結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2007−301718(T2007−301718/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第1498400号商標(以下「本件商標」という。)は、「RESOLVE」の欧文字を横書きしてなり、昭和51年5月31日に登録出願、第1類「薬剤」を指定商品として同57年1月29日に設定登録されたものである。その後、指定商品については、平成15年2月19日に第5類「薬剤」を指定商品とする書換登録がされたものである。
請求人は、商標法第50条の規定により、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べている。
請求人の調査によれば、被請求人は、本件商標をその指定商品について継続して3年以上日本国内において使用していない。また、本件商標について専用使用権者は存在せず、通常使用権者として本件商標を使用している者も存在しない。
よって、請求人は、商標法第50条第1項の規定に基づき、本件商標につき請求の趣旨どおりの審決を求める。
被請求人によって提出された乙各号証によっては、本件商標がその指定商品「薬剤」について、本件審判の請求の登録前3年以内に使用された事実は十分に証明されておらず、本件商標の登録は取り消されるべきである。
(1)乙第1号証について
本号証について、被請求人は、1995年以前に印刷されたものであるが、現在も該カタログを使用していると述べている。しかしながら、その事実は何ら立証されていない。また、該カタログの裏面に記載のある発行者である「オーソ・ダイアグノスティック・システムズ株式会社」は、本件商標について、通常使用権者である旨主張しているが、本件商標権者より、通常使用権を許諾されていることは何ら立証されていない。
(2)乙第2号証について
本号証は、乙第1号証のカタログの発行者である「オーソ・ダイアグノスティック・システムズ株式会社」の沿革を説明する資料にすぎない。
(3)乙第3号証について
本号証には、「血液型関連血球試薬」(予約注文品)として、「リゾルブ パネルA」、「リゾルブ パネルB」、「リゾルブ パネルC」の製品が存在するようにみえる。しかしながら、本件商標の指定商品は「薬剤」だけであるが、上記「血液型関連血球試薬」が「薬剤」の概念に入るものであるとの立証は全くなされていない。過去の商標登録の対象となった商品「試薬」については、「化学品」の範疇に属するとされたもの、「薬剤」の範疇に属するものとされたものが存在しており、この点、被請求人は、「診断用試薬」であり「薬剤」に属すると主張するが、それを裏付ける証拠は提出されていない。
また、本資料には、「リゾルブ」のカタカナ文字のみが使用されているところ、本件商標は「RESOLVE」のローマ文字のみからなる商標である。カタカナ文字のみの使用では、本件商標「RESOLVE」の商標自体が実際に使用されたとはいえないものというべきである。
(4)乙第4号証ないし乙第6号証について
乙第4号証は、ひとつの論文であり、乙第5号証及び乙第6号証は、これに関連する資料のようである。乙第4号証には、「赤血球同種抗体検査」に(リゾルブパネルA・・・)が使用されているとの説明があるが、これは、本件商標の使用とは関係がない。商標の使用とは、商標を商品に付す、それを譲渡等する行為であることはいうまでもない(商標法第2条第3項第1号、同項第2号及び第8号)。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第6号証を提出した。
本件商標は、通常使用権者であるオーソ・クリニカル・ダイアグノスティックス株式会社により、本件商標の指定商品である「薬剤」に含まれる「血液型抗体同定用血球試薬(抗体同定用パネルセル)」について、現在国内で継続的に使用されている。
乙第1号証は、本件商標の使用対象商品と本件商標の使用事実を示す商品カタログである。リーフレットタイプの商品説明書の右上に商標「Resolve」が表示されている。
乙第2号証は、通常使用権者の沿革を示すウェブサイトの写しである。乙第1号証のカタログは、オーソ・ダイアグノスティック・システムズ株式会社と表示されているが、1995年に、日本コダック ダイアグノスティックス株式会社を吸収合併して、現在の社名となったことが記載されている。即ち、乙第1号証のカタログは、1995年以前に印刷されたものであるが、本件商標の使用対象商品は、当該カタログにも記載されているとおり、「予約注文品」で販売先も医療機関・研究機関に限られるものであるため、現在も当該カタログを使用している。
乙第3号証は、通常使用権者の製品価格表(2007年4月1日現在)の抜粋である。その2頁に、「血液型関連血球試薬(予約注文品)」として、「リゾルブ」が掲載されている。
乙第4号証は、本件商標の使用対象商品が赤血球輸血のための赤血球同種抗体検査用試薬として使用された例を示す福島県立医科大学附属病院 輸血・移植免疫部所属の医師等による研究論文(2007年2月8日受付)であり、日本輸血・細胞治療学会誌第53巻第6号に掲載されたものである。その2頁左欄の「3.吸着上清中の赤血球同種抗体検査」の項目中に「・・・各種パネル血球(リゾルブ パネルAとパネルB、オーソ;・・・)を一滴加え・・・」と記載されている。
