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Trademark Appeal Case

結合商標の称呼・観念類似

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2008−890029(T2008−890029/J3)
審判種別無効
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4789009号の登録を無効とする。
審判費用は被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4789009号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)の構成からなり、平成15年12月16日に登録出願、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同16年7月23日に設定登録されたものである。

第2 引用商標

請求人が引用する商標は、次の(1)ないし(6)である。

(1)登録第2667318号商標(以下「引用商標1」という。)は、「BeaR」の文字を書してなり、平成3年10月16日に登録出願、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品として、平成6年5月31日に設定登録され、その後、同15年12月24日に商標権の存続期間の更新登録がされ、同16年5月12日に指定商品を、第5類「失禁用おしめ」、第9類「事故防護用手袋,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク,防火被服」、第10類「医療用手袋」、第16類「紙製幼児用おしめ」、第17類「絶縁手袋」、第20類「クッション,座布団,まくら,マットレス」、第21類「家事用手袋」、第22類「衣服綿,ハンモック,布団袋,布団綿」、第24類「布製身の回り品,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」及び第25類「被服」とする指定商品の書換登録がされたものである。

(2)登録第4345512号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲(2)の構成からなり、平成7年5月2日に登録出願、第25類「パーカ,絶縁材からなるジャケット,レザージャケット,防寒用帽子,履物」を指定商品として、同11年12月17日に設定登録されたものである。

(3)登録第4376738号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲(3)の構成からなり、平成7年7月24日に登録出願、第25類「パーカ,絶縁材からなるジャケット,レザージャケット,防寒用帽子,ヘッドバンド」を指定商品として、同12年4月14日に設定登録されたものである。

(4)登録第4419411号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲(4)の構成からなり、平成8年3月6日に登録出願、第25類「アメリカ製のパーカ,アメリカ製のジャケット,アメリカ製のティーシャツ,アメリカ製のパンツ,その他のアメリカ製の下着,アメリカ製のジャージー生地からなる長袖シャツ,アメリカ製のデニム生地からなるズボン,アメリカ製のデニム生地からなるその他の被服,アメリカ製の防寒用帽子,アメリカ製の履物」を指定商品として、同12年9月22日に設定登録されたものである。

(5)登録第4419412号商標(以下「引用商標5」という。)は、別掲(5)の構成からなり、平成8年3月6日に登録出願、第25類「パーカ,ジャケット,ティーシャツ,パンツ,その他の下着,ジャージー生地からなる長袖シャツ,デニム生地からなるズボン,デニム生地からなるその他の被服,防寒用帽子,履物」を指定商品として、同12年9月22日に設定登録されたものである。

(6)登録第4985520号商標(以下「引用商標6」という。)は、別掲(6)の構成からなり、平成12年12月27日に登録出願、第25類「被服,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同18年9月8日に設定登録されたものである。

そして、引用商標1ないし引用商標6(以下、これらを一括していうときは、単に「引用商標」という。)は、現に有効に存続しているものである。

第3 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第93号証(枝番を含む。)を提出した。

1 商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、別掲(1)の構成からなるところ、本件商標中の動物の図形は、その構成態様及び構成中の文字との関係において、「熊」(BEAR)を描いたものと容易に認識することができる。

また、本件商標構成中の「PASCBEAR」の文字は、熊の図形との関係において、「PASC」の文字と「BEAR」の文字とを結合したものと容易に認識することができる。

そして、「PASC」の文字は特定の語義を有しない造語であり、「BEAR」の文字は「熊」を意味する英語として、広く知られ、親しまれているものであるから、両語が結合しても特定の意味を有する語となったとはいえないものである。

してみれば、本件商標に接する者は、熊の図形と同じ意味合いを持つ、広く知られ、親しまれた「BEAR」の文字の部分を捉えて、これより生じる「ベアー(熊)」の称呼及び観念をもって取引きに当たることも決して少なくないというのが相当である。

