結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2007−890124(T2007−890124/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4994960号商標(以下「本件商標」という。)は、「コラゲヴェール」の文字と「COLLAGE VEIL」の文字を上下二段に横書きしてなり、平成17年11月7日に登録出願、第3類「せっけん類,化粧品,香料類,つけづめ,つけまつ毛」を指定商品として、同18年10月13日に設定登録されたものである。
請求人が本件商標の登録無効の理由として引用する登録商標は、次のとおりであり、その商標権は、いずれも現に有効に存続しているものである。
(上記1ないし3の登録商標をまとめていうときは、単に「引用商標」という。)
請求人は、「本件商標の登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由を次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第301号証(枝番を含む。)を提出した。(なお、枝番のある証拠について、枝番のすべてを引用するときは、以下枝番を省略する。)
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標中の「ヴェール」、「VEIL」の文字は、「おおう、隠す」等の意味を有する語であり(甲第5号証)、指定商品「化粧品」との関係においては、「ハンドヴェール」、「うるおいヴェール」、「ヴェール効果」等のように採択使用されている用語であり、被請求人や請求人においても、「ヴェール」の語を品質表示語として使用している(甲第6号証、甲第7号証、甲第12号証、甲第46号証ないし甲第48号証等)。
したがって、本件商標の「ヴェール/VElL」の文字部分は、その指定商品との関係において識別力がないか極めて弱い用語にすぎず(甲第47号証、甲第48号証)、本件商標は、構成中の「コラゲ/COLLAGE」の部分のみが単独で商標として機能することは明らかである。そして、この「COLLAGE」の文字は、「(貼り合せの意)近代絵画の技法の一。画面に紙・印刷物・写真などの切抜きを貼りつけ、一部に加筆などして構成する。広告・ポスターなどにも広く応用。ブラック・ピカソらが創始。貼付け絵。」の意味を有する語(甲第8号証)として一般に知られているものであるから、「コラゲ」の文字が「COLLAGE」の文字の自然な称呼を特定したものとはいえず、したがって、「COLLAGE」の文字部分から「コラージュ」の称呼及び観念をも生ずると判断するのが相当である。
よって、本件商標と引用商標とは、「コラージュ」の称呼及び観念を共通にするものである。
このとこは、特許庁における過去の類否判断においても、「○○VEIL(ベール、ヴェール)」と「○○」とは、類似の商標としているのが実情である(甲第49号証、甲第50号証)。
イ 指定商品の取引実情
商標の類否判断においては、指定商品・役務の取引実情をも参酌すべきものであるところ、引用商標の周知・著名性も、このような取引実情の一事情に当たる(甲第9号証)。
後述のとおり、引用商標の商標権者は、昭和55年1月以降、基礎化粧品を中心としたシリーズ商品のファミリーマークとして「コラージュ」商標を継続して使用しており、その結果、引用商標は、本件商標の登録出願時、化粧品の分野において周知・著名性を獲得していたものである。
そうとすれば、本件商標中の「COLLAGE」の文字部分が識別標識として強く支配的な印象を受けることが明らかであり、かかる点からしても、本件商標と引用商標とは「コラージュ」の称呼を共通にする類似の商標といわざるを得ない。
ウ 以上より、本件商標と引用商標とは類似の商標であり、指定商品も抵触するものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号について
ア 引用商標の著名性
請求人は、基礎化粧品を中心としたシリーズ商品のファミリーマークとして、引用商標を使用している(甲第10号証ないし甲第18号証。なお、甲第45号証に示すとおり、コラージュシリーズの取扱いは、平成16年4月1日に請求人のヘルスケア事業本部から提出者の100%出資に係る持田ヘルスケア株式会社に移されている。)。
