結論テキスト
その余の指定役務についての審判請求は成り立たない。
審判費用は,その2分の1を請求人の負担とし,2分の1を被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2007−890170(T2007−890170/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4932690号商標(以下「本件商標」という。)は,「KEY ZONE」の欧文字及び「キーゾーン」の片仮名文字を二段併記してなり,平成17年7月8日に登録出願,第30類「アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤,食品香料(精油のものを除く。),茶,コーヒー及びココア,氷,菓子及びパン,みそ,ウースターソース,グレービーソース,ケチャップソース,しょうゆ,食酢,酢の素,そばつゆ,ドレッシング,ホワイトソース,マヨネーズソース,焼肉のたれ,角砂糖,果糖,氷砂糖,砂糖,麦芽糖,はちみつ,ぶどう糖,粉末あめ,水あめ,ごま塩,食塩,すりごま,セロリーソルト,化学調味料,香辛料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,コーヒー豆,穀物の加工品,アーモンドペースト,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,酒かす,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン」,第32類「ビール,清涼飲料,果実飲料,ビール製造用ホップエキス,乳清飲料,飲料用野菜ジュース」及び第43類の「飲食物の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ」を指定商品及び指定役務として,同18年3月3日に設定登録されたものである。
請求人は,「本件商標の登録は,これを無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第46号証を提出した。
本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当するものであるから,商標法第46条第1項第1号によって無効とされるべきである。
(1)請求人は,以下の登録を所有している。
ア 登録第1848666号商標は,「KEY」の欧文字からなり,昭和58年11月10日に登録出願,第29類「茶,コーヒー,ココア,清涼飲料,果実飲料,氷」を指定商品として,同61年3月26日に設定登録,その後,平成8年8月29日及び同18年3月14日の2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ,さらに,同19年4月11日に指定商品を第30類「茶,コーヒー,ココア,氷」及び第32類「清涼飲料,果実飲料」とする指定商品の書換の登録がなされたものである(以下「引用商標1」という)。
イ 登録第2471923号商標は,別掲(1)に表示したとおりの構成からなり,平成元年3月3日に登録出願,第32類「食肉,卵,食用水産物,野菜,果実,加工食料品」を指定商品として,同4年10月30日に設定登録,その後,同14年11月12日に商標権の存続期間の更新登録がなされたものである(以下「引用商標2」という)。
ウ 登録第3091474号商標は,別掲(2)に表示したとおりの構成からなり,平成4年9月25日に登録出願,第42類「茶・コーヒー・ココア・清涼飲料又は果実飲料を主とする飲食物の提供」を指定役務として,同7年10月31日に設定登録,その後,同17年10月4日に商標権の存続期間の更新登録がなされたものである(以下「引用商標3」という)。
(2)「KEY」標章の著名性
ア 「KEY」標章が使用される請求人のコーヒー関連事業について
請求人は,コーヒー,コーヒー豆及び業務用食品の製造・販売等のコーヒー関連事業,飲食事業及び通信販売事業の経営を主に手がける総合企業であり,昭和3年ごろから約80年の間,引用商標1ないし3及び欧文字の「KEY」の文字からなる標章(以下,引用商標1ないし3と総称して「KEY」標章という)をその業務に係る商品及び役務について,永年使用してきた。
