Trademark Appeal Case
無湿乾燥機の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2007−30242(T2007−30242/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、「無湿乾燥機」の文字を書してなり、第7類「プラスチック加工機械器具に用いるプラスチック材料乾燥機,その他のプラスチック加工機械器具」を指定商品として、平成18年8月30日に登録出願されたものである。
その後、その指定商品については、当審における平成20年10月10日付け手続補正書により、第7類「プラスチック加工機械器具に用いるプラスチック材料乾燥機」に補正されたものである。
第2 原査定の拒絶理由の要旨
原査定は、「本願商標は、『湿気がない』の意を直感させる『無湿』の文字に、『水分を取り除き乾燥させる装置』をさす『乾燥機』の文字を連結してなるから、これを指定商品中の『プラスチック加工機械器具に用いるプラスチック材料乾燥機』に使用しても、該商品の品質、効能等を強調して表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第3 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、以下の事実を発見したので、商標法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定により請求人に通知した。
1.本願商標を構成する「無」、「湿」及び「乾燥機」の文字(語)の有する意味として、辞書によれば以下の記載がある。
(1)「無」の項に、「ないこと。存在しないこと。欠けていること。」との記載がある。
(2)「湿」の項に、「しめること。うるおい。しめり。」との記載がある。
(3)「乾燥機」の項に、「水分を取り除き、乾燥させる装置。」との記載がある。
また、「無」の文字が語頭にある語については以下のような記載がある。
(4)「無色」:色のないこと。
(5)「無味」:味わいのないこと。うまみのないこと。
(6)「無臭」:くさみのないこと。においのないこと。
(以上、いずれも「広辞苑」 第六版 2008年1月22日 株式会社岩波書店発行)
2.本願の指定商品「プラスチック加工機械器具に用いるプラスチック材料乾燥機」に「乾燥機」の文字が使用されているインターネット情報。
(1)「真空乾燥機」の見出しの下、「樹脂ペレット材料乾燥用:VHMシリーズ」との記載がある。
(http://www.purpose.co.jp/a_sangyoukiki/kansouki.html)
(2)「MJ3 輸送機一体型除湿乾燥機」の見出しの下、「汎用プラスチック製品から高機能プラスチック製品成形に幅広く対応した乾燥と輸送の機能と機器を集約したオールインワン製品。」との記載がある。
(http://www.matsui-mfg.co.jp/products_1_1.html)
(3)「樹脂:真空乾燥機」の見出しの下、「ペレット専用の真空乾燥機です。」との記載がある。
(http://www.sankojapan.co.jp/products/funryu/kansou/index.html)
3.本願の指定商品「プラスチック加工機械器具に用いるプラスチック材料乾燥機」に「乾燥機」の文字が使用されている新聞情報。
(1)「カワタ、射出成形用樹脂の熱風乾燥機を2種発売」の見出しの下、「カワタは射出成形の前処理工程で使用する熱風乾燥機『エースドライヤーZ ADFシリーズ大型タイプ』2機種を追加発売した。」等の記載がある。(2006年8月10日 日刊工業新聞の5頁)
(2)「松井製作所、省エネ設計の樹脂乾燥機を発売」の見出しの下、「松井製作所は型締力二十トン未満のプラスチック射出成形機を対象にした、小型乾燥機『プラスミニドライヤーPMD』(機種名)を新発売した。」等の記載がある。(2003年7月18日 化学工業日報の11頁)
(3)「明星金属、省エネ型高速樹脂乾燥機を発売」の見出しの下、「明星金属工業所はプラスチック材料を対象にした省エネ型高速樹脂乾燥機『スーパードライヤーSUDシリーズ=写真』を開発、市販を始めた。・・・同機はプラスチック材料に含まれている水分を除去、射出成形に適した乾燥状態にするためのもの。」等の記載がある。(1987年11月25日 日刊工業新聞の28頁)
4.本願の指定商品「プラスチック加工機械器具に用いるプラスチック材料乾燥機」との関係において、製品の原材料であるプラスチック(樹脂)の成形過程における原材料の「乾燥」が製品の品質に影響を及ぼすことから重要視されていることが以下のようなインターネット情報により理解することができる。