したがって、本件商標は、熊の図形及び「BEAR」の文字より「ベアー」の称呼及び「熊」の観念を生ずるものである。

これに対して、引用商標1は「BeaR」の文字よりなるものであるから、これより「ベアー」の称呼及び「熊」の観念を生ずるものである。

引用商標2は、熊の図形と大きく書した「Bear」の文字とその下に小さく書された「U.S.A.,Inc.」の文字よりなるところ、「U.S.A.,Inc.」の文字の部分は、アメリカの法人であることを表示するにすぎず、熊の図形と大きく書した「Bear」の文字の部分が自他商品識別標識としての機能を果たす部分といえるものであるから、これより「ベアー」の称呼及び「熊」の観念を生ずるものである。

引用商標3は、熊の図形と大きく書した「Bear」の文字よりなるものであるから、これより「ベアー」の称呼及び「熊」の観念を生ずるものである。

引用商標4は、熊の図形と当該熊の図形の輪郭線を延長させた横長の輪郭内に「Bear」の文字を書し、その下に「USA」の文字を書してなるところ、「USA」の文字の部分は、アメリカ合衆国を意味し、指定商品との関係においては、商品の産地等を表示するにすぎないから、熊の図形と「Bear」の文字の部分が自他商品識別標識としての機能を果たす部分といい得るものであり、これより「ベアー」の称呼及び「熊」の観念を生じるものである。

引用商標5は、熊の図形と当該熊の図形の輪郭線を延長させた横長の輪郭内に「Bear」の文字を書してなるものであるから、これより「ベアー」の称呼及び「熊」の観念を生ずる。

引用商標6は、熊の図形と当該熊の図形の輪郭線を延長させた横長の輪郭内に「Bear」の文字を書し、当該輪郭線の横に「USA」の文字を横向きにして、下から上に向けて縦に書してなるところ、「USA」の文字の部分は、アメリカ合衆国を意味し、指定商品との関係においては、商品の産地等を表示するにすぎないから、熊の図形と「Bear」の文字の部分が自他商品識別標識としての機能を果たす部分といい得るものであり、これより「ベアー」の称呼及び「熊」の観念を生じるものである。

そうしてみると、本件商標と引用商標とは、「ベアー」の称呼及び「熊」の観念を共通にする類似の商標というべきである。

また、本件商標と引用商標4ないし引用商標6とは、黒の輪郭線をもって描かれたという特徴のある熊の図形と当該熊の図形の輪郭線を延長させた横長の輪郭内に「熊」を意味する「BEAR」、「Bear」の文字を有してなる点において、構成の軌を同じくするものであり、一見して構成全体から受けるイメージが相似たものとなっている。

してみれば、本件商標と引用商標4ないし引用商標6とは、外観上も類似する商標というべきものである。

そして、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは、同一又は類似の商品である。

したがって、本件商標は、引用商標と外観、称呼及び観念上類似する商標であり、かつ引用商標の指定商品と同一又は類似の商品に使用するものである。

ところで、請求人は、引用商標4及び引用商標5を平成8年3月に出願して使用を開始したものであり、引用商標6は、平成8年に使用を開始し、平成12年に出願をしたもので、その使用の形態は、黒の輪郭線をもって描かれたという特徴のある「熊の図形」と、「熊の図形」の輪郭線を延長させた横長の輪郭内に「熊」を意味する「Bear」の文字を書し、その輪郭の外側横に「USA」の文字を下から上に向けて縦書きして配してなるという特徴を有するもので、これを各種、雑誌において広告するとともに、偽商品対策のために新聞広告による警告も行っていた(甲第8号証ないし甲第32号証)。

しかるところ、本件商標は、請求人の商標の使用の開始とその広告、警告の新聞、雑誌への掲載後に出願されたものであり、被請求人が主として衣料品等のファッションに関連する商品についてのブランドのライセンスを業とし、そのライセンスに係る商標は、著名商標にフリーライドすること目的としたものであるといい得るものであり、かつそのライセンス事業も極めて欺瞞的なものであることからみると、明らかに請求人の著名な商標にフリーライドする目的をもって、引用商標(特に引用商標4ないし引用商標6)と構成の軌を一にする類似の商標を出願したといい得るところである。

