Trademark Appeal Case
商標の称呼・観念の類否
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2008−900139(T2008−900139/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5109203号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲のとおり,その綴りを「sAn m's」とするやや図案化された欧文字と「サンエムズ」の片仮名文字を横二段書きした構成からなるものであり,平成19年11月16日に登録出願,第40類「布地・被服又は毛皮の加工処理(乾燥処理を含む。),裁縫,ししゅう,木材の加工,竹・木皮・とう・つる・その他の植物性基礎材料の加工(食物原材料の加工を除く。),食料品の加工,廃棄物の再生,印刷」を指定役務として,平成20年2月1日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立ての理由(要点)
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は,81件の「3M」又は「スリーエム」の文字からなる商標及びこれらの文字を含む商標(以下まとめて「引用商標」という。)を所有している(甲第3号証)。これらの商標は,米国に本拠を有する3M社(申立人会社)を指称する標章として周知著名となっており,申立人会社に関する商品・役務の販売を促進するために使用されているものである。
そして,本件商標は,「サンエムズ」の称呼及び「三つの欧文字M」という観念を生ずるのに対し,引用商標は,「サンエム」の称呼及び「三つの欧文字M」という観念を生ずるものであるから,両者は,称呼上類似し,かつ,「三つの欧文字M」という観念を同一にするものである。
そうすると,本件商標は,周知著名である引用商標と類似するものであるから,引用商標と混同を生ずるおそれがあり,さらに,商標権者は,明らかに申立人会社所有の引用商標の顧客吸引力にただ乗り(フリーライド)し,不正の目的をもって使用するものである。
したがって,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第15号,同第19号に違反してなされたものであるから,その登録は取り消されるべきであると申し立て,証拠方法として甲第1号証ないし甲第6号証を提出している。
3 当審の判断
(1)本件商標について
本件商標は,別掲のとおり,綴り構成を「sAn m's」とするやや図案化された欧文字と「サンエムズ」の片仮名文字を二段に横書きしてなるところ,これからは,それぞれの綴り文字に相応し「サンエムズ」の称呼を生ずるものであり,何ら特定の意味合いを看取し得ない一種の造語を表したものと認識し把握されるとみるのが自然である。
(2)引用商標について
引用商標は,前記のとおり,「3M」又は「スリーエム」及びこれらの文字を含む構成からなるものであって,いずれの場合も「3M」又は「スリーエム」の文字から生ずる「スリーエム」の称呼をもって取引に資されるものといえる。
なお,申立人は,「3M」の商標から「サンエム」の称呼を生ずると述べ,これを前提に本件商標から生ずる「サンエムズ」の称呼との類似を主張しているが,そもそも申立人は,米国に本拠地を置く世界的な化学・電気素材メーカーとして「3M」の略称及びその称呼である「スリーエム」として特定されて需要者の間に広く知られているものというのが相当である。
これに対し,申立人からは,当該商標から「サンエム」の称呼を生ずることを裏付ける具体的な証左の提出もないことから,申立人の当該主張は直ちに採用することはできない。
(3)本件商標と引用商標の類否について
前記のとおり,本件商標は,「サンエムズ」の称呼を生ずるものであり,引用商標は,「スリーエム」の称呼を生ずるものであるから,両者は,その構成音数,音の配列を著しく異にし,称呼上相紛れるおそれはない。
また,外観の点においても,両者は,それぞれの構成態様を著しく異にするものであるから明らかに区別し得るものである。
さらに,観念については,申立人の主張を借りれば,引用商標が「三つの欧文字M」程の意味合いを想起させるのに対し,本件商標は特定の意味合を生ずることのない造語であるから,両者は,判然と区別し得るものである。
してみれば,本件商標と引用商標とは,何ら紛れるおそれのない非類似の商標であって,別異の商標というべきである。
(4)商標法第4条第1項第15号及び同第19号について
前記のとおり,本件商標と引用商標とは,十分に区別し得る別異の商標というべきであるから,たとえ,引用商標が申立人の業務に係る商品「化学・電気素材」等を表示するものとして,本件商標に係る指定役務を取扱う取引者・需要者の間に広く認識されていたものであるとしても,両者間において混同を生ずるとすべき格別の事情を見出し得ないから,商標権者が本件商標をその指定役務に使用しても,これに接する需要者が直ちに引用商標を想起し,申立人又は申立人と経済的又は組織的に何等かの関係のある者の業務に係るものであるかと誤認し,その役務の出所について混同するおそれはないというべきである。
また,商標権者が本件商標を採択・使用するについて,引用商標の顧客吸引力にただ乗りするという不正の目的があったものとも認められず,その証左も見出せない。
(5)まとめ
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第15号及び同第19号に違反して登録されたものとはいえない。
したがって,本件商標は,商標法第43条の3第4項の規定により,その登録を維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
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