「コラージュ」シリーズは、製造販売の開始時より現在に至るまで莫大な広告費を投入して(甲第19号証)、雑誌・新聞を中心として広告や紹介記事を掲載してきた(甲第51号証ないし甲第298号証)。また、たびたびキャンペーンを打ち(甲第23号証ないし甲第25号証)、コラージュ愛用者の会「コラージュ倶楽部」、「コラージュシーダー会」を立ち上げるなど様々な販促活動をして、需要者に強く働きかけてきた(甲第23号証ないし甲第44号証)。その結果、「コラージュ」シリーズ全体の売上は、平成9年度から平成18年度までの10年間1年当たり、約20ないし28億円程度に達している(甲第20号証)。
また、「コラージュ」シリーズは、皮膚刺激の原因となりやすい成分を一切含んでいないことを特徴としていることから、農学博士等にも紹介され(甲第142号証)、臨床試験にも用いられている事実が存在する(甲第54号証)。さらに、近年特に増加したアトピー性皮膚炎やアレルギー体質の人にも勧められる低刺激性の製品として定評を得ているところである(甲第95号証、甲第97号証、甲第121号証、甲第166号証、甲第204号証、甲第247号証、甲第256号証、甲第277号証、甲第290号証、甲第292号証、甲第295号証、甲第298号証ほか)。かかる特徴のため、「コラージュ」シリーズは、その広告等が掲載されている雑誌は広範囲に及び(甲第51号証、甲第149号証)、幅広いジャンルの需要者層をターゲットにした商品であるということができる。
以上のように、「コラージュ」シリーズは、長期間にわたって商品に付されて販売され、宣伝広告されてきたことに加え、上述のような特徴故に、特に皮膚に問題を有する需要者は、「コラージュ」シリーズを継続的に使用するために反復して購入することが多い。また、平成14年度に販売額が20億円を超えて以降は、年間販売額が毎年前年度を上回っており(甲第20号証)、特に近3年に至っては、平成16年度が24億3000万円、平成17年度が26億1000万円、平成18年度が27億7300万円と高い数字を維持しながらも販売額が上昇し続けている(甲第21号証)。このように、「コラージュ」は、遅くとも平成12年には、取引者・需要者間に広く認識されていた(甲第22号証)ものである。
イ 出所の混同の可能性
引用商標は、シリーズものを表示する商標として著名となっていること、及び本件商標中「ヴェール」及び「VEIL」の文字部分は識別力がないか極めて弱い語であることを併せ考えると、本件商標がその指定商品に使用された場合には、需要者・取引者は、該商品が「コラージュ」シリーズの商品であると誤認し、請求人の製造販売に係る商品であると出所を誤認する可能性が十分にある。
請求人は、「コラージュ(collage)」の商標を頭に冠した商品を「コラージュ」シリーズとして販売している(甲第10号証ないし甲第18号証)。加えて上述のように、「コラージュ」シリーズの各商品は、乾燥肌、脂性肌、ひび割れなど肌に問題を抱える需要者やアトピー性皮膚炎、化学物質アレルギーなどで苦しんでいる需要者を中心に愛用されており、仮にこれら需要者が本件商標を付した商品を出所混同して購入し、誤用してしまった場合には、需要者の肌の健康に重篤な被害をもたらしかねない。需要者の身体を害する事態が一度でも生じたとすれば、昭和55年以来営々として蓄積してきた「コラージュ」シリーズに対する信用に致命的な打撃を与え、引用商標の財産的価値も著しく減ぜられることとなる。
このような「コラージュ」シリーズの個別的事情からすると、本件商標の商標登録は容認し難いものであり、本件商標は使用を禁じられるべきものである。
ウ 以上より、本件商標は、その指定商品に使用された場合、請求人の業務に係る商品と混同を生じるおそれが十分認められるから、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 被請求人は、請求人の「ヴェール/VEIL」の文字部分に識別力がないか極めて弱いとする主張はあたらない旨主張する。
結合商標の類否は、結合の強弱の程度等を考慮して判断されるところ、他人の著名商標(周知商標も含む。)を商標構成の一部に含む場合の取扱いにおいては、商標審査基準においても、「原則として、その他人の登録商標と類似するものとする。」と記されている(甲第299号証)。
そして、本件商標は、その構成中、「COLLAGE」が請求人の著名商標「collage」と同一の綴りよりなり、一方、「VEIL」が指定商品との関係で識別力がないか極めて弱い語であるから、「COLLAGE」の部分のみが単独で商標として機能することが明らかである。
