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Trademark Appeal Case

地理的表示と誤認のおそれ

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2007−35544(T2007−35544/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」を指定商品として、平成18年12月6日に登録出願され、その後、指定商品については、当審における同19年12月26日付けの手続補正書により、第33類「フランス国マルヌ県、エーヌ県、オーブ県、セーヌ・エ・マルヌ県内の限定地域産の発泡性ぶどう酒」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定において、以下の(1)、(2)及び(3)のとおり認定、判断し、本願を拒絶したものである。

(1)本願商標は、その構成中に「フランス国産」の意味合いを表すフランス語「PRODUIT DE FRANCE」の文字及び「フランス国シャンパーニュ地方」を表す「CHAMPAGNE」の文字を有するものであるから、これを指定商品中フランス国産の商品以外の商品に使用するときは商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものと認める。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第16号に該当する。

(2)本願商標は、その構成中に世界貿易機関の加盟国のぶどう酒又は蒸留酒の産地を表示する標章のうち当該加盟国において当該産地以外の地域を産地とするぶどう酒又は蒸留酒について使用することが禁止されている「CHAMPAGNE」の文字を有するものであって、当該産地以外の地域を産地とするぶどう酒について使用する商品を含んでいるものと認める。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第17号に該当する。

(3)原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録商標及び商標登録出願に係る商標は、以下のとおりである。

登録第4506641号商標(以下、「引用商標1」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、平成12年11月1日に登録出願、第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」を指定商品として、同13年9月14日に設定登録されたものである。

登録第4962902号商標(以下、「引用商標2」という。)は、別掲3のとおりの構成よりなり、平成17年10月5日に登録出願、第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」を指定商品として、同18年6月23日に設定登録されたものである。

登録第5022486号商標(以下、「引用商標3」という。)は、別掲4のとおりの構成よりなり、平成18年5月1日に登録出願、第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」を指定商品として、同19年2月2日に設定登録されたものである。

登録第5040155号商標(以下、「引用商標4」という。)は、別掲5のとおりの構成よりなり、平成18年5月1日に登録出願、第33類「フランス国マルヌ県、エーヌ県、オーブ県、セーヌ・エ・マルヌ県内の限定地域産の発泡性ぶどう酒」を指定商品として、同19年4月13日に設定登録されたものである。

なお、本願の拒絶の理由に引用した商標登録出願2006−45215号商標及び商標登録出願2006−45239号商標の出願人は、平成19年12月10日付けで出願人名義変更届が提出された結果、本願商標の請求人と同一人となったものと認められる。さらには、商標登録出願2006−45215号商標(審判2007−12290)は、平成20年1月4日付けで請求不成立の審決が確定しているものである。

3 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第16号について

本願商標は、その指定商品について前記1のとおり補正された結果、これをその指定商品について使用しても商品の品質について誤認を生ずるおそれはなくなった。

したがって、本願商標が商標法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定の拒絶の理由は、解消した。

(2)商標法第4条第1項第17号について

本願商標は、その指定商品について前記1のとおり補正された結果、世界貿易機関の加盟国のぶどう酒若しくは蒸留酒の産地を表示する標章のうち当該加盟国において当該産地以外の地域を産地とするぶどう酒若しくは蒸留酒について使用をすることが禁止されている「CHAMPAGNE」の文字を有するものであるが、当該産地以外の地域を産地とするぶどう酒について使用する商品を削除したものと認められる。

したがって、本願商標が商標法第4条第1項第17号に該当するとして本願を拒絶した原査定の拒絶の理由は、解消した。

(3)商標法第4条第1項第11号について

引用商標2ないし4の商標権は、商標登録原簿の記載によれば、請求人が譲渡により取得し、その移転の登録がなされているものである。

したがって、本願商標の請求人と引用商標2ないし4の商標権者は同一人になったものであるから、本願商標と引用商標2ないし4が商標法第4条第1項第11号に該当するものとして、本願を拒絶した原査定の拒絶の理由は解消した。

そこで、本願商標と引用商標1との類否について検討するに、本願商標は別掲1のとおり文字と図形よりなるところ、両構成要素を常に不可分一体のものとしてのみ把握しなければならない特段の理由も見出し得ない。