本件商標と、引用商標6との類否については、甲第93号証のように「以上から、本件被告商標5と本件原告商標14、15及び17は、外観、観念及び称呼について類似しており、取引者または需要者が全体的に類似のものと受け取るおそれがあるといえる。」と判示している(この判決における「本件被告商標5」は、本件審判事件の「引用商標6」であり、本件原告商標14は、本件審判事件の「本件商標」である。)ことから見ても、本件商標と、引用商標6とが類似の商標であるとする請求人の主張は極めて妥当なものである。

また、被請求人の商標の出願の経緯(甲第35号証ないし甲第48号証、甲第51号証、甲第52号証、甲第54号証ないし甲第62号証)及びその使用の実情から見れば、本件商標は、請求人の著名な商標に化体されたグッドウィル(顧客吸引力)にフリーライドする意図のもとに出願し、登録を受けた一連の商標出願・登録の一環として出願し登録されたといわざるを得ない。

してみると、本件商標は、引用商標と類似する商標であるばかりでなく、請求人の著名商標に化体されたグッドウィル(顧客吸引力)にフリーライドする意図を持って出願されたものであるから、取引者、需要者が彼此誤認し相紛れるおそれがある商標である。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。

2 商標法第4条第1項第15号について

請求人は、「Bear U.S.A.,Inc.」の商号にて、その商号に由来する黒の輪郭線で描いた熊の図形と商号の「Bear U.S.A」の文字とを結合した商標を使用して、1994年より、アメリカ、日本においてジャケット、パーカ、靴等の製造、販売をしてきた。

そして、その品質、デザインが若者を中心したストリートファッションのアイテムとして大いにヒットし、これがアメリカの人気音楽番組「MTV」に取り上げられたことから、爆発的な人気を博した(甲第63号証及び甲第64号証)。

さらに、その人気の余波は日本、イギリスにも及び当業者のみならず需要者間に広く知られるに至っているものである。

請求人の商号に由来する黒の輪郭線で描いたという特徴のある熊の図形と商号の「Bear U.S.A」の文字とを結合した商標を使用した商品が人気を博すにつれ、当該商品そのものが「THE SOURCE MAGAZINE」(ヒップホップミュージック誌)等の各種雑誌でも掲載され、あるいは記事として取り上げられて益々その人気が高まってきた(甲第64号証ないし甲第74号証)。

請求人は、当該商品普及のために、商品パンフレットを作成してアメリカ国内はもとより、日本、イギリスの商社、バイヤー等を通じて広く配布すると共に、「VIBE」、「ASAYAN」「繊研新聞」等の雑誌、新聞に積極的に広告をしてきた。

その結果、請求人の商号に由来する黒の輪郭線で描いたという特徴のある熊の図形と商号の「Bear U.S.A」の文字とを結合した商標は、本件商標の出願前には取引者、需要者間に著名となっていた(甲第8号証、甲第11号証、甲第63号証、甲第65号証、甲第70号証、甲第75号証ないし甲第79号証)。

請求人の黒の輪郭線で描いたという特徴のある熊の図形と商号の「Bear U.S.A」の文字とを結合した商標を使用した商品があまりに人気を博したことから、我が国において大量の偽物が出回ったため、請求人は、一時日本への出荷を停止せざるを得ない状況に追い込まれた(甲第33号証)。

そして、平成8年4月25日には、偽商品を販売していた業者が摘発されたという新聞記事が掲載された(甲第34号証)。

このような状況を打開するため、請求人は1996年4月以来、新聞、雑誌に偽商品についての「警告広告」あるいは「注意広告」を何度も掲載してきたところである。(甲第9号証、甲第21号証ないし甲第23号証、甲第25号証ないし甲第32号証)