なお、被請求人が挙げた併存登録例は、いずれも、「VEIL」と結合された語が、第三者の著名商標とはいえないものであるから、本件商標のように、「著名商標+VEIL」の構成よりなる商標の結合状態を判断するにあたり、何ら考慮されるべき事例ではない。
イ 被請求人は、「COLLAGE」の語を構成要素に含む商標の登録例を挙げ、本件商標が一体であることの証左としているが、上記登録商標については、請求人が既に無効審判を請求したものやこれから請求しようとしているものであり、いずれも、これからその登録の妥当性を問うものばかりである。
したがって、たとえ一時的にかかる例が存在したとしても、そのことのみをもって、「COLLAGE ○○」が常に一連一体の商標といえないことは明らかである。
ウ 被請求人は、甲第47号証ないし甲第50号証について、「ベール」又は「ヴェール」と結合した語に識別性がなく、したがって、商標全体としても識別性が生じることがない商標であり、前記登録例や本件商標とは性質を異にするものである旨主張する。
甲第47号証及び甲第48号証が、類否に関する審査例ではなく、識別力に関する審査の判断であることは認めるが、同号証は、請求の理由で述べたとおり、「VEIL(ヴェール)」の語が本件指定商品の分野で識別力がないか極めて弱いと特許庁審査で判断されている事実を指摘しているにすぎない。
また、甲第49号証及び甲第50号証は、本件と同様に、類否判断において「○○VEIL」と「○○」が類似すると判断された例であり、甲第47号証及び甲第48号証とは異なり、同様の事案といえるものである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
被請求人は、本件商標と引用商標とが類似しないから出所の混同は生じない旨主張する(引用商標の著名性につき、被請求人は何ら争っていない。)が、かかる主張は、商標法第4条第1項第15号の規定が、同第10号ないし第14号と適用範囲が異なることを理解せずになされたものである。すなわち、商標法第4条第1項第11号にいう「類似」とは、取引の経験則に照らし出所の混同が生じると予測される範囲(一般的出所の混同)であるのに対して、同第15号にいう「出所の混同」とは、仮に本件商標が実際に市場を流通したとすれば、同じ業者により生産販売されたものと認識されること(具体的出所の混同)をいい、判例上もかかる解釈に沿って判断されている(甲第300号証、甲第301号証)。よって、被請求人の主張は誤りである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してされたものであるから、無効とされるべきである。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第43号証を提出した。
請求人は、本件商標と引用商標とは、称呼及び観念において相紛らわしい商標であると主張するが、以下に述べる理由により、請求人の主張は理由がない。
(1)称呼について
本件商標からは、「コラゲヴェール」の称呼が生じる。一方、引用商標からは、「コラージュ」の称呼が生じる。
したがって、本件商標と引用商標とは称呼において非類似の商標である。
請求人は、本件商標中の「ヴェール/VEIL」の部分の識別力が弱いため、「コラゲ/COLLAGE」の部分が単独で商標として機能すると主張する。
しかし、「ヴェール」又は「VEIL」の有無のみを異にする商標が同一の指定商品において非類似のものとして多数並存登録されている(乙第1号証ないし乙第36号証)。
上記併存例のうち、「VEIL」又は「ヴェール」、「ベイル」の語がその商標を構成する他の語と結合した結果、一連一体のみの称呼が生じ登録に至ったものと思料する。この登録例によって、請求人の「ヴェール/VEIL」の文字部分の識別力がないか極めて弱いとする主張はあたらないものと思料する。本件商標も上記登録例と同様に、「コラゲ」単独での称呼は生じず、「コラゲヴェール」の称呼のみが生じ、引用商標とは称呼において非類似のものである。
さらに、「COLLAGE」の語を含む商標が登録されている(乙第37号証ないし乙第43号証)。この登録例は、引用商標中の「Collage」の文字を共通にするとしても、その商標を構成する他の語と結合した結果、一連一体のみの称呼が生じ、引用商標とは、類似しないとの判断から登録されたものと思料する。本件商標も同様に「コラゲヴェール」の称呼のみが生じることとなり、引用商標とは類似しないとの判断から登録となったものである。