そのなかでも請求人のコーヒー関連事業は,創業当時からの請求人の中核事業であり,コーヒー及びコーヒー豆の製造・販売から,業務用飲料・食品の製造,仕入れ及び販売や,コーヒー農園の経営まで,非常に多岐にわたる。請求人のコーヒー関連事業は,わが国のトップクラスに位置する。
たとえば,甲第1号証「キーコーヒー70年史」によれば,請求人は,大正9年に創業して以降,主力のコーヒー豆を中心に売り上げを着実に伸ばし,すでに昭和31年ごろには,コーヒー業界のトップ企業となったことが分かる。
また,現在においても,請求人の業績は目覚ましく,平成17年度の売り上げは,約521億であり,そのうちコーヒー関連事業が約457億円に上る(甲第3号証)。
本事業で取り扱う商品のうち,まず,「コーヒー」及び「コーヒー豆」について,請求人は,永年「KEY」標章を使用してきた。またその商品は,業界一般の新聞記事においても,以下のように,「KEY」ブランドの商品として紹介されており,わが国において請求人の「コーヒー」及び「コーヒー豆」に係る事業の展開が常に注目の的である状況が窺い知れるものである。
例えば,業界紙「酒類食品 統計月報」平成17年2月号(甲第13号証)によれば,わが国における請求人に係るレギュラーコーヒーの生産量は,2001年が31,954トン,2002年が32,304トン,2003年が34,192トン,2004年が34,500トンと,他社を大きく引き離し,常に第1位を占める好業績を残していることが分かる(15頁)。
さらに,食品産業新聞,小売経済新聞などの業界新聞においても,「KEY」標章に係る「コーヒー豆」及び「コーヒー」の売り上げ・新製品の展開状況などが紹介されている(甲第29号証ないし甲第42号証)。
なお,請求人は,かかる「KEY」ブランドの信用の維持に努めるべく,「コーヒー豆」の輸入に際して,各生産国で定められたものとは異なる独自の品質基準を定め,仕入れた担当者が生産地で確認した物のみを輸入することとしている。その品質管理基準の高さは業界においても広く知られており,請求人が定めた品質基準は「タイプKEY」と称され,世界中のコーヒー生産地に知れ渡っているといわれている(甲第44号証)。
このような事実もまた,「コーヒー豆」及び「コーヒー」の分野における「KEY」標章の周知・著名性を証左するものといえる。
なお,請求人は,昭和40年代以降に海外事業も展開しており,わが国のコーヒー分野での成長に大きな功績を残してきたものである。
すなわち,一外資企業のコーヒープランテーション建設事業ではなく,インドネシアスラウェシ島現地政庁との一体となった,国際事業として,インドネシアにおいてトアルコ・トラジャ社を設立し,トラジャを復活させた。「トラジャ」とは,太平洋戦争で輸入が中断し,戦後はその名のみが残されて,「幻のコーヒー」といわれていたものである。
「トラジャ」は,昭和53年の発売初年度以降,一般雑誌やテレビ宣伝をきっかけに,そのキャッチフレーズ「いま甦る/幻のコーヒー」によってその名前はわが国の需要者に広く浸透することとなった(甲第1号証)。
このように,請求人は,わが国の「コーヒー」及び「コーヒー豆」分野の発展に高い功績を残し,現在においても,請求人の営業努力により,「KEY」ブランドの高い信用は維持されている。
また,請求人は,コーヒー関連事業として,様々な業務用商品の製造・販売も手がけている。具体的には,創業初期の昭和3年にコーヒーシロップの販売を開始してから,現在に至るまで,フルーツシロップ,マカロニ,紅茶,ココア,砂糖,コーヒーミルク,ジュース,マーガリン,カレー・ミートソース,ケーキなどの調理済み食料品,ドレッシング等の調味料等を販売している(甲第1号証及び甲第2号証)。
このように,請求人が取り扱う業務用商品は,「清涼飲料」,「乳製品」,「菓子」,「加工食料品」及び「調味料」といったあらゆる食品カテゴリーにわたり,さらに,その豊富な品揃えと品質の良さから,急速に拡大していった。
