結論テキスト
審判費用は被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2008−890038(T2008−890038/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第5002368号商標(以下「本件商標」という。)は、「SUDOKUパズラー」の文字を標準文字で表してなり、平成18年5月19日に登録出願、第16類「雑誌・新聞」を指定商品として、同年11月10日に設定登録されたものである。
請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録商標は、以下の(1)及び(2)のとおりである。
(1)登録第3327502号商標(以下「引用A商標」という。)は、「数独」の文字を書してなり、平成6年9月29日に登録出願、第16類「印刷物,書画,写真,写真立て」を指定商品として、同9年7月4日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
(2)登録第4936155号商標(以下「引用B商標」という。)は、「数独」と「Sudoku」の文字を二段に横書きしてなり、平成17年8月19日に登録出願、第9類「電子応用機械器具及びその部品,家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM,電子出版物」を指定商品として、同18年3月10日に設定登録されたものである。(以下、これらを総称するときは、単に「引用商標」という。)
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1ないし第33号証を提出した。
(1)本件商標と引用商標との類否
本件商標「SUDOKUパズラー」からは、以下の理由により、「スウドク」単独の称呼を生じるものである。
(ア)本件商標「SUDOKUパズラー」を構成する欧文字「SUDOKU」と片仮名文字「パズラー」とは、文字の種類(欧文字と片仮名文字)を異にするものであることから、視覚上、「SUDOKU」の文字部分と「パズラー」の文字部分に分離して把握されるものである。
(イ)また、本件商標の全体から生じる一連の称呼「スウドクパズラー」は、8音構成であって一連に称呼するには冗長であると共に、「スウドク」と「パズラー」の間には段落差を生じることから、簡易迅速を旨とする取引場裡においては、前半の文字部分「SUDOKU」から生じる「スウドク」の称呼をもって取引に資することも多いとみるのが自然である。
(ウ)さらに、本件商標を構成する「SUDOKUパズラー」の文字全体で特定の熟語を構成するものではないことから、観念上においても、前半の文字部分「SUDOKU」と、後半の文字部分「パズラー」とは別個独立して把握されるものである。
(エ)なお、特許庁の審判・異議事件においても、欧文字と片仮名文字とを結合して構成した商標に関して、文字の種類(欧文字と片仮名文字)を異にすること等を理由として、欧文字の部分と片仮名文字の部分とが別個独立して把握され、その結果、欧文字の部分及び片仮名文字の部分から独立した称呼が生じるとの認定が示されている(甲第4ないし第21号証)。
以上のとおり、本件商標は、外観上、称呼上、観念上のいずれの観点からも、前半の文字部分「SUDOKU」と後半の文字部分「パズラー」とが分離独立して認識把握されるものであることから、前半の文字部分「SUDOKU」に対応して単に「スウドク」の称呼をも生ずるものと判断すべきものである。
一方、引用A商標「数独」及び引用B商標「数独/Sudoku」からは、「スウドク」の称呼を生じることは明らかであることから、本件商標「SUDOKUパズラー」と引用A商標及び引用B商標とは、「スウドク」の称呼を共通にする類似商標である。
(2)本件商標の指定商品と引用商標の指定商品との類否
本件商標の指定商品「雑誌・新聞」は、引用A商標の指定商品中の「印刷物」と類似するものである。
また、本件商標の指定商品「雑誌・新聞」は、引用B商標の指定商品中の「電子出版物」と類似するものである。
(3)まとめ
以上のとおり、本件商標と引用商標とは、「スウドク」の称呼を共通にする類似商標であり、かつ、指定商品も抵触するものであることから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、その登録は無効とされるべきである。