乙第5号証は、日本輸血・細胞治療学会のホームページに掲載されている当該学会誌の目次の写しである。
乙第6号証は、日本輸血・細胞治療学会のホームページのメインページの写しである。
以上のとおり、乙各号証によれば、本件商標の使用対象商品が赤血球の輸血を行う際に患者の抗体反応を確認するために使用される診断用試薬であって「薬剤」に属するものであることは明らかであり、本件審判の請求の登録前3年以内に国内販売されていたものであるから、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消されるべきものではない。
(1)被請求人の提出に係る乙各号証によれば、以下の事実を認めることができる。
乙第1号証は、オーソ・ダイアグノスティック・システムズ株式会社発行の「Ortho Reagent Red Blood Cells/不規則性抗体同定のために/リゾルブ パネル/A,B,Cシステム」と題する商品カタログであり、各製品についての説明がその特徴や利点等とともに詳細に記載されている。例えば、「リゾルブ パネルA」についての概略についてみれば、「日常よく検出される単独の抗体、単純な抗体同士が複合していることの問題を解決するために考えている11種類の血球を組み合わせた同定用パネルです。」と記載されており、「リゾルブ パネルB」についは「複合抗体の同定に役立つよう、稀な抗原組成をもつバックアップ用パネルです。パネルA又はパネルCと組み合わせて使用します。」と記載されている。そして、本文2頁には、各製品についての包装容量等とともに、下欄には、「予約注文品ですので、詳細は弊社営業担当者にお問い合せ下さい。」と記載されている。また、3頁以下の各製品についての特徴や利点を説明する頁には、その右肩に「Resolve Panel A」、「Resolve Panel B」、「Resolve Panel C」のように商標が表示されており、左肩には、発行者と認められる「Ortho Diagnostic Systems Inc.」の表示があり、その下には、「Johnson & Johnson COMPANY」の表示も記載されている。
乙第2号証は、オーソ・クリニカル・ダイアグノスティックス株式会社の会社案内の写しと認められるものであり、その沿革によれば、1939年にOrtho Product Inc.が設立され、1974年にJohnson & Johnson Far East Inc.にOrtho事業部が新設されており、1981年には日本法人オーソ・ダイアグノスティック・システムズ株式会社が設立され、1995年には日本コダック ダイアグノスティックス株式会社と合併し、社名をオーソ・クリニカル・ダイアグノスティックス株式会社に変更した旨記載されている。そして、該会社案内の頁の右肩には、「Ortho Clinical Diagnostics」の表示とともに「Johnson & Johnson company」の表示【審決注:該会社案内の写しでは、前者の表示中“stics”の文字及び後者の表示中「pany」の文字が欠落しているが、他の証拠資料等に記載された情報から、前記のとおりの認定は十分に可能である。】があり、また、左下には、「Johnson & Johnson」の表示とともに「本サイトは日本国内に向けて制作いたしております。」と記載されている。
乙第3号証は、オーソ・クリニカル・ダイアグノスティックス株式会社発行の「製品価格表(2007年4月1日現在)」であり、本文の2頁には、「血液型関連血球試薬(予約注文品)」として、「リゾルブ パネルA」、「リゾルブ パネルB」、「リゾルブ パネルC」等が包装単位、希望納入価格、貯法・摘要等とともに掲載されている。そして、表紙に記載されているオーソ・クリニカル・ダイアグノスティックス株式会社の社名の下には、「Johnson & Johnson company」の表示が併記されており、また、巻末には、「オーソ・クリニカル・ダイアグノスティックス株式会社は、世界190社以上のジョンソン・エンド・ジョンソングループ企業の一員として、輸血、感染症、生化学、免疫血清など臨床検査各分野において、多彩な製品及び情報の提供に努めるとともに・・・」と記載されている。
乙第4号証は、福島県立医科大学附属病院 輸血・移植免疫部所属の医師らによる「自己抗体と同種抗体を保有する患者への赤血球輸血:主要な同種抗原を適合させた赤血球の選択と輸血効果の検討」と題する研究論文(2007年2月8日受付)であり、その2頁目左欄の「3.吸着上清中の赤血球同種抗体検査」の項目中には、「・・・各種パネル血球(リゾルブ パネルAとパネルB、オーソ;パノセル−16カイノス)を一滴加え・・・」と記載されており、2007年当時において、「リゾルブ パネルA」や「リゾルブ パネルB」が輸血に係る研究の試薬として用いられていた事実が認められる。
乙第5号証及び乙第6号証は、乙第4号証の研究論文が掲載されている日本輸血・細胞治療学会のホームページの写しである。