そして、本願商標は、その指定商品との関係よりすれば、これは該商品のボトルに添付するラベルを表したものと認識させる構成よりなるものであり、その構成中の上部に「フランス国シャンパーニュ地方」を表す「CHAMPAGNE」の欧文字が表され、中央部に欧紋章風の図形を配し、その下部に「Baron−Fuente」(「Fuente」の「e」はアクサンテギュが付されている。以下同じ。)の欧文字を白抜きの筆記体により表され、その下部に該商品のアルコール濃度を表示した「12.5%Vol」の文字及び容量を表示した「750ML」の文字との間に、仏語で「名誉、栄光、名声」という意味を有するものの、一般に親しまれているとは認められないために一種の造語と判断されることがある「GLOIRE」の文字と、その指定商品との関係において「極辛口」の意味を有する「BRUT」の文字とを二段に表してなり、さらに、その下部に「フランス国産」を意味する「PRODUIT DE FRANCE」の文字を表し、最下部に判読し難い欧文字を表してなる構成よりなるものである。

しかして、その構成中の「CHAMPAGNE」及び「PRODUIT DE FRANCE」の文字部分は、その指定商品との関係においては商品の品質を表示する部分と認められるものである。また、「BRUT」の文字部分についても、例えば、「スパークリング−ワインの極辛口のもの。シャンパンでは醸造過程での許容加糖量が11あたり6−15gのもの」(株式会社三省堂発行「コンサイスカタカナ語辞典第3版」)、「シャンパンのタイプの名称の一つ。シャンパンのなかでは最も辛口で最も高価である。ブリュットとは”生地のまま”という意で、シャンパン製造工程において仕上げの段階で加えられる糖分の割合いが0.5%までのもの。」(株式会社柴田書店発行「改訂明解ワイン辞典」)及び「生地のままという意味で、甘味調節液の砂糖濃度が1%以下のもの。『生一本』あるいは『極辛口』と呼ばれる。」(株式会社真珠書院発行「酒(新・食品事典12)」)と記載されているものであり、さらに「BRUT」の語は、本願指定商品「ぶどう酒」を取り扱う業界において、商品の品質を表す語として使用されていることが、新聞、インターネット等に、次のように掲載されていることが窺い知ることができる。

(ア)「日本食糧新聞」(2007年9月5日付け)

「『マム コルドン ルージュF1』発売(ペルノ・リカール・ジャパン)」の見出しのもと、「フレッシュで生き生きとした味わいが特徴のブリュット(辛口)シャンパン。」の記載がある。

(イ)「日本経済新聞 日経プラスワン」(2006年12月2日付け3頁)

「スパークリングワイン 乾杯シュワッと華やかに(買物百科)」の見出しのもと、「スパークリングワインの選び方として甘口か辛口かという判断基準がある。ラベルに『Brut(ブリュット)』との表記があれば辛口、『Demi Sec(ドミセック)』は甘口と覚えておくと便利だ。」の記載がある。

(ウ)「朝日新聞 東京夕刊」(2006年2月1日付け7頁)

「シャンパンはいかが?グラス一杯、気軽に」の見出しのもと、「シャンパンを大別すると『ノンビンテージ』(NV)と、ブドウの出来が秀逸な年に誕生する『ビンテージ』の2種。気軽に楽しむのであれば、NVがお薦めだ。辛口、甘口とあるが、『ブリュット』と呼ばれる辛口が一般的。」の記載がある。

(エ)「日本食糧新聞」(2006年3月20日付け)

「『ローズラベル ハーフ』発売(ヴーヴ・クリコ・ジャパン)」の見出しのもと、「発泡酒。ノン・ヴィンテージのブリュット(辛口)のシャンパーニュ」の記載がある。

(オ)「シャトー訪問記 ペリエ・ジュエ(上)ブリュット(辛口)の先駆者」を見出しとするウェブサイトにおいて、「ところが、1830年代に入ると、英国の消費者からシロップ風味の強いシャンパーニュに対する反発が強まった。そこで、このメゾンは顧客の好みに合わせて、糖分添加を行わない辛口のシャンパーニュを造った。1854年のことだ。ローラン・ペリエの『ウルトラ・ブリュット』の原型となるノン・ドサージュの『サン・スクレ』が発売されたのが1889年。辛口をさす『ブリュット』という名前は1880年代にポピュラーになったそうだ。」の記載がある。