(1)請求人の商標「数独」及び「SUDOKU」の著名性
請求人(株式会社ニコリ)は、米国で「ナンバープレイス」と呼ばれていたパズルを、1984年に「数独」(英文名=SUDOKU)と命名した上で日本国内に紹介し(甲第22号証)、それ以降、継続的に「雑誌、ゲームソフト」等に関して、商標「数独」、「SUDOKU」を使用している。
そもそも、「数独」(SUDOKU)なる用語は、請求人の代表者である「鍛治真起」が「数字は独身に限る(1ケタの数字しか使えない)」というルールを短縮して考案した「創造語」である。
そして、商標「数独」、「SUDOKU」を使用した「パズルゲーム」が世界的に大ヒットすると共に、我が国の主要新聞(読売新聞、朝日新聞、毎日新聞、日経流通新聞、The Japan Times)や雑誌(週間東洋経済、文藝春秋)等において大きく取り上げられたことから、商標「数独」、「SUDOKU」は、請求人の業務に係る商品を指称するものとして取引者・需要者間において著名となっているものである(甲第22ないし第28号証)。
そして、本件商標の登録出願時(平成18年5月19日)に、請求人の商標「数独」、「SUDOKU」が既に著名となっていたことは、甲第22号証に係る「読売新聞の掲載記事(平成17年10月15日付け)」、同第23号証に係る「朝日新聞の掲載記事(平成18年3月12日付け)」、同第24号証に係る「毎日新聞の掲載記事(平成18年4月5日付け)」、同第25号証に係る「週刊東洋経済の掲載記事(平成18年4月22日付け)」等より明らかである。
なお、商標「数独」、「SUDOKU」が請求人の業務に係る商品であることを示す商標として著名となっている事実は、特許庁の商標登録無効審判、商標登録異議申立及び商標審査において認定されており、その例としては、無効2007−890099号、無効2007−890098号、異議2006−90418号、商願2005−78011号及び商願2006−40074号がある(甲第29ないし第33号証)。
以上のとおり、本件商標の登録出願時において、商標「数独」、その英文名である「SUDOKU」は、請求人の商標として著名となっていたことから、「SUDOKU」の文字を含む本件商標「SUDOKUパズラー」がその指定商品に使用された場合、一般の取引者・需要者は、当該商品が請求人の業務に係る商品であるかの如く誤認し、商品の出所について混同を生じるものである。
さらに、本件商標「SUDOKUパズラー」をその指定商品に使用することは、請求人が1984年以降長年にわたって培ってきた「数独」、「SUDOKU」ブランドの名声にただ乗りすると共に、そのブランド価値を希釈化させる行為であり、公正な取引秩序を乱す行為であるといわざるを得ない。
(2)まとめ
以上、商標「数独」、「SUDOKU」は、請求人の商標として、本件商標の登録出願時において著名であったことから、「SUDOKU」の文字を含む本件商標「SUDOKUパズラー」がその指定商品に使用された場合、請求人の業務に係る商品であるかの如く商品の出所について混同を生じるおそれがある。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当し、その登録は無効とされるべきである。
以上に述べたとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当し、同法第46条第1項第1号により無効とされるべきものである。
被請求人は、何ら答弁していない。
請求人は、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当する旨主張しているので、この点について判断する。
(1)甲第22ないし第28号証によれば、以下の事実が認められる。
(ア)甲第22号証は、2005年10月15日付け讀賣新聞と認められるところ、該讀賣新聞によれば、「日本名パズル『数独』」の見出しの下、「『SUDOKU(数独)』という日本名の数字パズルが、欧米で大ブームを巻き起こしている。...1970年代から米国のパズル雑誌が『ナンバープレイス』の名で掲載。日本のパズル会社『ニコリ』が84年に『数独』の名前をつけて日本に紹介した。同社の鍜治真起社長によると、『数字は独身に限る(1ケタの数字しか使えない)』というルールを短縮したのが名前の由来。...パズルファンのグルドさんは、訪日の際にたまたま『数独』を見つけて夢中になり、インターネットの個人サイトで紹介した。さらにパズルを掲載した新聞を試作して、タイムズ社に持ち込み採用となった。...」と記載されている。