請求人が挙げる審査例は、「ベール」又は「ヴェール」と結合した語に識別性がなく、商標全体としても識別性が生じることがない商標であり、前記登録例や本件商標とは性質を異にするものであることは明白な事実である。
(2)観念について
本件商標は、出願人が創作した造語であり、「コラゲヴェール」という一連の語から生ずる、好ましいイメージを需要者、取引者に想起させる商標である。近年、化粧品に各種「コラーゲン」、「Collagen」が多用されるようになってきている現状を勘案すれば、本件商標に接する取引者、需要者は、「コラーゲンのベール」を暗示的に想起する可能性がある。
一方、引用商標からは、請求人が主張するとおり、「貼付け絵」等の意味を有している。
したがって、本件商標と引用商標はその観念においても非類似である。
(3)以上のように、本件商標と引用商標とは、請求人が主張するような、称呼及び観念において相紛らわしい商標ではなく、十分に識別が可能な非類似の商標であって、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
以上のとおりであるから、本件商標は、これをその指定商品に使用しても、請求人又は請求人と何らかの関係がある者の業務に係る商品であるとの混同を生じるおそれはなく、商標法第4条第1項第15号にも該当しないものである。
よって、請求人の主張は理由がないものである。
(1)本件商標について
ア 本件商標は、前記のとおり、「コラゲヴェール」の文字と「COLLAGE VEIL」の文字を上下二段に横書きしてなるものであるところ、その構成中、下段の「COLLAGE VEIL」の文字部分は、「COLLAGE」と「VEIL」とが同一の書体をもって外観上軽重の差なく表され、一方が特に看者の注意を強く引くというような態様のものではないから、外観上一体的なものとして看取されるばかりでなく、構成する文字全体が親しまれた熟語的意味合いを生ずるものではないから、特定の観念を有しない造語を表したと理解されるものである。そして、該「COLLAGE VEIL」の上段に配され、全体の構成からみて、「COLLAGE VEIL」を片仮名表記したものと理解される「コラゲヴェール」の文字部分は、同一の書体をもって一連に書されているものであり、これより生ずる「コラゲヴェール」の称呼が「COLLAGE VEIL」の文字部分の称呼を特定したものとみるのに何ら不自然なものとはいえない。
そうすると、本件商標は、これを構成する「コラゲヴェール」の文字と「COLLAGE VEIL」の文字とが一体のものとして把握、認識されるとみるのが相当である。
したがって、本件商標は、その構成文字に相応して、「コラゲヴェール」の一連の称呼のみを生ずるものであって、特定の観念を有しない造語よりなるものといわなければならない。
イ 上記に関し、請求人は、本件商標中の「ヴェール/VEIL」の文字部分は、化粧品の分野において、商品の品質等を表示する語として普通に使用されているものであるから、自他商品の識別機能を有しないか、きわめて弱い語であるのに対し、「COLLAGE」の文字部分は、化粧品について使用され著名となっている引用商標中の「Collage」と同一の文字よりなるものであるから、該文字部分の自他商品の識別機能は強く、これより「コラージュ」の称呼及び観念を生ずる旨主張する。
しかし、上記ア認定のとおり、本件商標中の「COLLAGE」の文字部分は、「VEIL」の文字部分と外観上軽重の差なく一体的に結びつき、かつ、欧文字全体が上段に書された片仮名文字により、「コラゲヴェール」との称呼のみを生ずる造語を形成していると理解されるものである。また、「ヴェール(ベール)」又は「VEIL」の語が、他の識別力のない語と結合して、構成文字全体が化粧品等の品質を表す場合や単独で化粧品等の品質表示語的に使用されている場合があるとしても、上記のとおり、本件商標は、その構成中の「COLLAGE」の文字部分のみが独立して認識されるものではなく、したがって、該文字部分が他の文字部分と切り離されて単独で自他商品の識別機能を発揮するということはないというべきである。
なお、後記2認定のとおり、引用商標中の「Collage」は、前記構成よりなる本件商標にあって、なおかつその構成中の「COLLAGE」の文字部分のみが化粧品等の需要者に強く印象づけられる程度に、本件商標の登録出願前より広く認識されていたものとは認めることができない。