また,「コーヒー」及び「コーヒー豆」の場合と同様に,これらの業務用商品名にも,請求人は,一貫して「KEY」標章を使用してきた。請求人が取り扱う業務用商品名称の一部を以下に列記する(括弧内にはそれが使用されている製品を記す)。
・「KEY/TEA」(紅茶)
・「KEY/アイスティー」(アイスティー)
・「KEY/クリーミー」(コーヒークリーム)
・「KEY/ティーバッグ」(ティーバッグ)
・「KEY/フルーツソース」(フルーツソース)
・「KEY/オレンジジュース」(オレンジジュース)
・「KEY/チョコレートシロップ」(チョコレートシロップ)
・「KEY/フレンチドレッシング」(フレンチドレッシング)
・「KEY/ビーフカレー」(ビーフカレー)
・「KEY/ミートソース」(ミートソース)
・「KEY/ペペロンチーノ」(ペペロンチーノ)
・「KEY/スティックシュガー」(スティックシュガー)
上記のとおり,いずれの商品名称も,「KEY」の文字に製品の一般名称を付加した構成からなるため,出所表示機能を発揮するのは「KEY」の文字部分のみといえる。
さらに,その使用態様においても,「KEY」の文字部分が製品の一般名称の文字部分と離れて記載されており,これに接する取引者・需要者が「KEY」の文字部分をブランド名として記憶するであろうことは容易に理解できる(「業務用食品カタログ」(甲第25号証)及び各種食品パンフレット(甲第26号証)を参照されたい)。
以上のように,「KEY」標章は,請求人の業務にかかる「コーヒー」,「コーヒー豆」,「清涼飲料」,「乳製品」,「菓子」,「加工食料品」及び「調味料」等の業務用商品について一貫して使用されており,かかる取引実情に鑑みれば,請求人の業務に係る「コーヒー」等の商品を表示する標章として,需要者・取引者に認識されるにいたっているというべきである。
イ 請求人の「KEY」ブランドに基づく多角経営の展開について
さらに,請求人は,新規事業の展開においても「KEY」ブランドを主軸に置いて様々なフレーズやサブブランドを考案し,「KEY」ブランドの確立に努めている。
たとえば,請求人は,昭和59年ごろから,個人事業者を中心としたカフェに対する経営支援サービスとして,「KEY」ブランドの食品の卸先の飲食店に,請求人の業務にかかる食料品を用いたメニューを提案したメニューブック等の情報誌や「開店の手引き」といった冊子を頒布している。
これまでに提供された情報誌は,「FROMKEY」,「KEYSTYLE」及び「KEYSTYLE MENUBOOK」の3種類であり,いずれのタイトルにも「KEY」の文字が採用されている。
なお,このような経営支援のサービスには,同時に提案型営業としての役割もあり,請求人と飲食店とのパイプを強め,請求人の業務用食品分野における市場シェアの拡大に大いに貢献している(甲第20号証ないし甲第24号証)
また,請求人は,飲食事業として,カフェ業態を中心にした飲食店の経営をしており,「飲食物の提供」等を指定役務として登録商標「KEY’S CAFE(キーズカフェ)」を有している(甲第43号証)。
なお,請求人の飲食事業について補足すると,昭和14年に,合弁会社トリコロールを設立(現,株式会社トリコロール)し,全国で喫茶店やコーヒースタンドを運営している。請求人の業務に係る喫茶店の店舗総数は,平成18年3月時点で293店に及び,売上高は,約53億円にのぼり(甲第3号証),飲食業界においても請求人は高い実績を有するといえる。
さらに,最近では,子会社を通じて通信販売事業にも着手しており,「KEYCOFEE 通販倶楽部」という名称のウェブサイトで,一般消費者向けに,コーヒー,コーヒー豆,加工済みの業務用食品などの販売を手がけている(甲第45号証)。
また,本事業で販売している「茶,コーヒー及びココア,調味料,香辛料,コーヒー豆,穀物の加工品,アーモンドペースト,サンドイッチ,ピザ,ミートパイ,ラビオリ,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類」等を指定商品として,商標登録も有している(甲第46号証)。
以上のとおり,請求人は,事業の多角化の過程で,メインブランドとして「KEY」標章を使用及び商標登録を行い,そのブランドの普及と保護に鋭意努めている。
ウ 広告宣伝活動