(イ)甲第23号証は、2006年3月12日付け朝日新聞と認められるところ、該朝日新聞によれば、「天声人語」の項には、「...いま欧米でジグソーやクロスワード以来の流行と言われているのは『数独(すうどく)』という日本ゆかりのパズルだ。書店や駅売店にはsudokuと題するパズル本が並び、高級紙が娯楽面で出題を競う。あまりの熱中ぶりに『乗務中は数独禁止』と社員に命じた航空会社もある▼世界的な流行は東京都台東区の小さな出版社から始まった。社員18人のニコリ社だ。...1から9まで一桁(けた)の数、言わば独身の数しか使わないパズルだから、数独と名付けた▼ニュージーランド出身の元判事が日本を旅行中、たまたま書店で数独を見て夢中になる。自分で大量に作問し、英タイムズ紙に新企画として持ち込んだ。一昨年の秋に掲載が始まると、他紙も懸賞品をつけて追随した。昨年は米新聞界へ広がった...」との記事が掲載されている。
(ウ)甲第24号証は、2006年4月5日付け毎日新聞と認められるところ、該毎日新聞によれば、「日本育ちのパズル『数独』(SUDOKU)」の見出しの下、「...ニコリの鍜治真起社長(54)が22年前、米国のパズル誌に掲載されているのを見付け、1桁の数字しか使わないことから『数字は独身に限る(後に『数独』に短縮)』と命名。ゲームとして洗練させた。04年11月、一人の数独ファンから売り込みを受けた英タイムズ紙が「SUDOKU」として載せたところ、購読数を伸ばすほどの爆発的な人気を呼び、翌月には他紙もこぞって掲載を始めた。現在は欧米やアジアなど六十数カ国で楽しまれている。...」との記事が掲載されている。
(エ)甲第25号証は、2006年4月22日発行の週刊東洋経済と認められるところ、該週刊東洋経済によれば、「ニコリ『数独』数字を入れるだけのパズルが大ブーム」の見出しの下、「...ニコリは1984年に『パズル通信ニコリ』に数独を初めて載せた。現在は日本の約200の新聞、雑誌のほか、ニンテンドーDSのソフトにも問題を提供している。...ブームの発端は、『パズル通信ニコリ』のファンで数独に熱中していたニュージーランド人が、英国のタイムズ紙に自作の問題を持ち込んだことだった。2004年秋に連載が始まり、みるみる人気が出て、昨年、日本にもブームが逆上陸した。...」との記事及び本文外に「あいているマスに数字を当てはめるパズル。ペンシルパズル本『数独』1〜23巻(各620円)、『パズル通信季刊ニコリ』(840円)、『パズル通信ニコリ別冊決定版数独』(900円)。」として表紙に「数独」の文字を使用した雑誌または書籍が掲載されている。
(オ)甲第26号証は、平成18年6月1日発行の文藝春秋と認められるところ、該文藝春秋には、「『数独パズル』世界を制す」の見出しの下、「本誌連載中の『考えるパズル』でお馴染みの『数独』が、日本国内を飛び出し、世界中で大人気となっているのを、ご存知ですか。...今ではもう世界七十カ国以上の人々が数独を知っています。...『SUDOKU』は世界語...ローマ字表記の『SUDOKU』は世界語になりました。英語圏では”ス”にアクセントを置いて『スドク』、中国語圏では『スードゥー』、スペイン語圏で日本語と同じ『スウドク』と呼ばれている。今年度版から、オックスフォード辞典にも『SUDOKU』が収録されたようです。...」と鍜治真起社長自らの「数独」に関するコメントとして掲載されている。
(カ)甲第27号証は、2006年6月21日付け日経流通新聞と認められるところ、該日経流通新聞によれば、「2006年上期ヒット商品番付」の見出しの下、東の横綱に「脳を鍛えるゲーム」として、「数独」パズルが掲載されている。
(キ)甲第28号証は、2006年7月3日付けThe Japan Timesと認められるところ、該新聞によれば、「Sudoku」の創作者として請求人(株式会社ニコリ)の代表者である鍛治真起(Maki Kaji)が紹介されている。