上述したとおり、請求人の黒の輪郭線で描いたという特徴のある熊の図と商号の「Bear U.S.A」の文字とを結合した商標は、著名となり、それを取り上げた新聞、雑誌等の記事において「ベアユーエスエー」或いは単に「ベアー」として紹介されるほどになっているものである。

請求人は、商標をより商品に適した構成とすべく、また、偽物対策をも含めて、平成8年(1996年)より、黒の輪郭線をもって描かれたという特徴のある熊の図形を描き、その輪郭線を延長した横長の輪郭線内に「Bear」の文字を書し、輪郭線の外側に「USA」の文字を書した構成よりなる商標に変更し、以来これを使用してきており、本件商標の出願前には、需要者、取引者間に著名となっている(甲第8号証、甲第10号証ないし甲第32号証、甲第65号証ないし甲第68号証、甲第71号証ないし甲第81号証)。

そこで、本件商標をみるに、本件商標は、請求人の使用に係る引用商標と類似する商標であることは上記1で述べたとおりである。

そうとすれば、本件商標をその指定商品について使用するときは、その商品が恰も請求人の業務に係る商品であるかの如く誤認を生じさせるおそれがあるといわざるを得ない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。

3 商標法第4条第1項第19号について

被請求人「株式会社セント・ローラン」は、主として被服、靴等のファッションに関する商品のブランドライセンスを業としている会社であることから、日本を含む世界各国の著名ブランドに精通していると推測されるところであり、請求人の著名商標も、当然知っていたということができる。

そして、その業務に係るブランドライセンスリストに掲載されている商標は、著名な商標をその一部に取り込み、著名な商標にフリーライドする目的とみられるような商標が多く掲載されているところである。

被請求人のライセンス事業の実情及びそのライセンスに係る商標の登録の状況及びそれらの商標についての無効審判、取消審判、異議申立、訴訟事件における判断、判決からみれば、被請求人は日常的に著名な商標にフリーライドするライセンス業をしているというのが相当である(甲第82号証ないし甲第91号証)。

また、被請求人は、「USABEAR」と「アズエーベー」の文字を2行に横書きしてなる登録第4345622号の商標のライセンスにおいても、「アズエーベー」の文字の部分を取り去って「USABEAR」の文字の部分についての使用許諾契約をし、かつこれについての被許諾人に対する平成12年4月21日付けの見解書に添付した登録証(写)において、「アズエーベー」の文字の部分を取り去った「USABEAR」の文字のみからなる商標を表示しているというように、極めて欺瞞的なライセンス事業を展開している(甲第37号証、甲第49号証の1ないし甲第49号証の3)。

この登録第4345622号の商標については、本件審判の請求人が取消請求をした結果、「通常使用権者による商品ジャケットについての通常使用権者使用商標の使用は、通常使用権者が指定商品についての本件商標に類似する商標の使用であって、請求人の業務に係る商品と混同を生じさせるものをしたというべきであり、また、請求人はその事実を知っていたものと認められる。したがって、本件商標は、商標法第53条第1項の規定により取り消されるべきものである。」との審決がなされ、その審決の取消を求めた審決取消請求事件においてもその請求が棄却されている(甲第51号証)。

また、被請求人は、本件商標と略同一の構成よりなる登録第4507125号の商標のブランドライセンスの広告(甲第92号証)をしていることから見れば、本件商標もこれと同じ意図をもって出願し登録したといい得るところである。

以上述べたように、請求人の商標が著名であり、本件商標はこれと類似の商標であること、被請求人の事業の内容からみて、請求人の商標が著名であることを知っていたといわざるを得ないこと、被請求人は著名商標にフリーライドするライセンス事業を展開していたこと、被請求人は、請求人の著名商標と紛らわしい商標となるような欺瞞的な商標をライセンスしていたこと等を総合勘案すれば、本件商標は、他人(請求人)の業務に係る商品を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標を不正の目的をもって使用する(使用させる)ために出願し、登録したといわざるを得ないものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものである。

4 まとめ

本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第19号に違反して登録されたものであるから、商標法第46条第1項の規定に基づき無効とされるべきものである。

