Trademark Appeal Case
品質・効能表示の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2007−25939(T2007−25939/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「かゆみ肌正常化」の文字を標準文字で表してなり、第5類「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科用材料,医療用腕環,失禁用おしめ,はえ取り紙,防虫紙,乳糖,乳児用粉乳,人工受精用精液」を指定商品として、平成19年1月18日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由(要点)
原査定は、「本願商標は、『かゆみ肌正常化』の文字を標準文字で書してなるところ、本願指定商品との関係において、その構成中『かゆみ』の文字は『かゆい感覚』の、『肌』の文字は『皮膚』の、『正常化』の文字は『普通の状態に戻すこと。』の意味を有する語であるから、本願商標全体としては『かゆい肌を普通の状態に戻すこと。』程度の意味合いを容易に理解させる。また、本願指定商品中『薬剤』等を取り扱う業界において、『かゆみ肌』の文字は『かゆい肌』のことを指称する語として多数使用されており、『かゆみ肌を治すための商品』が多数存在することを確認することが出来る。そうとすると、本願商標をその指定商品中、『かゆみ肌を治すための商品』に使用しても、単に商品の品質、効能を表示するにすぎないものと認められる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを行ったところ、別掲に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対し、平成20年9月4日付けで証拠調べの結果を通知した。
4 職権証拠調べに対する請求人の意見(要点)
本願商標は、外観、称呼、観念のまとまりのよさからすれば、全体で一連不可分であり、取引者等に面白みをもたせる効果を与えるように創作された造語であるから、指定商品の品質を普通に表示するとはいえず、また、請求人以外の使用は皆無である。
よって、本願商標は十分に自他商品識別力を備えており、登録されてしかるべきと確信する。
5 当審の判断
本願商標は、前記1のとおり、「かゆみ肌正常化」の文字を標準文字で表してなるところ、前記3で述べた事実からすれば、「かゆみ肌正常化」の文字から、「かゆい肌をあるべき状態にする」程の意味合いを容易に理解させるものであり、また、本願商標の構成中「かゆみ肌」の文字は、請求人も認めているように「かゆい肌」又は「かゆみの起きやすい肌」等の意味合いをもって各種商品に使用されているものである。
そして、「正常」の文字は、「正常にする。正常に近づける。」等のように、「入浴剤を含む薬剤」の効能を表す文字として使用されており、さらに、「正常化」の文字は、「肌の代謝や機能等を正常化する」等のように、主に肌のために用いる商品の効能を表す文字として、使用されている実情を窺い知ることができるものである。
加えて、本願指定商品を扱う業界においては、肌の乾燥により起こるかゆみを防ぐために、保湿効果や保水効果を有する成分を配合し、肌に水分やうるおいを与えて、肌の状態を正常に戻そうとする商品が取引、販売されているものである。
してみれば、本願商標「かゆみ肌正常化」の文字を、その指定商品中、肌のために用いる商品、例えば、「薬剤」等に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、「かゆい肌又はかゆみの起きやすい肌を正常な状態にする薬剤」、すなわち「かゆい肌又はかゆみの起きやすい肌を正常な状態にする商品」であると理解し、単に商品の品質、効能を表示したものと認識し、把握するにとどまるというべきであるから、自他商品の識別標識としての機能を有する商標とは、認識し得ないものであり、かつ、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるそれがあるというべきである。
なお、請求人は、「『かゆみ』、『肌』及び『正常化』の各文字は辞書に掲載されている語であって、『かゆみ肌』及び『正常化』の文字が、商品の品質を表示する語として多数使用されているとしても、外観、観念、称呼のまとまりのよさからすれば、全体で一連不可分の造語であると認識される。また、本願商標は、通常、機能や状態と共に用いられる『正常化』の語と、『かゆみ肌』なる『物』を結合させることにより、取引者等に面白みをもたせる効果を伴って創作された造語であるから、指定商品の品質を普通に表示してならず、さらに、請求人以外の者による『かゆみ肌正常化』の文字の使用も認められない。」旨、主張している。
しかしながら、たとえ、本願商標「かゆみ肌正常化」の語が造語であるとしても、商標採択の意図するところを、一般需要者が必ずしもそのとおり正確に理解するとは限らず、また、証拠調べ通知書において示したとおり、「かゆみ肌」及び「正常化」の各文字が有する意味並びに市場における各文字の使われ方等を考え併せると、本願商標「かゆみ肌正常化」の文字は、その指定商品中、肌のために用いる薬剤等との関係において、これに接する取引者、需要者に「かゆい肌又はかゆみの起きやすい肌を正常な状態にする商品」であると理解させ、商品の品質、効能を表したものと認識させると判断するのが相当である。
そして、たとえ、「かゆみ肌正常化」の文字が、請求人以外による使用が見当たらないとしても、本願商標が登録されるべきであるかどうかは、その指定商品の取引者、需要者等において、これがどのような意味を有するものとして認識され用いられているかによって判断されなければならないところ、「かゆみ肌」の文字と「正常化」の文字とを結合した、本願商標「かゆみ肌正常化」の文字は、その指定商品中、肌のために用いる薬剤等を取り扱う取引者、需要者等において、商品の品質、効能を表したものと認識されること、前記認定のとおりであるから、本願商標が自他商品を識別する機能を果たし得るとは言い難いものである。
また、請求人は、過去の登録例を挙げ、本願商標も同様に登録されるべきである旨主張するが、登録出願された商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるか否かの判断は、当該商標の構成態様と指定商品との関係における、その商品の取引の実情を考慮して、個別具体的に判断されるべきものであって、かつ、その判断時期は、査定時又は審決時と解されるべきものであるから、請求人が挙げた商標登録例の存在によって、前記判断は左右されないというべきである。
そうとすれば、請求人の前記いずれの主張も採用することはできない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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