請求人は,昔から,「KEY」ブランドの広告・宣伝活動に努めており,例えば,「KEY」の文字や引用商標1ないし3が表示された屋外の広告看板,TVCM,協賛宣伝,博覧会への出展,アドボードの設置など,その広告実績については,枚挙にいとまがない(甲第1号証及び甲第2号証)。
例えば,喫茶店の店先で頻繁に目にする引用商標3が表されたアドボードは,昭和48年からすでに登場している。
請求人の業務に係る商品等表示として,広く知られた「KEY」の文字が記載されたこの看板は,登場するやたちまち全国の取引先の喫茶店等に受け入れられ,昭和55年には,全取引先業務店の4分の1に普及するに至った(甲第1号証)。
さらに,アドボードとともに,昭和50年代ごろからは,首都圏を対象としたテレビCMや,ビル広告等の大型広告塔を使用し,テレビや新聞・雑誌などの広告と互いに補いあったPR活動を展開するようになった(甲第1号証)。
なかでも,昭和58年に設置された銀座不二越ビル屋上の広告塔は,キーコーヒーのマークをあしらった看板の間に直径6m,高さ10mの巨大なキー缶を聳え立たせたもので,以後「ジャンボコーヒー缶」の名で銀座の新しい名物となった(甲第1号証)。
また,上記のようなメニューブックの頒布や販促キャンペーンを開始したのも,昭和50年代ごろである。さらに,平成元年以降,横浜「みなとみらい博」(平成元年)や福岡「アジア太平洋博」等大型イベントにも出展し,一般取引者・需要者の間でのキーブランドの浸透を図った(甲第1号証)。
また,平成9年のレギュラーコーヒー「ドリップオン」の発売に合わせて,5億円を投じたTVCMを放映し,それ以降も継続的にプレゼントキャンペーン等の販促活動を積極的に行った(甲第2号証)。
ちなみに,最近の請求人の広告宣伝活動の詳細については,「キーコーヒー近10年のあゆみ」に記載されている(甲第2号証)。この記載を見ると,請求人が,雑誌,新聞,有名女優のテレビCM,キャンペーン,駅ビルのサインボード等,多彩な広告手法を通じて,継続的に広告活動を展開していることが分かる。
上記のとおり,請求人は,コーヒー業者として創業後,「KEY」商標をその業務に係る様々な商品・役務について使用し,また,盛大に宣伝・広告活動に努めてきた。
エ 請求人の登録商標例
請求人は,創業以来,経営の多角化に伴い,広い区分にわたって,数多くの「KEY」の文字からなる商標につき商標登録を行い,その表示の保護に努めてきた。特に,本件商標に係る指定商品・役務と関連する第30類,第32類及び第43類については,甲第10号証に記載のとおり,45件の商標登録を有している。
かかる事実は,本件商標の商品・役務に係る分野において,「KEY」標章が請求人の高い識別力を維持していることを示している。
オ 小括
以上の事実及び証拠に鑑みれば,「KEY」標章は,本件商標の出願時にはすでに,わが国の需要者・取引者の間で周知・著名に至っていたというべきである。
(3)「KEY」標章の独創性
「KEY」標章は,請求人が木村商店であった昭和3年ごろ,創業者が「コーヒー業界の鍵を握る」等の希望をこめて考案された標章である(甲第1号証)。「KEY」標章は,それ以降から現在に至るまで,請求人の商品パッケージや店舗の看板等に使用されている(甲第1号証)。
また,現在ハウスマークとして使用されている引用商標1ないし3も,これを原型とするものであり,「KEY(キー)」ブランドが請求人以外の何者かを意味する名称として一般的に使用されることはなく,キーブランドの独創性の高さは現在でも維持されている。
(4)本件商標について
本件商標は,欧文字の「KEY ZONE」とカタカナの「キーゾーン」を二段書きにしてなる。
その構成中「KEY/キー」の文字は,上述のとおり,請求人の業務に係る商標として周知,著名となっている「KEY」標章及び請求人の引用商標構成中の「KEY」の文字部分とその綴り文字を同じくする。
さらに,前半部分の「KEY」の文字は,「ZONE」の文字と分断されて記載されており,さらに,両文字の間に特段の意味的なつながりも認められず,本件商標に接する取引者・需要者が本件商標を常に一体的に理解しなければならない特段の事情も認められないというべきである。