第4 被請求人の答弁

被請求人は、請求人の上記第3の主張に対し何等答弁していない。

第5 当審の判断

1 商標法第4条第1項第15号について

(1)引用商標6の著名性

(ア)請求人の提出した各証拠によれば、以下の事実が認められる。

(a)雑誌「asayan」1996年1月号(甲第70号証)に、「ニューヨークで超話題のストリートブランド『Bear』のダウンジャケット」の記載とともに、「Bear」ブランド商品が掲載されている。

(b)雑誌「asayan」1996年2月号(甲第70号証)に、「N.Y.生まれの本格アウトドアブランド」として、「Bear」ブランドのダウンジャケットなどが掲載されている。

(c)雑誌「BOON」1996年2月号(甲第64号証)に、「N・Y・ブラック達は黒のダウンで完全武装!寒波到来とともに定番アイテムの流行が、日本襲来!!」「あまりの人気にメディアも混乱。ブームの秘密はMTVデビューにあり?」「・・・ノースフェイス、マーモットなどアウトドア系のビッグブランドと肩を並べるほど、広く認知されたのが、この『Bear』だ。・・・アメリカの人気音楽番組『MTV』でストリートファッションのマストアイテムとして取り上げられたのが大きな要因。」と記載されており、「Bear」ブランドのダウンジャケットが掲載されている。

(d)平成8年4月8日発行「繊研新聞」(甲第33号証)に、「ベアー・U・S・A社偽物排除へ強硬手段」「春夏物対日輸出を停止『今日本で売られているのは偽物』」「ベアー・U・S・Aは一昨年から販売して以来、米国や日本などで人気を集めているカジュアルウエア。」と記載されている。

(e)平成8年4月25日発行「繊研新聞」(甲第34号証)に、「偽ブランド品摘発/奈良県警」「・・・アメリカの『ベアー』など海外人気ブランド・・・」と記載されている。

(f)平成9年10月17日発行「繊研新聞」(甲第11号証)に、「この冬、Bearで差をつけろ!!」と記載された「Bear」ブランド商品の広告が紙面の全面を使用して掲載されている。

(g)平成9年10月22日発行「繊研新聞」(甲第74号証)に、他のメーカーの商品と並んで、「変わるヒップホップ系ブランド」「洗練され大人びたデザインに」「グラデーションを使った『ベアーUSA』のダウンジャケット」と記載し、「Bear」ブランドのダウンジャケットが掲載されている。

(h)平成8年4月11日、同11年9月27日、同年10月5日、同月13日、同12年9月25日及び同年10月23日発行の「繊研新聞」(甲第9号証、甲第21号証ないし甲第23号証、甲第27号証及び甲第28号証)に、「Bear U.S.A.からの警告」「現在日本市場で売られているBear U.S.A.ロゴが付いている商品は全て偽物です。」等の警告の広告ともいえる広告が掲載されている。

(i)雑誌「street Jack」1998年11月号及び同年12月号並びに1999年1月号及び同年2月号(甲第18号証及び甲第29号証ないし甲第31号証)に、「ニセモノの商品が氾濫しております。」「ニセモノに注意せよ!」等と記載された「Bear」ブランドの商品の警告の広告が掲載されている。

以上の雑誌、新聞における報道記事、紹介記事、広告等には、商標として、引用商標3、引用商標6等が表示されているが、請求人が「Bear」ブランドとして、主に使用しているものは、引用商標6と認められる。

(イ)上記(ア)で認定した事実によれば、平成8年の初めには、請求人が雑誌に広告を掲載していた「Bear」ブランドのダウンジャケットが、米国において人気音楽番組「MTV」で取り上げられて人気を得ているとして、我が国の雑誌、新聞において紹介されるとともに、同年4月には、ベアー・U・S・Aは、米国や日本で人気を集めているカジュアルウエアなどと新聞に記載されていたことが認められる。

