Trademark Appeal Case
称呼類似と取引実情
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2007−28623(T2007−28623/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「CIS」の欧文字を横書きしてなり、第9類「配線付きディスクドライブ用サスペンション」を指定商品として、平成18年10月4日に登録出願されたものであるが、その後、指定商品については、原審における同19年7月17日付け手続補正書により、第9類「配線付きハードディスクドライブ用サスペンション」と補正されたものである。
2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第4944086号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲に表示するとおりの構成よりなり、平成17年9月12日登録出願、第9類「ビデオカメラ・その他の電気通信機械器具,ビデオカメラを用いた遠隔監視装置,監視ビデオカメラを操作するためのコンピュータ用プログラムを記憶させた記録媒体・その他の電子応用機械器具及びその部品,工業用内視鏡及びその部品並びに附属品」を指定商品として、同18年4月14日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。
3 当審の判断
(1)本願商標は、前記1のとおり、「CIS」の文字よりなるものであるから、その構成文字に相応して、「シイアイエス」の称呼を生ずるものである。
他方、引用商標は、別掲に表示するとおり、ややデザイン化された「CiS」の文字よりなるものであるから、その構成文字に相応して、「シイアイエス」の称呼を生ずるものである。
また、両者は、特定の語義を有するものではないから、一種の造語からなるものといえる。
してみれば、本願商標と引用商標とは、外観において相違し、観念については比較すべきところがないとしても、「シイアイエス」の称呼を共通にする、称呼上類似の商標であり、かつ、本願の指定商品は、引用商標にかかる指定商品中の「電子応用機械器具及びその部品」に含まれるものである。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)請求人は、「本願商標と引用商標とは、称呼の点について共通する場合があるとしても、その外観においてきわめて顕著な差異を有し、これらを総合的に観察・対比してみれば、その称呼が共通することのみをもって両商標が相紛れるということはなく、特に、本願商標は、『配線付きハードディスクドライブ用サスペンション』のみを指定商品とするため、ハードディスクドライブを使用して電子機器を製造したり、ハードディスクドライブを製造したりする企業と、直接取引をしており、一般人が直接取引に携わることはないという取引の実情があり、しかも、本願の指定商品は、本願の出願人の特許製品であり、他社が取引できるものではなく、本願の出願人が独占して企業と直接取引しているので、本願商標と引用商標は、誤認混同が生ずることはない。」旨主張している。
しかしながら、一般に、商品の商取引においては、商品に使用される商標が極めて特殊な態様の文字や特徴的な図形からなるものであるような場合を除き、通常の文字からなる商標、とりわけ既成の観念を想起せしめない文字のみからなる商標にあっては、その文字から生ずる称呼をもって取引がなされるのが通常といえる。そして、本願の指定商品を取り扱う分野において、商標の称呼よりもむしろ外観を重視して取引される特殊事情があるものとも認められず、請求人もその主張を裏付ける証左を何ら示していない。
確かに、商標の外観、観念又は称呼の類似は、その商標を使用した商品につき出所の混同のおそれを推測させる一応の基準にすぎず、右三点のうちその一において類似するものでも他の二点において著しく相違すること、その他取引の実情によって、何ら商品の出所に誤認混同をきたすおそれの認めがたいものについては類似商標とすべきでないことはそのとおりであるが、本願商標にあっては、外観はもとより観念の点においても、引用商標と称呼の同一性を凌駕する程著しく相違するものでもなく、本願の指定商品について、特殊な取引実情があるものとも認められないから、称呼が共通であることを理由に引用商標と類似するものと判断することは必ずしも不合理とはいえない。
ところで、商標の類否判断にあたって考慮すべき取引の実情とは、その指定商品全般についての一般的、恒常的なそれをさすものであって、単に該商標が現在使用されている商品についてのみの特殊的・限定的なそれを指すものではない(最高裁 昭和47年(行ツ)第33号判決参照)と解すべきであり、現時点における商標の具体的使用態様等の将来変動する可能性もある個別事情は、商標の類否判断に当たって必ずしも重視することを要しないというべきである。
これを本願の指定商品についてみると、本願の指定商品は、引用商標にかかる指定商品に含まれるものであり、また、請求人の主張する特許製品による取引の特殊性についても、特許権消滅後は何人にも実施が予定されているものであって、将来変動し得るものであるから、引用商標が使用されたときに、本願商標との間に、商品の出所について混同を生ずるおそれがあることを否定することはできないというべきである。
よって、以上の点に関する請求人の主張は採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおりであるから、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
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