sokuhyo

Trademark Appeal Case

称呼の類似性と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2008−10943(T2008−10943/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「鮮冷」の漢字を標準文字で横書きしてなり、第29類「食用魚介類(生きているものを除く。),加工水産物」を指定商品として、平成19年7月9日に登録出願されたものである。

2 引用商標

原査定において、本願の拒絶の理由に引用した登録第5082006号(以下「引用商標」という。)は、「鮮麗」の漢字を標準文字で横書きしてなり、平成18年10月13日に登録出願、第29類「食用油脂,乳製品,食肉,卵,食用魚介類(生きているものを除く。),冷凍野菜,冷凍果実,肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物,食用たんぱく」を指定商品として、同19年10月5日に設定登録されたものである。

3 当審の判断

(1)本願商標と引用商標との類否について

本願商標は、上記1のとおり、「鮮冷」の漢字を標準文字で横書きしてなるところ、漢字2字からなる語における称呼は、一般には音読みによるものといえるから、該構成文字に相応して、「センレイ」の称呼が生ずると認められる。

他方、引用商標は、「鮮麗」の漢字を標準文字で横書きしてなるから、これよりは「センレイ」の称呼を生ずるものである。

そうすると、本願商標と引用商標とは、「センレイ」の称呼を同じくするものである。

次に、本願商標と引用商標の外観上の差異についてみると、両商標は標準文字で横書きされた漢字2字からなるところ、いずれの商標とも、看者の注意を強く引く語頭部に「鮮」の漢字を配してなるものであることからすれば、需要者がそれぞれを時と所を異にして隔離的に接した場合には、視覚上少なからず近似した印象を受けるとみるのが相当である。

さらに、観念についてみると、引用商標は、「あざやかでうるわしいこと」(株式会社岩波書店発行「広辞苑第6版」)を意味する成語であるのに対して、本願商標は特定の意味合いを有しない造語と認められる。

しかしながら、両商標に共通する語頭部の「鮮」の文字は、指定商品を取り扱う分野においては、「海鮮」(新鮮な海産物。)、「新鮮」(肉類・野菜などの新しくて生きがよいこと。)、「生鮮」(新しく生き生きとしていること。新鮮。)、「生鮮食料品」(野菜・魚肉など、特に新鮮であることを必要とする食料品。)、「鮮魚」(新しい魚。いきのよい魚。)、「鮮度」(食品などの新鮮さの度合。)(いずれも、上記「広辞苑第6版」)等の熟語が使用されていることが知られているところであり、該文字を語頭に置く両商標は、「鮮」の文字部分から、少なからず「新しいこと。なまなましいこと。」(上記「広辞苑第6版」)の意味合いを認識させるものである。

この点については、請求人も「請求の理由」において、「食用魚介類や加工水産物は基本的に生ものであり、新鮮であること、食べておいしいことなどが商品選択の最も重要な要素である」旨述べているものであり、本願指定商品の取引者、需要者は、該商品について「新鮮」であることが重要な要素と認識しているものであることからしても、「鮮」の文字部分から「新しいこと。なまなましいこと。」を意味合いを認識するということができる。

しかして、本願商標と引用商標とは、上記のとおり外観上少なからず近似した印象を受けるものであり、観念においても少なからず「新しいこと。なまなましいこと。」の意味合いを認識させるものであって、かつ、「センレイ」の称呼を共通にする商標である。

そして、時と所を異にする取引の実際にあっては、これらを同一又は類似の商品に使用すれば、平均的な需要者の注意力を基準としてみた場合、その共通性から受ける印象・記憶・連想等により、その出所について誤認混同を生ずるおそれがあるといわざるを得ないから、本願商標と引用商標とは、類似の商標というべきである。

また、本願商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品であることが明らかである。

したがって、本願商標は、引用商標に類似する商標であり、かつ、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。

(2)請求人の主張について

請求人は、「『取引の実情』について考察するに、本願商標の指定商品である食用魚介類や加工水産物は、現実の取引形態が主として店頭において販売されるものである。そして、食用魚介類や加工水産物は基本的に生ものであり、新鮮であること、食べておいしいことなどが商品選択の最も重要な要素であるから、商品の購入者は現物を手にとって慎重に選びかつ商品に付された商標を自分の目で確認するのが通常であって、単に称呼のみで購入することは稀である。また、この種の商品は一般家庭において日常的に消費されるものであるから、主たる需要者は主婦などの一般消費者である。そのような需要者は、直接、店頭に出向いて商品の良し悪しや商品に付された商標を自分の目で確認するもので、外観、観念、称呼のうちの1点(特に称呼)のみに基づいて取引が行われるといった特別な事情は存在しない。」及び「電話注文であっても、需要者である一般消費者は、通常、チラシやインターネットホームページなどで店舗名や商品に付された商標などを確認した上で注文するものと認められるから、やはり、出所について誤認混同のおそれはない。」旨主張している。

しかしながら、通常の商取引において、商標は常に直接並べて対比されるわけではなく、時と所を異にして人間のあいまいな記憶に基づいて認識されるものであり、この点については、本願指定商品の主たる需要者である一般消費者についても、同様に認識されるというべきであって、上記のとおり両商標は、この種商品に多く用いられる「新鮮」、「鮮度」等の熟語に使用される「鮮」の文字を語頭部におく共通性があるため、外観に置いても近似した印象を与えるものである。

ましてや、本件については、上記のように外観、称呼、観念を総合的に考察して認定、判断したものであり、かつ、取引の実情を考慮しても、請求人のこの主張は採用することができない。

さらに、請求人は、過去の審決例及び判決例を挙げて本願商標も登録されるべきであると主張しているが、商標登録出願に係る商標が商標法第4条第1項第11号に該当するか否かは、過去の審決例及び判決例の判断に拘束されることなく、個々の事案に即して当該出願に係る商標と特定の他人の登録商標との対比において、個別具体的に判断されるべきものであり、また、いずれも本願商標とは商標の構成及び指定商品等を異にする事案であって、必ずしも本件に適切なものとはいえない。したがって、請求人のこの主張も採用することができない。

(3)まとめ

以上のとおり、本願商標を商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。