(2)以上の事実によれば、請求人の代表者は、米国で流行していた「ナンバープレイス」というパズルを1984年頃に日本に持ち込み、「数独」との名称を付して、請求人の業務に係る数字パズル及びこれを掲載した雑誌について使用したこと、外国人旅行者が日本の書店で該パズルを目にし、その後、2004年末ころに、英国のザ・タイムズ紙が取り上げたことに端を発し、本件商標の登録出願前には、欧米諸国をはじめ、日本を含む世界各国で大流行したこと、請求人の業務に係る数字パズルに使用される「数独」の名称は、「数字は独身に限る(1桁の数字しか使えない)」というルールを短縮したのがその由来であること、該パズルは、海外においては「数独」のローマ字表記「SUDOKU」として知られていることなどが認められる。
そうとすれば、引用商標は、請求人がパズルゲーム、印刷物、電子出版物等について使用する商標として、日本国内はもとより世界的にも知られ、請求人の商品表示として著名性を獲得し、本件商標の登録出願時には既に一般の取引者、需要者の間に請求人の商品表示として広く認識されていたものというべきであり、その状態は登録査定時においても継続していたものと認められる。
(1)本件商標について
本件商標は、前記したとおり、「SUDOKUパズラー」の文字からなるところ、欧文字と片仮名文字という異種文字からなるものであるから、「SUDOKU」と「パズラー」とに分離して観察されるばかりでなく、該構成文字全体をもって、常に一体のものとしてのみ把握しなければならないとすべき特段の理由も見いだせない。
そして、「SUDOKU」の語は、請求人が創作した特異な創造語といえるものであるから、「パズラー」の語に比べ、強い自他商品識別力があるものということができる。
(2)引用商標について
引用商標は、前記したとおり、「数独」あるいは「数独/Sudoku」の文字からなるところ、「数独/Sudoku」の語は、パズルの名称として世界的に著名となっているのみならず、請求人の事業に係る商品表示として著名になっていると認められるものである。
加えて、「数独/Sudoku」の語は、請求人が独自に創作した特異な創造語といえるものである。
(3)商標の類似性について
本件商標の構成にあって、強い自他商品識別力を発揮する「SUDOKU」の文字部分と請求人の事業に係る商品を表示するものとして広く知られ、強い印象力を有する「数独」及び「Sudoku」の文字部分とを対比するに、両者は共に「SUDOKU(Sudoku)」の文字を共通にし、「スウドク」の称呼を共通にする類似の商標と認め得る。
そうすると、本件商標と引用商標とは、観念においては共に造語であるから比較することができないとしても、外観、称呼において類似するものというべきである。
(4)商品の関連性について
本件商標の指定商品は、「雑誌・新聞」であるのに対し、引用商標は、前記のとおり、「印刷物,書画,写真,写真立て」及び「電子応用機械器具及びその部品,家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM,電子出版物」を指定商品とするものであり、特に、その指定商品中に「雑誌・新聞」と類似する「印刷物、電子出版物」を含んでいるものである。
してみると、本件商標の指定商品は、引用商標の使用に係る商品と同一又は類似若しくは印刷物関連商品同士であって、その関連性は相当に高いものというべきであり、しかも、その需要者層を共通にするものである。
引用商標の周知・著名性の程度、本件商標と引用商標との類似性の程度、使用に係る両商品の密接な関連性、需要者層の共通性を総合勘案すると、本件商標の登録出願時ないしは査定時において、被請求人が本件商標をその指定商品「雑誌・新聞」に使用した場合、これに接する需要者等は、引用商標を想起・連想して、該商品を請求人の取扱に係る商品若しくは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く誤信し、その出所について誤認を生ずるおそれが十分にあるものというべきである。
以上とおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものと認められるから、請求人の主張するその余の無効理由について判断するまでもなく、同法第46条第1項の規定に基づき、その登録を無効にすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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