また、時期を同じくして、既に同ブランドの偽物が出回り、同ブランドの商品の対日輸出が停止される旨が報じられており、請求人は、平成8年4月から同12年10月にかけて新聞、雑誌を通じて、同ブランドの「偽物が売られている」旨を記載した広告を10回にわたり行っている事実が認められる。

以上によれば、「Bear」ブランドとして、主に使用されている引用商標6は、本件商標の登録出願時ないし査定時には、ダウンジャケットなどのカジュアルウエアを表示する商標として、ファッション関連商品を取り扱う取引者、需要者の間に広く認識され、著名性を獲得していたものというべきであり、その状態は現在に至るまで継続しているものと認められる。

(2)本件商標と引用商標6の類似性

本件商標と引用商標6とを対比すると、本件商標は、左向きに立ち、頭部のみを右に向けた白抜き熊の下側に「PASCBEAR」の文字を記載し、その文字を囲んだ枠を配置するとともに、その枠を熊の図形及びその輪郭線と連続させて一体化させた構成よりなるものである。

これに対し、引用商標6は、左を向いた熊の図形及びその輪郭線を右側に延長した横長の輪郭線内に、「Bear」の文字を大きく表示し、さらに、その輪郭線の外の右側に、「USA」の文字を左に90度回転させて配した構成よりなるものである。

以上の両商標の構成よりすると、熊の図形の頭部の向きが異なり、また、その構成文字において、本件商標が、「PASCBEAR」の文字を表示しているのに対し、引用商標6は、「Bear」の文字の右側に「USA」の文字を分離して配した相違を有するものの、両商標は、熊の図形の描出方法(筆致)において相似た印象を与えるものであり、かつ、また、文字においては、「USA」の文字があるか否か、及び「BEAR」の文字と「Bear」の文字とに相違があるとしても、熊の図形がほぼ輪郭線のみにより描かれ、白抜きになっている等といった熊の図形の抽出方法、その結果描かれた熊全体の印象、熊の図形の輪郭線を延長した線内に文字の一部を表示しているという類似する点があるから、両商標は、外観においてある程度近似した印象を与えるものというべきである。

次に、称呼及び観念についてみるに、本件商標は、その構成中の「PASCBEAR」の文字部分に熊の図形を合わせると、「BEAR」すなわち「熊」という観念が生ずるといえるものであり、また称呼については、「PASCBEAR」の構成文字の全体に相応して「パスクベアー」の称呼を生ずるほか、「BEAR」の文字部分に相応して「ベアー」の称呼をも生ずるものと認められる。

これに対し、引用商標6は、熊の図形と「Bear」及び「USA」の各文字からなるものであって、全体の印象を支配するのは、「熊(Bear)」ということができるから、「USAのBear」、すなわち、「アメリカ(合衆国)の熊」を表したものと認識されることも、決して少なくないというべきである。

そうすると、引用商標6からは、「ベアーユーエスエイ」の称呼及び「USAのBear」より派生する「ユーエスエイベアー」の称呼を生ずるほか、「Bear」の文字部分に相応して「ベアー」の称呼をも生ずるものといわなければならず、また観念については、「アメリカ(合衆国)の熊」の観念のほか、「熊」の観念をも生ずるものと認められる。

そうとすれば、本件商標と引用商標6とは、「ベアー」(熊)の称呼及び観念を同一にするものである。

以上のとおり、両商標における外観、称呼及び観念を総合勘案すれば、本件商標と引用商標6とは、彼此相紛れるおそれがある程度に近似しているものといわなければならない。

(3)してみれば、引用商標6の著名性が、上記(1)のとおり認められること、また、本件商標と引用商標6とは、上記(2)のとおり、その類似性が相当に認められること、さらに、本件商標の指定商品には請求人の使用する商品が包含されており、それ以外の商品も、専らファッションに関連する商品であるということからすれば、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、これより容易に引用商標6を連想、想起し、該商品が請求人又は請求人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について誤認、混同を生ずるおそれがある商標といわなければならない。

また、被請求人は、上記第3の請求人の主張に対し、何等答弁するところがない。

2 結語

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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