また,「ZONE」の文字は,「区域,地域」等の意味を表し,レストラン等の店舗において特定の区域を指称する語として普通に使用されていることから,本件商標の指定役務のなかでも「飲食物の提供」との関係では,識別力の弱い部分というべきである。
以上の点を総合的に考慮すると,本件商標に接する取引者・需要者は,「KEY/キー」の文字部分に相応して,請求人の「KEY」ブランドを直感するというべきである。
(5)当該商標の指定商品又は指定役務と他人の業務に係る商品又は役務との間の性質,用途又は目的における関連性の程度その他取引の実情について
本件商標に係る指定商品には,請求人のコーヒー関連事業及び通信事業で販売しているコーヒー,コーヒー豆及び業務用食品と非常に関連の高い商品である「コーヒー及びココア,コーヒー豆,菓子及びパン,みそ,ウースターソース,グレービーソース,ケチャップソース,しょうゆ,食酢,酢の素,そばつゆ,ドレッシング,ホワイトソース,マヨネーズソース,焼肉のたれ,角砂糖,果糖,氷砂糖,砂糖,麦芽糖,はちみつ,ぶどう糖,粉末あめ,水あめ,ごま塩,食塩,すりごま,セロリーソルト,化学調味料,香辛料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,穀物の加工品,アーモンドペースト,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ」が含まれる。また,本件商標に係る指定役務中,「飲食物の提供」は,請求人の飲食事業と非常に関連の高い役務である。
また,「KEY」標章に係る取引実情として,上述のとおり,わが国のコーヒー産業の発展に対する請求人の貢献度や,現在までに化体した「KEY」ブランドへの信用を考慮しなくてはならない。
さらに,請求人は,業務用食品や外食産業へと経営の多角化を進める過程においても,一貫して,「KEY」ブランドを主軸に営業活動を行い,高い成功を収めている。
また,本件商標の取引者・需要者には,請求人の主要な取引者・需要者である飲食店事業者や一般のコーヒー需要者・飲食店利用者が含まれることは明らかである。
以上のとおり,商品・役務の関連性,「KEY」ブランドに関する取引実情及び需要者・取引者の共通性を総合的に考慮すれば,本件商標に接する取引者・需要者は,本件商標に係る「コーヒー及びココア」等の商品及び「飲食物の提供」について,恰も請求人による事業又はその新規事業であるかのように誤認・混同する可能性が高いというべきである。
(6)小括
以上述べたとおり,本件商標の「KEY」標章に対する酷似性,「KEY」標章の著名性及び独創性,請求人の多角化経営などの取引の実情などに照らし,本件商標の指定商品・役務の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として,総合的に判断した場合,本件商標に接した取引者・需要者は,恰も著名な請求人若しくは請求人と何等かの関係がある者の業務に係る商品・役務であるかの如く,商品・役務の出所について混同を生ずるおそれがあることは明白である。
(7)結論
以上のことから,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当するというべきであって,同法第46条第1項第1号の規定に基づき,その登録を無効とすべきものである。
被請求人は,請求人の前記主張に対し何ら答弁していない。
(1)引用商標の著名性について
請求人提出に係る甲各号証によれば,以下の事実が認められる。
ア 請求人は,コーヒー商木村商店として大正9年に創業し,その後,株式会社木村コーヒーの名称を経て,平成元年に「キーコーヒー株式会社」の名称となり現在に至っている。
イ 請求人は,焙煎したコーヒー豆の取扱い業を創業とし,その後,一貫してコーヒー豆,コーヒーの製造・販売に関する業務を継続すると共に,昭和3年にコーヒーシロップの販売を開始して以来,コーヒー関連商品を含む多種商品の取扱いに事業を拡張し,現在では,請求人がコーヒー関連事業と称するコーヒー及びコーヒー豆の製造・販売及び飲食店向けの業務用食品の製造・販売等に関する事業,飲食事業,通信販売事業及びコーヒー農園の経営等を行う食品関連の総合企業であり,平成17年度の売り上げは,約521億円,そのうちのコーヒー関連事業が約457億円,飲食事業が約53億円である。
