Trademark Appeal Case
語尾音「ナ」「ニ」の称呼類似
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2008−900112(T2008−900112/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本件商標
本件登録第5098876号商標(以下「本件商標」という。)は、「ピッコリーナ」の片仮名文字と「PICCOLINA」の欧文字とを二段に横書きしてなり、平成19年5月9日に登録出願され、第30類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同年11月9日に登録査定され、同年12月14日に設定登録されたものである。
第2 申立ての理由の概要
1 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する登録商標は、以下の(1)ないし(3)のとおりである。
(1)国際登録第793227号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、2002年9月23日にイタリア国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張し、平成14年11月14日を国際登録の日として、第29類及び第30類に属する国際商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成15年6月6日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
(2)国際登録第848504号商標(以下「引用商標2」という。)は、「PICCOLINI」の文字を書してなり、2005年2月23日にイタリア国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張し、平成17年3月16日を国際登録の日として、第30類に属する国際登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成18年3月3日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
(3)国際登録第849892号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、2005年2月23日にイタリア国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張し、平成17年3月16日を国際登録の日として、第30類に属する国際登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成18年3月3日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
(上記の(1)ないし(3)の登録商標を一括していうときは、「引用各商標」という。)
2 理由の要点
(1)本件商標は、その構成からして、カタカナ部分がローマ字部分の称呼を表示したものと認められるので「ピッコリーナ」と称呼されるものといえる。
引用商標1は、「Barilla」と「Piccolini」とは段を異にしており、前者のみが赤の縁がある白の楕円形の中にあって赤い楕円中に白抜きで表示されている如く両者の表示方法が全く相違し、かつ、その文字の書体も相違している。したがって、「Barilla」と「Piccolini」とは構成上明確に分離できる。
しかも、「Barilla」は、申立人の名称から容易に推測できるように、同人のハウスマークである。
一方、「Piccolini」は、個々の商品に使用されるペットネームである。そして、取引に際しては商品には製造者として「バリラ ジー.エ アール.フラテッリ,ソチエタ ペル アツィオニ(BARILLA G.ER. FRATELLI SOCIETA(語尾の「A」にはアッチェント・グラーヴェ符号がある) PER AZIONI)」が表示されるものであり、「Barilla」と「Piccolini」の表示方法は、取引上よく行われているハウスマークとペットネームの表示方法の一つといえる。取引においてハウスマークとペットネームとからなる商標は、ペットネームのみをもって称呼されるものである。
そして、当該商標の全体称呼「バリラピッコリーニ」は、常に一体のものとして称呼されるべきとされる程の短さでは決してない。
以上述べたことからして、取引上、引用商標1は、「Piccolini」の文字部分をもって「ピッコリーニ」と称呼されるものといえる。
引用商標2及び引用商標3は、その構成からして「ピッコリーニ」と称呼されるものといえる。
(2)「ピッコリーナ」と「ピッコリーニ」との比較
両称呼は、語尾の「ナ」の音と「ニ」の音とが相違するにすぎない。しかるに、「ナ」の音と「ニ」の音とは、子音「n」を共通にしているので音質において近似している。
しかも、「ナ」の音と「ニ」の音は、鼻音であるが故に本来的に響きの弱いものであり、加えて、聴者の最も注意を惹かない語尾に位置しており、かつ、両称呼は、商標の称呼としては短いものとはいえない。これらのことを鑑みれば、「ナ」の音と「ニ」の音は、両称呼に殆ど影響を与えることはできない。
以上述べた如く、相違音が音質において近似し、しかも、全体称呼に影響を及ぼすことはできない。したがって、両者は音感が相紛らわしく間き誤るものとなる。それ故、本件商標は、引用商標と称呼上類似のものとなる。
特許庁においても、「ナ」の音と「ニ」の音のみが相違する商標を相互に類似するものとしした審決例ある(甲第5号証ないし甲第8号証)。
(3)以上述べた如く、本件商標は、引用各商標と称呼上相紛らわしい類似の商標であって、この称呼と相紛らわしい両商標が敢えて聞き分けられるとされるような理由は外観及び観念並びに取引上何ら見出せない。
3 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、その登録は取り消されるべきものでる。
第3 当審の判断
1 本件商標について
本件商標は、上記のとおりの構成よりなるところ、上段の「ピッコリーナ」の片仮名文字が下段の「PICCOLINA」の欧文字の表音を表したものと無理なく看取し得るものであるから、これよりは「ピッコリーナ」の称呼のみを生じ、特定の観念を有しない造語というのが相当である。
2 引用各商標について
引用商標1は、別掲(1)のとおりの構成よりなるところ、構成中上段部の「Barilla」の文字が、赤地の楕円内の白の楕円形の中に、白抜きの文字で配され、下段部の「Piccolini」の文字とは、外観において視覚上表示方法が全く相違し、構成上両者は明確に分離できる。
そうすると、引用商標1は、全体の「バリラピッコリーニ」の称呼以外に、「バリラ」及び「ピッコリーニ」の称呼をも生ずるというのが相当である。
引用商標2及び引用商標3は、上記及び別掲(2)のとおり「PICCOLINI」、「Piccolini」(文字全体の下部に付飾的横線が配されている。)の文字よりなるものであるから、これらの構成文字に相応して「ピッコリーニ」の称呼のみを生じ、特定の観念を有しない造語というのが相当である。
3 本件商標と引用各商標との比較
本件商標より生ずる「ピッコリーナ」の称呼と引用各商標より生ずる「ピッコリーニ」の称呼についてみるに、両者は、語尾に位置する「ナ」と「ニ」の音に相違を有するとしても、促音及び長音を含めて共に6音という短い音構成において、両者の前に位置する長音「ー」がその前音「リ」の母音(i)と重なり伸びるように発音される関係上、語尾に位置する「ナ」の音も「ニ」の音も区切って止めるように発音、称呼され、この差異が全体の称呼に及ぼす影響は大きく、称呼上互いに相紛れるおそれのないものというべきである。
また、本件商標と引用各商標とは、前記、別掲(1)及び(2)の構成よりみて外観上明確に区別し得るものであり、観念においては、いずれも造語よりなるものと理解されるものであるから比較することができない。
そうとすれば、本件商標と引用各商標とは、その称呼、観念及び外観のいずれの点においても非類似の商標といわざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではないから、商標法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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