(http://www.yomiuri.co.jp/gourmet/drink/chateau/20050525gr05.htm)

(カ)「シャンパンの最新トレンド、辛口・無添加の『ブリュット・ゼロ』−フランス」を見出しとするウェブサイトにおいて、「世界市場でシャンパンの売り上げの95%を占めるブリュット(brut)と呼ばれる辛口の種類でさえ、1本につきティースプーンに3杯ほどの砂糖が入っている。」の記載がある。

(http://www.afpbb.com/article/1007928)

以上の事実及び本願商標の構成等により、本願商標の自他商品の識別標識としての機能を果たし得る部分は、その構成全体、欧紋章風の図形部分、「Baron−Fuente」及び「GLOIRE」の文字部分と判断されるものである。

そして、その構成中「Baron−Fuente」及び「GLOIRE」の文字部分は、その文字の書体、大きさ及び色を異にするものであり、両文字を不可分一体にのみ認識されなければならない特段の理由も見出し得ないため、本願商標に接する取引者、需要者は、両文字部分より生ずる「バロンフェンテ」及び「グロワール」のそれぞれの称呼をもって取引に資する場合も決して少なくないといわなければならない。

ゆえに、本願商標は、「Baron−Fuente」及び「GLOIRE」の文字部分より「バロンフェンテ」及び「グロワール」の称呼を生ずるものとみるのが自然である。

他方、引用商標1は、別掲2のとおり、「TaKaRa」、「GLOIRE」及び「グロワール」の文字をそれぞれ三段に書してなるところ、「GLOIRE」及び「グロワール」の文字は、「TaKaRa」の文字に比べて大きい文字で書してなるものである。そして、該「TaKaRa」の文字部分は、引用商標の商標権者の代表的ハウスマークと認められるものであり、しかも、引用商標を構成する「TaKaRa」の文字と、「GLOIRE」及び「グロワール」の文字とが、常に不可分一体にのみ認識されなければならない特別の理由も見出し得ないところから、引用商標1は、「GLOIRE」及び「グロワール」の文字部分を捉え、これより生ずる称呼をもって取引に資する場合も決して少なくないといわなければならない。

そうとすると、引用商標1は、その構成文字全体に相応して「タカラグロワール」の一連の称呼を生ずるほか、「GLOIRE」及び「グロワール」の文字部分に相応して「グロワール」の称呼をも生ずるものである。

次に、本願商標及び引用商標1の外観上の差異についてみると、本願商標は別掲1のとおり文字と図形よりなり、引用商標1は、前記のとおり「TaKaRa」、「GLOIRE」及び「グロワール」の文字をそれぞれ三段に書してなる構成よりなるから、両商標は、その外観において明らかに異なるといえるが、他方、両商標の構成中「GLOIRE」の各文字部分は、同一であるから、外観上近似した印象を与えるものである。

さらに、本願商標及び引用商標1の観念上の差異についてみると、商標の類否判断の要素としての観念とは、多くの取引者、需要者がその商標自体から直ちに一定の意義を想起させるものであることを要するものというべきであるところ、両商標において自他商品の識別標識として機能を有するものと認められる「GLOIRE」の文字は、我が国において親しまれた英語等の外国語とはいい難いから一種の造語と理解される場合があるとしても、前記意味を同じくするものである。してみれば、観念上で明確な違いを有するものではないから、その違いにより、両者が別異のものとして明確に区別されるとはいえないものである。

してみれば、本願商標と引用商標1とは、外観において相違するものであるとしても、「GLOIRE」の各文字部分について同一であり、観念においては明確な違いを有するものではなく、「グロワール」の称呼を共通にする類似の商標というべきである。

また、本願商標の指定商品は、引用商標1の指定商品と同一又は類似のものである。

したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するものであるとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、これを取り消すべき限りでない。

よって、結論のとおり審決する。

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