そして,請求人のレギュラーコーヒーの生産量は,2001年(平成13年)が31,954トン,2002年(同14年)が32,304トン,2003年(同15年)が34,192トン,2004年(同16年)が34,500トンと,我が国において,常に1位又は2位の実績を有していた。
また,出願人が主に取り扱う商品として(ア)コーヒー及びコーヒー,コーヒーセット,コーヒー飲料,インスタントコーヒー等のコーヒー関連商品(イ)フルーツジュース,フルーツシロップ,コーヒーシュガー,コーヒークリーミー,パスタ,パスタソース,調理ソース,カレー,チルド食品,フローズン食品,フルーツ・野菜瓶缶詰,調味料,香辛料,食用油,カレー,紅茶,ココア及び乳製品等の業務用食品(ウ)紅茶・ココア・緑茶,砂糖,クリーム,肉,肉加工品詰め合わせ,米,カレー,パスタ・パスタソース等の通信販売用商品等がある。
さらに,飲食事業としては,請求人は株式会社イタリアントマトを連結子会社化し,その店舗数は平成18年3月時点で293店,その売り上げは上記のとおり約53億円であった。
ウ 請求人は,昭和3年に「鍵」の図形と「KEY」及び「キー」の文字を商標としてを採択し,以来これらの図形又は文字及びこれらとコーヒー(COFFEE)の文字とを組みあわせた構成からなる商標を,コーヒー及びコーヒー豆を中心とした自社製品及び広告・宣伝において継続して使用していた。
そして,平成元年の社名変更に伴い,文字のロゴタイプ及びデザインを変更し,鍵の図形と「KEYCOFEE」の文字を組み合わせた構成であって引用商標3と同一の態様からなる商標(以下「使用商標3」という)をハウスマークとして採択し,これとKEYの文字のみからなる構成であって引用商標2と同一の商標(以下「使用商標2」という)及び引用商標1と同一の商標(以下「使用商標1」という)の3商標を,現在に至るまでハウスマークとして使用すると共に,継続的にそれら商標を用いて広告・宣伝に努めてきた。
そして,これら商標の本件商標の登録時にける使用状況をみると,(ア)自社製品全般,自己のウェブサイト及び自己の発行する情報誌等に使用商標3を,(イ)コーヒー以外の商品,例えば,フルーツシロップ,マカロニ,紅茶,ココア,砂糖,コーヒーミルク,ジュース,マーガリン,カレー・ミートソース,ケーキなどの調理済み食料品,ドレッシング等の調味料等の商品に使用商標2を,(ウ)出願人のウエブページにおいて使用商標1を,それぞれ使用していたことが確認できる。
カ 食品産業新聞,小売経済新聞などの業界新聞における請求人の取扱いに係る「コーヒー豆」及び「コーヒー」の売り上げ・新製品の展開状況などの紹介記事において,請求人の製品又は請求人を指称するために「キー」又は「KEY」の文字が使用されている。
(2)前記の事実を総合すると,使用商標1ないし3は,請求人が「コーヒー,コーヒー豆及びこれらに関連する食品並びにフルーツシロップ,マカロニ,紅茶,ココア等の請求人の取扱いに係る商品に継続して使用すると共に,継続して広告・宣伝を行った結果,いずれの商標も,本願出願時までには,請求人の業務に係る商品「コーヒー,コーヒー豆」を表示するものとして,コーヒーを含む食品関連の分野の取引者,需要者間において広く認識され,かつ,著名となっていたものであり,その状態は,本件商標の登録の時点においても継続していたものと認めることができる。
加えて,請求人の事業は,コーヒー及びコーヒー豆の製造・販売のみならず,清涼飲料,乳製品,菓子,加工食料品及び調味料等の多岐にわたる食品の製造・販売及び飲食業等にまで及ぶことが認められる。
(4)誤認混同のおそれについて
本件商標は,前掲のとおり,「KEY ZONE」及び「キーゾーン」の文字を上下2段に横書きしてなるところ,上段「KEY ZONE」については,一文字程度の間隔を開けて表されていることから,それぞれの文字が視覚的に分離して看取されるものであり,また,両文字間に特段の意味的な繋がりも認められず,「KEY」と「ZONE」の文字とが一体不可分にのみ把握,認識しなければならない特段の事情もみあたらない。