(1)「ミニレ熱風樹脂乾燥機」の見出しの下、「全ての樹脂はその特性上、大気中に放置されると大気中の水分を0.15〜0.3%程吸収します。成形に先立ってこの吸湿率を0.015〜0.02%以下に下げておかなければ樹脂本来の優れた性能を発揮できません。」との記載がある。
(http://www.tong-sing.co.jp/web/product/minire_02.html)
(2)「乾燥装置」の見出しの下、「乾燥機とは・・・?安定した高品質な製品を成形するためには、プラスチック樹脂原材料を乾燥させ水分を除去することが大切です。」との記載がある。
(http://www.matsui-mfg.co.jp/products_2.html)
(3)「原料乾燥機」の見出しの下、「吸湿した樹脂を使用して成形すると、成形品に対してシルバー(銀状)、強度不足、寸法誤差、光沢不良等の欠陥が発生します。特に、エンプラやスーパーエンプラ等の樹脂を使用する場合は、乾燥しないで、成形することは、不可能となってきました。」との記載がある。
(http://www.sanjo.co.jp/explain/dry.html)
第4 職権証拠調べに対する請求人の意見の要旨
前記、証拠調べ通知に対して、請求人は以下のように意見を述べている。
1.本願商標に対する商標法第4条第1項第16号に該当する旨の拒絶理由について
請求人は、本願の指定商品を「プラスチック加工機械器具に用いるプラスチック材料乾燥機」と補正したことから、本願商標が商標法第4条第1項第16号に該当する旨の拒絶理由は解消された。
2.本願商標に対する商標法第3条第1項第3号に該当する旨の拒絶理由について
(1)本願商標は、「無湿乾燥機」の文字を横一連に一体に書してなり、「ムシツカンソウキ」と称呼、発音されるものであり、本願の指定商品である「プラスチック加工機械器具に用いるプラスチック材料乾燥機」の取引の実情において、このような表示形態及び称呼は、市場において未だかつて全く使用されたことがなく、請求人により創作、案出された全く斬新な造語商標である。
(2)すなわち、本願商標のような表示形態及び称呼が、本願指定商品の用途、品質を表示するようなものとして未だかつて全く使用されたものでなく、これに接する取引者・需要者をして、当該商品の用途、品質が具体的に如何なるものであるのか理解できないし、認識もできないものである。
(3)したがって、本願商標は、これに接する取引者及び需要者をして、商品識別標識としての機能を十分発揮するものである。
第5 当審の判断
本願商標は「無湿乾燥機」の文字を角ゴシック体で普通に用いられる方法で書してなるところ、これに接する需要者、取引者は、補正後の指定商品である「プラスチック加工機械器具に用いるプラスチック材料乾燥機」との関係において、その構成中「乾燥機」の文字は「水分を取り除き、乾燥させる装置」を意味する商品の普通名称であり、該文字に「湿気がないこと」を容易に認識させる「無湿」の文字を結合したものと認識、把握され、取引に当たるというのが相当である。
そして、前記第3の証拠調べで通知した事実を総合勘案すれば、プラスチック材料の水分を除去し、乾燥させる機械、装置が指定商品を取り扱う業界において、普通に取引されていると認められることから、本願商標をその指定商品に使用するときには、「(原材料の)湿気を無くす乾燥機」の意味合いをを容易に認識させるといわなければならない。
そうとすれば、本願商標は、単に商品の用途・品質を普通に用いられる方法で表示したものにすぎず、前記商品以外の商品について使用するときには、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるといわざるを得ない。
なお、請求人は、前記証拠調べ通知に対して、手続補正書により指定商品を補正した上で、意見書において、前記第4のとおり本願商標は請求人の創作した造語であり、これまでまったく使用されておらず、自他商品の識別標識としての機能を有する旨を主張している。
しかしながら、「商標法第3条第1項第3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきである(平成12年(行ケ)第76号 東京高裁 平成12年9月4日 判決言渡参照)。」と判示されており、たとえ、「無湿乾燥機」の文字が造語であり、その指定商品を取り扱う業界において、商品の品質等を表示するものとして使用されている事実が存在しなくても、本願商標は、前記認定のとおり、補正後の指定商品の品質等を表すものとして取引者、需要者に認識されるものである以上、同法第3条第1項第3号に該当するものというべきであるから、請求人の主張は妥当でなく、その主張は採用することができない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
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