける仕向港が「OSAKA JAPAN」と記載されており、乙第6号証の船積書類到着通知書における荷揚港が「YOKOHAMA」と記載されているからといって、直ちに、該スポーツシャツの輸入行為自体が否定されることには繋がらないものというべきである。
(イ)請求人は、スポーツシャツを青山商事(株)へ販売した事実は、乙第8号証の売上記録のみでは不十分である旨主張している。
確かに、乙第8号証は、被請求人のパソコンに保存されている売上に関する記録をプリントアウトしたものであるから、証拠としての客観性の観点からいえば、些か客観性に乏しいものとはいえるが、その記載内容をみれば、単価から原価金額、粗利益、利益率まで記載されており、更には、返品の事実についても記載されていることからみれば、2005年9月から2007年9月にかけて、商品の品番「CA8005」に係るスポーツシャツの取引状況が忠実に記録されていたものと推認することができる。そして、上記したとおり、該スポーツシャツを中国のウェイファンハンユーテキスタイル有限公司から輸入した事実を示す乙各号証とも併せみれば、被請求人は、商品の品番「CA8005」に係るスポーツシャツを2005年9月1日から同6日にかけて、青山商事(株)へ販売したものと判断するのが相当である。
(ウ)請求人は、乙第1号証の1ないし4の指示書のみでは、図形部分及び袖口・裾部分の刺繍の色を何色とするのか不明であり、本件シャツの製造はできないはずであるから、被請求人の主張には疑義がある旨述べている。
確かに、乙第1号証の1ないし4の指示書のみでは、十分なものとはいえないが、この点については、品番「25400−58」に係るスポーツシャツのデザイン指示書(乙第9号証の1)には、配色指示書(乙第9号証の2)も添付されており、このことからみれば、当事者間において交わされた書類には、乙第1号証の1ないし4の指示書にも、乙第9号証の2と同様の配色指示書が添付されていたものとみるのが自然であり、提出に係る証拠に配色指示書が添付されていないからといって、直ちに、被請求人によるウェイファンハンユーテキスタイル有限公司へのスポーツシャツの製作依頼までが否定されることにはならないものというべきである。
(エ)その外、請求人は、中国のウェイファンハンユーテキスタイル有限公司のシャツ製造に関して、監督する立場にあった上海助潤貿易から被請求人に対する報告書や製品の写真、サンプルが被請求人宛てに送られたことが分かる資料の提出を求めるとともに、青山商事への販売に関して、販売当時の被請求人の商品カタログ、青山商事からの発注書、被請求人の納品書、商品の配達証明等の取引書類の提出を求めている。
しかしながら、上記各書類が提出されれば、本件商標に係る使用の事実がより明確なものとなるとはいえるが、上記したとおり、被請求人の提出に係る乙各号証を総合してみれば、被請求人は、中国のウェイファンハンユーテキスタイル有限公司に対して、商品の品番「CA8005」に係るスポーツシャツの製作を依頼し、該社から当該スポーツシャツを我が国に輸入するとともに、青山商事へ販売したものと認められるものであるから、この点についての請求人の主張は採用できない。
また、請求人は、被請求人における商品の品番の付け方についても言及しているが、本件審判との関係においては、証拠全体から、使用の事実が把握できれば足りることであって、商品管理の仕方自体は、各事業者の方針に基づいて行われる事柄であるから、この点についての請求人の主張も採用の限りでない。
(オ)更に、請求人は、甲第4号証の1ないし甲第6号証の3を提出して、日本経済新聞社の提供する新聞情報データベース「日経テレコン21」を使用して検索したが、日本繊維新聞を含む専門紙や一般紙において、本件商標の使用の事実は確認できなかった旨主張している。
しかしながら、日本繊維新聞を含む専門紙や一般紙において、市場において取引された商品(商標)が細大漏らさず掲載されているのであれば別にして、そのような状況にあることを認めるに足る証拠もないから、本件商標に係るスポーツシャツに関する記事が各種新聞等に掲載されていなかったからといって、そのことから直ちに、上記した本件商標の使用の事実が否定されることにならない。
そうとすれば、請求人の主張は、いずれも採用できない。
(4)まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、商標権者自身により、本件審判の請求に係る指定商品に含まれる「スポーツシャツ」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていたことを証明したものということができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。