したがって、本件商標より、「コラージュ」の称呼及び観念を生ずるとする請求人の主張は採用することができない。
(2)引用商標
引用商標1は、前記のとおり、「コラージユ」の文字を横書きしてなるものであるから、これより「コラージユ」又は「コラージュ」の称呼を生ずるものであって、「貼付け絵、コラージュ」等の観念を生ずるものとみるのが相当である。
引用商標2は、前記のとおり、「コラージュ」の文字と「Collage」の文字(筆記体)を上下二段に横書きしてなるものであるから、これより「コラージュ」の称呼を生ずるものであって、「貼付け絵、コラージュ」等の観念を生ずるものである。
引用商標3は、別掲のとおり、「Collage」の文字(筆記体)と「コラージュ」の文字を上下二段に横書きしてなり、これらの文字の下に、黒塗りの植物様の図形を配してなるものであるところ、該図形からは特定の称呼、観念が生じないから、上記文字部分を捉えて商品の取引に当たる場合が多いというのが相当である。したがって、引用商標3は、その構成中の文字部分より「コラージュ」の称呼及び「貼付け絵、コラージュ」等の観念を生ずるものである。
(3)本件商標と引用商標との対比
本件商標より生ずる「コラゲヴェール」の称呼と引用商標より生ずる「コラージュ」又は「コラージユ」の称呼は、前者が6音よりなるものであるのに対し、後者は4音又は5音よりなるものであるから、構成音数が相違するばかりでなく、語頭部分の「コラ」の音以外の音が明らかに異なる音といえるから、それぞれの称呼を一連に称呼した場合においても、その語調、語感が明らかに相違したものとなり、明瞭に聴別し得るものである。
また、本件商標は、構成全体をもって造語を表したものと認識されるから、「貼付け絵、コラージュ」等の観念を生ずる引用商標とは、観念上比較することはできない。
さらに、本件商標と引用商標は、前記又は別掲のとおりの構成よりなるものであるから、それぞれの構成よりみて、外観上明らかに相違するものであり、互いに紛れるおそれはないものである。
したがって、本件商標と引用商標は、その称呼、観念及び外観のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
(1)「Collage」、「コラージュ」の著名性について
ア 請求人は、1980年(昭和55年)1月に、水溶性コラーゲン配合基礎化粧品「コラージュクリーム」を発売し、その後、1988年(昭和63年)6月に「コラージュ石鹸」を、1999年(平成11年)11月に抗真菌成分含有シャンプー「コラージュフルフル」をそれぞれ発売し、2003年(平成15年)9月に基礎化粧品がリニューアルされ、「コラージュSシリーズ」となった。また、2004年(平成16年)4月に「コラージュUVプロテクトクリーム・ミルク」を、2005年(平成17年)10月に敏感肌用美白シリーズ「コラージュホワイトニングシリーズ」をそれぞれ発売した(甲第45号証)。
また、本件商標の登録出願(平成17年11月7日)前に発行されたと認められる「Collage Shampoo & Collage Rinse/コラージュシャンプーS コラージュリンスS」(2004年6月発行、甲第15号証)及び「CollageRich/コラージュリッチ」(2005年1月発行、甲第16号証)のパンフレットの表紙の下段には、「Collage/コラージュ」の表示がある。但し、「コラージュDシリーズ」(2004年9月発行、甲第17号証)のパンフレットには、上記表示はなく、掲載された商品の包装容器に「Collage」の表示があるのみである。
イ 請求人は、本件商標の登録出願前である平成17年3月1日〜同年4月30日にかけて「コラージュUVプロテクトシリーズ2品」の、また、本件商標の査定(平成18年9月1日)前である平成18年5月1日〜同年6月30日にかけて「コラージュS基礎化粧品シリーズ14品」のキャンペーンを行った(甲第23号証、甲第25号証)。
そして、キャンペーンのチラシには、商品写真が掲載され、その包装容器には、「Collage」の表示があるものの、「コラージュUVプロテクト」、「この夏のキメ肌は、コラージュ化粧水できまり」のように、片仮名文字で書された「コラージュ」が大きく表示され、商品の包装容器に表示された「Collage」の表示以外に「Collage」の表示はない。