(2)上記において認定した事実を総合し、これに被請求人の主張をも併せみれば、本商標権についての被請求人の通常使用権者と認められるオーソ・クリニカル・ダイアグノスティックス株式会社は、本件審判の請求の登録(平成20年1月25日)前3年以内に、乙第1号証の製品カタログ及び乙第3号証の製品価格表を医療機関等に頒布していたものと推認することができる。そして、カタログや製品価格表に商標を付して頒布する行為は、商標法第2条第3項第8号に規定するところの商標の使用に該当するものである。 しかして、本件商標は、前記したとおり、「RESOLVE」の欧文字を横書きしてなるものであるところ、乙第1号証のカタログには、「Resolve」や「リゾルブ」の商標が表示されており、乙第3号証の製品価格表にも「リゾルブ」の商標が表示されている。この「Resolve」の表示と本件商標「RESOLVE」とを比較してみれば、語頭の「R」以外の文字を小文字で表したか大文字で表したかの差異のみであるから、使用に係る「Resolve」の商標は、本件商標と社会通念上同一の商標と認められるものである。また、「リゾルブ」の表示についても、本件商標「RESOLVE」からは「リゾルブ」以外の称呼を生ずることはなく、ともに「決心、決意」等の観念を表すものであるから、商標法第50条第1項中の括弧書に規定されている「片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標」といえるものであり、使用に係る「リゾルブ」の商標もまた本件商標と社会通念上同一の商標と認められるものである。
また、上記カタログや製品価格表に掲げられている「Resolve Panel A/リゾルブ パネルA」等の商標に係る商品は、該カタログに記載されている商品説明あるいは乙第4号証の研究論文からみれば、赤血球の輸血を行う際に患者の抗体反応を確認するために使用される診断用試薬と認められるものであり、これは、本件商標の指定商品であり、取消しの請求に係る商品でもある「薬剤」の範疇に属する商品と認められるものである。
そうとすれば、本商標権についての通常使用権者と認められるオーソ・クリニカル・ダイアグノスティックス株式会社は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、取消しの請求に係る指定商品中の「血液型抗体同定用血球試薬(診断用試薬)」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたものということができる。
(3)上記論点以外の請求人の主な反論について
(ア)乙第1号証のカタログについて、被請求人は、現在も該カタログを使用している旨述べているが、その事実は何ら立証されていないとの主張について
確かに、乙第1号証のカタログは1995年以前に印刷されたものであるとのことであるから、本件審判についての要証期間内に発行されたものとはいえない。しかしながら、本件商標の使用対象商品は、該カタログにも記載されているように予約注文品であり、販売先も医療機関・研究機関に限られる専門的なものであるといえるもので、流行の変化の激しい商品にして、カタログも頻繁に更新していく必要のあるような商品ではないから、2007年4月1日の時点において、乙第3号証の製品価格表が制作されていたこととも併せみれば、乙第1号証のカタログを本件審判の請求の登録前3年以内の期間内においても継続して使用していた旨の被請求人の主張に不自然さは認められない。
(イ)本件商標権者よりオーソ・ダイアグノスティック・システムズ株式会社に対して通常使用権を許諾されていることが立証されていない旨の主張について
確かに、本件商標権者よりオーソ・ダイアグノスティック・システムズ株式会社に対して通常使用権を許諾したことを示す契約書等は提出されていない。しかしながら、そもそも、通常使用権の許諾は口頭ないしは黙示の意思表示でも足りるものと解されているばかりでなく、先に認定したとおり、乙第1号証に記載されている「Ortho Diagnostic Systems Inc.」の表示の下には「Johnson & Johnson company」の表示が併記されており、また、現在の社名となった乙第2号証の「Ortho Clinical Diagnostics」の表示の下、及び、乙第3号証の「オーソ・クリニカル・ダイアグノスティックス株式会社」の表示の下にも「Johnson & Johnson company」の表示が併記されており、更に、乙第2号証(会社案内)の左下に、「Johnson & Johnson」の表示とともに「本サイトは日本国内に向けて制作いたしております。」と記載されていること等を併せみれば、本件商標の商標権者であるジョンソン アンド ジョンソン(Johnson & Johnson Company)は、オーソ・ダイアグノスティック・システムズ株式会社(現社名 オーソ・クリニカル・ダイアグノスティックス株式会社)に対して通常使用権を許諾していたものとみるのが相当である。
そうとすれば、請求人の主張はいずれも採用できない。
(4)まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、通常使用権者により、本件審判の請求に係る指定商品に含まれる「診断用試薬」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていたことを証明したものということができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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