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Trademark Appeal Case

一音違いの称呼類似性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号判定2008−600030(T2008−600030/J6)
審判種別記載はありません。
結論other

結論テキスト

商品「スキンケア用化粧品」に使用する(イ)号標章は、登録第4516290号商標の商標権の効力の範囲に属する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4516290号商標(以下「本件商標」という。)は、「ダーマサイエンス」の片仮名文字を横書きしてなるものであり、平成12年12月8日に登録出願、第3類「化粧品」を指定商品として、同13年10月19日に設定登録がされたものである。

第2 イ号標章

被請求人がスキンケア用化粧品に使用しているイ号標章は、「ダーマルサイエンス」の文字からなるものである。

第3 請求人の主張

請求人は、被請求人が商品「化粧品、せっけん類」について使用するイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属する、との判定を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第8号証を提出している。

1 請求の理由

(1)判定請求の必要性

請求人は、本件商標の商標権者であり、平成14年4月ころから、クレンジング、ローション、クリーム等のスキンケアシリーズについて、本件商標を付して販売を開始し、現在、同シリーズは請求人の主力商品となっている。

被請求人が自社のスキンケアシリーズにイ号標章及び「Dermal Science」を使用していることを確認したので、請求人は、イ号標章及び「Dermal Science」の標章は本件商標の商標権を侵害するものである旨の警告を発するために、当該標章が本件商標の商標権の効力の範囲に属するか否かについて判定を求めるものである。

(2)イ号標章の説明

被請求人は、平成19年5月7日頃、「ダーマルサイエンス」の片仮名文字を書してなるイ号標章を冠したスキンケアシリーズ(クレンジング3種類、ローション2種類、エッセンス2種類、クリーム1種類から構成される。別称「C&C」。)の発売を展示会等で発表し(甲第3号証及び4号証)、イ号標章を「Dermal Science」と英語表記にしてパッケージ及び本体に付した当該各商品の発売を開始した(甲第5号証)。そして、現在もそれらの標章を使用して当該各商品を販売中である(甲第6号証及び7号証)。なお、甲第7号証においては、本件商標と同じ「ダーマサイエンス」と表示されている。

(3)イ号標章が商標権の効力の範囲に属するとの説明

本件商標は、「ダーマサイエンス」の称呼を生じる。他方、イ号標章は、「ダーマルサイエンス」の称呼を生じる。かかる称呼を比較すると、イ号標章の称呼は本件商標の称呼に比して「ル」の1音が多いが、称呼の音構成は長く、当該1音「ル」が中間に位置することから、全体の音感が近似する。したがって、本件商標とイ号標章は、称呼上類似するものである。

また、本件商標からは、「ダーマ」(derma)すなわち「肌、皮膚」、「サイエンス」(science)すなわち「科学」との観念を生ずる。他方、イ号標章は、「ダーマル」(derma)すなわち「肌の、皮膚の」、「サイエンス」(science)すなわち「科学」との観念を生ずる。かように本件商標とイ号標章からは、ほぼ同一の観念が生ずる。

さらに、本件商標と、同じく片仮名文字を書してなるイ号標章は、中間の「ル」の文字の有無以外に外観上の差異はない。

そして、イ号標章は、本件商標に係る指定商品である化粧品、せっけん類に使用されている。

以上のとおり、イ号標章は本件商標と類似する標章であり、その使用商品は、本件商標の指定商品であるから、被請求人が商品「化粧品、せっけん類」について使用するイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属するものである。

2 弁駁

(1)イ号標章が独立して使用されている。

ア 被請求人は、「ダーマルサイエンス」は商品の説明文であり、「ダーマルサイエンススキンケアシリーズ」との一連の説明文として使用していると反論する。

しかし、「ダーマルサイエンス」という言葉が「皮膚科学」という意味で需要者に広く一般的に用いられているという事実は存在しない。したがって、このような記載は、商品の「説明文言」「説明文」としての役割を果たすものではない。

イ 被請求人は、商標(標章)は「C&C」であり、「ダーマルサイエンス」ではないと反論する。

しかし、被請求人は、「ダーマルサイエンス」と「C&C」を商品の標章として併用しているのであり、「C&C」が標章であるから、「ダーマルサイエンス」は標章でないという理論は成り立たない。

ウ 被請求人は、平成20年10月2日付けで請求人に対して「回答書」(甲第8号証)を送付しているが、同回答書は、「ダーマルサイエンススキンケアシリーズ C&C」が商品の標章であるという前提で書かれている。被請求人が「ダーマルサイエンス」を標章として(あるいは標章の一部として)使用していることは係る回答書の内容からも明らかである。

そして、被請求人は、上記回答書において、「ダーマルサイエンススキンケアシリーズ C&C」がまとまった一つの標章であるかのごとく記載しているが、被請求人の使用例(甲第3号証、甲第4号証及び6号証)からすると、「ダーマルサイエンス」は、「ダーマルサイエンススキンケアシリーズ C&C」という標章の一部ではなく、それ自体独立した標章である。

(2)イ号標章は、商標権の効力の範囲に属する。

被請求人の主張は、商標法第26条第1項第2号により、イ号標章には商標権の効力が及ばないとするもののようである。

しかし、「ダーマルサイエンススキンケアシリーズ」等の記載が、化粧品の普通名称、品質、原材料、効能等を普通に用いられる方法で表示したものとはいうことはできない。被請求人も「ダーマルサイエンス」が化粧品の普通名称、品質、原材料、効能等の表示として用いられている例を挙げていない。