ウ 請求人は、本件商標の登録出願前から査定時にかけて、その顧客に対し、「コラージュ倶楽部プレゼント」と称し、ポイントサービスを実施したり(実施期間:2004年10月1日〜同年12月31日及び2005年10月1日〜同年12月31日、甲第27号証、甲第28号証)、2003年(平成15年)9月から2006年(平成18年)秋まで「コラージュ倶楽部通信」と称した季刊誌を発行した(甲第30号証ないし甲第38号証)。その他「コラージュシーダー会」なる会を立ち上げ、会誌を発行した(甲第41号証、甲第42号証)。
そして、「コラージュ倶楽部プレゼント」の案内や「コラージュシーダー」会誌においても、「Collage」の表示があるものの、片仮名文字で書された「コラージュ倶楽部通信」の文字や「コラージュシーダー」の文字が多く使用され、かつ、大きく表示されている。
エ 請求人の業務に係る商品は、本件商標の登録出願前及び査定時において、雑誌、新聞を媒介として、広告されたり、あるいは新製品として紹介された。その内訳は、概略次のとおりである。
(ア)本件商標の登録出願前
(a)「コラージュフルフル」、「コラージュ フルフル」、「コラージュ/フルフル」の文字を用いて広告されたものが39件(甲第52号証、甲第54号証、甲第64号証、甲第73号証、甲第75号証ないし甲第77号証、甲第152号証ないし甲第157号証、甲第160号証ないし甲第163号証、甲第169号証ないし甲第184号証、甲第187号証ないし甲第192号証)。
(b)「コラージュUVプロテクト」の文字を用いて広告されたものが5件(但し、商品の包装容器には「Collage」(筆記体)の表示がある。甲第53号証、甲第151号証、甲第158号証、甲第159号証、甲第165号証)。
(C)「コラージュMフェイシャルソープ」の文字を用いて広告されたものが2件(但し、商品の包装容器には「Collage」(筆記体)の表示がある。甲第55号証、甲第56号証)。
(d)「コラージュホワイトニング」の文字を用いて、新製品の紹介がされたものが17件(その中の一部には、商品写真の掲載があるが、小さく不鮮明である。甲第57号証ないし甲第63号証、甲第65号証ないし甲第72号証、甲第74号証、甲第78号証)。
(e)「コラージュD」の文字を用いて広告されたものが8件(但し、商品の包装容器には「Collage」(筆記体)の表示がある。甲第150号証、甲第164号証、甲第166号証ないし甲第168号証、甲第185号証、甲第186号証、甲第194号証)。
(イ)本件商標の登録出願後から査定時まで
(a)「コラージュフルフル」、「コラージュ フルフル」、「コラージュ/フルフル」の文字を用いて広告されたものが128件(甲第79号証、甲第80号証、甲第82号証ないし甲第86号証、甲第90号証ないし甲第94号証、甲第98号証ないし甲第102号証、甲第104号証ないし甲第115号証、甲第119号証、甲第120号証、甲第122号証ないし甲第125号証、甲第127号証ないし甲第132号証、甲第135号証、甲第136号証、甲第138号証ないし甲第142号証、甲第195号証ないし甲第201号証、甲第205号証、甲第208号証ないし甲第246号証、甲第248号証ないし甲第255号証、甲第257号証ないし甲第276号証、甲第278号証ないし甲第281号証、甲第283号証)。
(b)「コラージュクリームS」、「コラージュ化粧水」、「コラージュUVプロテクトクリーム」、「コラージュAフェイシャルソープ」等の文字を用いて広告されたものが4件(但し、商品の包装容器には「Collage」(筆記体)の表示がある。甲第81号証、甲第103号証、甲第126号証、甲第134号証)。
(C)「コラージュ」の文字を用いて請求人の業務に係る商品が紹介されたり、広告されたものが2件(甲第87号証、甲第121号証)。
(d)「コラージュホワイトニングエッセンスヴェール」、「コラージュホワイトニングシリーズ」の文字を用いて広告されたものが3件(但し、商品の包装容器には「Collage」(筆記体)の表示がある。甲第88号証、甲第89号証、甲第277号証)。
(e)「Collage D」、「Collageシリーズ」の文字を用いて広告されたものが3件(甲第95号証、甲第118号証、甲第202号証)。
(f)「コラージュD」の文字を用いて広告されたものが13件(但し、商品の包装容器には「Collage」(筆記体)の表示がある。甲第96号証、甲第97号証、甲第116号証、甲第117号証、甲第133号証、甲第137号証、甲第193号証、甲第203号証、甲第204号証、甲第206号証、甲第207号証、甲第247号証、甲第256号証)。