そして,本件商標に係る指定商品は,前記1のとおり,コーヒー及びコーヒー豆を含むものであり,その他の商品にしても,何れも食品であり,コーヒー,コーヒー豆とは,用途,生産部門,販売部門及び需要者層等を共通するものである。また,その指定役務中の「飲食物の提供」との関係においても,コーヒーは,飲食店において提供されるものであって当該役務と関連の深いものである上に,請求人の子会社が当該役務を行って実情がある。
しかしながら,本件商標に係る指定務中の「宿泊施設の提供の契約媒介又は取次ぎ」については,当該役務は,旅行業法で規定する旅行業又は旅行業者代理業が行う業務であって,取扱者が限定されることから,一般に食品関連の事業を行う者がこれを行うとは考えが難く,必ずしも商品「コーヒー,コーヒー豆」との関連性が強いものということはできない。
そうとすると,本件商標を,その指定商品及び指定役務中の第30類「アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤,食品香料(精油のものを除く。),茶,コーヒー及びココア,氷,菓子及びパン,みそ,ウースターソース,グレービーソース,ケチャップソース,しょうゆ,食酢,酢の素,そばつゆ,ドレッシング,ホワイトソース,マヨネーズソース,焼肉のたれ,角砂糖,果糖,氷砂糖,砂糖,麦芽糖,はちみつ,ぶどう糖,粉末あめ,水あめ,ごま塩,食塩,すりごま,セロリーソルト,化学調味料,香辛料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,コーヒー豆,穀物の加工品,アーモンドペースト,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,酒かす,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン」,第32類「ビール,清涼飲料,果実飲料,ビール製造用ホップエキス,乳清飲料,飲料用野菜ジュース」及び第43類の「飲食物の提供」について使用するときには,これに接する取引者,需要者は,本件商標の構成中の「KEY」の文字部分に着目し,該商品又は役務を請求人又は請求人と経済的又は組織的に何らかの関係のある者の業務に係る商品又は役務であるかのように,その出所について混同するおそれがあるものと判断するのが相当である。
してみれば,本件商標は,その指定商品又は指定役務中,前記商品及び役務については,商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
したがって,本件商標は,その指定商品及び指定役務中,第30類「アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤,食品香料(精油のものを除く。),茶,コーヒー及びココア,氷,菓子及びパン,みそ,ウースターソース,グレービーソース,ケチャップソース,しょうゆ,食酢,酢の素,そばつゆ,ドレッシング,ホワイトソース,マヨネーズソース,焼肉のたれ,角砂糖,果糖,氷砂糖,砂糖,麦芽糖,はちみつ,ぶどう糖,粉末あめ,水あめ,ごま塩,食塩,すりごま,セロリーソルト,化学調味料,香辛料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,コーヒー豆,穀物の加工品,アーモンドペースト,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,酒かす,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン」,第32類「ビール,清涼飲料,果実飲料,ビール製造用ホップエキス,乳清飲料,飲料用野菜ジュース」及び第43類の「飲食物の提供」については,同法第46条第1項の規定により,その登録を無効とすべきものであり,その余の商品については,その登録を無効とすることはできない。
よって,結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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