イ号標章に商標法第26条第1項第2号は、適用されない。

第4 被請求人の答弁

被請求人は、イ号商標は、本件商標の商標権の範囲に属しないとの判定を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第3号証を提出した。

1 イ号標章「ダーマルサイエンス」は、商品の説明文言であり、常に「ダーマルサイエンススキンケアシリーズ」との一連の説明文として使用しており、標章として使用しているものではない。なお、甲第7号証の「ダーマサイエンス」の表記は、出版社の誤植であり、有料の広告ではない出版社側の企画であるため、被請求人の関知するところでない。

2 「ダーマルサイエンス」は、広く「皮膚科学」という意味で用いられており、「ダーマル」という言葉は、エステティックの業界においては「皮膚の」という意味(乙第3号証)で「ダーマ」より知られている言葉である。「ダーマ」は英語ではなく、「デルマ」から作られた造語であるが、「ダーマル」は一般的な英語である。さらに、海外には「ダーマルサイエンス社」(乙第1号証)やダーマルサイエンスという化粧品(乙第2号証)も存在しているように一般的な用い方をされる文言である。

3 よって、イ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属しない。

第5 当審の判断

(1)本件商標は、前記のとおり、「ダーマサイエンス」の文字を書してなるから、その構成文字に照応して「ダーマサイエンス」の称呼を生じ、また、全体として特定の意味を有するものとして知られているとはいえず、構成中の「サイエンス」の文字が、「科学」を意味するとしても「ダーマ」の文字部分が特定の意味合いを有するものとして知られているとはいえないから、特定の観念を生じないものと認められる。

(2)イ号標章は、前記のとおり、「ダーマルサイエンス」の文字を書してなるから、その構成文字に照応して「ダーマルサイエンス」の称呼を生じ、また、全体として特定の意味を有するものとして知られているとはいえず、構成中の「サイエンス」の文字が、「科学」を意味するとしても「ダーマル」の文字部分が特定の意味合いを有するものとして知られているとはいえないから、特定の観念を生じないものと認められる。

なお、被請求人は、エステティック業界で「ダーマル」は「皮膚の」との意味で知られているとして乙第3号証を提出しているが、乙第3号証は医学英和大辞典であり、イ号標章が使用されているスキンケア用化粧品は一般消費者をも需要者とする商品であるから、このような専門書に記載があったとしても、上記需要者において上記意味合いを認識しているとはいうことができない。

また、被請求人は、「ダーマルサイエンス」は広く「皮膚科学」という意味で用いられているとして乙第1号証及び2号証を提出しているが、いずれも外国企業の、かつ、英語で作成されたウェブサイトであり、係る証拠によっては、「ダーマルサイエンス」の語が「皮膚の科学」の意味合いを有するものとして、一般に認識されているものとは認められない。

(3) そこで、本件商標とイ号標章の類否について検討する。

まず外観についてみると、本件商標とイ号標章とは、前半の「ダーマ」及び後半の「サイエンス」の文字を共通にするものであり、イ号標章の4文字目の「ル」の有無の差を有するが、外観上印象の薄い中間に位置するものであるから、両者は、外観上類似する商標といえる。

次に、称呼についてみると、本件商標から生ずる「ダーマサイエンス」とイ号標章から生ずる「ダーマルサイエンス」の称呼とは、「ル」の音の有無の差異を有するものであるが、該差異音は、長音を含めて8音又は9音からなる比較的冗長といえる称呼にあって、聴取しがたい中間に位置し、他の音を全て共通にするするものであり、加えて、該差異音に続く「サイエンス」は、「科学」の意味を看取させ、「サ」の音が強く発せられることから、「ル」の音は印象の薄い音となり、両者を一連に称呼するときは、全体としてその語感、語調が近似し、称呼上、相紛らわしいものというべきである。

また、本件商標とイ号標章は、ともに特定の観念を生じない造語であるから、観念において比較すべくもないものである。

してみれば、本件商標とイ号商標とは、観念において、比較できないとしても、外観、及び称呼において類似するものであるから、互いに相紛らわしい類似の商標というのが相当であり、かつ、イ号標章を使用するスキンケア用化粧品は、化粧品の範疇に属する商品であるから、本件商標の指定商品とは同一又は類似するものである。

(4)被請求人は、イ号標章は「ダーマルサイエンススキンケアシリーズ」との一連の説明文として使用していると主張しているが、「ダーマルサイエンススキンケアシリーズ」の文字中、「スキンケアシリーズ」は、スキンケア商品のシリーズであることを容易に認識されるのに対し、「ダーマルサイエンス」の部分は、前記のとおり、特定の意味合いを有するものとして認識されるものではないから、「ダーマルサイエンススキンケアシリーズ」と使用しているとしても、単に商品の説明として認識されるのではなく、商品の出所を表す商標として認識されるというべきである。

そして、この場合、「スキンケアシリーズ」の部分を捨象して「ダーマルサイエンス」の部分が要部として認識される場合も決して少なくないものというのが相当であるから、イ号標章の使用は、商標的使用というべきである。

(5)以上のとおりであるから、被請求人がスキンケア用化粧品に使用しているイ号標章は、本件商標に係る商標権の効力の範囲に属するものである。

よって、結論のとおり判定する。

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