オ 「コラージュ製品広告費推移」(甲第19号証)によれば、1997年(平成9年)は、1億6000万円であり、その後、上昇傾向を示し、本件商標が登録出願された2005年(平成17年)には、5億6000万円、本件商標の査定と同じ年の2006年(平成18年)には、5億5000万円であったことの記載が、また、「コラージュ製品販売推移」(甲第20号証)によれば、1997年(平成9年)は、21億3000万円であり、その後、2001年(平成13年)まで、19億5000万円前後と横ばいであり、本件商標が登録出願された2005年(平成17年)には、26億1000万円、本件商標の査定と同じ年の2006年(平成18年)には、27億7300万円であったことの記載が、それぞれ認められる。
カ 前記アないしオによれば、請求人の業務に係る「基礎化粧品、石けん類」には、本件商標の登録出願前より、「コラージュ」、「Collage」(筆記体)の各表示が使用され、請求人の主力シリーズ商品(以下「請求人商品」という。)として、市場に出回っていた事実を認めることができ、その事実は本件商標の査定時まで継続していたものと認めることができる。
しかし、請求人商品についての新聞・雑誌における広告等についてみれば、本件商標の登録出願前に広告等がされたものは71件であり、本件商標の登録出願後から査定前までに広告等がされたものは153件であって、本件商標の登録出願後から査定前までの広告等が圧倒的に多いといえるばかりでなく、本件商標の登録出願前に広告等がされた71件のうち、片仮名文字のみで表示された「コラージュフルフル」、「コラージュ フルフル」、「コラージュ/フルフル」が全体の約55%に当たる39件を占め、その他の商品にしても、商品写真の包装容器には、「Collage」(筆記体)の表示があるものの、広告の大部分が片仮名文字の「コラージュ」で表示されている。また、本件商標の登録出願後から査定前に広告等がされた153件のうち、片仮名文字のみで表示された「コラージュフルフル」、「コラージュ フルフル」、「コラージュ/フルフル」が全体の約83%に当たる128件を占め、その他の商品にしても、商品写真の包装容器には、「Collage」(筆記体)の表示があるものの、広告の大部分が片仮名文字の「コラージュ」で表示されている。
そうすると、広告等における「Collage」(筆記体)の表示は、本件商標の登録出願前はもとより、その査定時においても、需要者の印象に残るほど多いものとはいえない。
また、請求人が行ったとする販促活動についてみるに、キャンペーンは、本件商標の登録出願前と査定前に、それぞれ1回ずつ行われたにすぎず、ポイントサービスの実施にしても、本件商標の登録出願前に2回行われたにすぎないものであり、キャンペーンのチラシや「コラージュ倶楽部プレゼント」の案内、「コラージュ倶楽部通信」、「コラージュシーダー」会誌には、片仮名文字の「コラージュ」が目立つ態様で表示されているものである。しかも、上記チラシや案内、会誌等(請求人商品のパンフレットを含む。)の発行部数や配布地域なども不明である。
さらに、「コラージュ製品広告費推移」や「コラージュ製品販売推移」についてみると、これらを裏付けるに足る証拠の提出はない。仮に広告費や販売実績が甲第19号証、甲第20号証のとおりであったとしても、上記のとおり、本件商標の登録出願前及び査定時を通して、片仮名文字よりなる「コラージュフルフル」や「コラージュ」などを表示した広告が圧倒的に多く、「Collage」(筆記体)の表示は、商品の包装容器にみられるなどごくわずかであることからすれば、「コラージュ製品広告費」が多いものであったとしても、これらの広告により、「Collage」の表示が需要者に印象づけられたと認めることは困難であるといわざるを得ないし、また、「販売実績」にしても、その商品中には、「Collage」の表示とは態様の異なる「コラージュフルフル」等が含まれており、たとえ「販売実績」が多いものであったとしても、これにより「Collage」の表示の著名性が直ちに肯定されるものではない。
キ 以上によれば、請求人の使用に係る「コラージュ」の表示は、請求人の業務に係る商品を表示するための商標として、本件商標の登録出願時には、化粧品や石けん類等を取り扱う商品分野の需要者の間で周知なものであったと認めることができる。
