Trademark Appeal Case
著名作品名と商標の類否
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2007−900445(T2007−900445/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5054093号商標(以下「本件商標」という。)は、「ブリジット・ジョーンズ」及び「BRIDGET JONES」の文字を上下二段に横書きしてなり、平成18年6月30日に登録出願、第30類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同19年6月15日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立ての理由の要旨
(1)商標法第4条第1項第15号について
本件商標は、「ブリジット・ジョーンズ」のカタカナ文字と「BRIDGET JONES」の欧文字とを二段に横書きしてなるところ、登録異議申立人(以下「申立人」という。)の著作である世界的ベストセラー小説および映画のタイトルである「Bridget Jones’s Diary」(以下「引用標章1」という。)及び「ブリジットジョーンズの日記」(以下「引用標章2」という。そして、「引用標章1及び2」をまとめて「引用標章」という。)と類似するものである。また、このタイトルの著名な略称及び該小説および映画の著名な主人公名である「Bridget Jones」と実質的に同一であるから、本件商標がその指定商品に使用された場合、これに接する取引者及び需要者は、それら商品が本件商標を使用することにつき申立人から許諾を受けているなど、申立人と関係のある営業主の業務に係る商品であるかのごとく、出所について誤認、混同を生ずる虞がある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反する。
(2)商標法第4条第1項第7号について
本件商標は、申立人の著作である世界的ベストセラー小説および映画の高い知名度を知悉した本件商標権者が、当該小説および映画のタイトルと類似し、かつ、当該小説および映画のタイトルの著名な略称であり、かつ、当該小説および映画の主人公の名前と実質的に同一の商標を、申立人に無断で登録したものであり、社会一般の道徳観念に反するものであり、公の秩序又は善良の風俗を害する。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反する。
(3)商標法第4条第1項第19号について
本件商標は、その登録出願時及び登録査定時において、日本国内外で著名となっていた世界的ベストセラー小説および映画のタイトルである引用標章1と類似し、また、その著名な略称および主人公名である「Bridget Jones」と実質的に同一である。本件商標権者は、かかる申立人の著名商標に類似する本件商標を、申立人によるわが国市場への参入を阻害し、申立人の商標の著名性へのただ乗り、その出所表示力の希釈化など、申立人に損害を与える不正の目的をもって使用するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反する。
3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第15号について
申立人の提出に係る各証拠によれば、引用標章1は、1996年10月に発刊された申立人の著作に係る小説のタイトルであり、その小説を内容とする映画のタイトルであること、また、「Bridget Jones」は、その小説及び映画の主人公の名前であることが認められる。
そして、当該小説は、2007年11月時点の英国において410万部以上を売上げ、その時点での英国内での売上げが1位であった他、1997年までに20ヶ国以上の国の出版社が翻訳権を獲得し、フランス(1998年)及びイタリア(1998年)で週の売上高1位を獲得するなど、各国で相当数の売り上げがあり、また、英国においてはブリティッシュ・ブック・オブ・ザ・イヤー賞を受賞したことが認められる。さらに、同名の映画が2002年アカデミー賞オスカー主演女優賞にノミネートされる等、英国、米国等の複数の国における映画関連の賞にノミネート又は賞を受賞したことが認められる。
そうすると、引用標章1は、申立人の著作に係る小説及びこれを内容とする映画のタイトルとして、英国、米国などの外国において、ある程度の周知性を獲得していたことが認められる。
しかしながら、甲第8号証ないし甲第11号証及び甲第15号証によれば、引用標章1及びその日本語訳である引用標章2が、申立人の著作に係る小説及びこれを内容とする映画のタイトルとして、我が国においても紹介されていることは認められるが、それらの証拠は、雑誌名、発行日などが手書きであり、その使用時期、範囲、宣伝広告の事実などが必ずしも明らかでなく、発行日などが確認できるものは、僅かに甲第12号証ないし甲第14号証の夕刊フジにすぎないから、引用標章が本件商標の登録出願時に、我が国において、需要者の間に広く認識されるに至っていたとまでは認めることができない。
また、請求人の提出に係る証拠によっては、「Bridget Jones」又は「ブリジットジョーンズ」の文字が、引用標章の著名な略称に当たるものと認めることもできない。
そうすると、本件商標は、引用標章と構成態様を異にする別異のものであり、また、引用標章の周知性を認めることもできないから、本件商標の登録出願時に、本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する需要者が引用標章を想起し連想して、その商品を申立人あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係のある者の業務に係る商品と誤認し、商品の出所について混同するおそれがあったということはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第7号について
本件商標は、その構成自体において、矯激あるいは卑猥など公序良俗を害するおそれがあるものでないことが明らかである上、その出願の過程において著しく社会的妥当性を欠くなどの事情も見い出し得ないものである。さらに、これを指定商品に使用しても社会一般の道徳観念に反するものということもできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第19号について
前記(1)のとおり、本件商標は、引用標章と別異のものであり、また、不正の目的をもって使用するものということもできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(4)結語
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第15号及び同第19号に違反して登録されたものではないから、その登録を維持すべきものである。
よって、同法第43条の3第4項の規定に基づき、結論のとおり決定する。
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