しかしながら、請求人の使用に係る「Collage」の表示についてみれば、前記カ認定のとおり、新聞・雑誌における広告、キャンペーンのチラシ等において、商品の包装容器にみられるなどごくわずかであること、請求人商品の広告費や売上実績から直ちに「Collage」の表示の著名性を是認することは困難であることが認められ、これに加えて、近時、動物の皮革・腱・軟骨などを構成する硬蛋白質の一種で、健康食品や本件商標の指定商品中の化粧品、石けん類などをはじめとする様々な商品分野で、新陳代謝をよくする、あるいは、肌や髪が若返えるなどといった効果をもたらす物質として、「コラーゲン(collagen)」が一般世人の強い関心を集めており、また、該「コラーゲン(collagen)」は、各種商品の原材料として普通に使用されている実情にあることは周知の事実といえること、さらに、「Collage」の語は、「貼付け絵、コラージュ」等を意味するフランス語(甲第8号証)であり、化粧品等の分野における需要者にとって比較的馴染みの薄い絵画・美術用語であるといえるから、片仮名表記の「コラージュ」より「貼付け絵、コラージュ」等の意味を理解することがあるとしても、「Collage」の文字を直ちに「コラージュ」と読み、かつ、その意味を理解することができるか、あるいは逆に、「コラージュ」の文字より直ちに「collage」の綴り文字を思い浮かべることができるかは大いに疑問のあるところであり、上記のとおり、「コラーゲン(collagen)」なる物質が一般世人の強い関心を集め、化粧品等の原材料として普通に使用されている状況において、請求人商品の包装容器に表示された「Collage」に接する需要者は、該「Collage」の表示が上記「collagen」と末尾において「n」の文字の有無の微差にすぎないものであるところからすると、化粧品等の原材料としての「コラーゲン(collagen)」を表示したものと見誤るおそれが高く、請求人の商標と認識され得ない場合も相当にあると推測されることを考慮すると、「Collage」の表示それ自体は、本件商標の登録出願前より、化粧品等の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
(2)出所の混同
以上のとおり、請求人の使用に係る「Collage」の表示それ自体は、本件商標の登録出願前より、化粧品等の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできないものであり、加えて、前記1認定のとおり、本件商標中の「COLLAGE」の文字部分は、「VEIL」の文字部分と外観上軽重の差なく一体的に結びつき、欧文字全体が「コラゲヴェール」との称呼のみを生ずる造語を形成しているものであって、かかる構成よりなる本件商標にあって、その構成中の「COLLAGE」の文字部分のみが独立して、その需要者に強く印象づけられるものとはいえない。
そうすると、本件商標に接する需要者がこれより直ちに請求人の使用に係る「Collage」の表示を想起又は連想するとみることはできず、まして、「コラージュ」の表示を想起又は連想することはないというべきである。
したがって、本件商標は、これをその指定商品について使用しても、該商品が請求人又は請求人と業務上何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがある商標と認めることはできない。
(3)請求人の主張について
請求人は、引用商標の著名性については、無効2003−35264に係る審決において、平成12年10月20日の時点で獲得していたと認定されている旨主張し、甲第22号証を提出する。
しかし、本件においては、提出された甲各号証により、前記のように、引用商標中の「Collage」の文字部分は、本件商標の登録出願前はもとより、その査定時においても、請求人の業務に係る商品を表示するためのものとして、化粧品、石けん類等の需要者の間に広く認識されていると認めることはできない旨認定したところであり、その判断は、上記審決に左右されるものではない。その他、引用商標中の「Collage」の文字部分の著名性を前提にした請求人の主張は、いずれも前提において誤りがあるというべきである。したがって、上記請求人の主張は理由がない。
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してされたものではないから、同法第46条第1項の規定により無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。